海外ミステリ通信

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特集や、ミステリ邦訳新刊・未訳原書のレビュー、ミステリ雑学、翻訳家のインタビューなど、ボリュームたっぷり! 毎月15日配信。  発行:フーダニット翻訳倶楽部

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メルマガ名
海外ミステリ通信
発行周期
隔月刊
最終発行日
2019年03月15日
 
発行部数
971部
メルマガID
0000075213
形式
PC・携帯向け/テキスト形式
カテゴリ
アート・文芸 > 文芸 > エッセイ

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              月刊 海外ミステリ通信
          第132号 2019年3月号(隔月15日配信)
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★今月号の内容★

〈特集〉           「ミステリアス・プレス文庫」を読む
〈注目の邦訳新刊レビュー〉  『村で噂のミス・シートン』
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■特集 ―― 「ミステリアス・プレス文庫」を読む
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 30年前、1989年1月に早川書房の新レーベルとして登場した「ミステリアス・プレ
ス文庫」。第1作として上梓された『古い骨』を読んだときは、おもしろさに興奮し
た。それからは毎月紹介される新作を心待ちにして、書店に通ったものだ。その後、
レーベルは休止になったが、「ミステリアス・プレス文庫」のいくつかの作品は今で
もミステリファンの記憶に残っている。
 今月は、そんな懐かしい作品をいくつかご紹介する。
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『手ごわいカモ』 "THE MORTAL NUTS"
 ピート・ハウトマン/伏見威蕃訳
 ミステリアス・プレス文庫/1998.08.20発行 800円(税別)
 ISBN: 9784151001277

《歳老いてこそやるべきことはやる男の物語》

 ピート・ハウトマンのこの作品、出版されてすぐに読んでから20余年、久しぶりに
再読して、楽しく読み終えた。73歳になるアクセル・スピーターは、プロポーカーの
世界から引退してはや25年。ミネソタの州都セントポールで年に一度開催されるステ
ート・フェアに、毎年タコスショップを出店している。野外ライブや遊園地にあるよ
うな乗り物、フリーク・ショーなどの見世物小屋やミニ動物園など、今でも夏の終わ
りの12日間で、来場者およそ200万人を集める全米屈指のフェアだ。
 モーテルでの一人暮らしで、店を任せているソフィーとは同居こそしてはいないが
内縁の仲といってよく、看護学校へ通っているソフィーの娘、カーメンともども、ア
クセルの頭の中では家族と同様の関係だ。そんな3人のフェア期間中の人間関係の機
微を、時に真面目に、時にユーモラスに描いていくハウトマンの筆力がすばらしい。
クライムミステリなので殺人事件は起こるのだが、謎解きなどはまったくない。
 ハウトマンによればこの作品、小説を書きたいと思って一番初めに書き上げたもの
の、なんども改稿を繰り返しては完成に至らず、その間、2作品を上梓。その後3作
目としてようやく出版できたとのこと。
 ハウトマンが20代終わりのころ、フェアでパイナップルを切る仕事をしていた経験
から生まれたこの作品、カーメンとつき合い始めた刑務所から出たばかりの彼氏が、
アクセルが25年かけてためた26万ドルをつけ狙うというメインプロットに、個性的な
キャラクターがからまりあってストーリーが組み立てられていく。
 特にソフィーとアクセルの関係の描き方はとても気に入っている。アクセルのソフ
ィーに対する感情を、ハウトマンは次のように表現している。

《支配、優しさ、服従といった感情とは無縁だ。心の中では、ふたりは離れたままだ
った。ソフィーは絶対にアクセルには媚びないし、彼を喜ばせようというそぶりを見
せたこともない》

