中国、非軍事で影響力拡大 情報工作・海上民兵に警鐘―防衛研報告書

2022.11.26
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by 時事通信


7月27日、中国・北京の中国人民革命軍事博物館を視察した習近平国家主席(左端)ら(国営中央テレビ電子版より)

7月27日、中国・北京の中国人民革命軍事博物館を視察した習近平国家主席(左端)ら(国営中央テレビ電子版より)

 防衛省のシンクタンク、防衛研究所は25日、中国の軍事動向に関する年次報告書を公表した。ソーシャルメディアを使って中国に有利な情報を流すといった心理・認知領域の工作や、海上における平時でも有事でもない「グレーゾーン事態」の活動など、非軍事的な手段を用いて影響力を拡大させていると分析した。
 その背景として、(1)習近平政権による軍事組織の再編で共産党が人民解放軍を直接制御する仕組みを整えた(2)「戦略支援部隊」を創設してサイバー・電子戦や心理・認知戦を統括させた(3)海警局を軍の最高指導機関である中央軍事委員会の指揮下に置いた―ことを列挙。これが非軍事的な動きの強化につながったと指摘した。
 報告書は、中国から台湾に対するサイバー攻撃やフェイクニュース拡散に言及。「党・軍による影響力工作が幅広く行われ、台湾にとって大きな脅威になっている」と強調した。
 普段は漁業活動に従事するが、必要に応じて軍などの傘下に入る武装した海上民兵の存在にも触れ、こうした民兵の特徴は「グレーゾーン作戦で非常に有用」と警鐘を鳴らした。
 また、南シナ海と東シナ海における中国の活動を比べ、東シナ海では中国の活動が「抑制的」だとの見方を示した。その理由として、海上自衛隊や海上保安庁の警戒監視が一定の効果を上げていると評価。米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の沖縄・尖閣諸島適用を米政府が繰り返し明言したことも影響していると分析した。(2022/11/26-07:41)

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