会社にケンカを売った社員たち

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『まぐまぐ大賞2014』ビジネス・キャリア部門第3位!実際の判例から会社を訴えた社員の言い分に着目し、人事リスク発生の原因を探ります。感性豊かな企業の経営者・管理職・人事担当者必読のマガジンです。ノンフィクションなので、読み物としても楽しめます。

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メルマガ名
会社にケンカを売った社員たち
発行周期
隔週刊
最終発行日
2018年09月19日
 
発行部数
3,150部
メルマガID
0000116175
形式
PC・携帯向け/テキスト形式
カテゴリ
ビジネス・キャリア > 経営 > 法務・特許

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C┃O┃N┃T┃E┃N┃T┃S┃
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■ 今週の事件【特例有限会社甲社事件】
▽ <主な争点>
元代表取締役、元従業員による割増賃金、賞与・退職金、損害賠償等の請求など

1.事件の概要は?
2.前提事実および事件の経過は?
3.元社員Aらの主な言い分は?
4.判決の要旨は?

■ 編集後記



==========================================================================

■ 今週の事件

【特例有限会社甲社事件・高松地裁判決】(平成29年4月18日)

━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 1.  事件の概要は?
━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

本件は、Aらが甲社に対し、労働契約に基づき、(1)時間外労働等による平成25
年3月から12月までの割増賃金、(2)労働基準法114条に基づく付加金、(3)
25年の冬季賞与および(4)退職金を請求し、(5)いわゆるパワーハラスメント
によって精神的苦痛を受けたことを理由とする不法行為、債務不履行(安全配慮義
務違反)または会社法350条に基づく慰謝料および弁護士費用相当額の損害賠償等
を求めたもの。



━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 2.  前提事実および事件の経過は?
━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

<甲社、乙およびAら3名について>

★ 甲社は、インターネットを利用した小売業(ネットショップの運営)を主たる業
務として行う特例有限会社である。

★ 乙は、甲社設立時の代表取締役であり、平成17年1月に代表取締役を辞任した後
も25年10月まで取締役を務めていた者である。乙は当時、甲社の発行済み株式の85%
を有していた。

★ Aは、23年4月に甲社に雇用され、25年9月から代表取締役として登記され、
同年12月に同社を退職した者である。

★ Bは、25年3月に乙が全株式を保有する丙社の代表取締役に就任し、26年1月
に辞任した者である。

★ Cは、24年3月から26年1月まで甲社に雇用されていた者である。


--------------------------------------------------------------------------

<甲社の規定、Aらの給与の支給状況等について>

★ 甲社には就業規則がなく、賞与や退職金の支給について定めた規定も存在しない。


★ Aは25年3月から12月まで毎月、甲社から基本給13万円、残業手当1万5000円、
技能手当4万円、役職手当6万円の合計24万5000円が支給され、25年8月分までは
社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料)、所得税および家賃が
控除されていたが、同年9月分以降、雇用保険料は控除されていない。

★ Bは25年3月から12月まで毎月、丙社から基本給15万円が支給され、健康保険料、
厚生年金保険料および所得税が控除されていた。また、同期間に毎月、甲社から
基本給15万円が支給され、所得税が控除されていたが、社会保険料は控除されて
いない。

★ Cは25年3月から12月まで毎月、甲社から基本給13万円、残業手当3万8000円の
合計16万8000円が支給され、社会保険料および所得税が控除されていた。


--------------------------------------------------------------------------

<Aらが退職に至った経緯等について>

▼ 25年9月頃、Aと乙との関係が悪化し、乙は同年10月にAらとの間に信用がな
くなったなどとして甲社を解散する旨のメールを送信するとともに、同社の取締役
を辞任した。また、乙は同年12月、弁護士とともに甲社を訪れ、株主総会決議があ
ったとして、Aを代表取締役から解任することを宣言した。

▼ Aらは26年1月、弁護士を通じて、甲社に対し、Bが丙社の代表取締役および
取締役を辞任すること、Cが甲社を退職することなどを伝えた。

▼ Aらは27年3月、甲社に対し、時間外労働分の未払賃金および25年の冬季賞与
を請求する内容証明郵便を発送した。



━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 3.  元社員Aらの主な言い分は?
━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

1)A・Bと甲社との間には労働契約関係があった!