 そうでありながら、物語のおしまいあたりでアクセルが結構な怪我を負って、病院
の処置室から車椅子に乗せられて出てきたときの描写。

《ソフィーがそれを見て顔をくしゃくしゃにした。ソフィーはアクセルを見つめ、取
り乱して赤ん坊のように泣き叫んだ。そんなソフィーを見るのははじめてだった》

 作品中でソフィーは、店の運営に関してしょっちゅうアクセルに不満をぶつけてい
るが、それはもっとこうすれば売り上げが増えると思えばこそ。一方、アクセルにも
できることとできないことがあり、営業中の2人の仲は険悪といっていい。アクセル
はもともと細かいことにはこだわらないざっくりとした性格だが、大事なこととそう
でないことはきちんと分けて対応している。大切なのは、店の売り上げとカーメンと
仲間、そしてソフィーの順番。だからソフィーは不機嫌なのだ。ごくごく普通の大人
の男女関係なんだけど、ハウトマンの手にかかるとぐっと惹きつけられてしまうから
不思議。
 文庫版の著者紹介には、人物造形はエルモア・レナード、ユーモアのセンスはカー
ル・ハイアセンとあるが、レナードほど映画っぽくなく、ハイアセンほどまでは奇天
烈でない、といったところ。主要登場人物が重複するシリーズ作品があと3作あり、
翻訳出版されたのは本作のみなのだが、4年前、早川書房がミステリアス・プレス社
と提携し、Kindle版 を配信している。本シリーズ4作品はもちろん、既訳のミステリ
アス・プレス文庫作品や、オットー・ペンズラーがチョイスした良質なミステリ作品
あわせて500タイトルを読むことができる。
                               (板村 英樹)
◇アマゾン・ジャパンへ
『手ごわいカモ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4151001271/whodunithonny-22/ref=nosim
"THE MORTAL NUTS"
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00V82I704/whodunithonny-22/ref=nosim
◆ピート・ハウトマン公式サイト
http://www.petehautman.com/
◆ミネソタ・ステート・フェア2018 公式マップ
https://www.mnstatefair.org/general-info/maps/
◆ミネソタ・ステート・フェア2018の紹介動画
https://youtu.be/rZRZHVVkDrc
◆早川書房〈ミステリアスプレス・ドット・コム・ブックス〉の配信タイトル
http://www.hayakawa-online.co.jp/ebooksmp/
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『ハネムーンの殺人』 "HONEYMOON WITH MURDER"
 キャロリン・G・ハート/山本俊子訳
 ミステリアス・プレス文庫/1992.05.31発行 583円(税別)
ISBN: 9784151000508

《結婚式当日に殺人事件が発生し、親友が姿を消す。アニーは捜査に乗りだすが……》

 ミステリ専門書店〈デス・オン・ディマンド〉を経営するアニーは、念願かなって
ようやく、マックスと結婚式を挙げることができた。式は滞りなく終わり、披露宴も
華やかだった。ところが、一連の行事を終えて家に帰ったところで、電話が執拗に鳴
りつづける。不安を感じたアニーが受話器を取ると、それは花嫁介添人も務めてくれ
た親友のイングリッドからだった。彼女はうわずった声で「すぐに来てほしい」と言
うなり、電話を切ってしまう。
 アニーはマックスとともに、ナイチンゲール・コーツにあるイングリッドの家へ駆
けつけた。しかしそこで目にしたのは、胸にナイフがつき刺さったまま息絶えている
ジェシだった。彼はイングリッドの隣人だ。その彼がどうして、イングリッドの家で
死んでいるのか? しかもイングリッド本人は、家じゅうを探しても、どこにもいな
い。すぐに警察や野次馬が集まってきた。住人たちはさっそく、イングリッドの捜索
隊を結成する。もちろん、アニーも加わった。翌日からハネムーンに出かけることに
なっていたが、それどころではない。捜索隊のなかには、イングリッドがジェシを殺
して姿を消した、と思っている住人たちもいたからだ。しかしアニーは、彼女も事件
に巻きこまれたと確信していた。そこでジェシの死について調べはじめるが、やがて、
住人たちそれぞれの秘密を知っていくことになる。
 本シリーズの舞台は、サウス・カロライナ州のブラウアーズ・ロックという島。さ
わやかに吹く潮風、牡蠣殻の敷きつめられた歩道、本土へ渡るためのフェリーなど、
たいへん魅力的なところだ。ただし、残念ながらそこは架空の島だ。とはいえ、魅力
的な描写に想像力はおおいに掻きたてられる。また、作中に登場するミステリ作品や
アニーのマニアックな蘊蓄は、それだけでも読んでいて愉しい。しかしなにより、ア
ニーというキャラクターがすばらしい。町の住人ひとりひとりを注意深く観察し、本
来の姿を見極める。そうして警察よりもさきに、犯人にたどり着くのだ。その観察眼
のするどさは、ミス・マープルにも匹敵する。
 本書は、『舞台裏の殺人』ではじめて邦訳が刊行された〈デス・オン・ディマンド〉
シリーズの2作め(ただし、原作では4作めに当たる)。前作の『舞台裏の殺人』に
つづき、2年連続でアンソニー賞最優秀ペイパーバック賞を受賞している。シリーズ
については、本メールマガジン2009年11月号でも紹介している。そちらも合わせて、
お読みいただきたい。
                                (吉野山早苗)
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☆海外ミステリ通信2009年11月号
https://archives.mag2.com/0000075213/20091115030000001.html
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『マザーレス・ブルックリン』 "MOTHERLESS BROOKLYN"
 ジョナサン・レセム/佐々田雅子訳
 ミステリアス・プレス文庫/2000.09.30発行 940円(税別)
 ISBN: 9784151001529

