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§ 中 国 万 華 鏡 § 之 ぶんぶくちゃいな

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現代中国社会を理解するのに役立つ話題をご紹介します。中国理解という目的だけではなく、実際に現地の人たちとの会話に上がるだろうトピックや、日本で話題のニュースに対する現地の視点など、日本のメディア報道にはあまり出てこないけれど知っておくと役立つと思われる点を中心に。(現在、通常隔週2号の他に、臨時号2号の月合計4回配信中です)

著者プロフィール

ふるまいよしこ

フリーランスライター。北九州大学(現北九州市立大学)外国語学部中国学科卒。1987年から香港中文大学で広東語を学んだ。現在は北京を中心に、主に文化、芸術、庶民生活、日常のニュース、インターネット事情などから、日本メディアが伝えない中国社会事情をリポート、解説。東京新聞の土曜日朝刊「本音のコラム」/「Newsweek Japan ウェブ」に「中国 風見鶏便り」を連載中。著書に『香港玉手箱』(石風社)、『中国新声代』(集広舎)。個人サイト:http://wanzee.seesaa.net ツイッター:@furumai_yoshiko

サンプル号

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§ 中 国 万 華 鏡 § 之 ぶんぶくちゃいな § vol.37 § 2013年1月2日発行 §

特集:2012年、「ニューヨークタイムズ 中国語サイト」で読まれた記事トップ5
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あけましておめでとうございます。2013年からリニューアルしたメルマガ「ぶん
ぶくちゃいな」は、以下のコンテンツでお送りします。

1)ネットの話題とつぶやき:ツイッターや微博で注目を集めた話題を「つぶや
き」でご紹介。
2)●毎月第一週号は「思考することば」:中国では生活形態の変化に応じて言
葉やそのニュアンスも大きな変化を遂げています。同じ漢字国で人々が使う言葉
から庶民の目に映る社会を眺めます。財団法人「霞山会」HPで長年続けている連
載からの加筆再録。
●第三週号は「もうちょっと、本音のコラム」:毎週土曜日の東京新聞朝刊に連
載している「本音のコラム」。小さなコラムなのでいつもあっちこっち削って掲
載されていますが、メルマガでは本編に書ききれなかった話題も含めて復活拡大
版を過去記事からピックアップしてお届け。
3)今週のトピック:わたしが目にした話題、あるいは興味を感じるトピックの
解説、あるいはインタビューなど、毎回それぞれテーマを選んでお伝えします。

今後、必要に応じて少しずつ考えながら手を加えていく予定です。なにかご希望
があれば、ぜひお寄せ下さい。 (ふるまいよしこ)
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§ 01. ネットの話題とつぶやき §

2012年12月20日~2013年1月2日
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1)12月28日、民主活動家劉暁波氏の友人たちが軟禁中の劉夫人との面談に成功:

@zengjinyan/曾金燕「2013年元旦のプレゼント:胡佳、?建、徐友漁ら友人が見
張りと知恵比べをして、軟禁中の劉暁波夫人劉霞さんを訪問し、すぐに退去し
た。激励のカード、花、果物、おもちゃ、ほほ笑み、抱擁、『頑張れ!君には俺
たちがついている!』の言葉を送った。ビデオ→http://goo.gl/EO8YQ 」

@mranti/安替「徐友漁たちの劉霞さん訪問ビデオを見て、涙が止まらなかった。
特に劉霞さんが友人たちの姿を見て大喜びするところ、そして怯えた様子に。中
国の最もリアルな一面だ」

@hujia/胡佳「ぼくらは見張りに対して暴力はまったく使ってない。ドアをあけ
た隙をついて、彼にドアを閉めさせなかっただけだ。ぼくらはほんの一瞬の人数
と力量のちょっとした優位で見張りを押しのけただけ。彼のやってることこそ
違法拘禁だ」

@北京黄亭子?建(微博)「12月28日は劉博士の誕生日。9時ごろ、胡佳、?
建、劉荻、徐友漁、呉墻ら10人ほどが劉侠宅にあつまり、劉夏にあいさつし、
小波氏の誕生日を祝った。まず、劉夏宅の階下から窓に向けて声をかけ、それ
を耳にした彼女が窓を開けて応じた後、みなで見張りを突破し、鍵を開けさ
せ、階上の劉霞さん宅へと上がった。彼女は喜んで泣きながら、友だちと抱き
合って語り合ったが、最後はみな、やってきた見張りたちに強制的に追い払わ
れた」(劉夏=劉霞、小波=劉暁波。微博ではキーワード検索で削除されるの
でわざと同音文字を使っている)

