BOMB書店☆静かなる読書

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詩を物語化したような、ミステリアスで、ファンタジックな小説です。 「BOMB書店」という一風変わった本屋から、毎週、日曜日に、不思議な本が届くようなイメージで配信いたします。 第二回目は、8月25日から配信開始です♪ タイトル 「オレンジとアップルと9cm王国」☆ 第一回目の「HOUSE OF DRAGON」の前に作られた物語です。 オレンジとアップルという姿や思考が似ている二人が、 不思議な人物や動物たち、精霊、妖精たちと、関わりながら、 消えてしまったネコのキャロルを捜す旅のお話です。 一章ごとが短編小説のような味わい。「静かなる読書」にぴったりです☆

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メルマガ名
BOMB書店☆静かなる読書
発行周期
週刊
最終発行日
2019年02月10日
 
発行部数
19部
メルマガID
0001600010
形式
PC・携帯向け/テキスト形式
カテゴリ
アート・文芸 > 文芸 > 小説

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No.305
                                               
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
市川裕子の詩や物語を紹介する「BOMB書店☆静かなる読書」です。
■発行者プロフィール ⇒ http://ichikawayuko.com/


こんにちは☆ 発行者の市川裕子です。

毎週日曜日に、市川裕子の描く、

様々な作品をお届けするメルマガです☆

私は、詩を中心とした創作活動をしていますので、

小説は、「詩的なものを物語化している」と思っていただけたら、

分かりやすいかと思います。

現在は、「オレンジとアップルと9cm王国」をお届けしています☆

オレンジとアップルという二人が、

屋敷を取り囲む塀を作り、部屋の壁に絵を描いたことから、

白いネコのキャロルが行方不明になるという事件が起こります。

そして、何かの異変により太陽が出なくなり、

暗闇の中をいろんな人物たちが彷徨います。

支配していた者たちが囚われ、

囚われていた者たちが逃げ出すなど、

それぞれが、それぞれの目的で動き回り、

そして、いろいろな出会いを経験していきます。

さて、太陽は、どうやって戻るのか?

キャロルは、記憶を取り戻すことができるのか?

オレンジとアップルは再会することができるのか?

現在、第五部を開始し、最終話に向かっております。

どうぞ、お楽しみくださいませ☆


☆前回のラストシーン☆

「太陽が燃えている…」
「本当に、燃えています…」
「太陽が生まれるんでしょうか?」
「太陽が昇るんですか?」
「この太陽が?」

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【★】「オレンジとアップルと9cm王国」  第五部  
☆ 第六章  太陽の動きと導かれる者たち ☆ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

