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岸田文雄首相が10月14日、衆議院の解散をした。総理就任からわずか10日後の解散であり、これまで戦後最短だった鳩山一郎首相の46日を大幅に上回った。ただ、解散から投開票までの17日間は戦後最短である。

　31日に投開票される衆議院選挙では、新型コロナウイルスへの対応、森友・加計学園・桜を見る会の問題など、安倍・菅政権までの“負の遺産“をめぐる自民党の姿勢も問われてくる。

　「憲法第7条によって衆議院を解散する」

　今回の衆議院の解散は、内閣不信任案可決による解散を定めた憲法第69条による解散ではなく、天皇の国事行為を定めた憲法第7条による解散である。

　この憲法第7条は、天皇が行う国事行為として、憲法改正や法律の公布、国会の招集、条約の認証、恩赦の認証などと並び、「衆議院を解散すること」をあげている。

　そして憲法第3条で、すべての天皇の国事行為は「内閣の助言と承認を必要とし」と定めていることから、憲法第7条による解散というものは、内閣の助言により、「天皇が自ら」解散を行う形が取られてきた。

　しかしながら、この「憲法第7条による解散」をめぐってはいくつかの異論がある。1952年の戦後初めての憲法第7条による衆議院解散では、当時の衆議院議員が無効を訴え、訴訟が最高裁まで争われた。

　そのうえで最高裁は、内閣不信任案が可決した場合の憲法第69条に基づく解散ではない、いわゆる「7条解散」については、「高度な政治性」を理由にその判断を回避した。これは、この問題は「最終的に政治と国民が判断すべきもの」との判断を下している。

　だが、この判例が現在まで当たり前のように続き、「衆議院の解散」が、あたかも「首相の伝家の宝刀」のような効力を発揮し続けているのだ。

　世界を見渡せば、議会の解散に一定の制限が掛けられている国が多い。英国は、2011年に「議会任期固定法」が施行された。これは、首相が自身の所属政党にとって都合の良い時期に解散権を行使するのを制限するためのもの。 議員の任期を5年とし、解散には下院議員の定数の3分の2以上の賛成が必要と定めた。

　ドイツでは、ワイマール時代の政治的混乱がナチスの台頭を招いた教訓から政治の安定を重視、日本の衆議院にあたる連邦議会は簡単に解散できない仕組みとなっている。戦後、旧西ドイツ時代も含め、議会の解散による総選挙は3回しかなかった。

　独基本法（憲法）68条は議会の解散について、「首相が連邦議会の自身の信任投票をさせ、信任が全議員の過半に達しなかった場合、大統領（国家元首）は首相の提案により21日以内に連邦議会を解散できる」と規定する。

　ベルギーは、上院と下院の2院制であり、憲法では政府の信任決議案が否決された場合など特定の条件下で、下院の過半数の同意があれば、国王に下院の解散権を認めている。

　今回の岸田首相の解散の場合、国民から見たら、何も無理して解散する必要はなく、任期満了をもって衆議院選挙を行なってもよかったはずだ。しかし、あえて解散を決行した背景には、自民党と公明党が政治的優位性を誇示するために、解散を実行したともみられても仕方ない。

　ただ、必ずしも「解散権が首相の専任事項」ではないのならば、今まで繰り返されてきた、衆議院の解散の歴史をどうみれば良いのか。

　衆議院議員も選挙で国民に選ばれた代表者であり、そうやって信任を得た者を、無理矢理、“解散権“というものを使ってクビにするにも、いわば、三権分立を超えた越権行為だ。

　さらにいえば、そうやって自分の都合の良いタイミングで議会を解散してきた結果として、現在の“自民党1強体制“が続いてきたことも事実。

　そうというならば、昨年あれだけ菅首相の就任直後に解散話が広がりながらも、解散を実行しなかった菅前首相の功績は、「解散をせず、衆議院議員をぎりぎり4年間持たせた」ことではないだろうか。
モリの社会派つぶやき日記　2021/10/11(日）～2021/10/17/日

2021/10/11/日
　ハリウッド映画やドラマ、演劇などを支えるスタッフの労働組合であるIATSE（国際舞台演劇・映画従事者同盟）がストライキを実施する可能性が高まっている。過去には2007年に米脚本家組合がストライキを決行、映画撮影に遅延が生じた。