@ziliyang/楊子立「劉荻他二人が階下で見張りに張り付き、残りの数人がさっ
と階段を上って劉霞さんに会った。習近平の反汚職取り締まりは非合法な監禁
を止めないんだろうか?」

@zengjinyan/曾金燕「訪問に参加したのは、劉霞と暁波夫妻の友人である胡
佳、?建、劉荻、徐友漁たち。この『たち』というのは、はっきりと名前を言
わない、言えない人がいるため。そこは問い詰めないで。でも『ネットユー
ザー4人が訪問』と報道するのは絶対にナシよ」

●年末ぎりぎりに飛び込んできたこの話題に、ツイッター界隈が沸いた。第一
報をツイッターに発表したのは、行動に参加した人権活動家、胡佳氏の夫人で
現在香港で暮らす曾金燕さんだったから信頼度も高く、あっという間に広がっ
た。この12月には6日にもAP通信の記者が見張り番が席を離れた隙をついて劉
霞さんとの接触に成功。だが、こんなに短期間に再び彼女の姿がネットに流れ
るとはほとんどの人が想像にもしていなかった。暁波氏が2010年に獄につなが
れたままノーベル平和賞を授賞してから、近しい家族以外まったく外との連絡
手段を断たれて自宅で軟禁されている劉霞さんに、「外界からエールを送る」
というこの行動。今のところ、この行動に参加した人たちが拘束されていない
のが慰めでもある。


2)ネット実名制を含む「ネット情報保護強化案」可決(12月28日):

@wenyunchao/北風「『全国人民代表大会常務委員会によるネット情報保護強化
に関する決定草案』第六条:ネットサービス提供者は、ユーザーのネットサイ
トアクセスサービス、固定電話、移動端末などのネットアクセス手続き、ある
いはユーザーに情報発表サービスを提供する際にユーザーと契約を結ぶ際に、
ユーザーに実際の身分情報提供を求めること」

@wenyunchao/北風「中国のネット管理はとっくに単純な政治的な問題というよ
り、政治とビジネスが高度に結びつき、絡み合う問題になっている。実名制は
政治的な必要からだが、その執行においては必ずしもサービス提供者の全面的
な協力を得られるとは限らない。また、今回新設された『実名制情報認証プ
ラットホーム』とやらは、公安部(省)のデータベースとプロバイダーの間で
アクセス及び認証サービスを行うというもの。現在、この旨い商売を狙って数
社がしのぎを削っている」

@mranti/安替「公布された『ネット情報保護強化案』は専門的に見ると、誤解
されている点がある。文中では大量に『ネットサービス提供者』という言葉が
使われていてISP(ネットプロバイダー)を指しているかのようだが、実はそ
れは一般的にすべてのネットワークサービスのことを言っていて、ISPだけ
じゃない。つまり、この法律によって微博も実名制を採ることになるだろう」

@wenyunchao/北風「今回のネット実名制実施で最もプレッシャーを受けるの
は、ネットサービス業者だろう。中国のネット関連法はネットユーザーの意見
発表を常に『委託による』発表という言い方をしており、このために今回も引
き続きネットサービス業者に対して『ユーザーが発表する情報の管理への強
化』を求めることになる。だいたい実名制を徹底させるには技術的にも無理が
あり、本人承認は容易ではない。さらに、この法律執行権の(サービス業者へ
の)委託はそれ自体が合法的なものでないため、サービス業者が起訴されるこ
とにもなりかねない」

●日本では「中国でネット実名制施行」と報道されているが、上記のような
ネットのプロたちに言わせると、今後はサービス業者への圧力が強化されるら
しい。実際に中国ではすでに携帯電話、固定電話、ネットサービスの新設ある
いはアップグレードには身分証明書が必須化されており、インフラ面での実名
制はほぼ実現している。だが、微博やポータルサイトでの書き込みにどこまで
実名制が可能なのか。例えば、日本を含め海外からの顧客呼び込みを進めてい
る微博などは、いかに海外サイトを使って登録する人たちの認証を行うのかが
今後注目される。


3)ブルームバーグ、中国8大元帥家族の関係勢力図をチャート化(12月26
日):

@fightcensorship/范強「激震!ブルームバーグ社がまた大スクープ。中国八
大家族の複雑に錯綜する相互関係チャートを作成、発表。マウスで家族メン
バーの名前をなぞれば、順に家族間の相互関係が分かるというもの。この八大
家族とはトウ小平、薄一波、陳雲、宋任窮、彭真、王震、李先念、楊尚昆の一
家で、チャート上であぶり出された人数は103人にも及ぶ。
http://goo.gl/4zcYJ 」

