田中滋
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GELマガ!~エル・ゴラッソの鹿島担当・田中滋のメールマガジン!

田中滋
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エル・ゴラッソの鹿島アントラーズの番記者を務める田中滋が、エル・ゴラッソでは書ききれなかった鹿島アントラーズの情報をメールマガジンで配信。鹿島アントラーズの最新情報だけでなく、選手の素顔や、鹿島の強さの秘訣に迫ります。

著者プロフィール

田中滋

田中滋:1975年、東京生まれ。上智大学文学部哲学科卒。大学時代に所属した男子ラクロス部でヘッドコーチを務めた経験も持つせいか、選手だけでなく監督やクラブマネジメントにも目を向けながら取材を重ねる。著作に「鹿島の流儀」、「鹿島の精髄」(出版芸術社)など。

サンプル号
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◆GELマガ Vol.1
~エル・ゴラッソ鹿島担当・田中滋のメールマガジン~

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目次

1. あいさつ(所信表明)
2. エル・ゴラッソマッチレポート+(vo.1 ACL 第4節 vs水原三星)
3.YES OR NO(vol.1 本田はフィットしている?)
4. 鹿島のミクロこぼれ話(vol.1 総勢13名のこぼれ話)
5.本山雅志インタビュー(水原戦試合終了後)
6. 中田浩二インタビュー(水原戦試合終了後)
7. 柴崎岳ウォッチング(vol.1 生まれながらに持つリーダーの資質)
8. なぜ、鹿島だけが強豪であり続けるのか(vol.1 企図された伝統)
9.THE KNOWLEDGE(質問募集)


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1.あいさつ
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 ~所信表明~
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 「今年の鹿島はいつもと違ったシーズンを送ることになる」

 そう確信したのは、震災後の小笠原満男キャプテンの姿を見てからでした。
きっと、ほとんどのサポーターの皆さんも同じことを感じたと思いますが、未
曾有の大災害を機に彼の様子はガラリと変貌しました。自分が生まれ育った故
郷の風景が、記憶のなかのそれとまったく異なってしまった経験は、実際に体
験した者でないとわからない大きな衝撃を残したことでしょう。いまでもクラ
ブハウスの一角には支援物資が積み上げられており、夕方遅くまで駐車場には
小笠原選手の車がぽつんと残されています。

 リーダーの変化はチーム全体に波及しました。いまふり返ってみると、活動
再開から1週間あまりで迎えた水原三星戦は圧巻だったと言うことができます。
序盤はあたふたとしていたチームが20分を境に、突然、組織として組み上がっ
たのです。例え個々人のパスの感覚は合わなくとも、勝利のためにまとまった
チームに無駄なプレーはなく、選手たちは互いに意識を配りながら戦っている
ことが、スタンドまで伝わってきました。

 だから、今季のチームは強い、などと言うつもりはありません。確かに、戦
力は充実しており、震災を経験してもブラジル人選手たちは帰国することなく、
プレーを続けることを選択しています。しかし、昨季から変わったのは、そう
した目に見える部分ありません。目に見ることはできず、手に触れることもで
きない部分の変化。つまり、精神的な変化が非常に大きいと思います。

 それは様々な事象に顔を出しています。小笠原選手の変化はその最たるもの
ではありますが、大きな変化もあれば小さな変化もあり、たくさんの積み重ね
が大きな変化として表れています。

 じつは震災前からメルマガを立ち上げる話をいただいておりました。しかし、
この新しい媒体でなにをつたえればいいのか、明確に掴むことができませんで
した。でも、いまならなにを伝えるべきなのかわかります。つまり、今季の鹿
島に起こる本当に些末な出来事、小さな小さな事実を積み重ねていくことが、
このメルマガに課せられたテーマなのだと思います。

 もう一つ、メルマガにテーマがあるとすれば「鹿島の強さの解剖」でしょう。
ご存じのとおり、鹿島は日本の片田舎と言える地域にありながら、国内14冠と
いう他クラブを圧倒する結果を残してきました。今回の震災後、「いろいろ困
難があっても勝っていくというのが、この鹿島アントラーズの伝統」(小笠原)
といった言葉がさらりと出てくることは驚きです。鹿島の選手であるならばこ
うあらねばならない、といった意味の言葉は偶然に出るものではなく、鹿島の
強さと密接に結びついているはずです。その強さの秘密を、少しでもわかりや
すく伝えられたらと思っています。