《人生は愛と切なさと謎に満ちている。米国で今年11月公開予定の映画の原作》

 本作は、主人公ライオネル・エスログの一人称〈自分〉でつづられる。彼に言わせ
ると、「自分はセントヴィンセント少年の家の図書室で育った」。孤児のライオネル
はニューヨークのブルックリンの孤児院で本ばかり読んでいたのである。トゥレット
症候群を患うライオネルは、孤児院でも学校でも、訳の分からない言葉を突然話し出
したり、他人の体を触りまくったりする変人と思われている。自分でも病気を患って
いるとは知らず、適切な治療も施されていなかった。
 そんなある日、突然、ミナ・フランクが孤児院に現れ、ライオネルも含めて4人の
少年に、学校の合間に運送の仕事を手伝わせる。のちに4人はハイスクールを中退し、
ミナの下で仕事を始める。その頃ミナは、表向きは配車サービス会社の看板を掲げな
がら、探偵の仕事をしていた。ライオネルたち4人は、探偵免許がないにもかかわら
ず、ミナ・エージェンシーの一員として、張り込みや尾行、盗聴などをして働くよう
になる。ミナに会ってから15年経った1986年のある夜、ミナが入っていった建物の外
で、ライオネルはミナから頼まれて見張りをしていた。ところが、ミナは殺されてし
まう。ライオネルは犯人捜しを始めるが、事件の真相を知っていたのも、真犯人も、
それぞれ意外な人物だった。
 自分がトゥレット症候群とは知らない高校生ライオネルに、ミナはその病気につい
て書かれている本を渡す。10行ほどの描写だが、通常の手渡しとは違う方法から、ミ
ナの温かさや照れがはっきりと伝わってくる。あるクリスマスには、ミナは料理上手
な母の家に、ライオネルたち〈おふくろのいないブルックリン〉を連れてきて、ご馳
走をお腹いっぱい食べさせる。ほかにも、ミナはそんな性格だから、のちに、あんな
犯人に、あんなふうに殺されてしまうのだろう、と切なくなる場面がいくつもある。
 本作では脈絡がないと思われる言葉を病のために続々と発するライオネルの口調も
読みどころとなっている。ただ、英語そのままでは日本語の読者に伝わらないところ
について、訳者が考え出したオリジナルの日本語の流れが実に見事である。そして、
〈自分〉が主語となっている箇所が多いにもかかわらず、とても読みやすいのは、原
作の力と、翻訳の工夫によるものと思われる。
 本作は、俳優で監督でもあるエドワード・ノートンが監督、脚本、主演を担当して
映画化された。米国では今年11月に公開予定である。1999年に米国で原作が刊行され
てすぐにノートンが映画化すると報じられたが、クランクインしたのは2018年だった。
ノートンがライオネルを、ブルース・ウィリスがミナを演じている。ウィリスが演じ
た探偵といえば、1980年代後半の人気テレビドラマシリーズで、NHKでも放送され
た『こちらブルームーン探偵社』の探偵デビッドを思い出す。約30年前、若くてハン
サムでおしゃれな探偵に扮したウィリスが、年齢を重ねた今、探偵ミナをどう演じて
いるのか、大いに楽しみだ。また、原作の1970~80年代の設定を1950年代に変えたた
めか、原作にないキャラクターとして名優ウィレム・デフォーが出演している。本書
の象徴的な題名『マザーレス・ブルックリン(おふくろのいないブルックリン)』は、
そのまま映画の題名になっている。ぜひ日本でも公開してほしい。
                               (杉山まどか)
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『図書館の死体』 "DO UNTO OTHERS"
 ジェフ・アボット/佐藤耕士訳
 ミステリアス・プレス文庫/1997.03.15発行 680円(税別)
 ISBN: 9784151001109

