僕らのモテるための映画聖典編集部
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入江悠presents「僕らのモテるための映画聖典」

僕らのモテるための映画聖典編集部
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  • 独占インタビュー
¥648(税込)/月 初月無料!
毎週 水曜日(年末年始を除く) 今月4/5回(最終 2016/08/24)
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入江悠presents「僕らのモテるための映画聖典」

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「SRサイタマノラッパー」シリーズでお馴染みの映画監督・入江悠と仲間たちが送る、「映画でモテる!」をキーワードにしたメルマガです。

著者プロフィール

僕らのモテるための映画聖典編集部

【入江悠プロフィール】入江悠(1979年、神奈川県生まれ、埼玉県育ち。03年、日本大学藝術学部映画学科卒業。「SR サイタマノラッパー」(09)が、ゆうばり国際ファンタスティック国際映画祭のオフシアター部門でグランプリを受賞。キャスト・スタッフによる地道な宣伝活動の結果、自主映画としては異例のヒットとなる。その後「SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー星傷だらけのライム」「SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者」とシリーズ三部作を作り上げた。もっとも注目される若手映画監督のひとり。

サンプル号
2012年02月20日発行
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┃入江悠presents┃僕らのモテるための映画聖典    【vol.7】 
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映画監督・入江悠と仲間たちがすべての映画を愛する人へ贈る
「映画でモテる!」ための映画メルマガです。

〓【 I N D E X 】=〓=〓=〓=〓=〓=〓=〓=〓=〓=〓=〓=
 
 【 01 】 … 入江悠の身辺雑記「映画でモテると思ってた」

 【 02 】 … 執筆陣がこの一週間で観た映画を採点「みんなの☆映画レビュー」

 【 03 】 … 発掘せよ! 入江悠の「モテるための昭和日本映画」(隔週掲載)

 【 04 】 … 放送作家・林賢一のストイック映画評「終わった恋と、映画を数える」

 【 05 】 … 俳優・駒木根隆介の役者論「俳優麺論」 

 【 06 】 … 女優・森下くるみが映画と食を考える「今日も映画で腹が減る」
 
 【 07 】 … ラッパー・上鈴木伯周がHIP HOP映画を語る「僕は黒人と結婚したかった」

 【 08 】 … 構成作家・ヒロコ先生の「“映画でモテる!”は美女に訊け!!モテDVD8番勝負!(仮)」

 【 New! 】 … 女優兼ライター・ハルカの映画デート武者修行「あなたと映画が観たいです。」 

 【 09 】 … メルマガ編集担当の書評コーナー「これは映画になりますか?」
 
 【 10 】 … これ観りゃモテる!「デートのための映画データベース」

【特別企画】… 入江悠×山戸結希「『あの娘が海辺で踊ってる』を巡る史上もっとも噛み合わないトークショー完全再録(前編)』
 
【 11 】 … 編集部より

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■【 01 】 入江悠の身辺雑記「映画でモテると思ってた」

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映画監督・入江悠が、映画を巡る東奔西走の日々を綴ります。
可笑しくて、やがて哀しい疾走映画ダイアリー!

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 こんにちは、入江悠です。
 さあ、今週も迫り来る花粉の脅威に負けずに、
 映画館へ足を運んで役に立つモテ映画情報を集めてきました。
 歩きすぎて、パンツの股が破れました(ただ太ったのかも)。

 バレンタインデーには、ヒロコ先生の担当されているニッポン放送の
 ラジオ番組へ出演してメルマガの宣伝をしてきました。
 (読者が1名だけ増えました)。
 また、オーディトリウム渋谷で山戸結希監督『あの娘が海辺で踊ってる』
 の上映後トークショーにも出演してきました。
 いま巷で話題になっている本作の監督・山戸さんは、
 実は『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』のスタッフでした。
 ある日突然「映画を作ったので観て欲しい」とDVDが送られてきたのです。
 予想を遥かに上回り、とんでもない怪気炎をあげた珍作、いや傑作でした。
 これは応援に駆けつけなければならないと馳せ参じたわけですが、
 まあ、トークショー自体もびっくりするくらい異常な対談になりましたよ。
 本メルマガでトークショーの模様を採録して、お届けしたいと思います。
 (執筆陣の林賢一と上鈴木伯周も観にきていて驚嘆したようです)。