 エル・ゴラッソ本紙同様、よろしくお願いします。


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2. エル・ゴラッソマッチレポート+
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 ~(ACL 第4節 vs水原三星)~
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――選手たちが試合後に意外さを口にしたということですが、相手が守備的に
来ることは予想できなかったのでしょうか。

田中:守備的に来ることは予想していたと思いますが、あそこまで極端に守備
的にくるとは思っていなかったのでしょうね。さすがの鹿島の選手たちも面く
らってました。前日の水原の監督コメントは、完全にブラフ。最初から攻める
気がなかったんでしょうね。


――本紙では『不安を残す』と厳しい書き方をしていましたが。チームとして
しっかりパスを回せていたように思います。

田中:確かにパスは回せていたと思いますが、相手を崩し切るところまでには
到りませんでした。田代選手の同点弾もセットプレーからの得点。流れのなか
でどう攻めるかという問題には答えが出なかったと思います。

――引いた相手を崩せないというのは確かに去年からの課題ですね。

田中:ACLでは09年のシドニーFCは違いますが、08年のアデレード、10年の浦
項とベタ引きしてくるチームに勝ちきれませんでした。Jリーグだとあそこま
で露骨に守るチームはないのが、鹿島がACLで苦労する理由の一つだと思いま
す。引いた相手を崩すには、もう一つなにかが必要だと思います。全盛期のマ
ルキーニョスや、07年の浦和がACLを制覇した時のように『ワシントン&ポン
テ』という強烈な個の力を持つ選手がいれば話は変わりますが、今年の鹿島は
組織力が武器です。パスで崩せるようにならないと優勝は難しいかもしれませ
ん。


――中田浩二の採点がチーム最高の6.5でしたが、その理由はなんでしょうか?

田中:中田選手の守備は安心してみていられました。水原の攻撃はカウンター
しかなかったですが、その攻撃を完璧に潰していました。センターバックとし
ては、FWにパスが入ったときに前を向かれることが一番嫌だと思うのですが、
中田選手はあの手この手でFWに前を向かせませんでした。今季は鹿島に戻って
きてからベストシーズンになると思います。


――グループリーグ突破の可能性は?

大丈夫だと思います。引いた相手を崩せないかもという不安はありますが、上
海もシドニーも、前線に中田選手や岩政選手をぶっちぎる速い選手はいません。
カウンターもそこまで鋭さがないので大丈夫だと思います。


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3. YES OR NO
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 ~(vol.1 本田はフィットしている?)~
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このコーナーでは、鹿島アントラーズに関する様々な質問に、田中滋がYES か
NOではっきりと答えます。また、このコーナーでは読者の方の質問もお待ちし
ておりますので、メールにて質問をお寄せください。
質問MAILの宛先:shigerutanaka@blogola.jp


Q.1 今季の戦力は充実している?

ANSWER 「YES」
田中:各ポジションに満遍なく選手がいます。誰が出ても同じレベルを保てる
はずです。


Q.2 大迫は今季レギュラーを取れる?

ANSWER 「YES」
田中:昨季終盤から大迫選手の受け答えに格段の成長を感じるようになりまし
た。シーズン終盤戦にはレギュラーとして定着しそうな予感が…!?


Q.3 コパアメリカには選手を出してほしくない?

ANSWER 「YES」
田中:今回のような経緯で選手を出すのは悪しき前例をつくるだけでは? 特
に今年は五輪予選でもJクラブの協力が必要なわけですし…。ただし、いまの
状況を見ると鹿島からも何人かの選手が選ばれると思いますので、そのときは
がんばって来て欲しい。



Q.4 震災の影響は鹿島に取って大きい?

ANSWER 「YES」
田中: 被災地なので影響は大きいです。ただ、被災したという悪い面をいい
方向に変えた面があります。選手たちからはサラっと「困難を乗り越えるのが
アントラーズ」という言葉が出てきますし、オリヴェイラ監督も「困難を乗り
越えていくことをモチベーションにしよう」と呼びかけています。震災はチー
ムやクラブの結束をさらに強めたと思います。


Q.5 本田選手は今のところフィットしている?

