著作権判例速報

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最高裁判所サイトで公表された最新の著作権判例について行政書士大塚大(東京都行政書士会知財担当理事)が紹介しています。2006年4月配信開始。年間50件程度。法務,不正競争防止法,ライセンス,フランチャイズ事件もブログ「駒沢公園行政書士事務所日記」で掲載中です。 知財,音楽,漫画,ゲーム,アニメ,法律,プログラム,ソフト,イラスト,広告代理店,出版,起業,営業秘密,知的財産管理技能検定,弁理士,弁護士,司法書士,社会保険労務士,特許,商標,意匠,請負,イラスト,写真,資産

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著作権判例速報
発行周期
月に3~4回程度の配信となります
最終発行日
2018年04月09日
 
発行部数
1,206部
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カテゴリ
ニュース・情報源 > 一般ニュース > 社会

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◆◇著作権判例速報◇◆  配信2018/4/9
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こんにちは!駒沢公園行政書士事務所日記メルマガです。
http://ootsuka.livedoor.biz/archives/52517936.html
最高裁判所ウェブサイト掲載日2018/4/3
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

写真素材集無断イラストトレース事件

東京地裁平成30.3.29平成29(ワ)672等損害賠償請求事件
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/634/087634_hanrei.pdf
別紙1
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/634/087634_option1.pdf
別紙2
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/634/087634_option2.pdf

東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 沖中康人
裁判官    広瀬達人
裁判官    高櫻慎平

*裁判所サイト公表 2018.04.03
*キーワード:写真、イラスト、著作物性、複製、翻案、トレース

   --------------------

■事案

写真からトレースしてイラスト化した場合の複製、翻案の限界事例

本訴原告兼反訴被告:ストックフォト会社
本訴被告兼反訴原告:同人誌制作者

   --------------------

■結論

本訴、反訴請求棄却

   --------------------

■争点

条文 著作権法2条1項1号、2条1項15号、27条

1 本件写真素材は著作物に当たるか
2 被告は本件写真素材に係る著作権を侵害したか
3 原告は本件写真素材の著作権者か
4 原告の請求が不法行為に当たるか

   --------------------

■事案の概要

『本件は,原告が,被告において原告の販売する写真素材を原告に無断
でイラスト化して自らの作品に使用して販売した行為が,原告の当該写
真素材に係る著作権(複製権,翻案権及び譲渡権)を侵害すると主張し
て,被告に対し,不法行為に基づき,損害賠償金62万3000円及び
これに対する不法行為後である平成28年10月1日から支払済みまで
商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める(本訴)の
に対し,被告が,本件本訴の提起を含む原告による過大な損害賠償請求
等が不法行為に当たると主張して,原告に対し,不法行為に基づき,損
害賠償金9万2200円及びこれに対する不法行為後である平成29年
5月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金
の支払を求める(反訴)事案である。』
(1頁以下)

<経緯>

H19.11 原告が企画して本件写真素材「コーヒーを飲む男性」撮影
    原告が本件写真素材集CDを訴外ジーアンドイーを通じて販売
H27.10 被告が同人誌50冊販売
H28.07 被告が訴外ジーアンドイー、原告に謝罪
H28.10 原告が少額訴訟で提訴

   --------------------

■判決内容

<争点>

1 本件写真素材は著作物に当たるか

本件写真素材「コーヒーを飲む男性」は、右手にコーヒーカップを持ち、
やや左にうつむきながらコーヒーカップを口元付近に保持している男性
を被写体としたものでしたが、裁判所は、写真の著作物性(著作権法2
条1項1号)の意義について言及した上で、本件写真素材の著作物性を
肯定しています(11頁以下)。

   --------------------

2 被告は本件写真素材に係る著作権を侵害したか

原告は、被告が本件写真素材を原告に無断でトレースし、小説同人誌の
裏表紙のイラストに使用して当該小説同人誌を販売した行為は、原告の
本件写真素材に係る著作権(複製権、翻案権及び譲渡権)を侵害したも
のであると主張しました(12頁以下)。
この点について、裁判所は、複製及び翻案の意義について言及した上で、
本件写真素材と本件イラストの相違点を検討。
結論として、『本件イラストは,本件写真素材の総合的表現全体におけ
る表現上の本質的特徴(被写体と光線の関係,色彩の配合,被写体と背
景のコントラスト等)を備えているとはいえず,本件イラストは,本件
写真素材の表現上の本質的な特徴を直接感得させるものとはいえない。』
と裁判所は判断。
本件イラストは本件写真素材の複製にも翻案にも当たらず、被告は本件
写真素材に係る著作権(譲渡権を含め)を侵害していないと判断されて
います。

   --------------------

3 原告は本件写真素材の著作権者か

なお、念のため、として原告が本件写真素材の著作権者かどうかが検討
されていますが、結論として、原告が本件写真素材の著作権者ではない
と判断されています(14頁以下)。

   --------------------

4 原告の請求が不法行為に当たるか

反訴請求において、被告は、一連の原告の行為及びこれに伴う原告の説
明等が、民法90条によって禁止される暴利行為に当たる不当に高額な
損害賠償金をあたかも正当なものであるかのように被告に誤信させる欺
罔行為であって不法行為に当たる、と主張しましたが、裁判所は被告の
主張を認めていません(16頁以下)。

   --------------------

■コメント

裁判所は和解を勧めたのでしょうが、原告が当初から高額な損害金を要
求している(素材集CD販売価格が75点入り4万円で1点トレースし
たところ、当初、損害金54万円を請求。その後29万円)経緯からす
ると、原告は受け容れなかったのでしょう。被告の依拠性が明らかな事
案ですが、提訴をしても敗訴(完敗)の可能性があるという点では、著
作権事案は結果の趨勢について予断を許さない紛争といえます。
また、そもそも論として、原告が本件写真素材の撮影者から著作権譲渡
を受けていたのかどうかについて、本人訴訟ということもあって、原告
側から十分な証拠が示されずに終わっています。
個人的な意見としては、別紙1と別紙2を比較してみると、トレースの
限界事例で、イメージの盗用ともいえるレベルで東京地裁の結論と同じ、
だからこそ和解しておいたほうが完敗はなかったかな、と考えるところ
です(和解しなかった結果として、判決が公開される公益はありますが)。
仮に(原告が著作権者であることが認定されて)知財高裁で判断された
場合、著作権侵害性の肯否の結論がどちらになるかは分からず、写真か
らトレースしてイラスト化した場合の複製、翻案の限界事例として参考
になります。

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後記:昨日はお花祭りということもあってお墓参りに。
   天気が良くて良かったです。
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▼企業内イントラネット配信、業務・勉強会
資料にご自由にお使い下さい。皆様と著作権
問題について認識を共有できれば幸甚です。

執筆者:特定行政書士 大塚 大
駒沢公園行政書士事務所
東京都世田谷区駒沢5-12-7
E-mail:houmu@pc.nifty.jp
http://ootsuka-houmu.com
facebook.com/ootsuka.dai
twitter.com/ootsuka
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