《小さな町の図書館長、殺人事件の犯人探しに奔走する》

 テキサス中部の小さな田舎町ミラボー。ある夜、その町の図書館で殺人事件が起こ
る。被害者はベータ・ハーチャーという女性で、翌朝、館長のジョーダン・ポティー
トと助手のキャンディス・タリーが出勤して、倉庫の中に横たわっていたその死体を
発見したのだった。ベータを殴ったらしい野球のバットが死体のそばに転がっていた。
そのバットは、前日に図書館の隣のソフトボール場に落ちていたのを見つけたジョー
ダンが預かっておこうと持ち帰ってきたものだった。また、ベータの死体のそばに落
ちていた紙にはジョーダンを含めた何人かの名前と聖書の引用箇所が書かれていた。
そして、後からわかったことだが、バットについていた指紋はジョーダンのものだけ
だった。図書館の鍵を持っている人間は限られていた。その上、ベータは前日、図書
館に置いてある本のことで怒鳴り込んできて、ジョーダンと言い争いをしていた。ま
るで、すべての証拠がジョーダンを犯人だと指しているようだった。そして、地方検
事補のビリー・レイは最初からジョーダンを犯人と決めつけていた。犯人にされてし
まったら大変だと思ったジョーダンは、名前が紙に書かれていた人たちに話を聞けば
何かわかるかもしれないと思い、それらの人々に話を聞きに行き始める……。
 ベータは以前は図書委員をしていたが、図書館の本に対して異常なほどの偏見を持
っていて、名作をクズ扱いして閲覧禁止にしようとしたため、委員を辞めさせられて
いた。若いころはきれいで奔放だったが、ある日を境に突然宗教に目覚めたというベ
ータは、その性格から町の人たちから良く思われていなかった。とはいえ、そんなこ
とのために殺人が行われたとは思えない。いったい、だれが、何の目的でベータを殺
したのか?
 ジョーダンは以前はボストンの出版会社で編集者として働いていた。母親がアルツ
ハイマーになったが、施設に預けたくないという気持ちから、運よく図書館で働ける
ことになったため、地元に残って暮らしていた姉と一緒に母の面倒を見ようと町に戻
ってきたのだった。姉は昼間に図書館で働くジョーダンと交代で母の面倒を見るため、
夜に食堂で働いている。都会の出版社で働いていたジョーダンにはお金があると思い、
そのお金で母を施設に入れたいと思う姉と、施設に入っていた祖父に関して過去に抱
いた辛い気持ちから母を施設に入れたくないと思ううえに、姉が思うほどお金を持っ
ているわけではないジョーダン。そんな二人のやり取りには、とても現実味を感じる。
目の覚めるような美人で独身のキャンディスは両親が大金持ちのため定職に就く必要
はないが、図書館でパートタイムで働いたり、さまざまなボランティア活動をしてい
て、町の人々から好かれている。そして、ジョーダンを未来の夫と望んでいるらしく、
やたらとジョーダンにまとわりついてくる。初めのうちはその気のなかったジョーダ
ンだったが、犯人探しに力を貸してもらっているうちに、少しずつ気持ちに変化が起
こってくる。また、ジョーダンにやたらと色仕掛けで迫ってくる看護婦のルースや、
ジョーダンの両親のことが大好きだったからと、ジョーダンに好意的に接してくれる
ところがなにやらあやしげなカー・ディーラーのボブ・ドンなど、脇役陣も個性豊か
なうえに、物語の随所にユーモアがあふれている。
 本書は4作目まで続くシリーズとなっているので、2作目以降に読めるミステリは
言うまでもなく、母のこと、そしてこの事件がきっかけでわかったジョーダンに関す
る秘密のこと、ジョーダンとキャンディスとの恋愛のことなど、その続きに興味を惹
かれる。
                                (石田浩子)
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 ■注目の邦訳新刊レビュー
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『村で噂のミス・シートン』 "PICTURE MISS SEETON"
 ヘロン・カーヴィック/山本やよい訳
 コージブックス/2019.02.07発行 907円(税別)
ISBN: 9784562060900

