被爆2世訴訟、原告の請求棄却 遺伝的影響「通説的でない」―広島地裁

2023.02.07
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by 時事通信


被爆2世訴訟の判決後、掲げられた「不当判決」などの紙=7日午後、広島市

被爆2世訴訟の判決後、掲げられた「不当判決」などの紙=7日午後、広島市

  • 被爆2世訴訟で広島地裁判決を受け、記者会見する原告の平野克博さん=7日午後、広島市

 広島の被爆者を親に持つ「被爆2世」が、被爆者援護法の対象外となっているのは違憲で違法などとして、被爆2世28人が国に1人10万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、広島地裁であり、森実将人裁判長(吉岡茂之裁判長代読)は、原告の請求を棄却した。
 原告側が主張していた原爆放射線被害の遺伝的影響について、森実裁判長は「可能性が明確に否定されてはいないが、通説的、有力な見解となっていない」と指摘。被爆者らと同等の措置を、被爆2世に行う立法的措置を講じないことは「不当な差別的取り扱いであるとは言えず、憲法14条に違反しない」と結論付けた。
 訴状などによると、原告は親が受けた原爆放射線被害について、遺伝的影響の可能性を否定できず、多くの人が健康面で不安を抱え、精神的苦痛を受けたと主張。被爆2世を被爆者援護法の対象としないのは、法の下の平等を定める憲法14条に違反するなどと主張していた。
 原告の平野克博さん(64)=広島県廿日市市=は判決後、「被爆2世一人ひとりの思いが受け止められなかったことは非常に残念」と語った。判決後の集会で、原告側は判決を不服として、控訴することを決めた。(2023/02/07-19:27)

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