原告の叙勲に「待った」 徴用工訴訟、対日関係配慮か―韓国外務省

2022.12.08
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by 時事通信


記者会見する元徴用工訴訟の原告の梁錦徳さん(中央)ら=7月27日、韓国・光州

記者会見する元徴用工訴訟の原告の梁錦徳さん(中央)ら=7月27日、韓国・光州

 【ソウル時事】元徴用工訴訟の原告への叙勲について、韓国外務省が授与式直前に待ったをかけ、内定していた授章を見送っていたことが8日、分かった。日本を刺激し、元徴用工問題の解決に悪影響を与えかねないと懸念したとみられる。
 韓国では毎年、閣議決定を経て、国連が定めた世界人権デーの12月10日ごろに勲章の一つ「人権賞」の授与式が行われる。政府機関の国家人権委員会は9月、「1992年に提訴して以来、30年にわたり日帝被害者の権利回復運動に寄与した」との理由で、確定判決が出た三菱重工業が被告の訴訟の原告、梁錦徳さんを候補に選定した。
 関係者によると、国家人権委からは既に9日の授与式の案内が梁さん側に送られていた。しかし同委の担当者が6日、梁さん側に閣議決定の先送りを伝えてきたという。
 韓国外務省報道官によると、同省は先週、保留を求める意見を関係部署に伝達。徐旻廷アジア太平洋局長は7日、原告側関係者と会い、「関係部署との事前協議のため十分な時間が必要だ」と先送りの理由を説明した。
 事情を深く知る原告側弁護士は「日本に不快感を与え、韓日協議に影響が生じるかもしれないため、外交当局と協議すべきだという主張と解釈せざるを得ない」と指摘した。
 一方、関係者によると、徐氏は7日の面談で、元徴用工問題解決に向けた取り組みについて「日本に被害者の立場を強く伝えている」と説明。原告側は「どんな案であろうと、中心には被害者がいるべきだ」と主張したという。(2022/12/08-20:32)

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