 さて告知ですが、来月にドラマの撮影をします。
 『みんな!エスパーだよ!』という連続ドラマです。
 (http://www.cinra.net/news/2013/02/13/103019.php)
 ドラマのメイン監督は、今をときめく園子温監督。
 僕はそのうちの2話分を監督します。
 ドラマの主演は染谷将太くん。
 映画『ヒミズ』以来、どんどんメジャーになっていく染谷くんは、
 何を隠そう、以前『SRサイタマノラッパー』クルーが日本大学芸術学部で、
 学生向けトークイベント&上映をやった時にモグリで聞きに来ていたほど、
 映画マニアでフットワークの軽い好青年です。
 かつての『トラック野郎』シリーズのようなアナーキーさとスケベ根性で、
 近年稀にみる破天荒なドラマになるはずです。

 撮影場所は愛知県ですが、エキストラさんも募集していますので、
 もしお近くにお住まいの方はぜひ宜しくお願い致します。
 ここだけの話ですが、ラッキーな方は「パンチラ」が見られますよ。
 あの、登校時に階段で風が吹いた瞬間だけに見ることのできる、
 一瞬のきらめき「パンチラ」です。
 自然と地形と衣服の奇跡のコラボレーションが見られるのです(たぶん)。
 (でも、メルマガだけの内緒で、ひとつよろしくです)。
 エキストラさん募集ページ→ http://www.tv-aichi.co.jp/esper/
 それでは、今週もはじまり、はじまり~。

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■【 02 】 執筆陣がこの一週間で観た映画を採点「みんなの☆映画レビュー」

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 公開中の映画を中心に、しがらみ抜きの本音でレビュー!
 ☆  …観る価値なし
 ☆☆ …ヒマ潰しに、是非
 ☆☆☆…観ないで死ねるかっ
 の3段階ガチ評価です。

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【入江悠】

 『ゼロ・ダーク・サーティ』☆
 技術的に非常に良く出来た「捕物帳」映画だが、
 ではその「岡っ引」には自身へ向けた懐疑の眼差しがあるのか、
 そこに冷徹な批評性があるのかと考えると暗くなる。
 観て何を思うかを分ける映画ではある。

 『あの娘が海辺で踊ってる』☆☆
 万人にオススメできる映画ではない。
 でも気持ちよく時空が歪む不思議体験はこの映画でないと味わえない。
 カットや音の連続性なんてたいして重要なことではないし、
 映画にとってもっと大事なことは他にあるのだ、
 ということをどんなメジャー映画より教えてくれる。

 入江悠……いりえ・ゆう。1979年、横浜生まれ、埼玉育ち。映画監督。
      代表作に「SRサイタマノラッパー」シリーズなど。

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【林賢一】
 
 『脳男』☆
 858カット。オープニングから30分ほどまで完璧なフィルムかと思った。
 しかしながら、脳男の過去を紐解き始めると急激に失速。映画という虚構がそもそも回想という
 システムを内包しているのだから、虚構内回想はよほど気を遣わないとノーグッド。

 『ゼロ・ダーク・サーティ』☆☆
 2099カット。カット業界では大台と言われている「2000カット超え」を達成。
 主人公の女CIAマヤと女監督キャスリン・ビグローの二人が、男だらけの世界で戦う姿が二重写しに。
 カットは無限に割れる。そんな当たり前のことを実感できるカット大作。ビグロー素敵。

 『ダイ・ハード/ラスト・デイ』※詳細は連載で
 1470カット。カット数に関して、ある奇跡と言い切ってもよかろう事態が発生。
 詳細は連載を読んで頂くとして……。98分という尺におさまっているのは好感が持てるけれど、
 マクガフィンの取り扱いが雑すぎる。途中でマクガフィンが変わるのは断固よくない悪例。 

 『あの娘が海辺で踊ってる』☆
 297カット。人がモノを作り始める瞬間というのは、その中心に煌めきがある。
 その煌めきが魔法のように乱反射する場合もあれば、間違った所に引火して大惨事を引き起こす場合もある。
 どちらの煌めきでも、光る宙吊り空間に幾色もの映画の快楽という虹がかかるのは間違いないし、
 少なくとも僕はどちらであっても、やらないよりはマシだと思う。だけれども僕は大惨事を好まない。ただそれだけです。

 『仁義なき戦い 代理戦争』☆☆
 541カット。広島事件を扱った第4部の前フリのため、抗争が起こるまでの内紛を描かざるを得ない。
 退屈になりそうなものだが、その群像劇が飽きない。脚本・笠原和夫の苦労が滲み出ている。本人はこう語る。
 「多少脈絡がつかなくとも、彼等全員のゴタゴタをスクリーンに放り出すことで、『人間喜劇』を観せようと
 思い立った。バルザックに嗤われても背に腹はかえられぬ」(シナリオ集あとがきより)
 これが意志となり、深作監督に伝播したのだと思う。(シネマヴェーラ渋谷で「成田三樹夫特集」~3/1まで)

