栗野的視点

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「中小企業の活性化」をテーマにしたジャーナリスト・栗野 良の経営・社会評論。「九州・岡山の技術」「九州の頑張る企業」も紹介。ベンチャーサポート組織「リエゾン九州」代表。最近は中小企業の活性化、流通、経営に関する講演活動を精力的に行っている。

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メルマガ名
栗野的視点
発行周期
ほぼ 週刊
最終発行日
2018年05月13日
 
発行部数
262部
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PC・携帯向け/テキスト形式
カテゴリ
ビジネス・キャリア > 経営 > その他

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◆メディアの「強いものに巻かれろ」化

 次は「緩変」「ゆでガエル」の話題。この頃、TVが面白くないこともあり、田
舎に滞在中はほとんどTVをつけない。せいぜい昼食時と、夕食時にニュースを観
るぐらいだがニュース番組も面白くないので、最近はニュースも観なくなった。
 ニュースに面白いも面白くないもないだろうと言われそうだが、どのチャンネ
ルでも同じような事件を同じような切り口で繰り返し流されれば面白くないとい
うかうんざりする。だったら観なければいいではないかと言われればその通りで、
このところ福岡にいる時でもニュースさえ観なくなった。
 まあ、TVに限らずメディアの画一化傾向は今に始まったわけではないが、ます
ます酷くなるのを見ていると不安に駆られる。

 昔、キャビンクルー(客室乗務員)が機内食を運んできて「meat or fish?」
と尋ね、「meat」と乗客が言うと「fish.it's only」と客室乗務員が答えるCMが
流れていたのをご記憶だろうか。
 人をバカにしたようなCM(の場面)だが、このCMの面白さ(小バカさ加減)は、
さも肉か魚を選べるような聞き方をしながら、実は魚しか選べないという点だ。
 笑えないのは、こうしたことが現実世界で案外見られるからである。一見、選
択肢があるように見せながら実は選択肢がないだけではなく、その1つのものを
自分で選んだと思わせられている。そう、カードマジックでよく見られるシーン
だ。マジックの場合はマジックと分かりながら見ているからまだいい。それでも
欺されるが。
 もし、これが現実世界で行われていたらどうか。自分で選択したのではなく、
選択させられていたのだとすれば。

 実はつい最近、それに似たようなことを報道各社が行っていた。TOKIOのメン
バー(当時)山口達也が起こした強制わいせつ事件の報道である。どのチャンネ
ルも繰り返し、この事件を取り上げるのには辟易したが、疑問を感じたのは「山
口メンバー」という呼称である。なぜ「山口達也」でも「山口達也容疑者」でも
なく「山口メンバー」なのか。
 恐らくこの呼称に対して違和感を感じている人が結構いたのだろう。朝日新聞
は5月11日付の紙面で<なぜ山口達也「メンバー」? あの事件、あの人の呼称
は>と題した記事を書き、次のように弁明している。

 <朝日新聞ではかつて、刑事事件の容疑者を原則として呼び捨てで報道してい
たが、人権への配慮から1989年、逮捕された人を原則として「容疑者」と呼
ぶ方針に変わった。書類送検の場合は、事件事故の報道の際の表記のガイドライ
ンに基づき、事案の軽重や当事者の属性などを踏まえて実名か匿名か、どのよう
な呼称にするかを個別に判断することとしている。>

 一見もっともらしい説明である。しかも「どのような呼称にするかを個別に判
断する」と逃げている。つまり明確なルールはない。その時々で呼称を変えるか
ら「メンバー」と表記しようと「容疑者」と表記しようと自由だ、と言っている
のだ。
 第一、そんな弁明を紙面でいちいちしなければならない方がおかしい。これが
スポーツ新聞なら(失礼)まだ分からないことはない。だが、天下の朝日新聞が、
いやお堅い一般紙がわざわざ紙面を割いて弁明しなければいけないところにこそ
問題がある。朝日新聞も芸能新聞になってしまったのか、朝日の矜持はどこへ行
ったのだ、というのは大袈裟過ぎるだろうか。

 朝日新聞に限ることではなく他紙やTV各局は一様に「メンバー」という呼称を
使っている。例外は読売新聞の「容疑者」と日刊スポーツの呼び捨てだった(も
しかするとほかにもあったかもしれないが、私の知る範囲では)。朝日新聞より
系列スポーツ紙の方が余程潔い。
 今回の事件は強制わいせつ事件である。最終的には被害者と示談が成立してお
り不起訴となったが書類送検もされた事件だ。しかも相手は未成年。それなのに
メディア各社の「メンバー」連呼は何だ。

