Rashita
ID: 0001185133

Weekly R-style Magazine ~プロトタイプ・シンキング~

Rashita
¥340(税込)/月 初月無料!
毎週 月曜日 今月5/5回(最終 2016/05/30)
PC・携帯向け/テキスト形式
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ID: 0001185133

Weekly R-style Magazine ~プロトタイプ・シンキング~

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

このメルマガはR-styleというブログの運営主である、Rashitaこと倉下忠憲が日々考えていることやブログに書ききれないテーマ、長期的な連載やこぼれ話などを書き綴っていきます。

著者プロフィール

Rashita

1980年生まれ。関西在住。ブロガー&文筆業。コンビニアドバイザー。

2010年8月『Evernote「超」仕事術』執筆。
2011年2月『Evernote「超」知的生産術』執筆。
2011年5月『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』執筆。
2011年9月『クラウド時代のハイブリッド手帳術』執筆。
2012年3月『シゴタノ!手帳術』執筆。
2012年6月『Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術』執筆。
2013年3月『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』執筆。
2013年12月『KDPではじめる セルフパブリッシング』執筆。
2014年4月『BizArts』執筆。
2014年5月『アリスの物語』執筆。
2016年2月『ズボラな僕がEvernoteで情報の片付け達人になった理由』執筆。

仕事術や知的生産について、あるいは「働くこと」などについても考えています。

サンプル号
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Weekly R-style Magazine ~プロトタイプ・シンキング~



――――――――――――――――――――――――2014/08/11 第200号
はじめに
――――――――――――――――
はじめましての方、はじめまして。
毎度おなじみの方、ありがとうございます。

ついに当メルマガも200号を迎えました。つまり、200週目です。

なんとかここまで無遅刻・無欠勤でやってこれました。一年を52週で計算すると、ほぼ4年になります。というか、4周年目も近いということですね。休みなく配信するというのは、当たり前ではあるのですが、こうして無事たどり着いてみると「なかなか、自分も頑張っているじゃないか」と感慨深いものがあります。良いビールで乾杯したいところですね。

あらためて振り返ってみると、どうやら私には「休む」という発想がそもそも欠けているようです。R-styleの毎日更新もスタートさせてから途切れたことがありません。もちろん、ある種の意地で維持している部分もありますが(笑うところですよ)、それ以外にも「休もう」という考えがあまり湧いてこないという、精神的欠落に近い要素もありそうです。

ようするに、発想がコンビニ営業的なのです。

休みが、ない。

お盆や正月には、配信をお休みするメルマガもあるようですが、それはおそらく配信されている方の認知的にそのシーズンがお休みだからでしょう。私は、お盆や正月という言葉を聞いても、一切休みの感覚は湧いていません。むしろ、「あぁ、スタッフが休むから仕事たくさん出ないと〜」という気分になります。

10年以上働いていたせいで、仕事と休みの感覚が完全にコンビニモードになっているのです。

しかし、よくよく考えてみると、フリーランスの物書きはどちらにせよ一年中書き物をすることになるので、この感覚を持っていて良かったのではないか、という気もしてきます。ある意味では、勤勉なわけですから。

とりあえず200号ということで、特別記念な回……、にはなっていません。いつも通りのメルマガです。ただし、「Rashitaの本棚」のコーナーだけは特別回にしました。そこで、これまでの拙著を振り返っています。あと、来週の201号ではこれからの拙著について書いてみようと思います。

お楽しみに。

〜〜〜

Twitterを眺めていたら、『ハイスコアガール』という作品がなにやら話題になっていました。

経緯については以下の記事を参照いただければと思いますが、私はこの事件について特に感慨はありません。まあ、そういうことも起こるかもしれないな、きちんとした対応が必要だな、と感じるくらいです。

『ハイスコアガール』アニメ化の中止・継続は「未定」 自主回収までの経緯(Social News Network)
※ http://snn.getnews.jp/archives/381579

しかし、それとはまったく別に『ハイスコアガール』を読みたくなりました。一応、名前だけは聞いたことがあったのですが、勝手に『〜〜ガール』ものだろう、と無意識でラベリングしていました。実際にどんな作品であるのかは、気にしていなかったのです。

今回経緯を追いかける中で、この漫画が、

 >>
 90年代のアーケードゲームブーム下の日本を舞台に繰り広げられる、大のゲーム好きの主人公・ハルオを中心としたラブコメディ作品
 <<
 
であることを知り、「なにそれ、面白そう」と感じました。ちょうど私がド直球の世代のお話です。

『ベストセラーの世界史』という本の中に、まったく売れていなかった本が発売禁止指定された途端飛ぶように売れ始めた、というヨーロッパのお話が登場します。だから、教会などに喧嘩を売るような本を書くと、爆発的に売れる可能性が(かなり低いにせよ)あったのです。