▼ Aは25年9月に代表取締役として登記された後も甲社の実質的な経営権を握っ
ていた乙の指揮命令の下、業務を遂行し、それ以前と支給された給与の額は変わら
ず、残業手当も支給されていたから、Aと甲社との間には労働契約関係があった。

▼ Bは甲社の実質的な経営権を握っていた乙の指揮命令の下、同社事務所へ出勤し、
甲社のための業務を遂行し、同社から給与を支給されていたから、Bと甲社との間
には労働契約関係があった。


--------------------------------------------------------------------------

2)Aらには賞与および退職金の請求権がある!

[時間外労働の有無]
▼ Aらは残業代等計算表のとおり時間外労働に従事した。甲社は労働時間の管理を
怠っていたのであり、また、同社事務所の入退室記録の開示を拒みAらの立証活動
を妨害しているのであるから、Aらの立証が不十分であったとしてもこれをAらに
不利に扱うべきではない。


[Aらの賞与および退職金請求権の有無]
▼ 甲社においては従業員であるAらに冬季賞与を与えることが慣行になっていた。
25年の冬季賞与も同社の慣行にしたがって支払われる予定があり、25年10月10日に
乙から甲社従業員らに送信されたメールに冬季賞与を支払う旨の記載があったこと
から、Aに150万円、Bに100万円、Cに100万円の冬季賞与を支払うことが決定さ
れた。また、乙のメールには退職金を支払う旨の記載があったことから、Aに100
万円、Bに50万円、Cに50万円の退職金を支払うことが決定された。


--------------------------------------------------------------------------

3)乙によるAらに対するパワハラにより甲社も責任を負う!

▼ Aらは過剰な業務負担、乙からの威圧的な言動等により、精神的損害を被った。
甲社は実質的な経営者である乙の威圧的な言動や過剰な業務負担を防止せず、労働
者の生命・健康等を危険から保護するように配慮すべき義務、適切な職場環境を整
える義務に違反したもので、不法行為責任、債務不履行責任または会社法350条
(代表者の行為についての損害賠償責任)に基づく責任を負う。



━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 4.  判決の要旨は?
━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

▼ Aは25年9月から甲社の代表取締役の地位にあり、乙が同年10月に取締役を辞
任し、12月には乙が弁護士を伴ってAを解任したなどの経緯をみれば、25年9月以
降、Aが乙の指揮命令を受けて業務に従事していたとは認められない。また、Bは
丙社の代表取締役であり、甲社との間で労働契約関係があったとは認められない。

▼ 甲社には就業規則がなく、賞与や退職金の支給について定めた規定も存在しない。
Aらに平成23~24年に寸志やボーナスが支給された事実は認められるが、その金額
は区々(まちまち)であり、支給条件や支給基準も明らかではなく、甲社に賞与の
支給義務を認めるほどの労使慣行があったと認めるに足りる証拠はない。

▼ Aらが主張するような過剰な業務負担、乙の威圧的言動を認めるに足りる証拠は
なく、不法行為ないし債務不履行に基づく損害賠償責任を負ういわれはない。会社
法350条に基づく責任も主張しているが、乙は当時甲社の代表者ではなかったから
主張自体失当である。

1)Aらの請求を棄却する。
2)訴訟費用はAらの負担とする。

※ 本件は、『労働経済判例速報』平成29年10月20日号(日本経済団体連合会
労政第二本部 編)を参考に編集しています。


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■ 編集後記

連日見ていて心臓に悪い稀勢の里劇場。まだ優勝争いをしているわけではないのに
これだけ注目されるのは異例のこと。2002年9月場所での貴乃花を思い出させるも
のがあります。まずは勝ち越しで大きな山を越えました。とにかく一つでも多く白
星を上積みして、千秋楽まで無事に相撲をとり切ってほしいものです。

次号では、起訴休職期間の満了を理由とする解雇について争われた事例を取り上げ
る予定です。なお、次回配信日は10月3日(水)となります。(Y)


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ことに重きを置いているためです。もちろん従業員側の主張の全てが真実というわ
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□ 編集担当者 荻野 泰男(社会保険労務士)

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