公認会計士・アルファブロガー 磯崎哲也氏

話題の企業や経済現象を一次情報から分析 有報や10-Kを読み解く着眼点が分かります

磯崎哲也氏
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月間100万ページビューを超えるアクセスをいただいているブログ「isologue」を書いている磯崎哲也が、2009年4月より、メールマガジン「週刊isologue(イソログ)」を始めることになりました。

ブログとは若干趣向を変え、財務データや統計データ等を用いて、「話題になっている企業や経済現象をデータで斬る」というテーマで、よりビジネスに直結した情報をお届けしたいと思います。

情報化時代で、有価証券報告書や各種政府統計など、昔では考えられないほどの大量のデータがネット上に無料であふれていますが、そうしたデータを直接見て活用している人は驚くほど少ないのが現状です。

そうしたせっかくの情報が埋もれることで発生している「情報の非対称性」が少しでも解消され、市場経済や社会がうまく機能することに、このメルマガがわずかながらでもお役に立てればなあ、と考えております。

企業のファンダメンタルズについてのホットな事例を学ぶことで、楽しみながら投資の基礎力を身につけたい方、経営に強くなりたい方、企画や新規事業を担当していて他社動向を分析する力をつけたい方などに、テレビや新聞・雑誌では深堀しない視点からビジネスの本質を見抜く力を身につけていただければと思います。

発行者プロフィール
磯崎哲也(公認会計士・アルファブロガー)
ビジネスの分析では定評がある、月間100万ページビュー以上のブログ「isologue」を書くアルファブロガー。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、長銀総合研究所、ネットイヤーグループ株式会社CFO等を経て、2001年より磯崎哲也事務所代表。現在、カブドットコム証券株式会社社外取締役、株式会社ミクシィ社外監査役、中央大学法科大学院講師等をつとめる公認会計士、税理士、システム監査技術者、公認金融監査人(CFSA)。
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月間100万ページビューを超えるブログ「isologue(イソログ)」を書いている公認会計士でアルファブロガーの磯崎哲也が、話題になっている企業や経済現象を数字で斬ります。財務データや統計データを用いて投資の基礎力を楽しみながら身につけたい方、経営の基礎となる数字に強くなりたい方、企画や新規事業を担当していて同業他社の動向を分析する力をつけたい方などに、ビジネスの本質を見抜く力を身につけていただけます。

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■AIGの高額ボーナスは「とんでもない」ものなのか?

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本号の図表付きウェブページは、
http://tez.com/mag/archives/200903221733.html
で見ることができます。

本メールマガジンの登録申込みがまだの方は、
http://tinyurl.com/dfujub
から登録が行えます。

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このメルマガ「週刊isologue」では、今まで書いてきたブログ「isologue」

http://tez.com/blog/index.html

とは若干趣向を変え、財務データや統計データ等を用いて、「話題になってい
る企業や経済現象をデータで斬る」というテーマで、よりビジネスに直結する
情報をお届けしていきたいと思います。

図の入った(html)メールを見られる人の割合はまだ非常に低いようで、仕方
が無いので、(メールで送る)メルマガは文字だけのテキストメールにしまし
た。

しかし、数字などのややこしい話は、表やグラフでビジュアルにお見せした方
が格段に理解がしやすいかと思いますので、図表も入ったウェブページを作成
し、上記のようにメルマガの冒頭にURLを掲示します。
Webにもアクセスできる方は、そのURLをクリックしてウェブを見ていただいた
ほうが見やすいかと思います。

配信をお願いする「まぐまぐプレミアム」のシステムでは、今のところまだ携
帯のアドレスに直接送ることはしてないようですが、iPhoneその他の携帯に
メールを転送されている方も増えて来ているでしょうから、携帯の画面でもな
んとか見ていただけるように、図の大きさ等は工夫する予定です。たまに、ど
うしてもそれでは見にくい図表については、より大きいサイズにするかも知れ
ませんが、ご容赦ください。

本号では、冒頭に掲載しましたとおり、

http://tez.com/mag/archives/200903221733.html

に図表入りの内容を掲載してますので、ウェブが見られる方はそちらでもご覧
いただけます。

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さて、情報化時代で、有価証券報告書や各種政府統計など、昔では考えられな
いほどの大量のデータがネット上に無料であふれていますが、そうしたデータ
を直接見て活用している人は驚くほど少ないのが現状です。

例えば、今、公的資金を受け入れながら役職員に高額のボーナスを支払ってア
メリカ国民から袋だたきにあっている「AIG」にしても、会社自身が直接、も
のすごい量の情報を発信しています。

今回AIGを取り上げるのは、もちろん、米国発の世界金融危機の大きなパート
を占める企業だからというのが一つですが、もう一つには、そういった重要な
話が、アメリカの国民はもちろんテレビや新聞なども、AIGの開示情報をつぶ
さに読んだ上で報道しているかというと、どうもそうは思えない、ということ
があります。

