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□■[本]のメルマガ【vol.646】17年5月25日発行 
                       [それを言う訓練 号]
 http://honmaga.net/
■□------------------------------------------------------------------
□■     創刊は1999年5月10日、現在の読者数は4532名です。
■□ 「まぐまぐ」で、殿堂入りメールマガジンのひとつに選ばれました。
□■------------------------------------------------------------------

★トピックス
→募集中です

★「甘くて苦いイタリア」 雨宮紀子
→トランプのバチカン訪問

★「今月のこの一冊」 小谷敏
→「神」を継承するということ

★「ちょっとそこを詰めていただけませんか」 竜巻竜次
→「ありがとう」がこの世をマシにする

★「はてな?現代美術編」 koko
→休載です

★「岩のドームの郵便学」内藤陽介
→パレスチナ自治政府発行切手のごたごた
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★PR★ 原 書 房 最新刊 ★ http://harashobo.co.jp

『図説 歴代アメリカ大統領百科
 ---ジョージ・ワシントンからドナルド・トランプまで』

DK社編 大間知知子訳 本体2800円+税

ジョージ・ワシントンからドナルド・トランプまで、アメリカ歴代大統領45人
をフルカラーで解説するビジュアルエンサイクロペディア。独立宣言などの歴
史上の重要な出来事、選挙、有名なスピーチから、執務室や乗り物まで!
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■トピックス
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■トピックス募集中です!
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■Italia dolce e amara: 甘くて苦いイタリア / 雨宮紀子
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第80回 ドナルド・トランプ大統領、フランシスコ教皇と謁見

朝起きてエスプレッソで甘い朝食を始めたら、テレビ画面はアメリカの国旗が
ついた車がヴァティカン宮殿の前に到着したところだった。車が停止した数秒
間、静寂そのもので、ものものしい感じすら漂う。と、車のドアが開けられ、
トランプ大統領が降りた。
24日の8時をちょっと過ぎたところで、こんなに早い時間にフランシスコ教皇と
の謁見が始まるのだと実感する。

それから続く画面は、たぶん、いつものローマの時間よりも早いスピードで流
れたようだ。トランプ大統領にメラニー夫人、娘のイヴァンカさんと夫ジャレ
ド・クシュナー上級顧問、国務長官や大統領補佐官と、ほとんど足早に歩く姿
が映る。謁見が行われる部屋へ広間や廊下を次々に通り過ぎていくのを見てい
ると目が離せない。

メラニー夫人が黒レースの服を着て、黒いレースで頭も覆っているのを目にし
て、教皇との謁見の儀礼を守っているのがわかる。カトリック教徒の女王のみ
が白い服装で謁見できるそうだ。
数日前のサウジアラビア訪問の写真では、メラニー夫人は髪をスカーフで隠し
ていなかった。イスラムの慣習を守らなかったのだと思ったが、ヴァティカン
では儀礼に従っている。この違いは問題になるのだろうかと思ってしまう。

大統領一行が謁見の場である図書室に到着すると、別のTVカメラが別室にいた
フランシスコ教皇の後ろ姿を追いながら、教皇が大統領に向けて進むのが撮ら
れた。握手するトランプ大統領の笑顔が見え、教皇のほうは心なしか真剣な表
情なのに意外な印象をもった。が、テーブルを挟んで大統領の前に座る教皇の
顔にすぐにおなじみの笑みが浮かぶ。

大統領は、謁見できたことを光栄に思うと感謝して、教皇と大統領のそれぞれ
の通訳だけを介した非公開の会談が8時38分に始まり、9時2分に終わったという。
メディアの記事にはこのように分刻みで、謁見の始めから最後までの進行が記
述されている。これもめったにないことだ。

会談は移民や平和(シリアや中東全体、そしてベネズエラ)、そして気候をテー
マとしたとみられる。アメリカが Cop21(気候変動枠組み条約第21回締約国会
議)への参加を無効にする恐れあるからだ。

会談が終了すると、隣室で高位聖職者と話していたメラニア夫人やイヴァンカ
さんら一行も図書室に入り、教皇に紹介される。メラニア夫人の手にロザリア
が握られていて教皇から祝福されるのを求め、教皇はすぐに彼女の手に向かっ
て十字を切ったとか。