おそらくそれは「禁止されるような本なのだから、すごいことが書いてあるに違いない」という期待感と、「今買っておかないと、読めなくなる」という切望感の両方が刺激されるからなのでしょう。

が、今回のこの『ハイスコアガール』が読みたくなった気持ちは、上のような感覚とは関係がありません。単に、内容を知って興味が出た、というだけの話です。

つまり、良いニュースであれ悪いニュースであれ、とにかくニュースで取り上げられると、それだけで単純かつ強力な「広告効果」が機能するということなのでしょう。しかも、こうした社会性のあるニュースは、趣味のクラスタを越えて広がります。話題が大きくなれば、テレビのニュースで取り上げられるかもしれません。

もともと読む気がない人は、ニュースで見かけても変化はないでしょうが、「作品を知っていたら読んだはずに違いない」層に届くのですから、これは大きな宣伝になります。もちろん、悪いニュースを知ることによって、もともと読んでいた人が離れる可能性もありますが、新しい読者獲得効果の方が大きいかもしれません。

一昔前には炎上ブロガーなんて存在もいましたが、その人たちが使う炎上手法も、単に野次馬を集めて広告料を稼ぐだけでなく、炎上ブロガーの思想に感銘を受ける人を広く集める効果もあったのかもしれません。ちなみに、わざと過去形で書いています。

もちろん、この話は「作品を広く知らしめたいなら、著作権を気にせずに本を書け」という教訓を導くものではありません。そうした行いは、最低とまでは言いませんが、どう考えたところで褒められた手法ではありません。「つい、うっかり」ならともかく、意図的にやるのはパブリッシャーとしてのモラル欠如です。

そうしたモラル欠如の手法ではなく、「クラスタを越えて広がる情報」の大切さを知っておくのが肝だと感じます。そうでないと、同じ規模でグルグル回るだけでなく、その輪がどんどん小さくなっていくことすらあり得ますので。

〜〜〜

さて、今週のQ(キュー)。正解のない単なる問いかけです。頭のウォーミングアップ代わりに考えてみてください。

Q.普段、自分のクラスタを越えるような情報ソースと接しているでしょうか。あるいは、自分のクラスタ外に情報を届ける手段をお持ちでしょうか。

では、メルマガ本編スタートしましょう。

今週もノージャンルのコンテンツをお楽しみくださいませ。

――――――――――――――――
2014/08/11 第200号の目次
――――――――――――――――

○ブログを10年続けて、僕が考えたこと vol.09「ブロガーとは何か?」
 ブログにまつわる話をいろいろ書いていくコーナー。

○BrtNotebooShe #13
 僕と不思議なノートとの、ハックストーリー。

○僕らの生存戦略 vol.12 「軽さの先に見えてくるもの」
 手探り中の新連載。

○Rashitaの本棚 「これまでの拙著」
 Rashitaの本棚から一冊紹介するコーナー。新刊あり古本あり。

○知的生産エッセイ 「本というまとまり」
 物を書くことや考えることについてのエッセイです。

※ePub版は以下のリンクからダウンロードできます。
(サンプル版につき、URLは省略)

※質問、ツッコミ、要望、etc.お待ちしております。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
○ブログを10年続けて、僕が考えたこと vol.09「ブロガーとは何か?」

思い返してみると、私がブログを始めた当初は、「ブロガー」という呼び方はあまり使われていませんでした。

「ブログの管理人さん」といった呼び方が一般的だったように思います。おそらくHTMLサイトの管理人がブログ主に移行した事例が多かったからでしょう。だから、管理者や運営者といった呼称がごく普通に使われていました。

今ではそうした呼称の方が、不自然な感じすらします。「ブロガー」はいつからか、私たちの言葉遣いに浸透しました。

しかし、日常的に使っているからと言って、その定義をしっかり掴まえられているとは限りません。実際、「ブロガー」の定義は難しいものです。

ブログサイトを持っていれば、ブロガーと呼べるでしょうか。

ブログは無料で作れるツールです。メールアドレスさえあれば誰しもが開設できます。では、そうした人々が皆ブロガーなのでしょうか。いささか厳しいものがありそうです。

「ブロガー」と呼ぶには、ブログを持ち、それを定期的に更新している状況が必要でしょう。

では、その定期的とはどのぐらいの間隔でしょうか。毎日? 一週間に一回? 一ヶ月に一回?