塀の中に、
魂が宿ったかのように生まれ出でた太陽の絵であった。

太陽は、外側から描かれているはずなのに、
まるで、内側から外側に浮き出てきたように見える。

塀の中に埋め込まれた種が芽を出し、
外に現れてきたかのように。

「太陽が?」
と、とんがり帽子に黒マントのヘレメントが唸るように呟く。

「太陽が、です」
と小柄なアンリが力強く頷く。

「絵が本物になったということですかね?」
と影の男ディンニォーフが首をひねりながら、
黒い顔をぐにょぐにょと動かす。
 
しかしながら、
塀に描かれた絵は、
太陽がそのまま埋め込まれたようにも見えた。

誰もが、間近で太陽を見たことがないはずなのに、
これが、太陽そのものだと見せられたような気がしてくる。

「絵であるにもかかわらず、太陽そのものに見えますな」
とディンニォーフが腕を組む。
 
様々な色が混じり合った太陽の絵は、
ドクンドクンと脈打つように動く。

「出てくるんでしょうか」
とヘレメントが恐怖の表情を浮かべる。

「でも、熱くありませんよ。燃えているのに、熱くない」
とアンリが、そおっと太陽の絵に手をかざす。

「本当だ。熱くない。動いているように見えるだけなんだろうか?」
とヘレメントも太陽におっかなびっくり手を伸ばし、引っ込める。

「確かに…光っているし、動いているが…目の錯覚なんでしょうかね?」
とディンニォーフが、そう言いながら、太陽の絵の中心部に触れた。

その瞬間、
ディンニォーフの手が、
その絵に引き込まれそうになったのである。

ディンニォーフは、慌てて絵から手を離す。

すると、次の瞬間、太陽の中心部から、
一筋の線が流れ始めたのである。

赤い血のような筋が。

まるで、ナイフで切り裂かれていくように。

塀を上下に分けるかように、
横にスーッと赤い線が左側に流れていく。

「太陽が切れた?」
とヘレメントが驚きの声を上げる。

「塀が切り裂かれていくんでしょうか?」
とディンニォーフが黒い顔を一層激しく動かす。
 
太陽の中心部から流れ出た赤い線は、
左へ左へと速度を上げて、一直線に流れていく。

それは、まるで、塀に地平線を描いているようにも見えた。

「誰かが線を? 太陽が? ああ、もしかしたら!」
 
突然、アンリが叫び、
その赤い線が流れていく方へ一気に走り出した。

「あ、お待ちなさい!」
とディンニォーフが呼び止めても、
アンリは振り向かなかった。

「どこへ行くんです?」
とヘレメントが声をかけても、
アンリは、
「赤い線が向かう方へ!」
と叫びながら走っていく。

「それが何なんです?」
とヘレメントが、アンリを追いかけながら聞く。

「導いているんですよ! 赤い線が!」
 
アンリは、高速で進んでいく赤い線の流れを追っていく。

「待ちなさい! 待ちなさい! オレンジ君がまだ来ていない!」
とディンニォーフが呼び止めながらも、
アンリとヘレメントの後を追っていく。
 
赤い線は、高速で走っていく。

その赤い線は、
あの時折シュッと空に立ち昇る赤い火のような光にも似ている。

速くて滑らかで、どこへ行くか分からず、
そして、美しいようで怖いような赤い光。

「赤い線は、本当に、地平線かもしれない。
地平線という線が本当にあるのなら、
暗闇に、赤い線が引かれて、
大地が露わになるのかもしれない。
自分たちに見える世界が現れるんだ。
…そうか。
それが、太陽か。
だとしたら…それは…
それは…
もしかしたら、太陽は、ずっと同じ位置にあって、
自分たちが、それを見失っていたということになるのかもしれない。
本当は、ずっと照らしていたんだ。
自分たちを。
なのに、自分たちが見えなくした。
見ようとしなかった? 
どうなんだろう? 
いつの間にか、見えなくなったのは、どうしてなんだろう?」
 
アンリは、走りながら考えた。

それは、自分の考えではなく、
どこか上の方から聞こえてくる声のようにも思えた。

「誰かが伝えているのだろうか?」
 
アンリは、
そのことをヘレメントとディンニォーフに聞いてみたかったが、
今は、ただ、導かれるままに、
赤い血のような線を追いかけることに集中した方がよいと感じた。

「あ。もしかしたら…」
とアンリは気付く。

「みんな、今、同じように、
上の方から聞こえてくる声を聞いているのかもしれない。
その上から聞こえてくる声が何なのか分からないけれども」
とアンリは頷きながら、走り続けた。

「導いている。導かれている。
何かを伝えているんだ。きっと。
自分たちに。何かを。
それが、何なのかは分からないけれど。
でも、太陽が全てのものに、何か伝えることがあるなら、
その全てのものの中に自分も含まれているはずだ。
みんなと同じように、自分だって、太陽の光を求めているんだから」