 林賢一……はやし・けんいち。1979年、五反田生まれ、男子校経由、宇都宮育ち。放送作家/脚本。
      ウンベルト・エーコ『小説の森散策』を読みました。猛烈にオススメします。文学好きは是非。

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【上鈴木伯周】

 『童貞。をプロデュース』☆☆
 『フラッシュバックメモリーズ 3D』でも話題の松江哲明監督のドキュメンタリー作品。
 映画館でしか観れない作品だけど、映画館では観たくない、かもしれない。1人で噛みしめたい。
 そこで笑うなよ! そこは笑ってやれよ! 童貞へのプロップス(理解・評価)が足りねぇよ! と、
 いつの間にか観客のファッキン笑い声にムカついてきた。
 登場する童貞1号と2号のマイメン(仲間・理解者)になりたくなった。

 『あの娘が海辺で踊ってる(完全版)』☆☆☆
 山手線内で騒ぐギャル達の噂話。渋谷のマックではしゃぐビッチたちの自慢話。
 女の子たちの喋り声や他愛ない会話なんて普段から煩わしいくらい耳に入ってるのに、
 この映画の中にある会話の色や形や温度は、全てがフレッシュ! まさに初・体・験!
 僕の人生では、これまでもこれからも絶対に盗み見、盗み聞き出来ない様な女の子の姿。
 それを切り取れて、それを表現できる才能が、山戸監督のフレイバ(持ち味)なんだと思う。

 上鈴木伯周……かみすずき・はくしゅう。1979年、栃木生まれ、男子高卒、のラッパー。
       「ラップの教科書」と「タケダ先輩のミックテープ」が絶賛発売中!

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【阿部洋子a.k.a.ヒロコ先生】

 『世界にひとつのプレイブック』☆☆☆
 現代社会にありがちな理由でココロが壊れてしまった男女。
 エキセントリックな男子の行動に、
 それを上行くエキセントリックさで男を癒そうとする女子。
 そこには恋をすっ飛ばして愛しかなくて。
 ハートがぶつかり合う音が聞こえてきそう。
 最後の最後は、展開が読めたけど、途中のエピソードはなかなかどうして。
 ラストの、男子のアノ“タメ”は、女子、誰でもスキだと思う!
 こんな脚本、書けるようになりたい。
 (2月22日公開)

 阿部洋子……あべ・ひろこ。構成作家。趣味・恋愛。宮城県出身。
       ラジオ、テレビの構成他、多方面で活躍中。

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【山口遥】

 『脳男』☆☆
 出演者の顔ぶれは園子温ムービーっぽい。
 山崎ハコは、まんま『ヘヴンズ・ストーリー』だな。
 きっと生田斗真には『アジョシ』のウォン・ビンを意識させたのだろうな、など
 “それっぽい感”をたっぷり楽しんだ後のスーパーカッコいいエンドロールに熱狂しました。
 カップル客の女性の多くが目を伏せるシーンが多々有りました。

 『ゆきゆきて、神軍』☆☆☆
 神軍平等兵・奥崎謙三の姿を描いたドキュメンタリー。
 おめでたい結婚式の挨拶で「私と新郎は共に前科一犯でございます。」と序盤からかっ飛ばし、
 喋りまくり暴れまくる奥崎氏に笑わされ、翻弄され続ける2時間。
 そんな彼を目の当たりにし、恥ずかしながらも初めて本当の意味で戦争の惨さを痛感しました。
 原一男監督、編集の鍋島惇氏によるトークショー付き上映はポレポレ東中野で2/22まで!

 山口遥……やまぐち・はるか。小動物系女優兼ライター。
      入江悠監督作『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』ほかに出演。
      ※ただいま新連載準備中!