もちろん、せっぱつまった企業は「ウソ」を言う可能性はあります。しかし、
こうした各国の開示資料は、事実と違うことを書いた場合に法律によって非常
に重い罰を受けることになってます。(例えば、日本の金融商品取引法では、
懲役10年もしくは1000万円以下の罰金という最高クラスのペナルティが課せら
れます。[金商法第197条1項1号])

このため、こうした法定の開示資料は、(100%信用できるとは言わないまで
も)、巷にあふれる情報の中では、それなりに信用度の高い情報だと考えられ
るわけです。

こうした情報を企業が高いコストをかけて作成して開示しているのに、それを
ほとんどの人が活用していないというのは大変もったいない。

また、我々が住む市場経済的な社会は、まさに「情報」が正しく伝わって活用
されることで初めてうまく成り立つものです。

そうしたせっかくの情報が埋もれている現状(もうちょっと学問っぽく言う
と、情報があるにも関わらず「情報の非対称性」が発生している現状)を少し
でも解消し、市場経済や社会がうまく機能することに、このメルマガがわずか
ながらでもお役に立てれば幸いです。

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■開示情報を入手するには

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さて。では、そうした情報はネット上のどこで入手できるのでしょうか?

例えば、アメリカでは、上場企業が企業情報を開示している米国の証券取引委
員会(SEC)のデータベース「EDGAR」

http://www.sec.gov/edgar/searchedgar/companysearch.html

で、AIGが発信する大量のデータを見ることができます。


200903252245.jpg

○図表1:EDGARの検索画面

中でも、一番情報がまとまっていて面白いのは、年次報告書(annual report)
「10-K」でしょう。

2009年3月2日に出たばっかりのAIG社の2008年度の10-K

http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/5272/000095012309003734/
y74794e10vk.htm

は、金融危機のまっただ中で説明するべき事項も大幅に増加しているので、も
のすごい量になってまして、A4に印刷して345ページ(片面印刷で厚さ3cm)に
もなります。

前回2007年度の10-Kが231ページでしたから、ちょうど1.5倍もの厚さになって
ます。

ちなみに、当然ですが、この10-Kは英語で書かれていますけど、AIGの場合、
実は、日本の東京証券取引所にも上場してまして、日本の法定開示資料「有価
証券報告書」を日本語で読むことができます。

日本の上場企業の有価証券報告書などの開示資料は、こちら

http://info.edinet-fsa.go.jp/

から利用することができます。

ただし、一昨年2007年度のAIGの英語版(10-K)は231ページなのに対し、日本
の有価証券報告書は(字の大きさ余白の取り方等もありますが)なんと622
ページにもなります。(ちなみに、日本を代表する企業であるトヨタ自動車の
2008年3月期の有価証券報告書の厚さは、(たった)168ページ。)

それより何より、AIGの英語版10-Kが開示されたのが昨年の2月28日なのに対
し、日本語の有価証券報告書が開示されたのは、なんと昨年6月23日になって
から。いくら日本語で開示されても、決算期から半年遅れ(英語版から4ヶ月
遅れ)の情報では、残念ながら情報の鮮度は著しく落ちてしまってます。

もともと有価証券報告書を見て投資をする人自体、残念ながらほとんどいない
と思いますが、そんな半年遅れの情報を見ている人はさらに少ないと思われま
す。日本の証券取引所に重複上場する外国の企業がどんどん減って行っている
といわれますが、高いコストをかけて重複上場して翻訳した資料を用意して
も、投資の環境が整っておらず取引がほとんど発生しないのでは、そもそも上
場している意味がないし、逃げられるのも当然かも知れませんね。

有価証券報告書のデータは、日本企業のビジネスを見る場合には非常に貴重な
データがたくさん詰まっているので、今後の回では大活躍する予定ですが、と
りあえず、今回のAIGの分析には、英語版の10-Kを見て行きたいと思います。

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■AIGの財務の概要

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では、まず、AIGがどんな会社なのか、財務データをもとに概要を見てみま
しょう。(ファイルサイズが大きいのでご注意。)

http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/5272/000095012309003734/
y74794e10vk.htm#301


200903252244.jpg

○図表2:AIGの貸借対照表(出所:10-Kより作成)

(図の高さはAIGの総資産額を表しており、約80兆円になります。それぞれの
項目は、それぞれの項目の金額の額に比例した高さになっています。)

上記のとおり、(意外というか)、運用のかなりの部分は「債券」(Fixed 
maturity securities)で運用されてます。

この「債券」の中身が安全なものかどうかということもさることながら、自己
資本(資本金等)の小ささを見ていただくとわかるとおり、他の資産のほんの
少しの価値がぶっ飛ぶだけで、自己資本があっという間に飛んでしまうわけで
すから、中身をもっと詳細に見る必要があります。

