鳥インフル、異例の感染ペース 今季はや18例、防疫徹底を

2022.11.27
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by 時事通信


【図解】家きん農家の高病原性鳥インフルエンザ発生状況

【図解】家きん農家の高病原性鳥インフルエンザ発生状況

  • 高病原性鳥インフルエンザが発生した養鶏場で、鶏の殺処分作業を行う香川県の職員ら=1日、同県観音寺市(香川県提供)

 致死率の高い高病原性鳥インフルエンザの感染が、例年にないペースで広がっている。今季は26日までに12道県の家禽(かきん)農家で18例発生しており、世界的流行を踏まえれば今後さらに拡大する可能性は高い。農林水産省は感染防止に向け防疫対策の徹底と早期発見を呼び掛けている。
 今季は、これまでで最も早い10月28日に岡山県と北海道の農場で感染が判明した。11月には香川や茨城、兵庫などで断続的に発生。殺処分数は現時点で計約289万羽に及び、早くも昨シーズン全体の約189万羽を超えた。
 鳥インフルは世界的にも大流行している。米国は今年、過去最多となる5054万羽の感染を確認。欧州では、ウイルスを運んでくる渡り鳥がいなくなる夏場も感染が途切れなかった。日本への影響を懸念する声は強い。
 鶏卵価格の動向も不安視される。国内で最も多く発生したのは2020年度シーズンの18県52例。殺処分された約987万羽の大半が採卵鶏で、全体の約5%に及んだことから鶏卵価格は直近の最高値だった17年度に次ぐ水準まで上昇した。
 日本養鶏協会によると、11月25日時点の標準取引価格は1キロ259円で、昨年度の最高値(256円)を上回る。ウクライナ危機の影響で飼料代も高騰しており、「物価の優等生」とされる鶏卵の価格にも上昇圧力がのしかかっている。
 農水省によると、今シーズン殺処分された鶏などのうち採卵鶏は約220万羽で、全体の1%強にとどまる。野村哲郎農水相は「大きな影響はない」としているが、感染が広がれば需給にも影響が出かねず、同省は「衛生管理を徹底するしかない」と神経をとがらせている。(2022/11/27-06:58)

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