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【情報担当・藤野】

 『戦火の馬』☆☆
 第一次世界大戦前夜のイギリス。農耕馬を落札するはずだった小作農のお父ちゃんが、
 一目で惚れたサラブレッドを大枚はたいて落札。
 その息子も惚れ込んで一から調教するが、親子の手を離れ戦場に連れ出され、両軍や農村の親子など人の手から手へ巡る名馬。
 人と馬の絆なんて動物好きにはズルズルに泣くしかない。スピルバーグ、堂々王道のハッピーエンド映画。
 
 「若尾文子特集上映」@TKP柏シアター ☆☆☆
 『女は二度生まれる』、『妻は告白する』(若尾文子トーク付き)、『祇園囃子』
 上記タイトル順に、川島雄三、増村保造、溝口健二の3人の名匠が若尾文子で描く女性像。
 あっけらかんと春を売る芸妓。愛に生きる人妻。自分の意思で舞妓になる普通の女の子。イッキ観が至福!
 各監督の演出方法や撮影エピソードを聞けたトークショーは、
 映画を50年ぶりに観る風情のシニア層も多く、ざわざわ騒々しい満席がうれしい。
  
 『アンタッチャブルズ』☆☆(今週末より公開) 
 詳しくは今週始まる映画コーナーで。
 大きな感動やド派手すぎるアクションがないのも、笑いのまぶし具合もちょうどいい塩梅な娯楽作。
 意外にもコメディ映画好きなフランスで大ヒットとのこと。
 このふたりでテレビシリーズ希望。
 巨悪に挑んだり、ちょっとした事件を解決したりな1時間ドラマでふたりの掛け合いを毎週楽しみにしたい。
 
 情報担当……藤野実香子。日夜関東各地の映画館に出没する映画大好き主婦。
       「SRサイタマノラッパー」シリーズを通して応援した縁で今回のメルマガにも参加。

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【編集担当・大川】
 『ゼロ・ダーク・サーティ』☆
 ものすごく退屈でありえないほど長い前半と、
 主人公が完全に空気と化す後半、合わせて2時間半。長い。
 大傑作『アルマジロ』が取材対象に肉薄し、
 その上で取材対象を裏切るように作られていたのに対し、
 本作は肝心カナメの部分で現実の取材対象への遠慮が感じられるような。
 
 『ダイ・ハード/ラスト・デイ』☆☆
 100分弱、仕事のことも日常のよしなしごともスッポリ忘れられる、
 「ヒマ潰し」という目的に最適化した実にもって機能的な映画。
 さして英語に堪能なわけでもない自分が聞いても、
 ニュアンスもなにもない、と思う字幕だけが残念。でも、面白かった!

 編集担当……大川喬司。本業は零細漫画誌編集長。漫画とアニメが大好物。

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■【 03 】発掘せよ! 入江悠の「モテるための昭和日本映画」(隔週掲載)

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 映画監督である前に、ひとりの超絶映画マニアである入江悠が、
 昭和日本映画の名作・奇作・珍作・問題作ぜんぶまとめてご紹介。
 モテの極意が知りたいならば、昭和の映画屋に聞いてみなっ!

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【今週のお題】   『独立愚連隊』シリーズ(岡本喜八監督)
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 味わい深い顔の男がいなくなった。
 煤けて、汚れて、土にまみれて、色気のある男が。
 以前この連載にて、大島渚監督の逝去で昭和映画史が幕を下ろしたと書いた。
 監督が大島渚であるならば、僕にとって昭和映画史に幕を下ろした男は
 もうひとりいて、その男は俳優だ。
 猿のようにくちゃくちゃの顔に、ニカッと笑って開く大きな口。
 顔はいつも黒ずんでいて、皺が多い。
 名前を、佐藤允(さとうまこと)という。
 かなりの映画通でなければ、今やその名前を知る人は少ないだろう。
 ドヤ街から飛び出してきたような風貌の俳優だった。
 戦場を駆け回って、銃弾の下をかいくぐり、素足で草原を走っていそうな、
 そんな野性味が溢れる男である。

 僕が佐藤允と出会ったのは、18才くらいの時だった。
 映画館、ではなく、当時引きこもっていた実家の、テレビの中。
 やけに動物的で浅黒い俳優がいるなと思って観ていたら、
 その底抜けに明るい笑顔に目が離せなくなった。
 映画の題名は『独立愚連隊』。
 たまたまWOWOWで放送されていたその映画は、
 僕に映画の面白さを充分すぎるほどに教えてくれ、
 同時に岡本喜八というその映画を作った監督の名前も記憶させた。
 映画は、先の大戦中の中国大陸で「独立愚連隊」と呼ばれ、
 連隊や司令部から鼻つまみ者の扱いを受けている男たちの奮闘を描く。
 とは言っても、戦局にとって大事なミッションを遂行するわけではない。
 「独立愚連隊」は陸軍の理不尽な命令には背を向け、危ない時はすぐ逃げる。
 不合理な命令は聞かないが、尊厳を守らなければいけない時は果敢に立ち向かう。
 つまり、独立独歩の自由な男たちである。