資産の中身の詳細な分析は、また機会があったら行ってみたいと思います。

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■リスクファクター(Risk Factors)を読む

----------------------

次に、今回の本題ですが、10-Kの「Risk Factors」

http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/5272/000095012309003734/
y74794e10vk.htm#103

を見てみましょう。(ファイルサイズが大きいのでご注意。)

アメリカの開示資料は、前述のとおり、法律で義務づけられているからやると
いうだけでなく、株主等から訴訟されて高額の賠償金を支払わされる可能性が
ありますので、特に「リスク」については、非常に事細かに開示されているの
が特徴です。

このリスクファクターの「従業員(Employees)」の項は、

    Because of the decline in the value of equity awards previously 
    granted to employees and the uncertainty surrounding AIG’s asset
    disposition program, AIG may be unable to retain key employees, in
    cluding individuals critical to the execution of its disposition
    plan.

といった文言から始まっており、「主要な従業員(key employees)に会社に
残ってもらえない場合には、AIGもどうなるかわかりませんよ」、「これ幸い
とライバル会社が引き抜いちゃうかも知れませんよ」といった趣旨のことが繰
り返し書かれています。

そして、

    The limitations on incentive compensation contained in the 
    American Recovery and Reinvestment Act of 2009 may adversely 
    affect AIG’s ability to retain its highest performing employees.

と、2月17日に成立した「 the American Recovery and Reinvestment Act of 
2009 」法の影響で、AIGの最も業績のいい従業員を引き止めることができなく
なっちゃうかも知れないというリスクについても述べられています。

まさに懸念は現実化してしまったわけですね。

こうしたリスクは、万が一書いておかないでそれが実現してしまった場合、訴
訟される可能性がありますから、ありとあらゆる懸念を並べ立てておくものな
のでで、ここに書いてあるからそれが必ず現実化するというわけでもないです
し、予言が的中した、というわけでもないかも知れません。

しかし、

    Historically, AIG has embraced a pay-for-performance philosophy.

と、伝統的にAIGでは「成果にカネを払う(pay-for-performance)」企業哲学
が採用されて来たと書かれています。

これは、「ボーナスを削ったりしたら大変なことになりますよ」という、事前
の言い訳とも取れますが、素直に読んで、本当にそうした強い成果主義的な企
業風土が形成されていたとすると、「カネを払ってくれなければ辞める」とい
う人がかなり出て来るかも知れません。

日本のバブル崩壊後も、金融機関が公的資金を受け入れて、金融機関の従業員
の人たちはずいぶんと給与が抑えられましたし、優秀な人がどんどん転職し
ちゃうという現象も見受けられました。しかし、アメリカは日本と比べ物にな
らないほど労働市場の流動性がありますから(つまり転職する度合いが高いで
すから)、日本とは比べ物にならないほど、この影響は大きいかも知れないで
すね。

ニュースでは、議会で袋だたきに合うリディ(Liddy)最高経営責任者(CEO)
が、「会社の資産を守るためにボーナスを支払った」と言ってます。ボーナス
の額は200億円くらいと報道されてますので、ものすごい額のように思えます。

テレビのニュースを見たみなさんの多くは、「何考えてんだ!」とお怒りに
なったことでしょう。

しかし、もう一度、財務データ

http://www.sec.gov/Archives/edgar/data/5272/000095012309003734/
y74794e10vk.htm#301

を見てください。(ファイルサイズが大きいのでご注意。)

AIGはトータルで毎年1000億ドル(10兆円)もの費用を使う会社です。

その中のたった200億円のボーナス(10兆円の費用のわずか0.2%)をケチるだ
けで、80兆円(ボーナス200億円の4000倍)もの資産が危機にさらされるとし
たら、企業トップとしてボーナスを素直に払うというのは、非常に合理的な行
動とも言えるということがお分かりいただけるかと思います。

逆に、最初からボーナスを支払わないと決めて、従業員にボロボロ辞められて
会社がますます傾いてしまった日には、不注意によって大きな損失を招いたと
いうことで、経営陣に対する高額の訴訟が待ち構えているかも知れません。

しかし、日本の国民だろうがアメリカの国民だろうが、公的資金(税金)を受
け入れた金融機関の従業員が、自分の生涯賃金に相当する何億円ものボーナス
をもらうというのは、理屈でなく、許せないものなんでしょうね。

10兆円もの費用のうち、コンピュータ・システムに200億円の費用をかけて合
理化するという話であれば冷静に考えられるでしょうに、このコストが「人
間」に支払うボーナスだということになると、まったく合理的な思考ができな
くなっちゃうんですね。

もう一つは、世界中のほとんどの人はこの「10-K」を読んでいるなんてことは
なく、こうしたAIG社の財務構造の金額的規模について、まったくイメージが
わいていないということも、大きく影響しているかと思います。

(創刊号に続く。)


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