ほとんど更新がないにもかかわらず、更新したらたくさんアクセスを集める人もいます。その人はブロガーなのでしょうか。それとも違うのでしょうか。

なぜ、定義の話をしているのかというと、ときどき答えに困る質問をいただくからです。その質問とは、「私、ブロガーになりたいんです。どうしたらいいですか?」というもの。

ブロガーの定義が、ブログを所有している人を指すなら答えは簡単です。「今すぐ、ブログを始めてください」。しかし、質問者の訊きたいことは、きっとそういうものではないでしょう。だから、もう少し踏み込んで「毎週一回でも、ブログを更新しましょう」となります。でも、その答えで本当に正しいのかは少し疑問です。

残念ながら、その疑問に対する答えはありません。あるレベルを超えたらブロガー、そうじゃなければブロガーにあらず、という単純なものではないからです。だから、答えるのが大変に難しいのです。

あるいは、別の方向からブロガーの定義について考えることもできるかもしれません。

誰に言われなくても、何一つ強制がなくても、ブログを更新する人。ブログを更新してしまう人。ブログ更新の内燃機関を持っている人。

言い換えれば、ブログを書く意義を自らで持っている人。

そうした人をブロガーと呼んでみるのはどうでしょうか。

この定義に従えば、「ブログを更新すると良いことありますよ」と誰かから言われてブログを更新している人は、まだブロガーではありません。いわば見習いブロガーです。そういう段階を通り抜けて、「なるほど、これは楽しいものだ」「こんなに面白いのか」と納得し、ついついブログを更新してしまう人。ブログに文章を書いてしまう人。

それをブロガーと呼ぶわけです。

そうした人は、結果的にブログを定期更新することになるので、最初に挙げた条件を満たすことになります。多少忙しくて更新頻度が落ちても、書きたい気持ちがあるのならば、いずれ記事はアップされるでしょう。更新が空いても大丈夫なわけです。この定義であれば、「最低毎月一回は更新する」といった条件を考えなくても済みます。

その反面、誰かがブロガーであるのかどうかを他人が判定することも難しくなります。なにせ、当人の動機付けの問題なのです
。人の心の内側を覗き込むことはできません。できることと言えば、その人がとった行動から推し量ることぐらいです。

最終的には、ブロガーは自称ということになるのでしょう。物書きとか絵描きと同じです。誰に言われなくても、ブログをついつい書いてしまっている人。ある意味では、性質や属性に近いものかもしれません。

そんなブロガーにも、実はいくつかの種類があります。次回は、それについて考えてみましょう。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
○BrtNotebooShe #13

小説風味の「BNS」の第二部です(毎週更新予定)。

前回分を読み逃してしまった方や、PDFで読みたいよ、という方のために前回分までをアップしてあります。

テキストファイル:(サンプル版につき、URLは省略)
PDF: (サンプル版につき、URLは省略)

―・―・―・―・―・―・―前回まで―・―・―・―・―・―

「知っていると思うけど、これが発注に使う端末。もし落として壊したら、君の月給ぐらいは軽く吹っ飛ぶから注意してね。必ずこの紐で肩からぶら下げて使うこと」
「はい」
「じゃあ、実際にパン発注にチャレンジしてみてください。考え方は、さっきの問題と同じだから」
そう言って店長は発注端末を僕に差し出した。