 当時浪人生だった僕は、高校時代に馬鹿なことをやっていた仲間たちが、
 自明のように一流・二流の大学へ進学していくのを見つめて、
 ただただ空虚さと無力さにうちひしがれていた。
 修学旅行で朝まで呑み歩き教師たちに捕まって怒られた仲間たちも、
 高校卒業と同時に世間の常識に呑み込まれていく。
 決められたレールの上をぞろぞろと歩いていく。
 そんな「道」を憎悪し呪っていた僕にとって『独立愚連隊』は救いとして映った。
 一度限りの人生は好きなように生きていい。
 台詞ではなく、画面からはみださんばかりのエネルギーでそれを教えてくれた。
 そして、その中心人物が佐藤允だったのだ。
 
 同時に、僕はこの作品によって「映画の世界」へと導かれた。
 それまで古色蒼然として避けていた白黒映画の世界に没頭し、
 海外に負けていない昭和の日本映画の面白さに気づき、
 「映画を作ってみたい」といつしか思うようになっていた。

 そのきっかけをくれた佐藤允は昨年、逝去された。
 「いつか自分の映画に出演してもらいたい」という無謀な願いは、
 ついに叶わぬものとなってしまった。
 本当はただ「独立愚連隊を観て映画の世界を志しました」と
 告げられるだけでも充分だったのだ。
 しかし、佐藤允はもう映画の中にしか存在しない。
 これからも落ち込んだり、弱気になったりした時には、
 何度も何度も、繰り返して『独立愚連隊』を観ることだろう。
 そうして、かつての日本映画の溢れんばかりのエネルギーと反骨精神を受け取り、
 次の世代に繋げていくことしか、僕が彼にとって恩返しをする方法はない。

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■【 04 】 放送作家・林賢一のストイック映画評「終わった恋と、映画を数える」

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話題の映画はいくつの「カット」で構成されているのか――?
デジタルカウンターを握りしめ、ひたすら映画を「数える」ことを誓った男は、
カウンターの数字を通して映画の真実に辿りつくことができるのか!?

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 【Vol.7】  『ダイ・ハード/ラスト・デイ』を数えてみた
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【今週のカット数】
 『脳男』 858カット(1カット平均8.7秒)
 『ゼロ・ダーク・サーティ』 2099カット(1カット平均4.5秒)
 『ダイ・ハード/ラスト・デイ』1470カット(1カット平均4.0秒)
 『あの娘が海辺で踊ってる』 297カット(1カット平均10.1秒)
 『仁義なき戦い 代理戦争』 541カット(1カット平均11.3秒)

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 『ダイ・ハード/ラスト・デイ』を数えたら1470カットで1カット平均4秒だった。

 誰も気がつかないと思うけれど、これはとてつもない珍事件なので今回はそのリポートである。
 当たり前の話で恐縮だが、1カット平均というのは以下の計算式から導き出される。

 【上映時間(分)×60(秒)÷総カット数=1カット平均秒数】

 例えば『ゼロ・ダーク・サーティ』の上映時間は158分で2099カットなのでこうなる。
 【158(分)×60(秒)÷2099(総カット)=4.5164364……(1カット平均秒)】

 そう、1カット平均秒数は4.5164364……などと、ほとんどの場合きちんと割り切れないので、
 小数点第2位以下は切り捨てて「4.5秒」と紹介してきた。
 実際、これまで数えた全作品の1カット平均秒数は割り切れなかった。例外なく。
 だが。
 恐ろしいことに『ダイ・ハード/ラスト・デイ』は割り切れてしまった。
 これは奇跡としか言いようがない。
 電卓が小数点のない数字「4」をきっちり表示した瞬間、僕は飲んでいたミネラルウォーターを吹いた。
 目の前にあったキーボードがびしょ濡れでダイ・ハード状態である(衒いなくキッパリ)。
 弁償してくれ、とまでは言わないがどうしてくれるんだブルース・ウィリス。
 なぜきっちり割れた?
 こんなことが起きるのは人生でもう二度とない、と断言したい誘惑に駆られる。

 念のため、みなさんも一緒に検算してほしい。
『ダイ・ハード/ラスト・デイ』は98分の作品で1470カットだから……
 【98(分)×60(秒)÷1470(総カット)=4(1カット平均秒)】

 何度計算しても答えは「4」だ。驚くほどきっちり割り切れる。
 ブルース・ウィリスには申し訳ないのだが、笑ってしまう。
 とてつもなく激しいアクションシーンが連発され、細かいカットばかりなのに、
 1カット平均の秒数はぴったり「4」だ。