贈呈品が交換される。教皇からはトランプファミリーに3冊の本も贈られた。そ
の一冊は教皇の回勅で、ずばり、環境に関わるもの。アッシジの聖フランシス
コの『被創造物の頌歌』で謳われた自然環境への賛美のフレーズがこの回勅に
繰り返されているという。アメリカの大統領にこの頌歌が響くことを期待した
い。
大統領のほうは“Rising Above”(そびえ立つ)のタイトルの彫刻も贈呈品と
して持参したようだ。これが象徴するのは平和な明日への希望というのだが。

時は9時16分となり、トランプ大統領とメラニア夫人が教皇に丁重に感謝と別れ
の言葉をのべる。「お話しになったことを忘れません」とも大統領はつけ加え
たとか。教皇はオリーブの枝が離れた石を結びつけている図柄のメダルを贈呈
するとき、「あなたが平和の手段になられるよう、これを贈ります」といい、
大統領は「平和が必要です」と返したそうだ。

大統領とファーストレディーはシスティーナ礼拝堂とサン・ピエトロ大聖堂も
回った。クイリナーレ(伊大統領官邸)でマッタレッラ大統領と会談し、ロー
マの宿泊先だったヴィッラ・タヴェルナではジェンティローニ伊首相とタオル
ミーナで明日26日と27日に開催されるG7を焦点に話した。

ベルギーに発つ直前にトランプ大統領はツイッターにこう投稿している。「フ
ランシスコ教皇との会見は生涯の名誉でした。世界平和を追求する決意をこれ
までになく感じてヴァティカンを後にしました。」

軍事戦略研究家の文章で「平和をもたらすのは、唯一、戦争だけだ」というの
を思い出してしまった。アレだろうか。いや、謁見が儀礼だけで終わりません
ように...。

◎雨宮紀子(Gatta Italiana)
イタリア・フィレンツェ在住。著書に『天才力 三巨匠と激動のルネサンス (
ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエッロ)』(世界文化社)、『メディ
チ家 ルネサンス・美の遺産を旅する』(世界文化社)。創刊10年を越えたメ
ルマガ「イタリア猫の小言と夢」は、melmaの地域情報部門で2007年メルマガ・
オブ・ ザ ・イヤー受賞。ほぼ隔週で発行中:
http://www.melma.com/backnumber_86333/
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■今月のこの一冊 グロバール化した世界を斜め読みする 小谷敏
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三谷太一郎 『日本の近代とは何であったか』岩波新書 880円

 著者は、東京大学法学部で日本政治史を長年講じた大碩学。80代を迎えた
著者は、「青年期の学問」とは異なる「老年期の学問」の必要性を力説してい
ます。青年期において学者は個別的なテーマを追及して専門性を深めていきま
す。それはもちろん必要なことですが、それだけでは学問は狭い専門領域に閉
塞して、「蛸壺」(丸山眞男)状態に陥ってしまいます。老境の学者たちは、
青年期の蓄積を基に一般理論の構築を志向すべきだと著書は考えています。本
書において討究されているのは、「日本の近代」という大きな問題です。

 イギリスの思想家ウオルター・バジョットは、近代は、迅速な行動より熟慮
を重んじる「議論による統治」の時代だと述べています。「貿易」と「植民地」
も近代の重要な構成要素。「貿易」は自由なコミュニケーションを発展させ、
「植民地」は文化的多様性をもたらします。日本はアジアで最初に「議論によ
る統治」を定着させた国です。幕府体制も権力分立的で、合議による意思決定
がなされていました。幕末の動乱のなかでは、幕府側も討幕勢力も来るべき政
治体制は、議会政治以外ありえないという認識を共有していたのです。

 日本は最初から対外膨張路線を志向していたのではありませんでした。外国
からの干渉を受ける契機となりやすい外債を避けるために、明治政府は保護貿
易主義的な殖産興業路線を邁進していたのです。その日本がなぜ植民地大国と
なっていったのか。それは日本の植民地の領有が、単なる経済的利害関心に発
したものではなく、安全保障上の要請に基づくものでもあったからだと著者は
言います。植民地の人々のなかには日本に敵対するナショナリズムが生まれま
す。それが日本の政治体制に根源的な不安定さをもたらしたのです。

 西欧近代は中世から「神」を継承しました。明治の指導者たちはキリスト教
に匹敵する宗教的権威の必要性を痛感していたのです。彼らは西欧における「
神」の「機能的等価物」として天皇を位置づけ、「皇祖皇宗」を道徳の本源と
する教育勅語を発布しています。天皇には国家の一機関である立憲君主として
の顔と、「神」としての顔がありました。戦前の日本では高等教育機関以外で
憲法が講じられることはありませんでした。帝国臣民のほとんどは教育勅語で
植えつけられた神格化された天皇のイメージのみを抱き続けていたのです。