@mozhixu/莫志許「ブルームバーグの報道によると、中国で最も不動産商売を
始めた人の中にはトウ小平の子女らが含まれており、中国の不動産業は最初、
太子党が香港で学んで始まった。つまり、中国の土地財政ってのはその副産物
だったわけだな」

@fightcensorship/范強「このブルームバーグの報道では中国八代家族の関係
図のほかに、具体的な報道も続いている。例えば、宋任窮の四女でアメリカミ
シシッピー州で暮らす宋昭昭に直接インタビューをしている。彼女はアメリカ
人に嫁ぎ、すでに米国籍を取っており、大統領選挙ではオバマに投票した、
と。宋任窮長男の宋克荒はカリフォルニアで暮らしている。宋任窮の孫にあた
る米勒松はアメリカでTシャツ販売をする会社を起こしている。
http://t.co/WQJdkhEC 」

@Tkyobile/Peter「宋任窮の67歳になる息子、宋克荒の話:『ぼくらの世代、
そして下の世代は中国の革命、独立や解放になんの貢献もしていない。現在、
一部の人たちが両親の地位を利用して荒稼ぎしている。大衆は怒って当然だ、
彼らには怒る権利がある』」

@fightcensorship/范強「ブルームバーグのチャート上に描かれた八代家族の
103人のうち3分の1が現在アメリカで暮らし、働き、留学している。留学先は
基本的にマサチューセッツ州のアイビーリーグ学校(米国東部の名門校)が
中心で、学科はニューヨークのモーガンスタンレーと関連性を持つものが基
本。八大家族のうち少なくとも将軍5人の子女8人がアメリカに住み、娘3人は
アメリカ国籍を取り、息子一人がグリーンカード所持者」

@WLYeung「再び『ブルームバーグ』がスクープ。今度は中国共産党の元老八
人の末裔たちがいかに経済の改革開放で漁夫の利を得たかについて取材。今
日の原稿は非常に長いが、王震家族が所有する驚くべき財産、特に同一家の
中信グループ、保利不動産グループと国家開発銀行との微妙な関係が描かれ
ている。一読をおすすめ」

@westmoon「ブルームバーグの報道によると、王震将軍の息子の王軍、トウ
小平の娘婿の賀平、そして毛沢東時代の経済王だった陳雲の息子である陳元
のわずか3人がトップを務めている、あるいは運営している国有企業の2011
年における時価総額はなんと1.6兆米ドル。中国の年間経済が生み出す5分の
1あまりを占めている。(カネはどこにある?)」

@fightcensorship/范強「一部では、今回のブルームバーグの八代家族関係
チャートは以前も海外の中国メディアが報道したことがある、という声もあ
る。実のところ、それとこれとはまったく別のレベルだ。海外メディアが報
道したのは一部の小出しのスクープで、その情報源は内部告発によるものだ
し、その検証は非常に難しく、総体的に信頼性も低いものばかり。だが、ブ
ルームバーグ、ニューヨークタイムズが力を入れているのは事実と証拠、そ
してすべてを公開情報とインタビューで集めており、ばらばらに手に入れた
さまざまな情報をまとめて立派な構造図に仕立てあげたんだ。口で言うほど
簡単じゃないよ!」

●2012年は、重慶市の元公安局長だった王立軍がアメリカ領事館に薄煕来汚
職の資料を持って飛び込んだことから始まり、この年末のブルームバーグの
大スクープまで、内情暴露で暮れた1年だった。このリンク先のチャートは
見事な作りで、遊び気分ででものぞいてみて欲しい。今号のメルマガでも最
後にまとめた「ニューヨークタイムズ(以下NYT) 中国語版」の人気記事紹
介を読んでも分かるように、中国国内では政治的な要因で決して報道できな
いような話を、今年は海外メディア、特に米メディアが丹念に調べあげ、発
表した。だが、毎年12月末に一挙に行われる海外メディア記者のビザ更新
で、温家宝家族の資産事情を発表したNYTの記者らにはビザが下りず、北京
駐在の記者は大晦日に香港に一時撤退した。ブルームバーグは6月に「習近
平の実姉が資産3億7600万ドルを所有」というスクープを流し、NYT記者と
ともに11月の党大会記者会見では記者証が発行されなかった。だが、今回
はこのスクープを「ビザ更新後」に発表するなど、なかなかしたたかな戦略
に出た模様。