2021/10/12/月
　本当に日本は「鉄道大国なのか？」。そう思う出来事が次々に起きた。先週末には関東を中心に地震で運休し、日曜日は火災でJRが運休。九州では大雨で鉄橋が崩落し、いまだ不通が続く。欧州では鉄道に多額の税金が投入される。対して日本は？

2021/10/13/水
　国連人権理事会が8日、「清潔で健康的な環境へのアクセスは基本的人権である」という決議案を賛成多数で可決した。ところが、日本は中国、ロシア、インドともに棄権。棄権した理由を外務省は「環境権は意味が明確ではない」とするが、害無省？

2021/10/14/木
　コロナ渦の中、先天性の病気を持つ新生児などの看病をする保護者の負担が増えている。新型コロナウイルス感染予防のため、付き添う保護者は病院から一歩も外に出れず食事はコンビニ弁当、狭い簡易ベッドで付き添いを交代できないケースもある。

2021/10/15/金
　Twitter上にて野党などを誹謗中傷してきた匿名のアカウント「Dappi」を運営するWEB関連会社が、自民党と取引関係にあり、さらに岸田首相や甘利幹事長が代表取締役を務めていた企業との取引関係があったことがわかった。

2021/10/16/土
　「2連ポスター」と呼ばれる選挙ポスターがある。選挙の候補予定者と有名な党幹部が2名連なるポスターだ。公選法では、任期満了の半年前になると候補予定者が単独で写ったポスターは掲示できないが、2連ポスターは公示日前日まで掲示できる。

2021/10/17/日
　衆院選に立候補する候補者の性別を、47のすべての都道府県の選挙管理委員会が、公報に性別を載せないことがわかった。性別の扱いをめぐっては、総務省が官報での公表をやめるよう、各選挙管理委員会委員会に通知していた。
菅首相のわずか1年の退陣で考える、「自民党」という組織とは何なのか？ ～2～　新首相・岸田文雄とは？　そして岸田内閣の陣容

　8月25日夜、自民党総裁選への立候補の表明を翌日に控えた岸田氏は、自身が率いる岸田派の若手を前に、記者会見用の「台本」を読み上げる。

　岸田氏は、党役員の任期制を打ち出し、歴代最長の5年にわたりポストに居座る二階幹事長と、二階との協力関係にある菅義偉首相との間のくさびを打ち込む予定だった。

　岸田首相には、明確なヴィジョンが見えず、その時々の情勢に流され、政治家としての信念が薄く、日本という国をどの方向へ導くのかが不透明なところだろう。

前回までの記事
「菅首相のわずか1年の退陣で考える、「自民党」という組織とは何なのか？　～1～　菅政権とは何だったのか？」
→https://mori-news-journal.jp/archives/1182

目次
・新首相・岸田文雄とは何者なのか
・党役員人事
・岸田内閣の顔ぶれ

・新首相・岸田文雄とは何者なのか

　8月25日夜、自民党総裁選への立候補の表明を翌日に控えた岸田氏は、自身が率いる岸田派の若手を前に、記者会見用の「台本」を読み上げる。

　このときの目玉ともいえる「公約」は、「総裁を除く党役員は1期1年、連続3期まで」だった。岸田氏は、党役員の任期制を打ち出し、歴代最長の5年にわたりポストに居座る二階幹事長と、二階との協力関係にある菅義偉首相（当時）との間のくさびを打ち込む予定だった。　

　岸田首相は、将来を嘱望される「プリンス」だった。祖父の正記、父の文武ともに衆院議員を務めた政治家一家に育血、私立開成高校から早稲田大学に進み、日本長期信用銀行に就職後、父の秘書となった。

