自民追い風期待、野党は批判 参院選、異例の首相外遊【22参院選】

2022.06.30
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by 時事通信


北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席するためスペイン・マドリード入りした岸田文雄首相(右)=28日(EPA時事)

北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席するためスペイン・マドリード入りした岸田文雄首相(右)=28日(EPA時事)

  • 街頭演説する立憲民主党の泉健太代表=23日、長野県駒ケ根市

 参院選(7月10日投開票)中盤戦で、首相(自民党総裁)は欧州で外交日程をこなした。大型国政選挙中の首相外遊は異例だが、自民党には「外交の岸田」を国内外でアピールできるとして「選挙の追い風になる」(閣僚経験者)との期待がある。野党は物価高対応が不十分なまま日本を離れたとして批判を強めた。
 26日未明に日本を出発した首相はドイツでの先進7カ国首脳会議(G7サミット)出席を終え、スペインで北大西洋条約機構(NATO)首脳会議にも参加。30日午後に帰国する。18日間の選挙戦のうちほぼ5日間の日本不在となるが、ウクライナ危機や中国をにらんだ安全保障など重要課題が山積し、国益にも選挙にも資すると判断した。
 自民党の幹事長は29日、長崎市での街頭演説で首相の訪欧に言及。「力による一方的な現状変更の試みは、ウクライナでも東アジアでも絶対に許容できない。国際社会が結束する必要がある」と述べ、首脳外交の意義を強調した。
 首相は帰国翌日の7月1日から遊説に復帰する予定。重点区の沖縄など1人区や、自民党が推薦した公明党候補のてこ入れに全力を挙げる。内閣支持率は一定程度の水準を保つとはいえ、自民党内には「都市部を中心に下落している」と警戒する向きもある。選挙後半戦では外遊の成果も踏まえ「政治の安定」を訴える考えだ。
 これに対し、野党は首相外遊を「内政軽視」と攻撃する。立憲民主党の代表は29日、名古屋市内で記者団に「国内の経済、物価対策がない中、(首相がサミットで)防衛費を増やすと約束した。物価対策を早急に行うべきだ」と指摘。立民の代表代行も東京都内での演説で「首相の責任放棄だ」と批判。立民幹部は首相の行動に「野党を甘く見ている」と語った。
 共産党の委員長は高知市で演説し、「首相は欧州で軍事費の相当な増額をまた勝手に約束した。しかし、軍拡で平和がつくれるだろうか」と非難した。(2022/06/30-12:24)

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