―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―・―

そこから30分、僕の苦戦が始まった。
発注端末が示すページは52。店長曰く、「発注カテゴリーの中では、そんなに多くないよ」。しかし、1ページに3アイテムが表示されるのだから、合計150以上の発注数を決めなければいけない。1アイテムに1分使ったら、2時間以上もかかることになる。もちろん、そんなに時間はない。居残り研修も受けたくない。
慌てて、数字を入力していく。
僕はうろ覚えで公式を「活用」する。えっと、在庫が10で、平均販売数は……ん? そうかテキストだと平均販売数は問題文に記載されていたけど、「実戦」では自分で計算しなきゃいけないのか。面倒だな……。次の納品日は明日で、その次の納品日は明後日だから、ええっといくつだ。5? まあ、それぐらいでいいか。
さあ、次。在庫が6で、平均販売数が10くらいか、ということは……ん? 発注数を入力する欄が二つある。午前と午後だろうか。
「店長。このパン二箇所入力欄があるんですが」
「一便と三便ね。これは納品時間が違うの。一便は朝、三便は夕方に納品されます。同じ日の納品なんだけど、三便の方が品管が一日長くなるから、できるだけ三便に寄せて発注してみて」
品管(品質管理期間)が長いということは、それだけ長く販売できるということだ。たしかに6時間程度の納品時間の違いで、販売日数が一日延びるなら、三便で発注した方が効率が良い。僕は、しばらく発注数を考え、一便を0個、三便を10個と入力した。
さて、次。
パンの在庫数を確認して、平均販売数を計算し、次の納品数を決める。そして次のパンへ。慣れてくると、どんどんペースが上がっていく。
数字を入力するボタンを押す。決定ボタンを押す。再び数字を入力。決定。ピピピッ、ピピピッ、ピピッピピピ。端末が奏でる効果音が、リズムを刻み始めてきた。そのリズムに乗りながら、どんどん発注数を決めていく。1アイテムに1分も必要ない。10秒もあれば十分だ。
「おいしい食パン」の発注数を入力し、決定ボタンを押したところで、ページが変わらなくなった。ページ数は52。最後のページだ。時計を見るとまだ5分ほど余裕があった。僕は、発注終了ボタンを押す。ページが切り替わり、パンの中分類ごとにトータルの発注数が一覧表示される。画面いっぱいに表示される文字は、もちろん確認したい意欲をそそるものではない。僕は軽やかにスルーして、最終確認のボタンを「はい」と押す。
ディスプレイには、「データを送信します。ターミナルへ設置してください」の文字。僕は店長に「できました」と端末を返す。
「はじめてにしては、なかなか早かったね」
「公式も教えてもらいましたし、機械の操作には慣れてますんで」
パートのおばちゃんの中には、発注端末をひどく恐れる人がいる。何か具体的な理由があるわけではない。ただ、機械だから、という理由で忌避してしまうのだ。
端末のOSは、発注用のデザインされているので、それぞれのステップで細かい指示を出してくれる。それに従っていけば、わけがわからないことにはならない。パソコンのようなキーボードではなく、0〜9の数字と、いくつかのボタンがついているだけなので、携帯電話を操作するのとほとんど変わらないはず。でも、なんだか難しそうという思い込みが、習熟を妨げてしまう。
そうした恐れがない分だけ、僕たちの世代は新しい仕事に取っつきやすい。インターフェースには慣れっこなので、仕事の中身そのものに取り組めるのだ。
「どうだったかしら。困ったところはなかった?」
「ノープロブレムです。簡単ですね。これならやれそうです」
「そう」
頷いた店長は笑っていたが、嬉しそうというよりは面白がっている笑い方だった。何かジョークに受け取られたのだろうか。
「じゃあ、このままの数字でいってもいいかしら」
「もちろん」
僕は自信満々に答える。店長の意図をまるっきり履き違えたまま、頷いてしまう。そして、僕はこの日を繰り返すことになった。

(つづく)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
○僕らの生存戦略 vol.54 「進捗記録:04」

コンテンツの最終的なまとめ作業に入っております。

毎週じわじわと進めていく予定ですが、アウトプットしないとサボリがちなので、当メルマガでその報告をしていきます。

今回から第一章(仮)に着手しました。「ライトな生き方」の章です。

最終的なパブリッシュはEPUBになりますが、閲覧しやすいようにPDFバージョンを作ってみました。ちなみに、今週作成した分オンリーです。コンテンツの全体ではありませんので、ご注意ください。

以下からどうぞ。

(サンプル版につき、URLは省略)

のちのちEPUBに変換しやすいように、引用符が<blockquote></blockquote>とHTMLの直書きになっていたり、見出し部分に###とマークダウンの書式が適用されていますが、軽くスルーしていただけると助かります。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
○Rashitaの本棚 ~Book 温故知新~ 「これまでの拙著」

200号記念ということで、今回はこれまでの拙著を振り返ってみましょう。いわゆる拙著レビューです。

少々長くなりそうですが、お付き合いくださいませ。

・EVERNOTE「超」仕事術(2010/8/18)
記念すべき一冊目の本。

さすがに4年前の本ですので、内容的に古くなっている箇所もずいぶんあります。アプリの画面も古く、リマインダーといった新機能にも言及できていません。

それでも「Evernoteとは何なのか?」という本質的な部分に関する説明は色あせていないと感じます。基本的に、操作説明書ではないので、時間が経っても機能不全になる箇所が少ないのです。