 蛇足だと思うけれど、一応作品紹介を。
 >ブルース・ウィリスの名を一躍有名にし、シリーズを重ねるごとに過酷なアクションを描いてきた
 >『ダイ・ハード』シリーズの第5弾! 毎回、なぜかトラブルに巻き込まれるも、絶対にくたばらない
 >タフな男ジョン・マクレーンがモスクワを舞台に、ソリの合わない息子ジャックと大暴れする。

 カット師として、本作をこう言い換えたい。

 シリーズを重ねるごとに過酷なカットを描いてきた『ダイ・ハード』シリーズのカットぴったり編!
 なぜか1カット平均きっちり4秒におさまるも、絶対にくたばらない男ジョン・マクレーン。
 モスクワを舞台にジャスト4秒のカット枠内で息子と大暴れする。

 どうだろうか?
 って、そんなこと言われても困ると思うが、もしこの興奮が伝わったなら幸いである。
 アクション映画とカット数の幸福な出会い。
 この出会いが映画に、観客に、強いては人生に、どのような影響があるのかは、
 もう少しカット数を数え続けないと分からない気がしている。
 いずれにしても、なんらかのつながりはあるはず。
 少なくとも、活劇という謎を前にして誰しもがおぼえる興奮のようなものが。

 (ちなみに、レビュー的に☆は1つ)

 【観測モテBEST地点】
  TOHOシネマズ渋谷、スクリーン5、F-1

 【最寄りモテ雑談所】
  東に10m「珈琲の店 Paris COFFEE」

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■【 05 】 俳優・駒木根隆介の役者論「俳優麺論」

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入江悠監督作「SR サイタマノラッパー」で主人公のMCイックを演じ、
現在は舞台・映画・テレビドラマ・CM等で幅広く活躍する俳優・駒木根(こまきね)隆介。
玄人好みの演技上手で知られる彼が、銀幕に映る俳優たちの演技を大好物の「麺」にたとえて論じます!

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【第七麺論】 「『脳男』。いさぎよいかけそばが正義とは限らない」
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 こんにちは!
 週末に今回取り上げる『脳男』を渋谷に観に行ったところ、真後ろの女子大生二人組が上映開始直前まで都合20回ほど
 「ゼミ飲み」
 という言葉を連発していたため、最終的には聞いてるこっちがゲシュタルト崩壊しそうになりました。
 「ゼミノミ」
 怖いですね。
 セミなのかノミなのかはっきりしてほしいですね。
 そんな女子大生二人組は映画が終わるや否や、
 「怖い、怖すぎる。」
 と泣いて帰っていきました。
 あと泣きながら
 「生田斗真かっこいい。」
 と言っていました。
 何度生まれ変わっても彼女たちにモテる自信のない駒木根です。

 さて問題の生田斗真さんがかっこいい『脳男』ですよ。
 首藤瓜於(しゅどううりお)の同名小説を映画化した今作は、
 連続する爆弾殺人事件とそれを追う刑事、凶悪犯罪者を殺すために一切の感情がないように教育された通称「脳男」と、
 彼を精神鑑定するうち事件に巻き込まれていく精神科医が複雑に絡み合う本格サスペンスです。

 まず生田斗真さんですが、はい、確かにかっこいいです。
 身体能力もなかなかよかったと思います。
 何より、劇中他のキャラクターが大仰な芝居をするたびに、無表情で抑揚なくしゃべる脳男は得をする作りになっていたと思います。
 では損をしていたのは誰でしょうか。
 二階堂ふみさんです。
 そして損をしたことに多分気づいていないのは誰でしょうか。
 江口洋介さんです。

 この両者は演技において、いさぎよさ、そして思いきりのよさが共通してあると思います。
 いうならば生身で勝負の「かけそば」です。
 ただし、同じかけそばでも味は大違いなので気をつけてください。

 まずは二階堂ふみさんのかけそばです。

 連続爆破殺人の犯人である緑川を演じる二階堂ふみは、
 限られた材料(脚本)の中で、最大限味に創意工夫を凝らしたかけそばを出そうとしてくれました。
 サイコパスでなおかつカリスマ性を兼ね備えた悪役、という、
 逆にお馴染みのキャラクターを演じる上で、おそらく計算ではなく、あくまで感性でこんな工夫をしてます。