 ここでちょっと前の事件、草彅剛氏が酔って公園で裸になったとして逮捕され
た事件(不起訴)を思い出して欲しい。公然わいせつ罪だったが、草彅容疑者と
いう呼称が使われている。この2つを比較するだけでも、今回の「メンバー」呼
称に違和感を感じた人は多いだろう。
 ついでに言うと、無理矢理キスを迫って「強制わいせつ」という表現にも疑問
を感じるが、その点は置くとしても、強制わいせつで書類送検された(少なくと
も不起訴処分になる前)段階でさえ「山口メンバー」という呼称を連呼するのに
は強い違和感を感じる。そして前述の朝日新聞のような「言い分け」を鵜呑みに
している人達がある程度いたことに対しても。

 メディアによる呼称の使い方は強いものへの「忖度」である。タレントを抱え
る芸能事務所にしてみれば所属タレントが「容疑者」と呼ばれるのは好まない。
タレントはイメージ商売だから、そのイメージが著しく傷付くことになるのはな
んとしても避けたいところだろう。
 一方、メディアの方は芸能事務所との良好な関係を続けたい。逆に言えば、芸
能事務所から今後、他の所属タレントも出演させないと言われることを恐れるわ
けだ。特に力のある芸能事務所の機嫌を損ねることは営業上極力避けたい。
 かくして双方の思惑が一致し、「忖度」が行われ(芸能事務所からの圧力とま
では言わないが)、今回のような呼称が使われることになる。

 怖いのはメディアのこうした姿勢が深く静かに、そして急速に広まりつつある
ことだ。
 たかがタレントの呼称1つと思うかもしれないが、ひとたび矜持を失ったメデ
ィアは次から次へとなし崩し的に後退していく。気が付けば強いものに巻かれて
しまい、言われるがままの情報を流し、国民を選択肢がない「it's only」状態
に導いていく。

 メディアが本来果たすべき「権力の監視」を放棄すれば、それは自らの死を意
味する。その瀬戸際に今立たされているという自覚がメディアに欠如しているこ
とが怖い。
 大政翼賛会のようになるなという野中広務氏の警告、遺言を我々は、なかでも
メディアに従事している人々は思い起こし、肝に銘ずべきだろう。かつてメディ
アは大本営発表の情報を鵜呑みにし(強いものに巻かれ)、国民に誤った情報を
伝え、戦争への道を突き進んでいった。いままた同じ過ちを繰り返そうとしてい
るように見える。
 野中広務、山崎拓、古賀誠といった自民党員ながらも筋を通してきた政治家が
亡くなったり、1線を退いた今、自民党や政府で活動している政治家は戦争を知
らない世代、「ノーと言えない」世代ばかり。禅譲を期待したり、空気を読んで
動向を決めてどうする。理念、信条はないのか、と言いたい。
 今、「ダメなものはダメ」と言い、「やるっきゃない」と、それこそ「岩盤に
穴を開ける」政治家はいないのか。辛うじて野田聖子氏あたりがそれに入るか入
らないかという程度だろう。
 政治家がこれだからメディアは推して知るべし。考えているのは視聴率とスポ
ンサーのことだけ。その結果が愚にもつかない言い分けで、国民を「ゆでガエル」
にしてしまう。
 立憲民主党の支持が広がりを見せているのも、筋を通さない政治、「強いもの
には巻かれろ」化のメディアに対する反発からだろう。
 我々は「居心地のいい社会」に慣れすぎて、あまりにも警戒心を失い過ぎてい
る。今必要なのは研ぎ澄まされた獣の精神を取り戻すことではないだろうか。


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栗野 良
 ジャーナリスト(Technology & Economy)

OFFICE KURINO 〒811-1362
福岡市南区長住5-11-23-403
 Skype:kurino30
 
 E-mail kurino@liaison-q.com
 HP  http://www.liaison-q.com(九州・岡山の技術・頑張る企業収録)
 
 ブログ「栗野的視点~ジャーナリスト・栗野の辛口コラム」
       http://blog.goo.ne.jp/kurino30
 ブログ「栗野的風景~フォトエッセー」
      http://blog.livedoor.jp/kurino30/
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