千字一話物語

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■   千字一話物語 川崎ゆきお  

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   2782 地獄のボイラーマン

 湯屋の裏口に小鬼が訪ねてきた。雇って欲
しいという。よく見ると小さな年寄りだ。丁
度釜焚きの家に不幸があり、国へ帰っている。
他にも釜焚きはいるが、遊び人で当てになら
ない。湯屋の主は雇うことにしたが、経験を
問う。つまりボイラーマンとしてそれなりに
経験が無いと、すぐには間に合わない。
 小鬼は地獄で釜焚きだったが、年を取り定
年退職したようなもので、職を失った。若い
頃から地獄の釜湯を焚いているので、ボイラ
ーマンとしての経験は十分。しかし、湯加減
が問題だ。
 地獄の釜は盆だけ火が消える。だからほぼ
年中無休で働いていたことになる。この湯屋
は休みが多く、週休二日だ。
 老いた小鬼は身体は小さいが力持ちで、娑
婆の風呂焚き程度なら問題は何もない。地獄
の釜湯と違い、薪を使っているのが新鮮なよ
うで、地獄では今で言う石炭を使っていた。
燃える石だ。
 そのためか、全身が黒い。スス焼けしたの
だろう。だから、この湯屋では黒鬼どんと呼
ばれることになった。
 地獄の釜湯を焚いていただけに、その仕事
ぶりは素晴らしかったのだが、湯加減を知ら
ない。
 つまり、この風呂焚きに変えてからもの凄
く湯が熱くなった。それを好む客と、熱くて
入れないという客もいたが、当時は直接湯に
入るのではなく、湯気だけで良かったので、
それほど問題にはならなかった。
 また、湯屋で喧嘩などがあったとき、この
黒鬼どんが活躍した。そこは鬼だけあって身
体は小さく老いてもものすごい力がある。黒
鬼どんに敵う客がいない。
 湯女と悶着を起こした関取りを投げ飛ばし
たことで、角界へ来ないかと、この関取に誘
われた。
 しかし、この黒鬼どん、ボイラーマン一筋
のためか、釜焚きがよほど好きなようで、そ
れには乗らなかった。
 黒鬼どんは湯女にも人気があり、地獄で煮
え湯に入って鳴き叫んでいる人間ばかり見て
きたので、ここはまるで極楽だ。
 黒鬼どんを雇った主人が亡くなり、その息
子からさらに孫の代になったが、まだ黒鬼ど
んはいる。かなり長寿だったらしいが、墓は
なく、いつあの世へ行ったのかは分からない
が、あの世とは生まれ故郷の地獄なので、単
に帰っただけのことだろう。
 
   了



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ww8y-kwsk@asahi-net.or.jp
http://kawasakiyukio.com/





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メルマガ名
千字一話物語
発行周期
ほぼ毎日
最終発行日
2017年05月23日
 
発行部数
87部
メルマガID
0000192904
形式
PC・携帯向け/テキスト形式
カテゴリ
アート・文芸 > 文芸 > 小説

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