「王道と異端」両輪で 大名跡「團十郎」継ぐ市川海老蔵さん

2022.10.01
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by 時事通信


「市川團十郎」の襲名を控えた市川海老蔵さん=9月22日、東京都千代田区

「市川團十郎」の襲名を控えた市川海老蔵さん=9月22日、東京都千代田区

 今秋、江戸歌舞伎の大名跡「市川團十郎」を十三代目として襲名する市川海老蔵さん(44)。11月からの襲名披露公演を控え、報道各社の取材に応じた。「團十郎に必要なのは革新を忘れない姿勢。王道でありながら、異端でもあり続ける」と決意を語った。
 荒々しく豪快な演出様式「荒事」を創始した初代(1660~1704年)に始まる團十郎家。江戸時代から300年以上にわたり、歴代團十郎が伝統の継承と芸の革新に取り組み、歌舞伎界をけん引してきた。
 その最高峰とされる名跡を、2013年に亡くなった父の十二代目から9年ぶりに受け継ぐ。心情を問われると「気負いはない。名前が変わるだけで自分は変わらない。甘えるつもりもない」と淡々。團十郎家に生まれた「運命」と受け止める。
 「襲名は、ある意味お祭り」とも話す。「歌舞伎を盛り上げる気持ちはみんな同じ。私も先輩や同輩、後輩が襲名する時にはみこしを担ぐ側になる。おのおのに感謝しながら勤めたい」
 04年に26歳で十一代目海老蔵を襲名。オペラ歌手と共演するなど、型にはまらない歌舞伎表現の開拓に取り組んできた。一方で、その奔放な言動が賛否を呼ぶことも。父の團十郎さんや妻の小林麻央さんとの別れもあった。「人としての厚みを得るいろいろな体験をした。大いに海老蔵を生きたと思う」と振り返る。
 長男の堀越勸玄君(9)も同時に、八代目市川新之助として初舞台を踏む。勸玄君にとって「(披露演目の)『毛抜』も『外郎売』も重い役。挑戦する心意気をみてほしい」と、父としての思いものぞかせた。(2022/10/01-08:25)

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