　1992年に父・文武が現職のまま死去したため、後を継ぐ形で93年に衆院選に出馬。同期当選には、安倍晋三元首相、高市早苗、野田聖子議員らがいる。

　一方で、親族のほとんどが東京大学を卒業していく中で、自身は3度東大受験に失敗。その境遇は、安倍元首相と共通する。

　当選後は父と同じく、広島出身の池田勇人元首相をルーツとするリベラル系の派閥「宏池会」に所属した。

　97年には安倍氏の後任で党青年局に就任。安倍氏はタカ派色の強い「清和会」に所属しており、異なる立ち位置で競うライバル関係になる。

　衆院独自の伝統である「ぎちょおーっ（議長）」と声を張り上げ、会議の進行を促す議事進行係も務めた。

　青年局長と議事進行係の両方を務めた人物は、同じ早稲田出身の竹下登、海部俊樹が両名とも総理大臣にまで上り詰めたことで、「自分も100%の確率で総理になる」ということが岸田氏の自慢であった。

　しかし、そう順風満帆には行かなかった。岸田氏にとって大きなターニングポイントになったのが、2000年の「加藤の乱」だ。

　当時の宏池会会長であり首相候補の一人であった加藤紘一氏が、野党が提出しようとしていた当時の森善郎内閣の不信任決議に賛成する動きを見せた。

　結果的には、党執行部により「加藤の乱」は鎮圧されたが、加藤氏は衆院本会議を欠席、岸田氏も同調した。

　加藤の乱を機に宏池会は分裂、岸田氏は加藤とたもとを分かち、加藤の乱後に新たに幹事長となった古賀誠氏らと行動する道を選ぶ。そのときのことを岸田氏は、自著で「勝負は勝たなければ意味がない」とした。

　だが、それ以降、自民党内では、森氏、小泉純一郎氏、安倍氏らが所属する「清和会」が、他の派閥を圧倒していくようになった。

　2012年10月、岸田氏は古賀氏の後を継ぎ、宏池会の会長の座に就く。あいさつでは、「戦後に歴史の中で、保守本流と言われた考え方を、改めて現代の政治に問いかけたい」と述べる。

　記者団から、「派閥の名称はどうするか？」と聞かれ、「古賀派から変えるという意味では、岸田派になってしまうのかな」と応じた。

　2012年10月、民主党から改めて政権を奪還した第2次安倍政権では外務大臣のポストに就いた。

　「唯一の戦争被爆国の立場、国民の思いをしっかり国際社会の中で訴えていく」と、就任直後の記者会見で発言し、記者からの「核廃絶に取り組むのか？」という質問に、「おっしゃる通りだ」とはっきりと言い切った。

　しかし核廃絶を訴えながらも、自身は一貫して「原発推進」を訴え続けた。東日本大震災前の2008年には、『日本原子力学会誌』で、

原子力発電は、エネルギー安定供給の確保に貢献できるとともに、二酸化炭素を発電過程で排出せず、ライフサイクル全体で比較しても、単位発電当たりの排出量が石油火力の3％弱であり、地球温暖化対策としても有効な手段です。


とする。

　2011年の東日本大震災時に起きた福島第一原発事故後も、原発の再稼働を常々、主張してきた。

　岸田首相は、「尊敬する政治家」として宮澤喜一元首相の名前を挙げてきた。その宮澤氏は、リベラルな政治家であった。

　ところが岸田氏の場合はそのところが不明瞭である。肝心の政策や信条となると、たとえば、2017年の「朝日・東大大谷口研究室共同調査」への調査では、同性婚の是非については「無回答」、選択的夫婦別姓についても「無回答」であった。

　岸田首相の長所として、他者に対しての配慮と絶妙なバランス感覚が備わっているといえるかもしれない。

　しかしながら、裏を返せば、明確なヴィジョンを持たず、その時々の情勢に流され、政治家としての信念が薄く、日本という国をどの方向へ導くのかが不透明なところが欠点だ。

　首相が属する宏池会の先輩として、大平正芳元首相がいた。彼の場合は、バランス感覚とともに、幅広い教養と哲学がそれを支えていた。

　さらにヴィジョンが明確であり、それが現実主義的な政治を実行するバネとなっていた。しかし、岸田首相の場合、それが見えてこないのだ。

・党役員人事

　総裁選後、岸田首相は自民党役員人事に取り組んだ。

　昨年9月に総裁に選出された菅氏は、その日のうちに党四役の人事を固め、翌日には執行部を発足させた。

　岸田首相の場合は当初、時間をかけて慎重に人事の調整に取り組む様子を見せていたが、実際には、総裁に選出された翌日に動き出す。

　9月30日午後2時すぎに幹事長を務めることになる甘利明が首相を訪ねたとこから、人事は一気に動いた。

　まず注目されたのは、幹事長に選出された甘利明氏だ。幹事長は、自民党内では総裁に次ぐナンバー2のポシジョンであり、総裁を補佐するとともに、実務的には、人事局、経理局、情報調査局、国際局などの党の組織を掌握する権限を持つ。