アンリは、
赤い線がどこまで続くのだろうかと思ったが、
続く限り見失うまいと懸命に走り続けた。

その後ろ姿を追うヘレメントは、
もう、アンリを引き止める声が出ないくらい息切れをしていた。

引き止めたところで、今更、後戻りすることはないだろう。

「もしかしたら、これが、アンリの地図なのかもしれないな…」
とヘレメントは思う。

「アンリは、自分でも把握できない何かに導かれているんだ。
もう一人の自分とそっくりな誰かとか、
お別れした自分の影とか、
真っ黒に変化した「巡り会う者と出会う」と書かれていた地図とか。
何か不思議なものに導かれている。
…もしかしたら、彼が、自分に正直だからかもしれない。
自分に正直な者は、正直に行動するから、
理由とか説明とか命令とかそういうもの以上に、
自分の本能に忠実なのかもしれないな。
だから、導かれている。
そうだ。
きっと、そうだ。
だから、彼は、何かに反応したり、確信を持ったりできるんだ。
…自分は…
自分は、正直ではないということは確信できる。
全く間抜けな確信だが、事実だから仕方がない。
自分のことなんて、この黒いマントと同じだ。
隠したくっても、たかがマントで隠れているだけだ。
しかも、本当の自分なんてないくせに。
自分に影がないのは、仕方ないことなんだ。
最初から影なんてなかったんだ。
きっとそうだ。
それなのに、影をなくした気分になっていただけだ。
自分には影なんてなかった。
最初からなかった。
自分は何者でもなかった。
でも、この暗闇の中だったら、
自分が何者でもいいような気がしたんだ。
そして、自分の影になりそうなものを捕まえたら、
自分は、自分以上の何者かになれると思ったんだ。
きっとそうだ。
今なら、確信が持てる。
馬鹿な確信だ。
自分が何をやっているのか分かっていなかったのに、
今更、その馬鹿さ加減が分かったんだ。
みんなが、自分の影を探し始めて、
自分もその気になっただけだ。
同じように苦悩し、探してみたかったんだ。
本当は、何の目的もなかったのに。
…それを見透かされた。
城の主と思われる何者かに。
絵を百枚集めて、自分の影と交換だなんて。
夢を見ていたんだろうか。
いや、夢じゃない。
偽物金貨だって、受け取っているし。
自分は、騙されたんだ。
そして、大した信念もなく、影を探し、絵を探した。
自分の目的が欲しかったがために。
そうして、更に…それを見透かされたんだ。
あの泥人間に。
だから、一番大切な、オレンジ君の絵を盗まれた。
でも、それだって、盗まれたあとに分かったんだ。
あの絵が大切なものであるってことを。
ああ。本当に間抜けだな。
やっぱり、マントなんかで隠そうとしたって、
何もないってことは誰にだって分かってしまうよ。
…じゃあ、どうしたらいいんだろう? 
自分は、どうしたらいいんだろうか? 
こうやって、走って、アンリの後を追って…
ただ、追って…
でも、これって、太陽を追っていることになるのだろうか? 
…ああ、でも、そうか。
今は、それしか選択肢がないんだ。
しかも、自分は、それを希望している。
赤い線を追って、アンリを追っていくことを選択している。
そうか。それでいい。
こうやって、正直な本能で動くアンリの後を追うことで、
自分も何かが見えるかもしれないし…」
 
ヘレメントは、アンリの走る背中を見ながら、頷いた。

自分でも分からない答えのようなものだった。

説明のつかない理由とか答えが自分の中に落ちてきたのだった。

「これが、上からの声? 
違うな。
自分の中から、違う自分が生まれて、
理由を説明してくれているような感じだ。
…あ。
太陽もそうなのかな? 
太陽も、自分の内なる理解を求めた?
もしかしたら、
それを解明したのかもしれない…」
 
ヘレメントは、
塀に一直線に横に流れている血のような赤い線を走りながら眺める。

「光のようにも見える。
光が、目に見える形で現れているんだ。
一瞬で走り抜ける光を自分たちに見せているんだ…」
 
ヘレメントは頷く。

赤い線は、
アンリが走っている先まで高速で進んでいる。

「一体、この塀は、どこまで続いているんだろう。
いや、違う。
この塀は、ぐるりと一周、回って、
丸く繋がっているはずだ。
だとしたら、自分たちは、走っていき、
最終的に、元の場所に戻るということになる。
さっきの太陽の絵のところに…」
 
