日韓外相、電話会談すらなく 「竹島上陸」でさらに冷却

2021.12.05
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by 時事通信


韓国の鄭義溶外相(左、AFP時事)と林芳正外相

韓国の鄭義溶外相(左、AFP時事)と林芳正外相

 外相が就任してから10日で1カ月を迎える。各国外相とあいさつを兼ねた電話会談を重ねるが、韓国の鄭義溶外相とは見通しが立っていない。韓国警察幹部の竹島上陸に日本側が反発、対話ムードがしぼんでいるためだ。文在寅大統領の任期が来年5月に迫る中、日韓関係は一段と冷え込んでいる。
 林氏は、11月13日のブリンケン米国務長官を手始めに、これまで約15カ国の外相と電話やテレビ会議システムで協議。来日したパラグアイの外相らと対面でも会談した。
 ただ、この中に韓国は含まれておらず、外務省幹部は「韓国は当分ない」と断言する。首相が10月4日の就任から約10日後に文氏と電話会談したのと比べても、動きの鈍さは明白だ。
 背景には、韓国の金昌龍警察庁長官による11月16日の島根県・竹島(韓国名・独島)への上陸がある。直後に開かれた米ワシントンでの日米韓3カ国次官協議は、この余波で共同記者会見が見送られた。北朝鮮や中国を念頭に3カ国の結束を示すはずだっただけに、日本外務省内では「タイミングが最悪だ」との不満が渦巻いた。
 林氏は当初、日程が整えば韓国とも電話会談を行う方針だったが、竹島上陸の影響で調整すら行われない状況に陥ったという。元徴用工、慰安婦問題などの懸案を協議する事務レベル対話は継続しており、日韓外交筋は「韓国側がやりたいと言えば検討する」と話すが、早期実現の機運は乏しいままだ。(2021/12/05-21:08)

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