　このポストに甘利氏が選ばれた理由は、岸田首相誕生の一番の功労者が、甘利氏だからだ。甘利氏は麻生派の幹部で、麻生太郎氏や菅前首相とともに、歴代最長在任記録となった安倍政権の中核となった人物。

　「政治とカネ」をめぐる問題で閣僚を辞任したが、安倍、麻生ともに近い位置におり、三人で「3A」とも呼ばれている。

　首相は、甘利氏起用について、「幹事長という役職は、400人近い国会議員を束ねるための人間力や胆力、人望がなければならない。甘利幹事長はこれまで各国の利害が錯綜するTPP交渉で優れた交渉力を発揮し、税制調査会長としての党内のさまざまな意見を集約する力も発揮してきた」と語る。

　甘利氏の起用は、安倍、麻生、甘利に支えられた岸田政権という、「新鮮味のなさ」が早速マイナス面として捉えられたが、他方、党内きっての実力者を党運営の要に据えることで、まもなく投開票される衆院選だけではなく、来年夏の参院選も見据え、長期にわたり安定的な政権運営を図りたいという狙いがあるという。


　総務会長には福田達夫氏が選ばれた。岸田首相は若手の積極的起用を打ち出していたが、福田氏の起用はその象徴だ。

　自民党の総務会は、常設としては最高意思決定期間で、原則、全会一致の場。総務会長は、そのまとめ役であり、政治家としての力量が問われる役職だ。

　かつては、佐藤栄作首相や中曽根康弘首相ら、大物政治家も経験してきた。福田氏は、まだ当選3回の54歳であるが、父・福田康夫氏、祖父の福田赳夫氏とともに総理大臣にまで登り詰めた。

　総裁選では、衆議院の当選1回から3回の有志議員でつくる「党風一新の会」というグループで代表世話人を務め、当選回数にこだわらない人材登用などの党改革を進めるよう求めており、総裁選挙では、1回目の投票、決選投票ともに岸田氏に投票したことを明かした。


　他方、大臣経験者でもない福田氏の起用をめぐっては、明らかな「論功行章」という見方が党内には漂う。

　しかし、福田氏が党内最大派閥の細田派にも所属していることから、政権運営を安定させたいという狙いもある。

　今後の活躍次第では、祖父・父と同じ、総理大臣への道も開けてくる。

　政調会長には、岸田首相と総裁選を争った高市早苗氏が。総裁選1回目の投票では、国会議員票で岸田氏に続く2位と善戦を見せた。

　高市氏は安倍元首相と保守的な政治信条が近く、2006年の第1次安倍内閣では沖縄・北方担当大臣として初入閣。

　民主党政権を挟み、第2次安倍内閣の発足に伴い、政務調査会長に就任、総務大臣などを歴任してきた。

　今回の総裁選では、安倍氏の支援を受けて岸田氏と争い、1回目の投票で3位となり決選投票には進めなかったが、高市氏を支持した議員の多くが決選投票では岸田氏に多く票を投じたとみられ、岸田陣営と連携し、勝利に貢献してきた。

　だが、安倍元首相は出身派閥の細田博之会長に対し、何度も電話をして、「高市早苗を幹事長に」という要望をしてきたが、それは叶わなかった。

　しかしながら、自民党としてどのような政策・法案を打ち出すかをまとめる政調会長は、非常に重要なポストだ。

　さらに岸田首相は、高市氏が総裁選で見せた、優れた論理的説明力などの討論を見込んで起用したと説明した。

　政調会長は、衆院選や参院選での政策論争の場において先頭に立つ立場だ。それに高市氏がうってつけと説明される。

　ただし、明らかに保守的な政治信条の高市氏と岸田首相との間の政策的スタンスの違いがありすぎるとの声も。

　若手議員の中には、「政策の岸田と言っているのに、政調会長をなぜ手放したのか。政策的には岸田派から最も遠いと思われる高市さんが政調会長ってどうだろう。選挙を前に大丈夫なのだろうか」との厳しい声もある。

