内密出産のガイドライン公表 母親情報、病院が保管―厚労・法務省

2022.09.30
0
by 時事通信


慈恵病院に設置されている新生児保護施設「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)の案内板=熊本市西区

慈恵病院に設置されている新生児保護施設「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)の案内板=熊本市西区

 厚生労働省と法務省は30日、妊婦が病院にのみ身元を明かして出産する「内密出産」について、自治体や病院の対応方法をまとめたガイドライン(指針)を公表した。子供が自分の出自を知る権利に対応できるよう、医療機関が妊婦の身元情報を管理することや、生まれた子供の戸籍は市区町村長の職権で作成できることなどが盛り込まれた。同日、全国の自治体に通知した。
 国内では内密出産は法制化されておらず、熊本市の慈恵病院が2019年、ドイツの仕組みを参考に独自の取り組みとして導入。これまでに5例が公表された。今回の指針は現行の法体系に基づいて整理されたが、実際に各地で内密出産に対応できるかは不透明で、自治体などからは新たな法整備などを求める声も上がっている。
 加藤勝信厚労相は30日の閣議後の記者会見で、「内密出産の在り方や法整備など幅広い論点でさまざまな意見があり、現時点で結論を出せる状況ではない」と説明。指針について「内密出産の事例が既にある中で、医療機関などにどういう対応が求められるかの内容を整理した」と述べた。
 指針では、「妊婦が身元情報を医療機関の一部の者のみに明らかにしての出産」を「内密出産」と定義。「最も尊重されるべきは母子の生命・健康の確保」と明記した。
 妊婦の氏名や住所、生年月日などの身元情報は「医療機関内での管理が望ましい」とし、適切なやり方や子供への開示方法を事前に定め、都道府県が適切な指導をするよう求めた。その上で、仮名でのカルテ作成を認め、子供の戸籍は母親欄を空白としたまま市区町村長が職権で作成するとした。(2022/09/30-19:14)

print

人気のオススメ記事