 近代の本家の欧米でも過度な「貿易」を促進するグローバリゼーションは途
方もない格差を生み出し、それに反発する人々がトランプのような「議論の政
治」そのものを破壊する人物を支持するようになりました。難民問題も「植民
地」の歴史の負の遺産に他なりません。福島第一原発事故は、殖産興業政策以
来の「富国」路線の終焉を告げるものであり、この事故の後で葬り去られたは
ずの「強国」路線が復活の兆しをみせていることへの危惧を著者は表明してい
ます。「近代」のその先を構想するヒントが本書には詰まっています。

◎小谷敏
大妻女子大学人間関係学部教授。「余命5年」の難病から生還し、こうしてモ
ノが書けることに感謝。
最新刊「ジェラシーが支配する国」高文研
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■ちょっとそこを詰めていただけませんか 竜巻竜次
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今回は「今から練習」の話

前に「感謝の安売りブログが気に食わん!」(いや、もう少し穏やかな物言いだっ
たか)と言うエッセイを書かせてもらった。

今でもその気持ちは変わっていない…と言うか、性格なんてそう簡単に変わる
ものではなく「出会った人、全てに感謝?いやいや二度と会いたくない人だっ
て多いがな。にこやかに対応してるけど出来りゃ付き合いたくないヤツとか、
結構良いやつだと思ってたらかなりの食わせ者だったヤツとか、
全く覚えてないヤツとか…そんな人にまで感謝してたら感謝が薄まってしまう
でしょうが」

ある意味、性格の悪さが前よりパワーアップしている。

「プラスでもマイナスでも自分にかかわった人は全て自分の財産なんだよ」

エンターテイメントとしてのマンガ作品ではこんな歯の浮いた事も言えるが、
実生活ではとてもじゃないが…年間で感謝の気持ちが湧いてくるのは二桁行か
ないんじゃないかと。

ただこれはヤバイかもと最近思えてきた。

ある日の事、整形外科で順番待ちしていると介護職員に付き添われた車椅子の
おばあさんが入って来たのだが…まあ、悪態を吐く事吐く事。看護士に、介護
士に、悪態をつきまくる。

認知症が入って来てるので感情のコントロールが効きにくいんだろうなぁと思
い見ていたのだがふと「これ、自分にも起こり得る事だ」と考えた。ただでさ
え「来ている」身としてはそう遠くない未来図に思えてきたのだ。

そう言えば街中や電車の中で悪態を吐く老人をよく見る。病気としての認知症
でなくとも老化によるコントロール力の低下は誰にもおこる。

自分を含め全ての人は将来的には介護士のお世話になる可能性が高い。もちろ
ん仕事だから差別する事はないだろうが毎回悪態をつかれるのと感謝の言葉は
かけられるのではモチベーションも変わろうと言うもの。

とすると…「嘘でも感謝の言葉を出す練習をすべき」だと。

実母はかなり認知症が進んでいるがヘルパーさんや我々に感謝の言葉を欠かさ
ない。もちろん不満もあれば相性の良し悪しもある。だが取り敢えず「感謝、
感謝」と言っていてヘルパーさんのウケも良い。

これは彼女がずっと「それを言う訓練」をしていたからに他ならないのでは?

「おはよう」や「ごちそうさま」と同じように延髄反射で口から出るよう訓練
すれば性格の悪さは治らずとも少なくとも「舌害」は防げるかも知れないのだ。

辞めた復興大臣もそれに気付いて訓練すれば良かったのにね。

◎竜巻竜次
マンガ家 自称、たぶん♀。関西のクリエーターコミュニティ、オルカ通信の
メンバーとしても活躍中。この連載も、呑んだ勢いで引き受けてしまった模様
http://www.mmjp.or.jp/orca/tatumaki/tatumaki.html
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■岩のドームの郵便学51 内藤陽介
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パレスチナ自治政府の発足

湾岸戦争後の1991年10月末、米国は崩壊間際のソ連と共同してスペインのマド
リードで中東和平に関する国際会議を開催した。この会議は、全当事国が一堂
に会したという点で中東紛争の歴史の中で画期的なもので、その後の和平プロ
セスの起点となった。

当初、イスラエルはこの会議への参加を渋っていたが、アメリカは会議への協
力がなければイスラエルの求めている債務保証の申し出を拒否すると圧力をか
け、会議に参加。PLOはイスラエルの拒絶にあい参加できなかったが、パレスチ
ナ代表団はPLOの意を体したメンバーで構成された。

