欧州映画紀行

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ヨーロッパ映画専門マガジン。フランス映画を中心に、レンタルビデオで見られる欧州各国の秀作を紹介します。作品中の町並みや物語を通して、家にいながら欧州旅行をしてみませんか?作品理解に役立つコラムも充実。

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メルマガ名
欧州映画紀行
発行周期
ほぼ 週刊
最終発行日
2018年01月21日
 
発行部数
424部
メルマガID
0000131928
形式
PC・携帯向け/テキスト形式
カテゴリ
エンターテイメント > 映画 > レビュー・映画評

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欧 州 映 画 紀 行
              No.268   18.01.21配信
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「ここじゃない何処か」に行ってしまいたい、あなたのための映画案内。
週末は、ビデオ鑑賞でヨーロッパに逃避旅行しませんか?
フランス映画を中心に、おすすめの欧州映画をご紹介いたします。

★ ありがちな教訓は期待しないこと ★

作品はこちら
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タイトル:『ロックンロール』
製作:フランス/2017年
原題:Rock'n Roll

監督・共同脚本:ギョーム・カネ(Guillaume Canet)
出演:ギョーム・カネ、マリオン・コティヤール、ジル・ルルーシュ、
   カミーユ・ロウ、イヴァン・アタル、ジョニー・アリディ
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■STORY&COMMENT
ギョーム・カネ、43 歳。有名俳優として順風満帆の人生だと思っていた。しか
し、雑誌のインタビューでは「年齢を重ねてきたこと」を話題にされ、共演す
る若い女優からもすっかりおっさん扱いされていることに落胆し、変革を起こ
そうとする。
定時に家に直行していたのを、夜遊びを盛んにしてみたり、服装を「ロック」
にしてみたり、まだまだ「イケてる」ことを示したいが、家族や事務所は困惑
し、指示通り演技をしないギョームに、撮影現場は大混乱を起こし……

本人が本人役で出演し、パートナーの女優マリオン・コティヤールと息子、友
人の俳優たちも本人役で出演する、ドキュメンタリー風に見せたフィクション。

オスカーもとったマリオン・コティヤールに置いていかれ気味に見えるところ、
なんとなくお坊ちゃん的なところなんかは、実際にそういうイメージを抱かれ
がちなところを利用して、「ありそう」と思わせて、「さあどこまでほんとか
な」と遊び心を押し出す映画だなあ、なんて観ていたのだ。

それも決して間違いではない。
乗馬好きなおとなしいおっさんと見られるのがいやで、革ジャンを着てみたり、
クラブで遊び回ってドラッグをやってみたり。お約束ごとじゃない、型にはま
らないタイプになってみようと、脚本無視の演技をしてみたり。
やっていることは小学生か中学生の反抗期のようで、微笑ましいやら、めんど
くさいやら、なのだが、老けるのがいやでボトックスに手をそめてマリオンに
心配されると、そこは子どもにはない悲哀があったり。
華やかな世界に身を置く俳優も、いろいろ悩むんだねえ、なんてありそうな、
でもなさそうなリアリティを楽しんでいた。

奇行を続けに続け、なかなか「元の自分、そのままでいいじゃん」ということ
に気づかないギョーム、容姿もだんだん変わっていって、終盤に近づくにつれ
て、「いったいこの物語、どこにどう落とすんだろう」と、落ち着かなくなっ
てくる。

ラストに向かい、ありがちな教訓やら、お約束やら、収束する着地点やら、そ
んなものはどこかにぷうと吹っ飛んでいく。ここでこうして語っている私もな
んとなくバカっぽく見えてくるバカバカしさとくだらなさで、走り抜けていく。
決してありがたい教訓なんか望めない展開を、ぜひ楽しんで!

■COLUMN
パートナーのマリオンと比べられて、劣等感と焦りを抱くギョーム・カネが本
人役。自ら脚本・監督も、という内容を聞いて、イヴァン・アタルの『僕の妻
はシャルロット・ゲンズブール』を思い出した。
シャルロット・ゲンズブールと、実際に彼女の夫であるイヴァン・アタル、そ
れぞれ本人役を演じる作品だが、このときイヴァンは、ジャーナリストという
設定だった。
(メルマガのバックナンバー:http://oushueiga.net/back/film015.html)

そしたら、この『ロックンロール』には、イヴァン・アタルがちゃんとイヴァ
ン・アタル役で出演し、兄弟のアラン・アタルとともに、ギョームが出演する
映画のプロデューサーという設定になっていた。
実際の作品ポスターを背景に、『僕の妻はシャルロット・ゲンズブール』の話
をするというシーンもあって、「あれのギョーム版をやろう」というところか
らはじまったのかもしれない。アラン・アタルは現実に、この『ロックンロー
ル』のプロデューサーである。

昨年亡くなったときには、大統領もコメントを出したフランスのロックスター・
ジョニー・アリディも出演し(ギョームがロックな生き方について教えを請い
にいくのだ)、華やかな芸能界の内実を垣間見せる作品だが、日本だったら、
業界の闇を探られかねない、ドラッグのシーンやらは、もっといろいろ慮った
感じにつくられるのだはないかと思う。

もちろん、どちらの国でもフィクションだと受け取ってもらえるだろうが、日
本であればもっと漠然としたイメージを気にするのではないかと。「冗談です。
つくり話です」で、済まないことが出てきてしまうのではないかな。
そんな風に想像することも、「空気を読む」ことに加担しているといえば、そ
うなのだが、お国柄を考える作品でもあった。

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★今回取り上げた『ロックンロール』は、開催中の「マイ・フレンチ・フィル
ム・フェスティバル」に参加している作品です。
1月19日(金)〜2月19日(月)まで、オンラインで長編12本、短編14本を観る
ことができます。短編の視聴は無料、長編は1本1.99ユーロ。長編を全部観られ
るパックは7.99ユーロ。

AmazonビデオやiTunesでも1本200円でレンタルできます。この作品1本を観るな
ら、その方が便利でお得です。購入しても500円だそうです。

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