ANSWER 「NO」
田中:本人も自覚していますが、一番の問題はポジショニングです。彼は清水
でワンボランチをやっていました。それが鹿島ではダブルボランチなので、前
に出ていく動きを求められており、そこが難しいようです。ただ、サイドチェ
ンジの練習などを見ているとスパッ、スパッと正確なパスを通しているので、
コンディションが上がればそろそろ鹿島でのデビュー戦があると思います。


Q.6 カルロンはフィットしている?

ANSWER 「YES」
田中:スペースに顔を出すことができるようになったので、パスもカルロン選
手に入るようになりました。ただ、見ているとフィニッシャーではなさそう。
とはいえ、足元の技術は持っているので組み立てのなかでカルロン選手を生か
していけば、自ずと得点も増えていくと思います。彼は、大家族の末っ子で非
常にハングリー。“僕が家族を養っていく”という気持ちが非常に強い。年俸
はそこまで高くないはずですが、鹿島での待遇にも非常に満足している様子で
す。地震や放射線の不安にも負けず、ベストを尽くしてくれると思います。


Q.7 23日の横浜Fマリノス戦は勝てますか?

ANSWER 「YES」
田中:今までと同じように中村俊輔選手を抑えれば、勝てます。鹿島は、マリ
ノスと戦うとき常に中村俊輔選手を徹底的に押さえ込みます。今回も同じやり
方で問題ないと思います。


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4. ミクロこぼれ話
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 ~(今週は総勢13名が登場)~
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【GK】
・曽ヶ端準
シドニーでは動物園で気分転換。快晴続きのはずが「雨でした…」

・杉山哲
狭い水原のホテルにくらべシドニーは「だいぶ広い」と笑顔を見せる


【DF】
・岩政大樹
今年からスパイクは愛用してきたアンブロからNIKEへ

・中田浩二
シドニーFCの公式練習後、カメラマンからカメラを借りて西のあられもない姿
を激写

・新井場徹
シドニーでは「暇やなぁ。フェリーで来たんか」とボケられたが、うまく返せ
ず。イバさん、修行します…

・西大伍
"大股開き"で独特のストレッチ。チームメイトから「ダニーロもよくやってた」
と笑われる。


【MF】
・野沢拓也
その昔、「ブルーって英語でなんていうの?」とつぶやいたとかつぶやかない
とか…

・本山雅志
練習で人生初の白スパイクを着用。「宮崎に行ったときお店で買ったやつ」と
市販品であることを告白

・柴崎岳
「最近、あんまり試合の映像は見てないです」とのこと。詳しくは別コーナー


・遠藤康
大地震の後は眠れない日々が続いたとのこと。塩釜を気にする毎日


・小笠原満男
2タッチ限定の紅白戦でDFを務める。ゴール前で興梠と1対1になるも、すでに1
タッチしていた相手にぷりっとお尻を突き出しシュートブロック


【FW】
・興梠慎三
柴崎と楽しそうに過ごす時間が長くなってきた。他には西、中田らがこれに加
わる

・カルロン
鳥かごの鬼を決めるじゃんけんに勝利し満面の笑顔を浮かべる。笑顔が増えて
きた


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5. 中田浩二インタビュー
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 ~「Jリーグでもああいうチームが増えてくるだろう」~
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「ホームだったし勝ちたい試合だった。でも、難しかったよね。ある程度、相
手が引いて来ることは想定していたけれど、4バックなのか5バックなのかはわ
からないけど、あそこまで引くとは想定していていなかった。スペースはなかっ
たから難しかったよね」


Q:0対0の間は、どういう共通意識でプレーしていましたか?

無理せずにサイドから、という形でつないではいたけど、なかなかスピードアッ
プしなかった。そのせいで攻めあぐねてしまったのかな、とは思います。繋ぐ
にしてもどこかでスピードアップして、サイドから崩す形をやらないといけな
かった。ちょっと中へ、中へとこだわったところもあったし。その辺がもうちょ
っと修正しないといけない課題だと思います。もしかしたらシドニー、上海も
ああいうやり方をしてくるかもしれないし、もっとうまくやっていかないとい
けないですね。選手個人の能力は韓国の方があるし、球際のところも強いけれ
ど、うちももうちょっと改善しないといけない」


Q:中断があって、試合勘の無さも影響した?