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§ 02. 思考することば §

「感謝国家、感謝党」=「国に感謝し、党に感謝する」(霞山会・2010年11
月掲載)
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●わたしが中国語を学んだのは1980年代●当時の中国は文化大革命後にやっ
と訪れた改革開放時代を満喫していました●その後起こった天安門事件(19
89年)、そして経済発展(94年~)、さらにはWTO加盟(2001年)、オリン
ピック開催(08年)、GDP世界第二位(11年)という節目を経て、中国は大
きく変化しました●またネットの時代に入り、人々は急速に自由な「言葉遣
い」を身につけ始めています●日本と同じ漢字国の中国の人たちがどんな思
いで「言葉」を使っているのか●財団法人霞山会のHP連載「思考すること
ば」(http://goo.gl/ntde )から過去記事に加筆したものです●
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(この記事は2010年11月に掲載されたものに一部加筆、訂正しました)

 先日、日本を上から下までひっくり返ったような大騒ぎを引き起こした漁
船の船長が、専用機で中国に帰って放った「国に感謝し、党に感謝する」と
言う言葉。これが、熱くなってネット上でその帰国を見守っていた人たちの
一部を「あら~っ」と一瞬にして白けさせてしまった。かつての中国では何
の変哲もなかったこんな「お約束事」が、今やインターネットで個人の発言
空間を楽しんでいる世代にはただのブラックジョークになっている。

 きっかけになったのは、今年初めに行われたバンクーバー冬季五輪の女子
ショートトラック1500メートル競技で吉林省出身の若干18歳の周洋選手が金
メダルを獲得し、彼女がテレビに向けて放った、受賞第一声の「うれしい。
この金メダルで両親を楽にさせてあげられる!」だった。文字通りの孝行娘
が放ったこの一言が、意外にも様々な人にいろいろな思いをもたらした。

 「そういえば、栄えあるオリンピック強化選手に選ばれた人の実家ってど
んな暮らしなの?」と好奇心に駆られて、メディアが彼女の実家に駆け付け
た。周選手の母親は足が不自由で、他人のセーターを編んで収入を得てお
り、父親は国営企業の失業者で現在はスポーツくじの販売をしているという。
華やかなメダリストの実家の困窮ぶりは多くの人を驚かせた。

 一方でこの言葉を聞いた、スポーツ選手の育成を担当する国家体育総局の副
局長は面白くなかったようだ。すぐさま、「親よりも何よりも、まずは国と党
に感謝するのが筋だ」とかみついた。周知のとおり選手たちは子供のころから
ずっと国の手厚い育成を受けている。社会主義が華やかなりし70-80年代だけ
ではなく、つい最近まで「国と党に感謝する」はメダリストの第一声と決まっ
ていた。

 しかし、実際にはここ十年ほどオリンピックでメダルを獲って凱旋帰国した
選手たちが、そのまま商業主義に乗って高額の契約金を手にし、選手活動より
モデルや芸能人まがいの活動に精を出すようになった。選手生命は短い。彼ら
が自分の名声を利用してさらに人生を文字通り豊かに生きたいと思う気持ちは
わからないでもない。なによりも長年の努力が報われたような高ギャラの芸能
活動は、彼らには魅力的だ。そんな風潮に「育ててやった」と感じているスポ
ーツ界関係者は眉をひそめていて、実際にオリンピックやアジア杯の飛び込み
で歴年メダルを総なめしてきた田亮選手はそんな声を無視して芸能活動を行う
ことに執着したため、選手資格をはく奪された。

 だが、社会には芸能活動に精を出す選手に対する批判だけではなく、そんな
頑ななスポーツ界の「既得権者」への反感も多い。そこから、周選手の場合、
両親が幼いころに娘を差し出して以来、なんの保障も優遇も受けずに貧しい生
活をしてきたという報道に、民間から「娘にとって両親への感謝が第一で何が
悪い?」という声も沸き起こった。

 しかし、騒ぎの中心となった、肝心の周選手は第一声が巻き起こした大議論
後に行われた単独インタビューで、「両親」への感謝の順位を5番目に引き下
げた。人々の脳裏には、それまでに舞台裏で行われたのであろう「訓戒」が浮
かんだネットユーザーたちはそんな華やかな世界の裏に存在する「裏舞台」に
皮肉を込めて、「感謝国家、感謝党」と言うようになった。もちろん、そこに
は「国や党は本当に両親よりも重いものなのか?」「なぜ強制されなきゃなら
ないんだ?」という皮肉が込められている。