　このような党三役を選出した岸田首相だが、周囲には、「来年の参院選までは大変だ。うちの派閥は人数が少ない。すぐに好きな人事はできない」と岸田派という「弱い派閥」ゆえの苦労も漏らした。だが、「麻生さんを外したことを見てほしい」とうこと強調する。

　毎日新聞が行った9月18日の世論調査で自民党の支持率は、8月の26%から37%に上昇し、明らかな「総裁選効果」があらわれている。

　しかし、この傾向が長く続く保証はない。総裁選でみえた党員・党友票と自民党国会議員との投票行動のねじれが明らかになり、さらに人事で派閥の均衡が明確になれば、緩やかな自民党支持層が、再び離れる可能性はあるのだ。

・岸田内閣の顔ぶれ
　
　10月4日に組閣された岸田内閣は、どのような顔ぶれなのだろうか。

　内閣の平均年齢は、首相を含めて61.8歳。2006年の第1次安部政権発足時は60.9歳、2020年の菅政権は60.38歳であった。

　閣僚の人数は20人。閣僚の数は内閣法により17人が限度とされているが特別措置法が制定され、東日本大震災からの復興と、2025年に開催される大阪・関西万博の準備にあたる大臣をそれぞれ専任で時限的に置いてある。

　さらに、オリンピック・パラリンピックを担当する大臣については、来年3月まで置くことができるため、閣僚の数は菅内閣と同じ20人となっている。

　当選回数5回未満の入閣が4人、当選3回が3人入閣した。最も当選回数が多かったのが9回の鈴木俊一財務大臣、茂木敏充外務大臣、斉藤鉄夫国土交通大臣野田聖子・子ども政策担当大臣。

　当選回数が少ないのは3回で、小林鷹之経済安全保障担当大臣、堀内詔子東京五輪パラリンピック・ワクチン接種担当大臣、牧島かれんデジタル大臣。

　最年長の閣僚は、国家公安委員長の二之湯智（77）と金子原二郎農林水産大臣（77）、牧島かれんデジタル大臣（44）であった。

　初入閣は13人、再入閣は4人となる。菅内閣から引き続き大臣となるのは、3人で、うち再任は2人、別のポストからの横滑りは1人。

　女性閣僚は、野田聖子氏、堀内詔子氏、牧島かれん氏の3人で、昨年9月に発足した菅内閣より1人多くなった。

　出身派閥の内訳は、細田派4人、麻生派3人、竹下派4人、二階派2人、岸田派3人、無派閥3人、連立与党の公明党から1人。

　参議院からの入閣は、二之湯智氏、末松信介文部科学大臣、金子原二郎氏の3人。

　とくに外務大臣と防衛大臣は再任され、外交・安全保障政策の継続性を重視した陣容となった。

　内閣の要となる官房長官、財務大臣や外務大臣などの重要閣僚には、総裁選で岸田氏を支援した細田派、麻生派、竹下派の3つの派閥から起用。

　これらの派閥からは、各派の意向も踏まえ、いわゆる"入閣適齢期”の議員を初入閣させた。

　総裁選で岸田氏に推薦人を出していない二階派や河野太郎氏を支持した陣営からも、一本釣りのような形で起用し、配慮する形となった。

　こうしてスタートした岸田内閣の印象はどうか。

　松野官房長官については、「あまり目立つ存在ではないが、政策はわかるし、敵をつくらない。岸田さんらしい起用」「黒子、女房役、参謀として適任ではないか」との声が出る一方、「側近は、自分の派閥からださないと、いざとなったときに助けてもれない」というような声も聞こえてくる。

　そもそも、岸田派は自民党内に7つある派閥の中で5番目の勢力。そのような中小派閥のトップである岸田氏が総裁選で大勝できたのは、最大派閥の実質的なリーダーである安倍元首相と第二派閥の麻生派や甘利氏の協力があったからこそ。