「それは全然言い訳にはならないし、もう2試合やってるわけだし、それは関
係ないです。ただ、チームとしてつめていかないといけない部分はあると思う。
そこは意識しないといけない」


Q:ハーフタイムにはどんな話になりましたか?

「もう少しペースアップしようということと、あとはカウンターを注意すると
いうことだよね。相手はカウンターを狙っていたし、そこだけはオレと大樹が
しっかり見ていくということだった」


Q:序盤、ロングボールが多かったのは狙いだった?

「相手は引いていたけど、横というか裏に対しては24番(5バックの中央に位
置する選手)が深くなっていたし、ラインにギャップができて空いている部分
もあったので、イバ(新井場)とアレックスがうまく侵入できていたから、多少
意識したところはあった。もう少しプレスに来る、と予想していたのもあった
んだけどね。


Q:去年から、ああやって引いて来るチームを崩せないと言うことが課題になっ
ていますが?

「そうだね。きれいにやりすぎてるのかな……。後ろから見ていて打てるシー
ンとかあったからね。3本、4本くらい、前を向いたときにシュートを打とうと
してイバに出して、っていうシーンがあったから。そこはシュートを打ってい
いと思うんだよね。打てば相手も出てくるだろうし、そしたら今度はイバのと
ころを使えばいい。やっぱり、シュートを打つことも混ぜていかないといけな
い。全部が全部、きれいに崩そうとしているのが多すぎたのかなとは思うね。
ゴールの目の前までは行けているし、あそこはもうシュートエリアなわけだか
らね。サイドを崩してはいると思うけど、そこまできれいに崩せることもない
と思うし、あれだけ相手も引いてしまったら難しい。だから、もう少しシュー
トの意識を持ってもいいと思う」


Q:その辺は試合中にも味方の選手に伝えるわけですか?

もちろん言っているし、ヤス(遠藤)も良いシュート持っているからね。でも、
難しいのかもね、試合のなかでコースが見えたらパスを出しちゃうんじゃない?
 イバのところがきれいに空いているということもあったんだろうし、もうちょ
っと強引にいっても良かったかもしれない。まあ、勝点1を取れたことはいい
と思うし、あと2試合、まだホームでできるからね。最後は得失点差の勝負に
なるとは思うけど、むこうはまだアウェーの試合があるんだから。あと2つは
勝てるようにしっかりやりたい」


Q:試合勘とか、あるいはチームとしてやろうとしていることの完成度はどう感
じています?

「完成度はまだ。中断したことを抜かしても、まだ4月の段階だし、そこで完
成されているわけもないし、メンバーも多少変わっているのでつめていかない
といけないこともある。ただ、試合勘に関してはもう2試合こなしているし、
中断前と変化がないとは思えない」

Q:水原とのアウェーの試合では、最初の20分をすごく苦労しました。でも、そ
のあとはチームでやることがすごくハッキリして、良い形ができたと思います。
ああいう感覚でしょうか?


「あれは試合勘だね。水原のときの20分間というのは頭と体がリンクしてない
というか、なかなかボールも足につかなかったり、プレスのスピードも紅白戦
とは違ったし、その辺がフィットしなかった。あのときは相手も出てきてくれ
たから、逆にむこうも穴をつくってくれたしこっちもどんどん行けたけど、今
日に関してはあれだけ出てこなかったら難しいよね。試合勘とかそういうもの
があったとしても」


Q:もうひとつ先のものが必要ということですか?

「そうだね。今日の試合が、中断とかそうしたものがなにもなくても、こうい
う結果になっていたかもしれない。その辺はもう少し詰めていかないと。Jリー
グでもああいうチームが増えてくるだろう」


Q:Jリーグ再開を前にするとどう思います?

「もう、こうやっていくしかない。すぐに土曜日に試合がありますけどこれを
続けていくことだけじゃないですか。自分たちのやってきたこと、やるべきこ
とをやっていくことが大事。他のチームよりも真剣勝負の場が十分にあったの
で、まとまっていけると思います」


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6. 本山雅志インタビュー
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 ~「国立でやれたことをプラスに考えて」~
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Q:天皇杯では今日と同じような形で起用されて、決定的な仕事をしてきたと思
います。それが今できていないというのは試合勘のなさですか?

