戦術核弾頭か、写真初公開 正恩氏「核兵器生産に拍車」―北朝鮮

2023.03.29
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by 時事通信


核兵器事業を視察する金正恩朝鮮労働党総書記(中央)=27日(朝鮮通信)

核兵器事業を視察する金正恩朝鮮労働党総書記(中央)=27日(朝鮮通信)

  • 核兵器事業を視察する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(右)。正恩氏後方のパネルに戦術核弾頭「ファサン31」の文字がある=27日(朝鮮通信)

 【ソウル時事】北朝鮮の朝鮮中央通信は28日、戦術核弾頭「ファサン(火山)31」とみられる写真を初めて公開した。金正恩朝鮮労働党総書記が27日に核兵器事業を指導する様子を撮影した際の写真で、核弾頭の小型化に向けた開発が進んでいることを誇示する狙いとみられる。
 配信された写真では、10個ほどの核弾頭とみられるものが並んで置かれ、「ファサン31装着核弾頭」と書かれたパネルが壁に掛かっているのが確認できる。弾頭をさまざまなミサイルに装着したときのイメージと見て取れる図もある。韓国の金東葉・北韓大学院大教授は「多様なミサイルに装着可能な小型化、軽量化、規格化された核弾頭に見える」と分析する。
 同通信によると、正恩氏は27日、核戦力を質、量共に強化するための生産実態などについて核兵器研究所から報告を受けた。正恩氏は「いつでも、どこでも核兵器を使用することができるように完璧に準備してこそ、(抑止力が働き、北朝鮮が)永遠に核兵器を使用しないようになる」と主張。「兵器級核物質の生産を拡大し、威力ある核兵器の生産に拍車を掛けていかなければならない」と述べたという。
 韓国メディアは、北朝鮮が5、6回目の核実験前にも核弾頭を公開していたことから、7回目の核実験が近いのではないかとの観測を伝えている。韓国の鄭成長・世宗研究所統一戦略研究室長は「7回目も核兵器研究所が声明を出し、戦術核兵器に搭載できる小型化された核兵器実験で完全に成功したと発表する」と予想した。
 北朝鮮は13~23日の米韓合同軍事演習「フリーダムシールド(自由の盾)」に対抗する形でミサイルを相次ぎ発射。巡航ミサイルや「核無人水中攻撃艇」など、多様な攻撃手段も誇示した。28日には、米原子力空母「ニミッツ」を中核とする第11空母打撃群が韓国南部・釜山に入港しており、北朝鮮がさらに反発を強める可能性がある。(2023/03/29-07:04)

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