 「説明台詞や不自然な独白はちっちゃい声で早口で言う。」

 「紋切り型の、どこかで聞いたことのある台詞は何かごちゃっと言ったりさらっと言ったりする。」

 これらの工夫が何故かけそばかというと、二階堂ふみの演技からは、
 簡単にやってやるもんか、
 流されてたまるもんか、
 という彼女自身の戦う姿勢が伺えるからです。
 大味な脚本だからこそ楽には読まない、という気概が感じられて、
 キャラクターというより二階堂ふみという俳優に敬意を表したくなります。
 上に乗せる具ではなくそのままで勝負。
 かけそばです。
 見習わなくてはいけませんね。

 さて一方の江口洋介さん演じる刑事の茶屋ですが、基本的にはそのままで勝負しているのでかけそばなのですが、
 そもそも上に乗せる具自体売り切れでないんじゃないかと思わせるような残念なかけそばです。
 髪にパーマはかかってますが、スクリーンに映るのは刑事茶屋ではなくあくまで江口洋介。
 パーマがかかった江口洋介。
 大味な脚本を大味に演じ、創意工夫はみじんも感じられません。
 新しい側面なんていらないとばかりに自分のやりやすい演技ばかりを選択しています。
 もちろんこの方法論自体が悪いわけではありません。
 シンプルなかけそばは確かにおいしいです。
 しかし今作に関しては、クライマックスでさえ、アップになると一気に冷めるくらいの破壊力が江口洋介にはありました。
 気をつけなくてはいけませんね。

 とはいえ、映画自体は失礼ながら思っていたよりずっと楽しめました。残虐描写にも力が入っていたと思います。

 作品のトーン的に手塚治虫の後期長編サスペンスものを彷彿とさせるところがあると思ったので、
 江口洋介は脳内で手塚さんの劇画タッチな顔に変換するのが、オススメです! また次回!

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■【 06 】 女優・森下くるみが映画と食を考える「今日も映画で腹が減る」

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入江悠監督作「劇場版神聖かまってちゃん ~ロックンロールは鳴りやまないっ」
での好演も記憶に新しい女優・森下くるみ。
映画と食が大好物の彼女が、銀幕の中の「旨そうっ」を語ります。

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 【三皿目】 『冷たい雨に撃て 約束の銃弾を』、ジョニー・トー監督
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 今日も映画で腹が減ります。
 引き続き、香港映画から飯ネタをお届け!
タイトルは『冷たい雨に撃て 約束の銃弾を』、ジョニー・トー監督作です。
 
 トーさんは本当によく俳優に飯を作らせたり、みんなでご飯を食べさせたりするんですよ。
 Twitterにはジョニー・トー語録というのがあって、
 「あなたの映画には食べるシーンがとても多いですが、特別な意味はあるのでしょうか?」
 と聞かれたことに対してトー先生はこんな返答をしています。

 (食事と映画のどちらもとても愛しているから、私にとってその2つは切り離せないんだ(笑)。
 それに食卓を囲んでいると、キャラクターたちのさまざまな感情が出てきやすいものだからね。)

 ほう、なるほど。
 やはり食いしん坊の作る映画は面白い。
 ということで、『冷たい雨に撃て 約束の銃弾を』にも凄まじい食事シーンが投入されています。

 ストーリーは超要約しますと、ある日一家4人が銃撃され、フランス人の母親だけが辛うじて生き残るんですが、
 その父親がフランスからマカオへとやって来ます。
 病室で娘に「復讐してくれ」と懇願された父、約束を果たすべく、
 金で依頼した3人の殺し屋の男たちとともに鬼の復讐劇を開始……という、ハードボイルド一直線な物語です。

 まずは実行犯の特徴を割り出すため、犯行現場である娘の家に、父親は3人の男を連れて来ます。
 家の中はめちゃくちゃです。
 父親は台所で、娘が食事の用意をしている途中だったことを知り、
 ゴキブリのたかる鍋やカビの生えた皿を丁寧に掃除、
 冷蔵庫をパカッと開けてその中に残っていた野菜やペーストを使ってトマトソースを作り始めるのでした。

 お父さん、母国フランスではレストランのコックだったんですね。
 大振りのフライパンでくつくつと煮込まれるトマトーソースのアップ。
 みじん切りのパプリカの黄と赤にアスパラの緑が混じって、彩りも抜群。
 隣のコンロでは、パスタを茹でている鍋から湯気が上がっています。
 ハードボイルドの最中に、一瞬だけトマトソースのCMみたいな映像が挿入され、
 「あー、パスタ食べたい」となる不思議。