おそらく一冊目の本のときから、「時間が経ってしまうと価値が激減してしまうような本にはしないでおこう」という意志があったように思います。

本作りに関してはズブの素人だったので、編集者さんにずいぶん助けられました。R-styleをお読みの方ならご存じでしょうが、私はわりあいくどくど説明するのが好きです。いわゆる「小難しい」お話を広げていく傾向があるのです。しかし、本書ではそうした話は最小限になっています。編集の力とは、そういうものです。

ちなみに、この本が拙著の中で一番売れています。

・EVERNOTE「超」知的生産術(2011/2/26)
二冊目の本。

一冊目の続編的な位置づけ、と呼べるかどうかは難しいところ。Evernoteの全般的な話から一転して、「知的生産におけるEvernoteの使い方」を紹介した内容になっています。個人的な興味を余すところ無く詰め込んだ一冊です。

よくまあこんな本を書かせてもらえたな、と今振り返ってみると感じます。少なくとも、類書と呼べるような本はその時点ではありませんでした。今でも、少ないかもしれません。

本書から、本作りにおける「構成」を意識し始めています。寄せ集めた5つの章、ではなく、第一章から第二章、第二章から第三章、と展開に流れを作り、全体を通して一つの大きなことを語る、という形です。

ちなみに、「面白かったです」とよく言ってもらえる二つの本のうちの一つです。

・Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング(2011/5/30)
Evernote以外のことについて書いた初めての本。

正直に言って、今振り返ってみると「もう少し違った書き方ができただろう」と感じています。

シンプルに言えば、「ブランディング」という言葉を欲している人と、本書で提供している情報がマッチしていないのです。「すごく有名になりたい。自分のブランドで生きていきたい」という人からすれば、本書の内容はかなり物足りないでしょう。でも、その当時は、そういうことがよくわかっていませんでした。

本を書く、というのはいろいろな方向から言っても難しいものです。

ちなみに、本書が一番売れていないかもしれません。

・クラウド時代のハイブリッド手帳術(2011/9/23)
いわゆるライフハック的な「仕事術」を扱った最初の本。

私自身がIT系では珍しく、紙のツールを愛用しているということで、本書でもスマートフォンを使いながらも、紙の手帳を使う方法を紹介しました。本書の冒頭で「そもそも手帳とは何か?」といったノウハウに直結しない内容が語られていますが、今の私のスタイルに近しい書き方です。

ちなみに、本書の増補改訂版を作ろうか、という話が一度あったのですが、なんとなく立ち消えになりました。

・シゴタノ!手帳術(2012/3/30)
初めての共著。

ライフハック系の人はわりと共著が多いのですが、私はこの本が初めてでした。気心の知れた北さんとの共同作業だったので、ずいぶんやりやすかったです。自分以外の著者による、「本を書く」スタンスに触れたことで、自分の中にある「本を書く」スタンスの視野も広がった気がします。

ちなみに、本書では「ほぼ日手帳」を全面に押し出しているのですが、関係各位への折衝(というのは少々大げさですが)はなかなか大変だったようです。

・Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術 (2012/6/30)
基礎的な発想法について書いた本。

Evernoteの使い方の解説書でもあります。Evernoteってすごいけど、アナログツールもバカにはできないよね。でも、どう使い分ければいいのかわからない人も多いのではないか。という編集者さんからの企画案を頂いて、最終的に「発想とは何か?」というそもそも論から掘り下げていく本になりました。

即効性のあるノウハウを知りたい人には、ほとんど役に立たない本です。

正直この本も、かなり自由気ままに書かせていただきました。。編集者さんの広い懐の中で仕事をさせていただいたな、と感謝しきりです。

ちなみに、「面白かった」とよく言ってもらえる二冊目。

・ソーシャル時代のハイブリッド読書術(2013/3/26)
ビジネス用途ではなく、知的生産よりの読書術を紹介した本。

書店で見かける読書術の大半は「速読して、たくさん本を読みましょう」という内容になっていて、私はそれがすごく不満でした。たしかに、ポジショントーク的に考えれば、本の著者は(ひいては出版社は)たくさん本を読んでくれる読者がいた方が助かります。売り上げが上がる、ということですから。

でも、本との接し方を速読だけで捉えてしまうのは非常にもったいないものです。もちろん、速読にもメリットがあるわけですので、それを全否定はしませんが、じっくり一冊本と向き合う方法も知っておいた方が、豊かな読書人生を送れることでしょう。

