船体引き揚げへ準備進む 23日で発生1カ月―国後島の遺体、不明甲板員か・知床事故

2022.05.22
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by 時事通信


知床半島(手前)と国後島(奥)=4月29日

知床半島(手前)と国後島(奥)=4月29日

 北海道・知床半島沖で26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故で、海上保安庁と契約した専門業者「日本サルヴェージ」は21日、水深約120メートルの海底に沈んだ船体の引き揚げに向けた準備作業に着手した。事故は23日で発生から1カ月。14人の死亡が確認され、12人の行方が分かっていない。
 第1管区海上保安本部(小樽市)などによると、作業は高い水圧に体を適応させた飽和潜水士が担当。21日は、カズワンのドアなど開口部を閉じたほか、引き揚げの障害となるアンテナなどを取り除いた。作業台船は荒天のため、午後1時40分に現場を離れ、網走港に。22日は天候不良が予想されるため、作業を中止する。
 当初は、22日にカズワンの船体を海面近くまでつり上げ、23日に作業台船上に移動させる予定だったが、台船への引き揚げは早ければ24日になる見通し。19、20日に実施された飽和潜水士による船内捜索では、客室や操舵(そうだ)室、トイレなどを調べたが、不明者につながる手掛かりはなかった。
 同本部は21日、北方領土の国後島西岸で新たに見つかった遺体の近くで、「ソヤマ・アキラ」と名前が書かれた運転免許証が発見されたと発表した。ロシア・ユジノサハリンスクの日本総領事館から外務省を通じて情報が寄せられたという。事故では、甲板員の曽山聖さん(27)=東京都調布市=が行方不明となっており、関連を調べている。国後島では6日にも女性の遺体が発見されている。(2022/05/22-13:43)

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