盛り土前所有者ら捜索 熱海土石流、業過致死容疑など―静岡県警

2021.10.28
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by 時事通信


静岡県熱海市で起きた土石流災害をめぐり、静岡県警の家宅捜索を受ける不動産管理会社=28日午後、神奈川県小田原市(画像の一部を処理しています)

静岡県熱海市で起きた土石流災害をめぐり、静岡県警の家宅捜索を受ける不動産管理会社=28日午後、神奈川県小田原市(画像の一部を処理しています)

 静岡県熱海市で7月に起きた土石流災害で、崩落起点となった盛り土のずさんな造成工事を行い、安全管理を怠ったとして、県警は28日、業務上過失致死などの容疑で、盛り土された土地を所有していた神奈川県小田原市の不動産管理会社や同社代表(71)の自宅など関係先を家宅捜索し、強制捜査に乗り出した。
 遺族の瀬下雄史さん(53)=千葉県=が8月、同社代表を業務上過失致死容疑で、現在の土地所有者を重過失致死容疑でそれぞれ県警熱海署に刑事告訴し、受理されていた。
 告訴状などによると、小田原市の不動産管理会社は2006年、土石流の起点部分の土地を取得。熱海市から、県土採取等規制条例に基づいてたびたび工事や土砂搬入の中止要請が行われたが、10年6月ごろまで盛り土造成を続けた。同社は市に対し、盛り土の高さを15メートルと届けながら、実際は3倍余りの約50メートルにまで上ったという。土地は11年2月に現所有者に売却された。
 市は危険性を認識し、11年に安全対策を強制的に行わせる措置命令の発出を検討したが、防災工事が始められたため、発出を見送った。
 災害は今年7月3日に発生。崩落した盛り土が土石流となり、26人が死亡、1人が行方不明になり、約130棟が被害を受けた。遺族ら70人は前所有者の不動産管理会社などを相手取り、32億円余りの損害賠償を求め提訴している。
 不動産管理会社代表の代理人を務める梶田潤弁護士は取材に対し「捜査内容に応じて対応していきたい」と回答。現所有者代理人の河合弘之弁護士は「捜査には全面的に協力する」と話した。(2021/10/28-21:12)

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