という気持ちがスタートになった一冊です。

ちなみに、この本もあまり売れていません。

・シゴタノ!手帳術 [Kindle版](2013/6/21)
初めての電子書籍。

紙の本の電子書籍バージョンなので、特に私が関わった工程はありません。気がついたら、発売されていた、ぐらいの感触です。

ちなみに、Kindle版は今でもちょろちょろ売れています。

・赤魔導師の白魔法レベルぐらいまでは (WRM エッセイ集) [Kindle版](2013/8/25)
初めてのセルフパブリッシング電子書籍。

次で紹介する本を書くために、試しに作った一冊、という位置づけです。

正直に言って、本書は「売る気」がほとんどありませんでした。だから、何一つ凝った作りになっていません。

なぜかというと、次の本では「誰でも簡単にできますよ」ということを謳っているからです。もし、私があらん限りの力を使って電子書籍を作り、それを売りに出して、ものすごい数が売れたとしたら、成功者のロールモデルにはなるかもしれませんが、「やっぱり、あそこまでやらないとダメだよね」と、意欲を失わせることになりかねません。

で、すでにそういう本はあったわけです。成功者のロールモデルを売る、というタイプの本です。

なので私は、電子書籍のファイル形式とか難しいことはよくわからん。とりあえず原稿やコンテンツだけはある。そんなのでも本が作れるのか? という疑問を持っている人に「できます。ぜひ、やりましょう!」と背中を押す一冊にしたかったのです。それはコンテンツの差別化でもあり、私が強く伝えたいメッセージの強調でもありました。

ちなみに、本書は発売当初はそこそこ売れましたが、トータルで見るとあまり動いていません。

・KDPではじめる セルフパブリッシング(2013/12/21)
今のところ、一番新しい(最後に書いた)紙の本。

セルフパブリッシングは誰にでもできますよ! でも売るための努力も必要ですよ!と強く訴えかける内容になっています。

一つには、今後訪れるであろう「自費出版ビジネス」への牽制です。低コストで実施できるのがセルフパブリッシングの鍵ですので、それを100万単位でふっかける業者に騙されて欲しくない、という気持ちがありました。

「作ることは無料で、誰でもできること」と「売るためには本を作るだけじゃダメなんです」を伝えれば、セルフパブリッシングでの100万以上の投資は、いかにも「場違い」なことがわかるでしょう。

本書も類書とはかなり違う構成になっていますが、あまり大きな評価は頂いていません。ただ、読んで頂いた方からは良い評価をもらっています。まあ、「あなたも一億円作家になれる!」みたいなことは書いていないので、(大々的に売れないのは)仕方ない部分はあるでしょう。でも、もう少し何か書き方・売り方に工夫ができるような気もしています。

ちなみに、本書こそ紙の本と電子書籍の両方で発売されるべきかと思いますが、今のところ実現しておりません。

・BizArts: 仕事を前に進める23の技術 [Kindle版](2014/4/25)
自作電子書籍の二作目。

当メルマガで連載していた内容を元にした、一応の「書き下ろし」です。

電子書籍の本、というフォーマットの模索のため、ギリギリまで著述を削り取ったノウハウ本にしてあります。

ちなみに、本書はそこそこ売れました。やはり実用書は強いようです。

・アリスの物語 (impress QuickBooks) [Kindle版](2014/5/15)
ライトなラノベコンテスト最優秀賞受賞作であり、小説形式で初めて出版した本。

本作品によって、世界が新しく広がった感触はありますが、個人的にやっていることはあまり変わっていません。Amazonで痛烈な星一つレビューを頂いて、「なるほど、多くの人に読まれると、こういう反応も頂けるようになるのだな」と痛感しました。

おそらく処女作がこの作品であったら、Amazonレビューで心と筆が折れていたかもしれません。厳しい世界です。

ちなみに、本書はすごく楽しんでくれた人と、そうでない人がはっきり分かれるようです。まあ、小説というのはそういうものですね。

・遠くて近い場所、近くて遠い場所 (WRM エッセイ集) [Kindle版](2014/5/29)
自作電子書籍第三弾。

長めの電子書籍はどうなのか、の実験作です。このぐらいのボリュームなら「重く」はなさそう、という印象。ただし、値段設定は未だに定まりません。

ちなみに、本書の動きはそこそこ。やはりエッセイ集だと、読者の層は狭まりますね。

・Category Allegory [Kindle版](2014/6/24)
自作電子書籍第四弾。

ブログR-styleで書いていたショートショートを集めた作品。セルフパブリッシングでは、初めての小説であり、初めての縦書きです。

それほど数は売れていませんが、ちょっとした手応えを感じた作品です。

ちなみに、表紙やタイトル付けに(少しだけ)力をいれました。

・まるで未来からやってきたかのような (WRM エッセイ集) [Kindle版](2014/7/29)
自作電子書籍第五弾。

本書については、ここ最近のメルマガでも書いたので割愛。

新しい試みというよりは、これまでの作品のバリエーションという位置づけ。長めのエッセイ集において、ジャンル分けがよいのか、時系列がよいのかが、そろそろ見えてきそうです。