「いや。言い訳でしかないけれど、どうなんだろう……。効果的に間でパスを
受けて周りの選手を動かしたいけど、そのためには狭いところに入らないとい
けない。でも、狭いところに入りたくても、誰か一人がいるところに二人目が
行くと狭いところがどんどん狭くなる。だから、そこは考えていかないといけ
ない。今日の最後のほうとかも、みんな狭いところに入って行ってしまってい
た。そこに自分も入って行っちゃうと、セカンドボールも取れなくなる、とい
う意味で、バランスを見ながらやっていましたけどね。

ただ、相手があれだけ引いたら慎三(興梠)が走るスペースもなくなってしまう…
…。もっと中盤でボールを回して相手をいなしていかなきゃいけないし、天皇
杯はどっちにとっても勝たなきゃいけない試合だったから、どっちもある程度
のリスクを冒してくる。そういう意味では今日の試合はちょっと違いましたね。
ああやって引いている相手を崩すには、ボールを回して人も動いて、サイドに
ボールを出して、サイドに広げて内に出すとか、そういう基本的なことをやっ
ていかないと、まあ、崩れないね。だから、後半途中でタクが(ミドルシュー
トを)打ったやつとか、サイドを崩してイバ(新井場)が(クロスを)あげたや
つとか、ああいう場面をもっとつくっていければサイドに広がるし、そうすれ
ば中にもスルーパスが通っていくとは思います。

ただね、今日やれたことで、国立の芝が結構難しいことが分かったんで、次に
やるときに注意したい。(国立の芝は)ボールが走らない。水がまかれればツン
ツンいって速いサッカーができると思うんですけど、今日はボールが止まって
いたんで。最後のタク(本田)のパスとか、そうだったでしょ。ああいうのが出
てくる。だから、ここでやれたことをプラスに考えて。あと2つあるしね。そ
こで勝てれば優位に立てる。逆にどうだった?」


Q:もっとガラッと変わると思ったんですけどね。でも、本山選手が出たあとに
相手も引いちゃったんで難しいなと思って見ていました。

「なんかね。5バックになって、慎三にひとりを付けて、あいだに入っていく
と真ん中のひとりが前に出てきてプレッシャーをかけてくるんですよ。そこで
無理をして前を向いてよかったんですけど、そこで取られると選手が全部入れ
替わってしまう。僕に当てたボールでみんなが上がってくるんで。一回、あっ
たじゃないですか、僕がミスパスしてしまってピンチになった場面が。ああい
うのは減らしていきたいですね。周りをうまく使っていければ良いんですけど
ね。まあ、相手に上手く守られたかな」


Q:去年もああやって引かれると苦労していたじゃないですか?

「そうですね。もうちょっとワンツーとか工夫していかないと難しいですね」

いけると思います」


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7. 柴崎岳ウォッチング
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 ~vol.1 生まれながらに持つリーダーの資質~
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 2011年1月3日以来、柴崎岳は公式戦のピッチに立っていない。それは高卒の
ルーキーである以上、そして鹿島アントラーズというJリーグ屈指の強豪チー
ムに加わった選手であるならば、避けて通れない道でもある。試合に出られな
いことに、なんら不思議なことはない。しかし、それは周囲の目だ。柴崎本人
はそれをよしとしていない。

 2月に行われた新人選手披露会見のときから「1年目から試合に出て、チーム
に貢献することを目指し、次の目標はそれから考えたいと思います」ときっぱ
り言い切る姿が印象的だった。それはマスコミから言わされたリップサービス
でもなく、プロの世界を知らない若者にありがちな若さや幼さから生まれた大
言壮語でもない。しっかりと自分が置かれた状況を見極めながら、それでもな
お、プロ1年目の今年中に第1歩を踏むことを自分に課しているのだ。
 
