千字一話物語

  • ¥0

    無料

川崎ゆきおの千字程度の不思議な小説。

著者サイト
 

メールマガジンを登録(無料)

もしくは

※ 各サービスのリンクをクリックすると認証画面に移動します。
※ 各サービスで登録しているメールアドレス宛に届きます。

メールマガジンを解除

もしくは

※ 各サービスのリンクをクリックすると認証画面に移動します。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
 
メルマガ名
千字一話物語
発行周期
ほぼ毎日
最終発行日
2017年07月21日
 
発行部数
85部
メルマガID
0000192904
形式
PC・携帯向け/テキスト形式
カテゴリ
アート・文芸 > 文芸 > 小説

まぐまぐ!メールマガジンの用語集です。
下記の用語以外の不明な点はこちらをご覧ください。

 
発行周期
週1回、月1回などの発行頻度です。
部数
メルマガの配信数を記しています。
カテゴリ
まぐまぐ!に登録されているカテゴリです。
形式
メルマガには以下の配信形式があります。下部「メルマガ形式」をご参照下さい。
 
最終発行日
最後にメルマガが配信された日付です。
メルマガID
メルマガを特定するIDです。
RSSフィード
RSSを登録すると、更新情報を受け取ることができます。

― メルマガ形式 ―

  • PC向け
    パソコンでの閲覧に最適化したメルマガ
  • 携帯向け
    スマートフォンやフィーチャーフォンでの
  • PC・携帯向け
    PC・携帯どちらでも快適にご購読いただけます。
  • テキスト形式
    文書だけで構成された、一般的なメールです。
  • HTML形式
    ホームページのように文字や画像が装飾されたメールです。
  • テキスト・HTML形式
    号によって形式が変更する場合があります。

閉じる

メールマガジン最新号

■■■■

■   千字一話物語 川崎ゆきお  

■■

   2841 鰻重

 まだ夏バテではないが、そろそろバテてく
るだろうという頃、土用のウナギの日を思い
出し、平田はウナギを食べることにした。子
供の頃は、この土用を土曜と勘違いしており、
波の高くなる頃の土用波も土曜になると波が
高くなるのかと勘違い。年中海を見ていれば
その程度のことは分かるが、海水浴で行く程
度。だから土曜日は行かないものと思ってい
た。
 さて、ウナギだが、近所の弁当屋に鰻重が
ある。その近くの牛丼屋には鰻丼もあるが、
ここは鰻重だろう。
 それで弁当屋へ行ったのだが、その手前で
自転車が多いのが見え、さらに近付くと、店
内で待っている人が多数おり、椅子はふさが
り、立っている人もいる。自転車の客だけで
はなく、駐車場もあり、そこも満車に近い。
これはさっと買って、さっと食べられない。
それだけのことで、平田は鰻重を諦めた。待
つだけのスタミナがなかったわけではないが、
待ってまで買うほどでもない。単に夕食を食
べるだけなので、他のものでもかまわない。
 その通りにはファミレスやラーメン屋、多
国籍料理店など、いくらでもあるが、一人の
場合、そういった張り切った店には入りたく
ない。コンビニで弁当を買った方がすんなり
といく。
 今回、鰻重はすんなりとはいかなかったの
で、その近くにあるスーパーへ行くことにし
た。そこでウナギを買うわけではなく、普通
の弁当を買うためだ。コンビニや弁当屋のよ
り盛りが多く安い。それですっかりウナギを
食べる特別な日から、普段のコースに戻って
しまった。
 その弁当屋の前からいつものスーパーへ寄
ることになったのだが、いつもは家から西へ
向かうのだが、その日は北西へ向かうことに
なる。方角は分かっているが、滅多に立ち入
らない場所。昔の農村がまだ残っており、弁
当屋もコンビニもスーパーも、その村の町名
だ。昔は田んぼだった場所。
 その村の中心部を通り抜けるコースになる。
平田は自転車でウロウロするタイプだが、こ
の旧農村時代の中心部へは滅多に行かない。
用事がないためだ。よくウロウロ自転車で走
ってはいるが、それは目的地までの移動で、
散策ではない。
 スーパーで弁当を買うのなら時間が問題に
なる。夕方前でまだ早い。その時間ではまだ
値引率が低いのだ。閉まりがけなら半額にな
るが、そこまでは待てない。
 それで、できるだけゆっくりとスーパーへ
向かうことにした。弁当屋から西へ向かった。
大きな古書店があり、その辺りが村と村との
境界線だったはず。さらに西へ向かいすぎる
と、行き過ぎになる。案の定、行き過ぎてし
まい。慌てて、舵を切った。村の中央部を抜
ければ、ちょうどいい角度からスーパーへ行
ける。
 村のシンボルだった神社の大きな茂みが見
えてきた。神木が何本もあるのだろう。大木
が集まる林。それが一本の大木のように遠く
から見える。実は別々の木なのだ。
 その下を通過したところから農村時代の建
物が見える。狭い路地だ。大きな道は中央部
にはない。この村の家は、一カ所に全て集ま
っている。そして周囲は田んぼ。今では取り
残された一角だが、どの家も大きく、武家屋
敷のような屋根のある門や土塀がある。ここ
だけは時代劇をまだやっているようなものだ。
 普段、ここまで足を伸ばす用事はない。ス
ーパーの西へ行く用事がないためだ。
 狭い路地は急に塀にぶつかり、直進できな
かったりする。まるで迷路のように入り込ん
でおり、通れると思って進むと、農家の庭に
出てしまったりする。その家の専用路だろう。
 日はまだ上にあるが、曇りだし、太陽の位
置が分からない。日は西に沈む。だから夕日
を背にして進めばスーパーに出るはずなのだ
が、その目印がない。もう方角が分からない。
分かっていても、そちらへ向かう道がなかっ
たりする。
 それで、ぐるぐる村の路地を回っているう
ちに、見たことのある場所に何度も出る。火
の見櫓跡だろうか。もう使われていない消防
団の倉庫もある。
 結局、村の人らしい自転車のおじさんのあ
とを付いて走ると、普通の住宅地に出た。大
きな道も見えてきた。そしてスーパーの位置
も確認できた。
 あとで、地図で見ると、村名や町名とは別
に、狐塚とか、車塚などの旧地名も書かれて
いた。今は番地としては使われていない。
 スーパーの総菜コーナーへ行くと、何と鰻
重が並んでいた。最初からここへ来ればよか
ったのだ。
 
   了




■■■■■ ■  ■

ww8y-kwsk@asahi-net.or.jp
http://kawasakiyukio.com/




メルマガ全文を読む
 

▲ページトップへ

▲ページトップへ