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§ 03. 今週のトピックス §

2012年、「ニューヨークタイムズ 中国語サイト」で読まれた記事トップ5
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●インターネットの普及はメディアの世界を大きく変えました●中国では特に
ネットの普及は文字通り「海外メディアへのアクセス」を意味しており、海外
のメディアを読む人が激増●それに目をつけたアメリカ、イギリス、ドイツ、
フランス、オーストラリアなどのメディアは中国語で自社ニュースを発信する
サイトを開設、外国語が読めない人にも人気を集めています●ここ2年のうち
にやっと日本メディアも朝日新聞社や日経などが中国語サイトの運営に積極的
に乗り出しました●その中でも特に読まれているのが、「ニューヨークタイム
ズ」紙●昨年末に発表された同紙の年間アクセストップ記事を以下、リンク付
きでご紹介します●
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1位)「前妻李丹宇の目にうつる薄煕来」10月8日掲載 (http://goo.gl/dgqC1
/英語記事:http://goo.gl/n1MTI )

 昨年2月に元腹心、王立軍がアメリカ領事館に政治亡命を求めたのがきっか
けで、現在の妻、谷開来のイギリス人ビジネスマン殺害事件が明るみになり、
その後失脚した薄煕来・元重慶市党書記。その前妻、李丹宇が初めてメディア
に対して薄について語った記事で、谷開来が毒を盛られた事件の黒幕が李との
間に生まれた息子(成人、北京在住)ではないか、と疑っていた薄煕来の話か
ら始まる。
 
 李は薄煕来を「共産主義に執着した理想主義者」「性格は善良」、谷開来を
「偏執的なところがある」と形容している。ともに中国建国に関わった重鎮を
父に持つ二人は文革終わりかけの1975年に付き合い始め、76年に結婚、翌年息
子が生まれるが、その4歳の誕生日直後に薄が離婚を切り出したと李は語る。
李は薄が当時通っていた北京大学で谷と知り合ったことが原因で、当時離婚を
受け入れようとしなかった李に、弁護士になった谷が脅迫まがいの離婚を迫っ
たという。

 記事によると、離婚後二人には行き来は途絶えた。だが、李の兄が谷開来
(父は将軍)の姉と結婚するという複雑な家族関係にあった。

 年末になって週刊誌「南都週刊」が、アメリカ大使館に飛び込んだ王立軍の
背景を丁寧に取材した記事を掲載して話題になった(その簡単な紹介をニュー
ズウィークに書いた→http://goo.gl/lBn6L )。そこでは谷開来が毒を盛られ
ていたという事件が谷と王を結びつけるきっかけとなったと書かれていたが、
それはまた谷と薄の前妻との関係をあぶり出し、さらにはイギリス人殺害に谷
が毒を持る、という古代朝廷ドラマさながらの展開だったことが分かる。中国
国内ではまだ完璧に緘口令が敷かれている事件なだけに、この記事が注目され
たのは必然ともいえよう。


2位)「『犯罪英雄』王立軍の両面人生」8月18日掲載(http://goo.gl/08nl6
/ 英語記事:http://goo.gl/FBrX1 )

 …というわけで、薄煕来の代わりにばんばん暴かれている感のある元腹心の
王立軍。彼が中国の政府系メディアでは、少数民族に属するモンゴル族であ
り、高価なコートを着て、組織犯罪を撲滅する一方で、自分自身も大きな罪を
犯してしまったと報道されているが、実際にはその裁判の過程には、一部中国
人ジャーナリストから「疑わしい」という声も上がっていることがこの記事に
は附記されている。
 
 どこに行くのも黒いコートを来た警官隊を引き連れたり、と威勢の良いこと
が大好きだったという報告の一方で、犯罪心理学や犯罪捜査技術にも高く興味
を持っており、アメリカのO.J.シンプソン事件(http://goo.gl/U8i0v )で活
躍した、台湾出身の法医学者ヘンリー・リーをとても崇拝していたという。前
項で触れた「南都週刊」の特集よりもずっと早く、外国メディアながらかなり
詳細な王立軍という人物像に迫った記事だった。


3位)「総理家族の隠された財産」10月26日掲載(http://goo.gl/ECCej / 英
語記事:http://goo.gl/hZohh )

 これも中国に爆弾投下のような騒ぎを引き起こした。「親民総理」「改革
派」と思われてきた温家宝総理(首相)の家族が、温氏の立場を利用して27億
米ドルを越えるとみられる蓄財を行なっているという暴露記事。