ヘレメントは、そこまで考えると、ちらりと後ろを見た。

背後に、ディンニォーフの気配がする。

ディンニォーフが、同じように赤い線を、
アンリを追いかけている。

だが、ディンニォーフの様子が少しおかしい。

ディンニォーフが塀にぶつかっているように見えるのだ。

「大丈夫かい?」
と声を出そうとしたが、
ヘレメントは疲れすぎて、声が出なかった。

ディンニォーフは必死で、アンリとヘレメントを追いかけている。

ディンニォーフもヘレメントに声をかけたかったが、
何を言っていいのか分からなかった。

自分がどういう状況であるのかを
うまく説明できなかったのだ。

ディンニォーフは、
塀に引っ張られていた。

まるで、塀が磁石のように、
ディンニォーフの体を引き寄せるのだ。

その度に、ディンニォーフは、
塀にぶつかり、
その度に、ディンニォーフは、
塀から離れようとしてもがいた。

「まだ、だめだ」
とディンニォーフは呟く。

「もう少し、待ってほしい」
とディンニォーフは呟く。

「太陽が昇ったら、影は影の位置につく。
だが、今はダメだ。
もう少し、この結末を見届けないと。
自分が生まれた意味がない。
私は、作られた影だ。
作り物の影がどうなるのか、
本当のところ、見当もつかないが、
それなりに、作られた意味というものがあるはずだと信じたい。
私は、オレンジ君が、
塀を壊すところを確認したい。
そして、太陽が昇るところも確認したい。
…分かっているさ。
自分は、吸収される。
…たぶん…この塀に。
オレンジ君が作った塀に。
もしかしたら、もともと、この塀に描かれた影だったのかもしれない。
だとしたら、それを描いたオレンジ君と出会えて、
しかも、一緒に旅のようなものができてよかった。
いろいろ話したしね。
特に、最初に会った時の、世界の終わりと白い鳥の話…
あの時、私は、関係ないものには関わらない方がいいと言った。
だが、結局、そういった瞬間に、関わることになった。
実際、オレンジ君と関わることは、楽しかった。
彼は、何かを生み出す人だからね。
そして、私は、その何かに同調し、
影となって支えるというわけだ。
いい役目だ。
しかも、本来なら、そんな存在に気付いてもらえないのに、
一緒に話して行動を共にすることができたんだからね」
 
ディンニォーフは、また、ふいに塀に引き寄せられる。

ディンニォーフは、
自分の着ている黒い上着の襟をぐぃっと両手で引き寄せた。

「まだ、ダメだ。もう少し。自分の役割を果たしたい」
 
ディンニォーフは、願うように強く言った。

「この上着は、誰か…
そう、影の誰かの持ち物だ。
私は、それに助けられている。
この上着と手袋のおかげで、
人間の形になれているんだ。
だから、影として吸収されることから守られている気がする。
ありがとう。
誰か分からない影。
あなたのおかげで、
もう少し、彼らと行動を共にすることができるような気がします」
 
ディンニォーフは、天を仰いだ。

まるで、空の上で誰かが見守ってくれている気がして。

ディンニォーフは、走る。

アンリとヘレメントと赤い線を追って。

 




 

To be continued. 

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【★】編集後記
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「市川裕子の聖なる創作空間」

本日、
「こはこ市」というイベントに
参加しています。

連載形式で6回、
そのイベントの情報を
お伝えしました。

生誕の地である、とか、
どんな作品と商品を並べるか、
とか、、、

「流星ラビットパンチ」のブログを
どうぞご覧ください!

http://ameblo.jp/rabittpunch/


もちろん、
「こはこ市」の模様も
後々、載せますね〜〜



それでは、また次回!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました♪


「オレンジとアップルと9cm王国」は、
2013年8月25日から第一部開始、
2014年7月20日〜2015年7月19日までが第二部。
2015年7月26日〜2016年10月16日までが第三部。
2016年10月23日〜2018年12月30日までが第四部。
2019年1月6日より第五部が始まりました。


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└→ http://www.formzu.net/fgen.ex?ID=P6195468
■市川裕子ホームページ
└→ http://ichikawayuko.com/
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