　そのため、人事の面においても細田、麻生、竹下主要3派閥を優遇せざるを得ず、結果として新鮮味はゼロとなった。

　あるいは、それよりも悪い意見で、「安倍のいない安倍内閣」や「不気味なほど特徴がない」という、1年前の菅内閣と同じような声もある。

　”岸田カラー”としては、中堅・若手の起用が目立つ。とくに、それぞれ経済安全保障、新型コロナウイルス対策、デジタルと、注目を集める政策分野を担当する。

　経済安全保障大臣には小林氏が任命された。財務省出身で、経済安全保障を検討する自民党の戦略本部で事務局長を務め、法整備の必要性を盛り込んだ提言を取りまとめてきた。

　出身校は岸田首相と同じ開成高校であり、二階派に所属しながらも、甘利氏の議連の常連であった。

　ワクチン担当大臣は、堀内氏が。岸田派の前身の派閥で会長を務めた元総務会長の堀内光雄氏の義理の娘であり、厚生労働政務官、環境副大臣を歴任してきた。

　デジタル大臣は牧島氏が任命される。デジタル庁の創設に向けた組織や役割の検討を行ってきた人物だ。

　岸田首相が総裁選で訴えてきた成長と分配の好循環の実現を目指す、新しい資本主義の具現化を目指す経済再生担当大臣は、麻生派で甘利氏の右腕的な存在である山際大志郎氏が選ばれた。

　総裁選で岸田首相と争った野田氏は「こども庁」の創設も担当する。

　閣僚の中で再任されたのは、防衛大臣の岸氏と外務大臣の茂木氏のみであった。岸氏は安倍元首相の実弟であり、茂木氏の留任についてもこのような噂がある。

　総裁選の最中の9月17日、竹下派の竹下亘会長が食道がんで亡くなった。その際、岸田氏が候補者の中で誰よりも真っ先に弔問に駆け付けたことで、「竹下派は岸田で」とまとまった。

　しかし、弔問に真っ先に駆け付けるには身内からの連絡がなければできない。その後、茂木さんが、「真っ先に会長に手を合わせたのは誰だ」と岸田支持の流れをつくった。そのことがあってか、結果的に茂木氏が留任した。

　反対に、完全に干されたのが二階派だ。人事発覚後も、二階派からは「岸田だけは許さない」との言葉が飛び交った。二階派も一応、「最終的には岸田支持の方針に変えたのに」という言う分はあるようなのだが。

　ただ、自分が選ばれたにもかかわらず、「私でいいの？」と漏らす閣僚もいた。そもそも岸田首相自身、印象が薄いうえ、閣僚20人のうち初入閣が13人と多い。衆院選まで予算委員会が開かれないから、閣僚自身の考えを聞くこともできない。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　～つづく〜

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　8番、セカンド岸田君」・・・。自民党の世耕弘成参院幹事長は12日の参院代表質問で、岸田文雄首相が高校時代に所属していた野球部でのポジションを引き合いにし、首相の人柄を、「目立たないがチームワークの要。みんなが頑張ることができる環境を下支えする」と持ち上げた。

さて、現代野球の理論の要である「セイバーメトリクス」でいうなら、8番バッターはどのような位置付けになるのだろうか。

まずセイバーメトリクスでは、出塁率の高い選手を1、2番に起用し、長打率の高いバッターを4番に起用する。次に、1、2、4番打者に続く3、5番にも長打率の高い打者を起用する。

　そして、残りの6、7、8、9番の打順は打力の高い順番に起用する。

　そのため、セイバーメトリクスにおける8番バッターに求められるものは非常に小さく、言うなればワースト2のポジションだ。

　他方、立憲民主党の枝野幸夫代表は、11日夜のBSフジ番組で、政権交代を実現する確率を司会者に聞かれ、メジャーリーグ・エンゼルスの大谷翔平選手を引き合いに、「5割以上あるなんて決して言わないが、大谷選手の打率くらいの可能性はあるつもりで頑張っている」と語った。

　ちなみに大谷の今季の打率は.257であった。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

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