会社にケンカを売った社員たち

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『まぐまぐ大賞2014』ビジネス・キャリア部門第3位!実際の判例から会社を訴えた社員の言い分に着目し、人事リスク発生の原因を探ります。感性豊かな企業の経営者・管理職・人事担当者必読のマガジンです。ノンフィクションなので、読み物としても楽しめます。

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メルマガ名
会社にケンカを売った社員たち
発行周期
隔週刊
最終発行日
2018年05月23日
 
発行部数
3,201部
メルマガID
0000116175
形式
PC・携帯向け/テキスト形式
カテゴリ
ビジネス・キャリア > 経営 > 法務・特許

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C┃O┃N┃T┃E┃N┃T┃S┃
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■ 今週の事件【N社事件】
▽ <主な争点>
著しい能力不足、勤務態度の不良を理由とする解雇など

1.事件の概要は?
2.前提事実および事件の経過は?
3.元社員Xの主な言い分は?
4.判決の要旨は?

■ 編集後記



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■ 今週の事件

【N社事件・東京地裁判決】(平成29年2月22日)

━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 1.  事件の概要は?
━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

本件は、N社の従業員として勤務してきたXが勤務成績不良、勤務態度不良等を理
由にされた解雇は労働契約法16条(解雇)に反し無効であると主張して、同社に対
し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに解雇されな
ければ得られたであろう賃金および賞与の支払を請求したもの。



━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 2.  前提事実および事件の経過は?
━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

<N社およびXについて>

★ N社は、コンピュータに関連する電子機器システムの開発、運用およびソフトウ
ェアプロダクトの開発等の事業を行う会社である。

★ Xは、昭和57年4月、N社に期間の定めのない正社員として雇用された者であ
る。当初はシステムエンジニアとして勤務していたが、平成2年頃から間接部門に
配属されて勤務するようになった。


--------------------------------------------------------------------------

<本件解雇に至った経緯等について>

▼ 平成24年5月頃、N社は業績が悪化したことから、間接部門に所属する40歳以
上の全社員を対象として、早期退職者を募集した。同社はXに対し、早期退職者募
集制度に応募するよう勧奨したが、Xは引き続き勤務したい旨の希望を述べた。

▼ Xは25年1月8日から甲社(業務委託先)に在籍出向となり、N社内のドキュ
メントセンターにおけるコピー、スキャニング業務等に従事したが、同月25日、同
出向契約が解除となり、再度N社に復帰することとなった。

▼ N社は同年6月頃、再度Xを在籍出向させることとし、公益財団法人産業雇用安
定センターに委託し、出向先の打診を行ったことがあったが、結局実現しなかった。


▼ N社は同年8月、Xに対し、26年2月5日付で解雇する旨の解雇予告を行い、
同日、Xを解雇した(以下「本件解雇」という)。なお、同解雇予告通知書には解
雇理由として、「当社従業員就業規則82条1項2号および同項4号の解雇事由に該
当するため」との記載がある。

★ N社の就業規則第82条1項は、従業員の解雇事由を定めるところ、その2号に
は「はなはだしく能力の劣る場合」、4号には「前各号のほか解雇が相当と認めら
れる事由がある場合」と規定されている。



━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 3.  元社員Xの主な言い分は?
━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

1)本件解雇は客観的に合理的な理由を欠き、無効だ!

▼ 以下のとおり、本件解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当とも認
められないものであって、無効である。

▼ N社はXの能力が甚だしく劣るというが、その能力不足は客観的に裏付けられて
おらず、仮に能力不足であったとしても、その程度は甚だしいものとはいえない。
Xに対する人事考課、賞与評価の内容はいずれも不合理である。

▼ N社はXに対し、能力向上のための必要な訓練や教育措置を施しておらず、それ
ばかりか、Xが仕事を求めていたにもかかわらず、嫌がらせと断じざるを得ない業
務(リサイクルセンターにおけるハードディスクの破壊業務など)を執拗に打診し
続け、それ以外にはさしたる仕事を与えずに干した。

▼ 長年システム開発業務から離れていたXに対し、平成24年になって、十分な業
務訓練やOJTもないままに突然同業務を指示するなど、達成不可能な業務を指示
した。これらはXを退職させる目的の嫌がらせであり、かつ、あえて解雇理由を作
出しようとしたものである。


--------------------------------------------------------------------------

2)XはN社に対し、賃金および賞与請求権を有する!

▼ 上記のとおり、本件解雇は無効であるから、XはN社に対し、民法536条(債務
者の危険負担等)2項により、26年2月分として18万4349円および同年3月分以降
毎月21万9000円の賃金請求権を有する。

▼ N社においては毎年6月と12月に賞与が支給されるところ、本件解雇前のXの
各期の賞与は23万2022円である。XはN社に対し、民法536条2項により、26年6月
末日から毎年6月および12月に各23万2022円の賞与請求権を有する。



━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 4.  判決の要旨は?
━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━…‥

▼ Xの勤務成績の著しい不良は長年にわたるものであり、その程度は深刻であるば
かりか、その勤務態度等に鑑みると、もはや改善、向上の見込みがないと評価され
てもやむを得ないものである。

▼ N社はかようなXに対し、人事考課、賞与考課のフィードバック等を通じて注意
喚起を続け、かつ、在籍出向を命じるなどして解雇を回避すべく対応しているもの
であって、手続面でも格別問題のない対応をしていると認められる。

▼ このような点に鑑みれば、本件解雇は客観的に合理的な理由を有し、社会通念上
相当と認められるものであって、有効と認められる。

1)本件訴えのうち、本判決確定日の翌日以降に発生する賃金および賞与ならびに
  これらに対する遅延損害金の支払を求める部分は不適法であるから却下する。
2)Xのその余の請求を棄却する。
3)訴訟費用はXの負担とする。

※ 本件は、『労働経済判例速報』平成29年5月30日号(日本経済団体連合会
労政第二本部 編)を参考に編集しています。


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■ 編集後記

昨日記者会見をした日大アメフト部の選手。政治家、官僚、経営者あるいは芸能人
等の大人のあまり潔いとはいえない見苦しい姿を何度も見てきたので、その態度は
余計に光って見えました。世の中は潔い人間を決して見捨てはしないと思います。
そのような意味で一石を投じた会見になった感があります。

次号では、時間外労働の限度基準を超える定額残業手当について争われた事例を取
り上げる予定です。なお、次回配信日は6月6日(水)となります。(Y)


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※ 当マガジンでは、会社側の主張、争点に対する裁判所の判断の詳細はあえて割愛
しています。これは裁判の結果(勝訴・敗訴)ではなく、争点が生じた原因を探る
ことに重きを置いているためです。もちろん従業員側の主張の全てが真実というわ
けではありませんが、訴えられる余地を最小限に抑えることによって、無用な争い
を事前に回避することが可能になると考えます。株式会社リーガル・リテラシーは、
裁判で勝てる・負けない会社作りよりも社員にケンカを売られない社内環境作りを
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□ 編集担当者 荻野 泰男(社会保険労務士)

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