「中国との紛争、未然に防ぐ」 G7で日本の指導力に期待―蕭・駐米台湾代表インタビュー

2023.02.03
0
by 時事通信


インタビューに答える台湾の蕭美琴駐米代表=1月30日、ワシントン

インタビューに答える台湾の蕭美琴駐米代表=1月30日、ワシントン

 【ワシントン時事】台湾の台北駐米経済文化代表処代表(大使に相当)の蕭美琴氏(51)はワシントン市内で時事通信のインタビューに応じた。ロシアのウクライナ侵攻から1年となるのを踏まえて、「中国は力で現状を変更しようとしている。台湾はこの脅威を抑止し、紛争を未然に防ぐ能力を保持していく」と強調した。
 米議会では、ウクライナ戦争が中国による台湾侵攻への「リスクを高めた」(米中経済安保調査委)との見方がある。蕭氏は「ウクライナの悲劇は、権威主義的な政権が用いる軍事力の脅威が非常に深刻な課題だという警鐘になった」と指摘。兵役期間の延長など台湾の防衛力強化とともに「世界が一段と関与し合う」ことで将来の台湾海峡危機を含む世界的な悲劇を防ぎたいと訴えた。
 また、日本が安全保障関連3文書を改定し、(敵基地攻撃能力)の保有を決めた点については「私たちは地域の平和と安定の維持に同じように関心を寄せている」と歓迎。さらに5月に広島市で開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)で、「『インド太平洋』の繁栄・平和の共有を目標とする議論の中で日本の指導的な役割に期待する」と述べた。
 米台両政府は現在、貿易の枠組み交渉を行っている。蕭氏は「中国は台湾を孤立化・周縁化させようとしている」と非難し、米台間の経済・貿易関係の強化のみならず、環太平洋連携協定(TPP)など地域の貿易や経済の枠組みに台湾が参加していくことを目指していると語った。
 米メディアは、昨年8月のペロシ前下院議長に続いて、マッカーシー下院議長が訪台を計画していると伝えている。ペロシ氏訪台後に中台間で軍事的な緊張が高まったが、蕭氏は「今後も台湾への議員代表団を歓迎する。私たちは共に歩む友人を常にうれしく思う」と明言した。(2023/02/03-07:05)

print

人気のオススメ記事