ちなみに、本書もあまり動いていません。やっぱりエッセイ集というのは(以下略)。

というわけで、これまでの著作を振り返ってみました。いろいろな本を書いてきましたが、はたして本作りの力量は上がってきているのでしょうか。ときどきわからなくなってきます。

新作が出るたびに、販売数が前作を上回る、という状況なら「よしよし、レベルが上がっているぞ」と思えるのですが、そんな状況ではありません。「これでいいのかな。どうだろうか」という不安を抱えたまま、試行錯誤を繰り返しています。

でも、致命的に間違ったことはしていない、という感触もあります。それは読者さんからの反応からそう感じられます。でも、単純に同じ路線だけでもダメだろうなと感じていて、じゃあ、どうすればいいのか、というのが目下の私の課題です。

ということを考えながら、次の本に取り組んでいます。

(来週は、これからの執筆活動について書いてみます)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
○知的生産エッセイ 「本というまとまり」

まずは頂いたコメントの紹介。

 >>
 全体像の話は、倉下さんの電子書籍を読んだときに感じた。電子書籍でまとめて読むことで、新しい発見があったりする。あの話とこの話が同じテーマだなって思ったり、その話とあの話を混ぜたらこういうふうにも考えられるとか。
 <<
 ※ https://twitter.com/toshi586014/status/496104879702552576

 >>
 ブログでも書けるんだけど、ひとつひとつの記事がバラバラだから全体像を感じにくいんだよね。それが連載という形をとっていても。
 <<
 ※ https://twitter.com/toshi586014/status/496103998915485696

コメントありがとうございます。私も同じことを感じていました。今回は、この話題を掘り下げてみます。

〜〜〜

先週、「本」の定義について書きました。「観念の全体構造」を伝えようとするものが「本」と呼びうるのではないか、という話です。

それに関連した疑問が一つあります。

ブログとセルフパブリッシングによる電子書籍は何が違うのか。

この二つは、多くの共通点を持っています。しかし、私の中では、明確に違う存在でもあります。その違いとは一体何に起因するのだろうか。その疑問について考えることで、「本」とは何かが見えてくるような気もしています。

まずは、共通点から確認していきましょう。

明らかな共通点は、舞台がインターネットという点です。一個人が全国、あるいは全世界に向けて発信できる。これが一番大きな共通点でしょう。そこに大いなる可能性が眠っている点も共通です。

さらに、リフロータイプが主流というのも同じです。ブログは、CSSで固定しない限り、フォントサイズは読む側が自由に変更できます。リフロータイプのEPUBも同様。読み手側にデザインの主導権があるわけです。

それに対してPDFは、基本的に単一のサイズです。もちろん拡大も可能ですが、EPUBファイルの文字サイズを大きくするのとは少し違っています。PDFファイルは拡大してもデザインは変わりませんが、EPUBファイルであれば、一行の文字数が変わってくるので見た目もずいぶん変わってしまいます。

そういう視点で見れば、紙の本の電子的な継承者はむしろPDF形式と言えるでしょう。その意味で、EPUBファイルはまさしく電子書籍なのです。まったく新しいフォーマット。ウェブ親和性があるフォーマット。そういう認識で良いと思います。

また、デザインの主導権が読み手側にあることで、作り手がデザインに凝る必要があまりない、というのもポイントです。もちろん、凝ってもよいのですが、ブログであればRSSリーダーで読まれたらブログ側のデザインなどほとんど意味をなしませんし、リフロータイプEPUBでは、そもそも凝った組版は不可能です。

これはある種の欠点でもありますが、書き手がコンテンツの中身以外にそれほど時間を投下しなくても良い、というメリットでもあります。

こうしてみると、メディアのフォーマットとしてはずいぶん近しい部分があるのですが、違いもやっぱりあります。

一つには、無料で読まれることが前提のメディアと、販売されることが前提のメディアの違いがあるでしょう。ただし、これはnoteという課金可能なツールの登場で境界線が曖昧になっています。なので、ここではスルーしておきましょう。