 とにかく総理の90歳になる母親名義だけで1.2億米ドルもの投資がなされて
いるというのだから、みんながぶったまげた。さらには人前に姿を表さない
妻、そして息子、その友人たちの蓄財術が芋づる式に紹介されており、これま
で噂として語られていた「総理の周辺」が具体的な数字とともに伝えられ、
知っていた人も知らない人も釘付けになった。

 また10年ぶりの指導者交代が予定されていた共産党大会の直前に流れたこと
もあって、アンチ温派が情報を提供し、温氏や胡錦濤ら改革派追い落としを
狙ったとも噂されたが、記事になるまでのウラ話については執筆した記者自身
が質問に答えるという形で別記事にされている(http://goo.gl/5IGhq / 英語
記事:http://goo.gl/U3lkv )。これも簡単にかいつまんだものをわたしも
ニューズウィークのコラムにまとめた(http://goo.gl/eEXyv )。

 そういえば、この記事に絡んで温氏家族が香港で訴訟を起こすと息巻いてい
たけど、その後の経過を聞かない。どうなったんだろう?


4位)「薄煕来氏に巨額の収賄疑惑」9月29日掲載(http://goo.gl/UvHTN / 英
語記事:http://goo.gl/nBXVm )

 3月に重慶市党委員会書記を解任されてからすっかり姿を消した薄煕来。そ
の間、「再起を狙っている」「党内で薄支援者が戦っている」という噂がずっ
と流れていたところに、半年たってとうとう党籍剥奪されたことが明らかに
なった直後の記事。

 薄の処分理由には夫人によるイギリス人ビジネスマン毒殺事件への直接関与
は上がっていないものの、深い関係にあった富豪が逮捕されており、その富豪
を通じて薄夫妻が巨額の賄賂を受け取っていたという可能性も示唆。具体的に
一度に300万米ドルを越える賄賂を受け取ったという証言をこの記事は(事実
としては検証されていないが)紹介している。


5位)「王立軍、逃亡前に薄煕来との矛盾激化」9月20日掲載
(http://goo.gl/6Xmbp / 英語記事:http://goo.gl/mp8o2 )

 新華社がこの週に明らかにした、王立軍裁判の詳細と審理の状況を伝える記
事。元公安局長のアメリカ大使館飛び込み、党書記夫人の外国人毒殺事件、忠
誠を誓った党書記とのあつれきと反乱…まぁ、注目されないほうがおかしいく
らいのドラマだらけの事件だが、その鉄のベールに隠れたウラが明らかになる
(かも?)というのでさらに注目を浴びた裁判だった。

 王立軍が裁判で問われたのは「逃亡」「職権乱用」「収賄」「私利私欲によ
る犯罪」の4つ(これはどれも、「お上に対する」犯罪であり、イギリス人ビ
ジネスマン殺害に関わったのに「殺人罪」などで問われていないところはポイ
ントだと思う)。

 記事は新華社報道(つまり「公式発表」)を元にしつつ、王の弁護士にも接
触し、「王は賄賂を受け取っていない」という公式発表にない証言なども取り
付けており、一方的に「犯罪者王立軍」を強調する新華社報道よりも、読んで
いてずっと「王という人間」が立体的な記事となっている。

●とにかく、2012年はいろいろあったがそれでもやっぱり薄煕来事件の一連の
衝撃に勝るものはなかったといえる中国。薄煕来の残り火はまだぶすぶすとく
すぶっているために、まだ正面切って薄煕来事件を追える国内メディアはない
(12月中旬には「南方週末」紙が薄煕来記事の差し替え命令を受け、定期発売
日の木曜日に間に合わなかったという「事故」が起きている)。この面におけ
る西洋メディアの優位はしばらく続くだろう。

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§ ふるまいよしこ/フリーランスライター §
北九州大学(現北九州市立大学)外国語学部中国学科卒。1987年から香港で広
東語を学び、雑誌編集者を経てライターに。現在は北京を中心に、主に日本メ
ディアがあまり伝えない中国社会事情をリポート。2003年から10年まで作家村
上龍氏主宰のメールマガジン「Japan Mail Media」
(http://ryumurakami.jmm.co.jp )に中国レポート「大陸の風」を寄稿(過
去記事も読めます)。現在、東京新聞朝刊土曜版「本音のコラム」、「ニュー
ズウィーク日本版ウェブ」
(http://www.newsweekjapan.jp )でコラム「中国 風見鶏便り」を連載中。

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