 それは、普段の練習姿勢を見ても明らかだ。鹿島の練習場には、紅白戦や戦
術練習では躍起になってボールを追いかける姿がある。高校時代、運動量の少
なさをさまざまな場面で指摘され、ときには厳しい評価も受けてきた。柴崎に
対して、そうした印象を抱いていた人にすれば想像もつかない姿だろう。自分
の長所を生かすだけでも、プロの世界で通用するかもしれない。しかし、弱点
から目を背けず「僕が身につけていかなければならないところを集中的にトレー
ニングする」と、敢えて正面から見据えることで、日本代表経験者が揃う中盤
のポジション争いの渦に飛び込んだ。

 まわりの選手も柴崎の意識の高さを敏感に感じ取っている。「体幹が強くなっ
たよね」とは本山雅志。自らも細い体をプロ仕様に改造してきただけに、柴崎
の努力が身に染みてよくわかっていた。そして、鹿島のボランチに課される戦
術の理解についても失敗を怖れずチャレンジして欲しいという。

 「鹿島はボランチが飛び出さないと攻撃に厚みが加わらない。いまはバラン
スを気にせずにどんどん飛び出して、どんどん失敗して欲しい。バランスを気
にするのはあとからでもできるしね」

 練習を見ていると、柴崎は本山だけでなくさまざまな選手からわけへだて無
く声をかけられていることに気がつく。中断期間に宮崎で自主トレーニングに
励んだこともあり、そこに参加していた本山や中田浩二を始めとするベテラン
勢や、興梠慎三や西大伍が声をかけるのはよくわかる。そして、世話好きの岩
政大樹が面倒を見るのも、毎年のように新人選手のまわりで見られる光景だ。
しかし、それ以外の選手たちも、不思議と柴崎の周囲に集まってくる。寡黙な
印象が強い柴崎だが、生まれながらリーダーの資質を持っているのかもしれな
い。

 昌子源、梅鉢貴秀、土居聖真に柴崎岳を加えた新卒4人組のなかでも、中心
にいるのは柴崎だ。そして、79年組の再来という大きな期待を担って加入した
彼ら4人組だが、先輩たちに負けず劣らず意識が高い。練習に対しては常に前
向きで、経験豊富な先輩たちのアドバイスを積極的に取り組もうとする。その
ため助言を送る岩政らも「可愛いですよね」と、さらに惜しげもなく気が付い
たことを告げる好循環が生まれている。

 選手から選手へアドバイスが送られることは当たり前のようにも感じられる
が、プロの世界は部活ではない。それぞれが独立した“個人事業主”であり、
プライドをもってサッカーをやっている。自分自身が持つサッカー観に対して
こだわりの強い選手も多く、普通のチームであれば親切心で送られたアドバイ
スにも耳を貸せない選手も多いのだ。

 しかし、だからこそ、同じ立場である選手から言われることに意味があると
鈴木満常務取締役強化部長は言う。

「監督から言われるのではなく、まわりから言われるからやらざるをえない」

 例えば、監督からプレーについて注文をつけられた場合、「それは自分のプ
レースタイルではない」と逃げることも可能だ。「自分の特徴をわかってない」
「監督がオレを理解してない」といった言葉は、なにもサッカーの世界だけで
なく、一般的な社会でもよく聞かれる。

 しかし、鹿島でそれは通用しない。先輩とは言え自分と同じ立場の選手たち
から“注文”を付けられる意味がわからない選手は自然と淘汰されていく。な
にしろ、すべての選手がチームのためにプレーする意識を徹底しているからだ。
将来的に監督が変わろうと、腐ったミカンにポジションが与えられることは絶
対にない。鹿島では選手が選手を育てる土壌ができている。

 「最近、試合の映像は見てないですね」

 巷ではUEFAチャンピオンズリーグの舞台で、内田篤人と長友佑都が対戦する
ことが話題になっているころ、「試合は見ないんですか?」と柴崎に聞いたこ
とがあった。そのとき返ってきた答えがこれ。映像で見返すのは自分の試合で
あり、自分が試合に出てない試合がないことがじつに口惜しそうだった。

 「相手のプレッシャーもなく、単純にパスで組み立てるだけだったら柴崎が
一番かもしれない」

 すでに今の段階でも鈴木強化部長の評価は非常に高い。1年目での試合出場
に向け、柴崎は確実に歩を進めている。


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5. なぜ、鹿島だけが強豪であり続けるのか
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 ~vol.1「企図された伝統」~
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 「なぜ、鹿島だけが強豪であり続けるのか」