《殺人事件を目撃したミス・シートンは、事件捜査に協力して一躍、有名人に》

 ロンドンで美術教師をしているミス・シートンは、ある夜、女性が暴漢に襲われる
ところを目撃する。手にしていたこうもり傘でその暴漢を追い払ったものの、女性は
死んでいた。事件について事情聴取をしたときにミス・シートンが美術教師だと知っ
た警察は、犯人の似顔絵を描いてほしいと彼女に依頼する。
 翌日、ミス・シートンはケント州スウィートブライアーズという村にある、名付け
親の遺してくれたコテージに向かった。そこに滞在するのを、ずっと愉しみにしてい
たのだ。ところが村に着いてみると、彼女はすでに有名人だった。ロンドンでの活躍
が新聞に載ったせいだ。誰もが彼女の噂をしている。するとさっそく、村人のひとり
から相談を持ちかけられた。いったんは断るが、根が親切なミス・シートンは、知り
合ったロンドン警視庁の刑事に話をつける。それだけでなく、ほかの村人たちのこと
もあれこれ気遣った。
 そんななか、ミス・シートン自身が危険にさらされる出来事が起きる。道を歩いて
いるところに、車が猛スピードで近づいてきたのだ。このときもこうもり傘を手にし
ていた彼女は、それを振って合図した。それでも車は止まらない。どうにか、すんで
のところで避けたものの、勢いあまって池に落ちてしまう。それでも、こうもり傘の
おかげでなんとか水面から顔を出せた。しかし安堵したのも束の間、車から降りた人
物を見て、彼女はおおいに驚くことになる。
 第2次大戦後のイギリスを舞台に、つねに手にしているこうもり傘でピンチを切り
ぬけるミス・シートンの活躍を描く、シリーズの1作め。本書の原作がイギリスで刊
行されたのは1968年で、最新作の24作めはことしの2月に出たばかりという、息の長
いシリーズだ。とはいえ、本来の著者カーヴィックは5作を遺して1980年に亡くなっ
たため、以降はべつのふたりによって書き継がれている。2代めがハンプトン・チャ
ーチル、3代めがハミルトン・ケインで、どちらもイニシャルがカーヴィックとおな
じ、“H・C”になるようにと考えられたペンネームだという。作者の事情について
は、本書の訳者あとがきに詳しい。
 日本での紹介は今回がはじめてだが、カーヴィックの死後10年たってから再出版さ
れたことで、アメリカでふたたび注目された。キャロリン・G・ハートの〈デス・オ
ン・ディマンド〉シリーズの『ハネムーンの殺人』なかでも、主人公のアニーがミス
・シートンについて触れている箇所がある。ひとつの作品がべつの作品のなかに息づ
いていると知ることも、読書の愉しさのひとつ。機会があれば、どちらも読んでいた
だきたい。 
(吉野山早苗)
◇アマゾン・ジャパンへ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4562060905/whodunithonny-22/ref=nosim

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         ☆★メールマガジン「月刊児童文学翻訳」☆★
            http://www.yamaneko.org/mgzn/
翻訳家・出版社インタビュー、未訳書・邦訳書レビュー、海外の児童文学賞の最新情
報など、児童書と翻訳に関する記事が満載です!(やまねこ翻訳クラブ発行/無料)
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 翻訳ミステリー大賞シンジケート後援による翻訳ミステリーの読書会が、日本各地
で行われております。
 開催地、開催日等は下記(↓)でお確かめ下さい。
 http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/archive?word=%2A%5B%A1%DA%BF%EF%BB%FE%B9%B9%BF%B7%A1%DB%C6%C9%BD%F1%B2%F1%A5%CB%A5%E5%A1%BC%A5%B9%5D
=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=- PR -=

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■編集後記■
 今月の特集のためにミステリアス・プレス文庫を何冊か読み返したのですが、出版
された当時のことをいろいろ思い出して、懐かしさでいっぱいになりました。
                                   (清)
****************************************************************************
 海外ミステリ通信 第132号 2019年3月号
 発 行:フーダニット翻訳倶楽部
 発行人:うさぎ堂(フーダニット翻訳倶楽部 会長)
 編集人:清野 泉
 企 画:石田浩子、板村英樹、かげやまみほ、佐藤枝美子、杉山まどか、中島由美、
     矢野真弓、山田亜樹子、吉野山早苗
 協 力:出版翻訳ネットワーク 小野仙内
     西洋冒険譚翻訳倶楽部
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