対中国「抑止と対処」明記へ 欧州・アジアの安保不可分―日米首脳声明

2022.05.19
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by 時事通信


首相官邸に入る岸田文雄首相=18日午前、東京・永田町

首相官邸に入る岸田文雄首相=18日午前、東京・永田町

 日米両政府は23日の首相とバイデン大統領の首脳会談で、東アジアで軍事的威圧を強める中国を念頭に「一方的な現状変更を抑止し、必要に応じ対処する」との文言を共同声明に盛り込む方向で調整に入った。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、「欧州とアジアの安全保障は不可分」との認識でも一致する見通し。政府関係者が18日、明らかにした。
 両政府は昨年4月の首脳共同声明で、半世紀ぶりに「台湾海峡」の平和と安定の重要性を明記。「一方的な現状変更に反対する」との立場を確認した。今回、より直接的な表現を用いるのは、中国の軍拡スピードに加え、ロシアのウクライナ侵攻がアジアに波及することへの懸念がある。
 首相は今月5日の記者会見で「ウクライナはあすの東アジアかもしれない」と危機感を表明し、欧州とアジアの安保環境は密接に関係していると訴えた。バイデン政権も中国を「唯一の競争相手」と位置付けており、欧州と東アジアの二正面作戦が避けられない中、対中抑止を重視する姿勢を印象付けたい考えだ。
 抑止力の裏付けとなるのは米国による「核の傘」。ロシアが核使用の威嚇を繰り返す中、岸田政権の幹部は「(核の傘を含む)拡大抑止を確認する重要性は増している」と指摘する。バイデン氏は会談で「核を含む日本防衛への揺るぎない支援」を改めて強調する見通しだ。
 一方、首相は日本の防衛力を抜本的に強化する方針も表明する。敵基地攻撃能力を含め「必要なあらゆる選択肢を検討する」考えを伝える。(2022/05/19-07:04)

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