会議では、シリア、レバノン、ヨルダンの各国とイスラエルとの二国間交渉の
枠組みと、水資源や難民問題、安全保障などの多国間問題についての共同会議
設立が決定され、1991年12月以降、米ワシントンで二国間交渉が個別に行われ
た。

当初、イスラエル側は、占領地におけるユダヤ人入植地を拡大しつづけるなど、
和平に対する意欲が低かったが、1992年の総選挙で新たに労働党のイツハク・
ラビン政権が誕生すると、和平交渉は進展する兆しが見られるようになる。

しかし、和平プロセスの進展に対しては、ヨルダン川西岸とガザ地区を完全な
自国領とみなして占領地の返還を拒否するイスラエル国内の右派勢力と、パレ
スチナ全域からのイスラエルの撤退を主張するパレスチナの強硬派がともに激
しく反対。特に、イスラム原理主義組織ハマスは各種のテロ活動を展開し、多
くの犠牲者を出していた。

エスカレートするばかりのハマスの闘争に手を焼いたラビン政権は、1992年12
月、415名ものハマス関係者を国外追放処分にしたが、この結果、米国が仲介す
る公式の和平交渉は完全に行き詰まってしまう。

一方、PLOは、湾岸戦争でイラクを支援したツケが響いて破産寸前の状態に追い
込まれていた。

すなわち、1990年の湾岸危機の時点で、すでに、冷戦時代にPLOを支援していた
東側共産主義諸国の大半は崩壊していたが、湾岸戦争を経て、サウジアラビア
をはじめ湾岸諸国からの資金援助(年間約3億5000万ドルにも及んでいた)も
打ち切られてしまった。さらに、クウェートのパレスチナ人労働者は職を失い、
彼らからPLOに納められる税収(PLOはクウェートで働くパレスチナ人から一定
の「税収」を得ていた)もほぼ完全に途絶する。

経済的に追い詰められたPLOは、組織として急速に弱体化し、ラビン政権が発足
した頃には、イスラエルとの対話路線を定着させる以外に存続のための選択肢
は残されていなかった。このため、もはやPLOはイスラエルにとっての脅威では
なくなっていたが、イスラエル側は、逆に、現状を放置すれば、PLOに代わって
より過激なハマスがパレスチナ人の代表権を獲得することも危惧されるように
なっていた。

この結果、ハマスの勢力伸張は、イスラエルとPLO双方にとって共通の脅威とな
り、彼らは反ハマス連合として和解に到達する。

イスラエルのラビン政権は、和平プロセスに関与しすぎた米国ではなく、ノル
ウェーのホルスト外相を通じてPLOと非公式に接触。イスラエルとPLOの相互承
認とガザならびにイェリコ(ヨルダン川西岸地区の重要都市)でのパレスチナ
人の自治を骨子とするオスロ合意がまとめられた。米国は、このオスロ合意を
引き取るかたちで、1993年9月、ワシントンで合意の調印式を開催する。

その後、1994年5月にはカイロでパレスチナ先行自治協定(PLOによる自治を開
始するための具体的協定)が調印され、イェリコとガザで暫定自治が開始され
た。

暫定自治の開始に伴い、5月4日にはガザ地区で、5月9日にはイェリコで、
イスラエルの郵政機関が閉鎖され、パレスチナ自治政府の郵政機関が発足する。
ただし、当初はパレスチナ自治政府独自の切手は間に合わず、ガザ地区とイェ
リコでもイスラエルの切手がそのまま使用されていた。

このため、パレスチナ自治政府としての独自の切手を発行すべく、PLO駐独代表
のアブドゥッラー・フランギーが、ドイツ社会民主党の国会議員でアラブ諸国
との関係が深く、かつ切手収集家でもあったハンス・ユルゲン・ヴィシュネウ
スキーと接触。その結果、ドイツの老舗切手エージェント、ゲオルグ・ロール・
ナシュフ社のコーディネートの下、国有ドイツ連邦印刷会社が切手を製造する
ことで話がまとまり、1994年夏、ベルリンで切手の製造が行われた。

切手のデザインは、イェリコのヒシャーム宮殿(5、10、20ミリーム)、東エ
ルサレムの聖墳墓教会(30、40、50、75ミリーム)、パレスチナ自治政府の国
旗(125、150、250、300、500ミリーム)に加え、最高額面の1000ミリーム切手
には岩のドームが取り上げられた。
http://blog-imgs-108.fc2.com/y/o/s/yosukenaito/20170525004921f37.jpg 