 この命題は、Jリーグを取材するうえで、避けては通れない重要なテーマ性
を有している。世代交代の狭間にあった03年から06年までの4年間こそ無冠だっ
たものの、毎年のようになにがしかのタイトルを獲得してきたクラブは、鹿島
をおいて他にない。

 確かに、鹿島には日本代表に選出された経験を持つ選手が多く、数々のタイ
トルを獲得した名指揮官が歴史を彩る。選手で言えば、ジーコ、サントス、ア
ルシンド、レオナルド、ジョルジーニョ、ビスマルク、マルキーニョスなどの
すばらしいブラジル人選手たちも在籍してきた。良い選手を獲得し、良い監督
を招聘すれば、良いチームができあがることは間違いないだろう。

 しかし、強いチームであり続けるための要素がそれだけならば、他クラブに
も同じことは言えるはずだ。鹿島の経営規模は40億程度であり、上位グループ
には属するものの、浦和レッズのように突出した予算規模を持っていた時期も
ない。それでも鹿島は強さを保ち、勝ち続けてきたのである。

 その理由のひとつが伝統だろう。今回の震災を経験したあと、選手たちから
は「ちょっとハンデを背負った部分はありますが、こういうことを打ち消す力
をアントラーズは持っている」(野沢拓也)という言葉がポンポン飛び出した。
他にも小笠原、そして岩政が「鹿島というのは、震災前も勝利を求められてき
たチームです。サポーターにとっての日常は、僕たちが勝っていくことが近く
にあった。結果を出せなければ、当然、影響が残っていく」とコメントした。

 伝統というものは歴史を積み重ねることで自然と生まれていくものだし、鹿
島のように優勝を重ねていけば、その重さも自ずと増してくるものだろう。た
だ、鹿島のやり方を見ていると、歴史や伝統の重みを意図的に操作しているよ
うに思えるのだ。クラブは今年で創立20周年、ようやく二十歳を迎える若さで
あるにも関わらず、日本サッカーリーグ時代からチームがある他クラブとは比
べものにならないほどの歴史を感じさせるのは、鹿島が仕組みを持っているか
らだろう。

 その"装置"のひとつが県立カシマサッカースタジアムに併設されているカシ
マサッカーミュージアムだ。改築前の1万5千人時代に使用されていたロッカー
ルームなどを利用してつくられているため、そこまで広い施設ではないが、こ
れまで獲得してきたトロフィーや盾の数々がショーウィンドウを飾っている。
その他にも、過去の名選手たちが使用したユニホームやスパイクが陳列され、
近年の激闘を描いたドキュメントを鑑賞できるシアタールーム、これまでアン
トラーズの選手たちが決めてきた全ゴールが見られるアーカイブなどを楽しむ
ことができる。クラブハウスにもジーコをはじめ、長谷川祥之や本田泰人の写
真が飾られ、初めて訪れた西大伍の第一声は「歴史を感じますね」というもの
だった。

 選手の身のまわりに歴史を感じさせるものがあり、サポーターのまわりにも
栄光の記憶を呼び覚ましてくれる施設がある。無言のうちに語りかけてくるも
のをうまく利用することで、他のクラブには見られない誇りやプライドを醸成
し、選手が残すコメントに反映されている。遺そうと思わなければ歴史はすぐ
に失われてしまうのだから。


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5. THE KNOWLEDGE
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 ~「選手への質問を募集」~
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このコーナーでは、読者の皆様から、鹿島アントラーズの選手に田中滋が聞い
てきてほしい質問を募集しております。選手への取材は限られておりますので、
質問できない場合もございます。また、質問はできる限り簡潔な形でお寄せく
ださい。
質問例:
「本山選手のドリブルが好きなのですが、小さいころどのような練習をしまし
たか?」
「カルロン選手に質問、好きな日本食はなんですか?」
「お子さんがいる選手に質問、チームで一番イクメンなのは誰だと思いますか?

「選手全員に質問です、合宿は体力的に厳しいと思いますが合宿中の楽しみは、
何かありますか?」


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