もう一つの大きな違いが、コンテンツのまとまりです。つまり、最初に紹介したコメントにあった「全体像」の有無です。

ブログの場合は、基本的に一つ一つの記事が独立しています。読む人は、そのブログに掲載された一連の記事を読むのではなく、検索して発見された、あるいはその日更新された最新の記事だけを読みます。もちろん書く方もその記事だけが読まれることを前提に書きます。2000字の記事なら、その2000字で言いたいことを言うわけです。

ある意味で断片化(フラングメント化)させるわけです。

メディアの特性上仕方がないわけですが、2000字で言えることには限りがあります。いや、表現としては、2000字で言い切れるように言いたいことを__盆栽の手入れのように__そぎ落とすと言ってよいかもしれません。

一つ一つの記事が独立して読まれるブログが背負った宿命みたいなものです。

でも、それらの記事をいくつかあつめて電子書籍にすれば、不思議と全体観・全体像みたいなものが生まれてきます。

これは、『Category Allegory』を作ったときに強く実感しました。一つ一つの記事は(手前味噌ですみませんが)それなりに面白いのですが、それをまとめると何か違ったものが立ち上がってきます。

仮に10編のショートショートがあるとして、それぞれをブログで読むのと、それをまとめた電子書籍で読むのとでは、「読書体験」はかなり違ってきます。

今はまだ、その違いをはっきりと記述することはできません。違うことはわかっているのですが、どこがどう違うのかをうまく腑分けできないのです。

でも、この違いは「本作り」においてかなり重要なファクターであるような気がしています。いくらでも検索すれば情報が見つけられる時代において、わざわざ「本」を作ること、そしてわざわざ「本」を読むこと。その根源に関わる要素がそこに潜んでいそうです。

なにやら問題提起だけしておいて、何の答えもない感じで申し訳ありませんが、きっとこれは「21世紀の知的生産の技術」においても重要なテーマとなりうるでしょう。

もうしばらく考え続けてみるとします。

___________________________________
メールマガジン「Weekly R-style Magazine ~プロトタイプ・シンキング~」

当メルマガは、Rashitaが読んだり、学んだり、考えたりしたことを綴るレポートのようなメルマガです。

試行の思考

からプロトタイプ・シンキングというタイトルになっています。

直接役に立つ情報かどうかはわかりませんが、「考える」という行為の舞台裏を紹介していきたいと思います。

本メルマガの引用は、ご自由にどうぞ。一般的な引用の範囲であればどのようにお使い頂いても構いません。

また、知り合いの方に「こういうメルマガあるよ」ということで転送してもらうのも問題ありません。常識の範囲内で、パブリックなスペースに掲載されてしまう可能性がなければ、回し読みしていただいても著者は文句は言いません。

もし、何かご質問があれば、全力でお答えします。

「こんなこと、書いてください」

というテーマのリクエストもお待ちしております。

こちらのメールに返信していただくか、tadanorik6@gmail.com までお送りください。

また、Twitterでの感想もお待ちしております。

※https://twitter.com/rashita2/timelines/427262290753097729

上記のように #WRM感想 のハッシュタグを付けていただければ、私が発見しやすくなります、

もちろん、@rashita2 へ直接リプライいただいても結構です。

☆発行責任者:Rashita(倉下忠憲)
☆公式Facebookグループ:https://www.facebook.com/home.php?sk=group_161028767251940
☆公式サイト:http://rashita.net/blog/
☆Twitter ID:http://twitter.com/rashita2
☆問い合わせ:tadanorik6@gmail.com
☆発行システム:『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/
☆配信中止はこちら: http://www.mag2.com/m/0001185133.html
ID: 0001185133

Weekly R-style Magazine ~プロトタイプ・シンキング~

Rashita
¥340(税込)/月 初月無料!
毎週 月曜日 今月5/5回(最終 2016/05/30)
PC・携帯向け/テキスト形式
バックナンバー
2016/04/25 WRM:20160425:○BizArts 3rd○SSS「ファンクションキー」○ノンマケマーケティング
2016/04/18 WRM:20160418:○BizArts 3rd○SSS「クローズド・スペース」○エッセンシャルEvernote vol.4
2016/04/11 WRM:20160411:○BizArts 3rd○SSS「ハングオーバー」○あたらしい知的生産の技術
2016/04/04 WRM:20160404:○BizArts 3rd○SS「意識書き換え装置」○「本」を巡る冒険
2016/03/28 WRM:20160328:○BizArts 3rd ○SS「真夜中のフリーライティング」その他
さらに以前のバックナンバー一覧