「政治や選挙を身近に」 若者の投票率向上へ取り組み―模擬選挙や不在者投票支援【22参院選】
今回の参院選は2016年に選挙権年齢が18歳以上に引き下げられてから5回目の国政選挙となる。若者の投票率はこれまで低い状態が続くが、各地の高校や大学では、模擬選挙や不在者投票支援など、若者に政治を身近に感じてもらうためのさまざまな工夫が重ねられている。
東京都府中市の都立農業高校では6月28日、3年生を対象にした模擬選挙の授業が行われた。自分の考え方に近い政党や候補者が分かる「ボートマッチ」と呼ばれるウェブサイトや選挙公報を参考に、実際の東京選挙区の候補者を比較。各自が投票用紙に名前を記入し、「1票」を投じた。
島田怜美さん(18)は「授業を通じて選挙の大切さを学ぶことができた。与えられた権利をしっかり使いたい」と感想を語った。
京都府の立命館大では6月22日、法学部4年の松尾遼太郎さん(22)と産業社会学部4年の満寿居春希さん(22)が中心となり、不在者投票を支援するためのブースを構内に開設した。大阪府出身の満寿居さんが不在者投票に苦労したのがきっかけで、昨年10月の衆院選の際に初めて開設し、今回が2回目。ブースには申請用のマニュアルを置き、質問も受け付ける。
「住民票を移していなくても不在者投票ができると知ってもらい、選挙に行く人が増えてほしい」と松尾さん。6月29日には、選挙制度が専門の法学部教授によるトークイベントも開いた。
岩手県立大でも学生が主体となった活動が行われている。総合政策学部4年の遠藤淳史さん(21)は、所属するゼミで不在者投票について研究し、学生の認知度の低さを実感したという。このため昨年の衆院選では不在者投票手続きの支援ブースをゼミの友人と開設。今年は人数を増やしてサークルとして活動し、岩手選挙区の候補者の事務所を見学するツアーなどを実施した。
遠藤さんは「学生にとって政治や選挙はまだ遠い世界のもの。ツアーなどの活動で身近に感じてもらえるといい」と話している。(2022/07/02-07:22)