美術家竹本真紀のトビヲちゃんメール

【239】なぜ美術家はくっていけないと言われているのか？

＊このメールマガジンでは普段表立ってなかなか書けない美術家竹本真紀の日常とそこ
からの気づきや学びについて配信しています。

＜最近のこと＞

今朝、起きた時に急にいろんなことのパズルがはまりました。

「なぜ、美術家はくっていけない。」とされているのかという理由についてです。

世の中が悪い、政策が悪い、日本の理解がない。などと、いろんなことを言っている人
はいましたが、
本当にそうなんだろうか？

では、実際に食べれている人はどうしているんだろう？
それで生計をたてている人はどうしているんだろう？

と、観察し、実践してきました。

最近、黄金町にディレクターの山野さんが銀座のギャラリーで作品販売に携わっていて
、
かつ山野さんのアートプロジェクトのお手伝いをしてきた方を作品販売を強化するため
に連れてきたので、
その方ともあれこれ話していました。

彼女は、ギャラリーの経験者というだけでなく、主婦感覚として絵をどういう人に販売
したら良いのか。
ということを考えていましたので、
黄金町で絵を販売するとしたら、地域の方に買っていただくのが一番良くて、地域の方
とのつながりはどうなっているのか？
ということが最初の疑問としてありました。

ですから、地域の方に作品を販売してきて、仕事をいただいてきた私の考え方や行動が
彼女に少し役に立つようでした。

特に、美術業界で作品販売を経験してきて彼女と考えが一致するところは、アートファ
ン以外の人たちに作品を販売する方法を考えて行った方が実は近道ではないか。という
ことです。

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＜美術のこと＞

美術ジャーナリスト・画家の村田真さんから美術家の会田誠さんの「げいさい」という
本を薦められて読みました。

芸大受験に向かっていた頃の会田誠さんの実話を小説風にアレンジしたものです。

最近、村田真さんが、美大、芸大受験のあり方や、それを目指す過程において、美大生
が社会を上から目線で見るようになってしまうような経緯について話されたことがあり
ましたが、そのようなこともこの小説に書いてありました。

また、この本の中に主人公が夢中になって読んだ「ゴッホの手紙」という書籍も追って
現在読んでいる途中です。

しかし、何も検索していないはずなのに、ある時youtubeにゴッホに関する動画があが
ってきて、
非常に興味深いことがわかり、それからゴッホのことを調べています。

もしかしたら、私だけが知らなかったのかもしれませんが、ゴッホは自殺でないという
説が近年発表になっているということで、
ゴッホの人間性についてとても興味がわきました。

ゴッホは、一生涯に、1枚しか絵が売れなかったということでしたが、絵が認められる
とかの以前に、
社会との関係性がそのような結果を生んでしまったのではないかと考えました。

八戸市でも、ずっと誰にも理解されないような絵を描き続けていた方が晩年美術館に発
見されたのですが、
一般的に理解されていなくても、彼女を支えるコミュニティがあったのです。

美術館の裏方をしながら観察してきましたが、感謝の気持ちを伝えられない人や偉そう
な人はそのうちいなくなります。
草間彌生さんもアラーキーさんも、私たち末端のスタッフにも「ありがとうございます
。」と感謝を伝えてくれます。

つまり、かたくなに、美術を高尚なところに置いて、社会を上から目線で見ていると、
社会との接点はなくなっていくだろうと思います。

それが、美術ではくえない理由の一つの要因であろうと考えました。

ハイレベルなことを、多くの人に届けられる形で提供できるアーティストが、生き残っ
ているアーティストだと実感しました。

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＜最近の心のこと＞

黄金町のディレクターの山野さんの半生が書かれた本が発売になりました。

黄金町アートブックバザールのオンラインショップでも購入できます。

この発売トークイベントの中で、最後に、山野さんが、

「"アートじゃなくてパン屋さんつくってくれないか？"
という人たちと、仕事をしている。
最初はアートが専門だと思っていて、いい加減専門の仕事をさせてくれよ。
と思ったこともあったけど、あ、私の仕事はアート関係者とアート関係者じゃない人の
間に立つことが専門なんだな。
ということにした。」

と話していて、同じような人たちと私は仕事をしていて、口論になることもあるし、
一生懸命、なぜアートなのかと言い続けてきたところもありましたが、
相手を説得するのでなく、自分の立場をひっくり返してみる。という手法をとった山野
さんに正直驚きました。

いい歳になっても、その柔軟さを持っていられるのは、すごいことだな。と感じました
。

相手ではなく、自分のとらえ方を変える。これが、生きる道なんだとつくづく考えてい
ます。

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＜素敵な人＞

私は本当に知らない人が多くて、ターシャ・テューダーという方のことや、名前だけは
知っていた佐藤初女さんのことを
改めて最近調べています。日々感謝して丁寧に暮らすこと。それが、特に大きな声をあ
げなくても誰かの共感をよび、多くの方を幸せにしていった。そんなたたずまいに、力
をもらっています。

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＜あとがき＞

今日は少し、ボリュームが大きくなりましたが、有料のコンテンツでなければこういう
ことは書けないなあ。
こういう場があって良かった。と実感しました。みなさん、ありがとうございます。

竹本真紀