 ドイツからパレスチナに切手が到着したのは1994年10月以降のことで、各地
の郵便局では、いつからこれらの切手が実際に販売されたのか、現在となって
は正確なデータは残されていない。なお、この切手の収集家向けの販売代理店
となったゲオルグ・ロール・ナシュフ社は、1994年8月15日付の“初日カバー
”を制作・販売しているが、この日附の時点では切手は実際にはパレスチナに
到着しておらず、したがって、初日カバーに押されている消印の日付は“後押
し”である。

 ところで、パレスチナ自治政府は、新切手の発行を、1948年の英委任統治終
結以来、およそ半世紀ぶりの“パレスチナ切手”の復活と位置付け、英領時代
の先例に倣い、切手の額面を“ミリーム”表意とした。

一方、1994年4月29日付でイスラエルとPLOが締結した“1994年パリ議定書”の
第4条によると、自治政府の統治下の通貨は、イスラエルの通貨である新シェ
ケルを基本としつつも、ヨルダン川西岸地区ではヨルダン・ディナール、ガザ
地区ではエジプト・ポンドの使用が認められることになっていた。ただし、パ
レスチナ自治政府が独自通貨を発行することを認める規定はなかったため、イ
スラエル側は、1994年10月に登場した自治政府の切手の額面がミリーム表示に
なっていることに強く反発。イスラエル宛またはイスラエルを経由して海外へ
逓送される郵便物に関しては、ミリーム額面の切手が貼られている場合は、料
金未納扱いにすると自治政府に通告する。

このため、自治政府側は、パリ議定書で認められた通貨に対応すべく、ミリー
ム額面の切手に、ヨルダン・ディナールの補助通貨であるフィルス表示の額面
を加刷した切手をあらためて発行。
http://blog-imgs-108.fc2.com/y/o/s/yosukenaito/201705250114151f1.jpg

これにより、ようやく、パレスチナ自治政府の切手は、郵便料金の前納をしま
す世紀の証紙として、世界的にも承認されることになった。

1967年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。郵便学者。日本文芸家協会会員。
フジインターナショナルミント株式会社・顧問。切手等の郵便資料から国家や
地域のあり方を読み解く「郵便学」を提唱し研究・著作活動を続けている。主
な著書に、戦後記念切手の読む事典<解説・戦後記念切手>シリーズ(日本郵
趣出版、全7巻+別冊1)、『外国切手に描かれた日本』(光文社新書)、『
切手と戦争』(新潮新書)、『皇室切手』(平凡社)、『満洲切手』(角川選
書)、『大統領になりそこなった男たち』(中公新書ラクレ)など。最新作『
リオデジャネイロ歴史紀行』えにし書房 電子書籍で「切手と戦争 もうひと
つの昭和戦史」「年賀状の戦後史」角川oneテーマ21などがある。
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り、広告は随時募集中です。詳細はメールにて編集同人までお尋ね下さい。
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■編集後記
残念なことにkoko氏休載だが、実は所用で東京に出たついでに、国立新美術館
でミュッシャ展と草間彌生展を一日で見て回った。

10時開場30分前にはついたのに、入り口前には6列の行列が間違いなく100メー
トルはあるという状態で、入るのにも30分はかかったと思う。

ミュッシャの「スラブ叙事詩」はもちろん見るのは初めての大作の数々で、神
々しさに度肝を抜かれた。まさにチェコの至宝だ。

草間彌生の作品群には、実物見ないと分からない楽しさにあふれている。130点
の「我が永遠の魂」がずらり並べてある大部屋では、誰もが笑顔を絶やさなかっ
た。
http://kusama2017.jp/tamashii/

草間さんも現代美術の大御所というより、親しみのもてるばーちゃんという感
じに見られていて、こんな人形が1000円もするのに飛ぶように売れていた。た
だし売店でもまた、レジ待ちがひどかったが・・・
https://rakuma.rakuten.co.jp/item/f5760156259401811920

現代美術の何がいいのか分からないという人でも、一度こういう展覧会に行け
ばわかることがあると思う。機会があれば美術館へ行きましょう。
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発行周期
月3回(5日、15日、25日)
最終発行日
2017年05月25日
 
発行部数
4,532部
メルマガID
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形式
PC・携帯向け/テキスト形式
カテゴリ
アート・文芸 > 文芸 > その他

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