新型コロナの自動検出装置開発 PCR並み感度、9分で―変異株や他ウイルスにも対応・理研や東大

2022.05.26
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by 時事通信


新型コロナウイルスの高感度自動検出装置を開発した理化学研究所の渡辺力也主任研究員(左)と東京大の西増弘志教授=25日、文部科学省

新型コロナウイルスの高感度自動検出装置を開発した理化学研究所の渡辺力也主任研究員(左)と東京大の西増弘志教授=25日、文部科学省

 新型コロナウイルスをPCR検査並みの感度で素早く検出できる自動装置を開発したと、理化学研究所の渡辺力也主任研究員や東京大の西増弘志教授らが26日、発表した。変異株を判別できるほか、インフルエンザなど多種類のウイルスを同時に検出する設定も可能。臨床検査機器メーカー「シスメックス」(本社神戸市)と共同研究しており、渡辺さんは「遅くとも来年度中に製品化したい」と話している。
 新型コロナのPCR検査は、ウイルスの遺伝子があるリボ核酸(RNA)をDNAに変えてから増やすため、時間がかかる。渡辺さんらは昨年4月、唾液などの検体にウイルスRNAの配列を識別して結合する酵素や特殊な蛍光分子をまぜると、ウイルスRNAが含まれる場合に蛍光を発し、直ちに陽性と判定できる技術を開発していた。
 今回、酵素の種類を変えたほか、濃縮技術を導入して感度をPCR検査並みに向上。検体を装置にセットしてから顕微鏡で蛍光を捉え、陽性・陰性や変異株かを判定するまで9分以内で処理できる自動装置を試作した。1回の検査に掛かるコストは200円程度。新型コロナの流行が下火になった場合でも、さまざまなウイルスをまとめてその場で検出できる装置は空港などで需要があるのではないかという。
 この自動検出装置は「opn―SATORI(オープン・サトリ)装置」と名付けられた。研究成果の論文は国際科学誌コミュニケーションズ・バイオロジーに掲載された。(2022/05/26-18:20)

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