ID: 0001657727

ドクター徳田安春の最新健康医学

  • まぐまぐ大賞2017
¥540(税込)/月 初月無料!
毎月 第1土曜日・第2土曜日・第3土曜日・第4土曜日(祝祭日・年末年始を除く)予定
PC・携帯向け/テキスト・HTML形式
月途中の登録でも、月内に
発行されたメルマガがすべて届きます!
→バックナンバーの購入はこちら
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ID: 0001657727

ドクター徳田安春の最新健康医学

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

最新の健康医学情報について総合診療医ドクター徳田安春がわかりやすく解説します。生活習慣病を予防するために健康生活スタイルを実行したい方や病気を克服したいという方へおすすめします。科学としての医学に興味のある方へもおすすめします。科学的根拠に基づく情報を提供します。

おすすめポイント
  • テレビや新聞より早い情報
  • 科学的エビデンスに基づく情報
  • サプリなどの宣伝なしの安心情報
サンプル号
肺がん診療の進歩

肺がん死亡者の多い日本

肺がん患者が増えています。世界中で一年間に180万人が肺がんと診断されています。肺がんにおける最も重要な危険因子は喫煙です。先進国では喫煙率はおおむね減少傾向ですが、新興国では増加傾向ですので、今後も増加すると見込まれています。

平成25年の時点で習慣的に喫煙している日本人成人の割合は、19%です。性別にみると、男性32%、女性8%です。男女ともに10年間で減少傾向にありますが「非常にゆるやか」な減少です。年代別でみると、喫煙者の割合が増えているグループもあります。

特に若い世代の女性喫煙者の割合が増えているのが問題です。胎児や乳幼児、子供などへの受動喫煙があるからです。ということで、喫煙率がまだまだ高い日本。2014年の日本におけるがん死亡数の部位別ランキングで肺がんは、男性で首位、女性で2位となっています。

肺がん検診

これまでの研究で、胸部単純X線写真や喀たん細胞診による肺がん検診には効果がないことが示されています。しかし近年に導入されてきた低線量CT検査は、胸部単純X線写真と比較してより早期のステージの肺がんをみつけることができます。

アメリカでおこなわれた男性のヘビースモーカーに対する研究では、肺がんによる死亡リスクを低下させることが示されました。この研究結果を踏まえて、アメリカでは低線量CT検査による検診が導入されてきています。

しかしながら、この検診での研究結果では、総死亡リスクは減少していませんでした。おそらく、過剰診断による精密検査のせいで合併症をきたした結果で死亡となったケースが出ているからでしょう。このことは1999年に私がランセットという国際医学誌ですでに指摘していました。そのため、欧州ではまだ肺がん検診の導入を推奨していません。アメリカの研究をそのまま鵜呑みにはしないのです。

肺がんの治療

早期のステージの肺がんの治療では一般的に手術が勧められます。その方法として、開胸手術よりも、ビデオ介助式手術の成績がよくなってきています。手術で摘出できないステージでは、放射線療法単独、または放射線療法と抗がん剤による化学療法が勧められています。最近では、分子標的療法や免疫療法を組み合わせた治療により成績が向上しています。

分子標的療法は、特定の患者さんに大変有効であることが示されました。これは特定の遺伝子の変異や染色体の異常な再配列を標的とした治療です。分子標的治療薬の主なものとして、上皮成長因子受容体阻害薬のゲフィチニブやエルロチニブがあります。これらは、上皮成長因子受容体のチロシンキナーゼを選択的に阻害する内服抗がん剤です。非小細胞肺がん患者のうち、特定の遺伝子変異を有する人々で有効です。

その他の分子標的治療薬には、ALK(未分化リンパ腫リン酸化酵素)の阻害薬であるクリゾチニブなどがあります。これも、非小細胞肺がん患者のうち、特定の遺伝子変異を有する人々で有効です。

しかしながら、分子標的療法にはいくつかの課題があります。まず、この治療法が有効となる患者群を見つけることが簡単ではないと言うことです。次に、そのような特定の遺伝子異常を持つ患者群の割合は小さいこと。さらには、継続して使用していると、がん細胞の耐性化がみられることです。クリゾチニブに耐性を示す非小細胞性肺がんに対して、セリチニブやアレクチニブなどの第二世代の分子標的薬も開発されてきています。これらの第二世代の分子標的薬は血液脳関門を通過することができるため、脳転移や髄膜播種のケースに使用されています。

免疫療法の進歩

最近のがん治療で最も期待されているのは免疫療法です。様々な種類のがんに効果があることが認められてきています。programmed death 1 (PD-1) 経路を標的にした薬が、進行した非小細胞性肺がんに対して有効のことがあります。この抗PD-1抗体では、ペンブロリズマブやニボルマブなどが中核を担っています。悪性黒色腫では、これらを併用することによる相乗効果も認められています。また、免疫療法と他の治療法との併用によるより優れた効果も期待されています。

しかしながら、肺がん治療の第一選択肢としての免疫療法についてはまだ臨床研究データが十分ではありません。強い副作用も報告されています。分子標的療法や免疫療法におけるさらなる課題は、その治療にかかる莫大な費用負担です。今のところ、これらの治療法を受けることができるのは先進国の患者だけです。先進国の中でもコストに厳しい国での導入はすぐには困難でしょう。

肺がんのほとんどはタバコのコントロールによって予防可能です。タバコの広告禁止、禁煙教育、タバコ税のアップなどの簡単な政策を実行すればよいのです。予防の方が多くの命を救うことができます。肺がんの検診や治療法が進歩したといっても、その病気自体が存在していない方が良いのです。

文献

Lancet editorial. Lung cancer: despite advances, prevention is still best. Lancet. 2016 Aug 6;388(10044):533. PMID: 27511767.
ID: 0001657727

ドクター徳田安春の最新健康医学

¥540(税込)/月 初月無料!
毎月 第1土曜日・第2土曜日・第3土曜日・第4土曜日(祝祭日・年末年始を除く)予定 今月2/4回(最終 2018/10/13)
PC・携帯向け/テキスト・HTML形式
バックナンバーの購入はこちら
2018/09/22 地球温暖化に対して国々が今できること
2018/09/15 ギャンブル依存症は病気であり治療は可能です
2018/09/08 心房細動のスクリーニングは受けるべきか?
2018/09/01 航空機内での急病への対応
2018/08/25 高血圧患者が爆発的に増える可能性
バックナンバー購入ページはこちら
さらに以前のバックナンバー一覧