 さて、出来上がるとこのボロネーゼ(ミートソースみたいなやつ)風トマトソース、
 アルデンテに茹でたパスタとともに、腹を空かした男たちに振舞われます。
 庭で強面の男4人が、赤ワイン片手にパスタランチ……。
 しかし、ここで再び、カジュアルハードボイルドが始まります。
 3人の男のうち1人が、自分の所持している拳銃をおもむろに解体し、テーブルに並べると、
 正面に坐っていた父親も、クッと笑い、同じく拳銃をバラします。
 
 何が起こるんだろ? と思っていると、
 次に、父親の方がナプキンをくるくるくるっと細長くして、自ら目隠しをする。
 先に銃を解体した男も同じ格好になります。
 (セリフなし。ジェスチャーと目配せでの進行! クールです)
 仲間のひとりがカウントすると、「目隠ししてどっちが先に銃を組み立てられるかゲーム」開催です。
 で、依頼主である父親がぶっちぎりで勝っちゃう。
 
 「お前は何者だ……?」とざわめく男たち。
 「シェフさ」と、ニヒルな父親。
 ひとりがそれを聞いて、ニヤリとします。そして、「嘘つけコノ!」と言って、
 食い残しパスタの載った白い皿を、思いっきり宙に放つ。円盤のごとく飛んでく皿。
 すると、さっきまで食ってるばかりだった太っちょの男が、すかさず自分の拳銃で皿をバリーーーンと狙撃。
 (高そうな)皿は四方に砕け散り――。
 そこで優雅なパスタランチシーンが終わります。
 
 いやあ、ワイルドっすねえ!
 丹精こめて作ったパスタが銃の的になるだなんて思いもしなかったので、私は心底驚き、感動すらしました。
 美味しそうなものを作ってキャラに食わせるだけでは飽き足らず、
 クレーン射撃のパフォーマンスまでさせちゃう、
 トー監督ならではのびっくり演出は、他のシーンにも色々と見られます。

 では、実際に作ってみましょうか、トマトソース。
 脅威の3行レシピ、所要時間は10分です。
 ①大きな鍋に水と塩小さじ1を入れ、パスタを茹でる。
 ②パプリカとアスパラをかなり細かく切って、牛挽肉と一緒にオリーブオイルで炒める。4~5分。
 ③市販のレトルトトマトソース(成城石井あたりで購入)をフライパンに投入、ひと煮立ちさせ、茹で上がったパスタに絡めれば出来上がり。
 右肩にナプキンを引っ掛けてやると、映画の追体験が出来てカッコいいかもしれません。
 
 モテる男はトマトソースくらい煮込めなくてはね……。(あ、でも全然香港っぽくないですね)

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■【 07 】ラッパー・上鈴木伯周がHIPHOP映画を語る「僕は黒人と結婚したかった」

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「SRサイタマノラッパー」シリーズの3作のラップをほぼすべて監修し、
DJ TKD役として出演もしているラッパー・上鈴木伯周。
実は日本大学芸術学部映画学科卒業の彼が、古今東西のHIPHOP映画を観尽くす!
そこから見えてくるものとは……!? 

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 【Vol.7】  『ブロック・パーティー』 2004年公開
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 Vol.6に続き、今回もドキュメンタリー映画。だけど作り方が180度違う。と思う。

 前回の『ヒップ・ホップコップ』は、
 「黒人、警察、法律、野次馬、アメリカ、悪いのはだ~れ?」という主題に向かい、
 インタビューや新聞記事など点と点を繋いでゴールまでの線を作っていくスタイル。
 で、今回の『ブロック・パーティー』は、
 シークレットで行われる街角フリーパーティという集合点だけを用意し、
 そこに向かう無数の線を同時多発的にスタートさせ、制御しづらいカオスの中で、
 過程やゴールに起こるハプニングや大団円を期する、というスタイル。

 内容はこんな感じ。

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼

 米の黒人コメディアン よく喋る デイブ・シャペル
 密かに準備 ブルックリンでのシークレット・ライブ
 呼び寄せる 老若男女たち from彼の地元・オハイオ
 開催地ニューヨークからも 人々が押しかける 大挙

 ラップ界のスーパー・スターたちが 集合
 HIP HOPミュージックとコメディの 融合

 雨が落ちるステージ 側をかすめ過ぎるハリケーン
 登場するカニエにコモン ビッグ・ダディ・ケイン
 エリカ・バドゥにジル・スコットといったシンガー
 も登場 バックバンドを担う ザ・ルーツのみんな

 そしてライブのラストは

 ローリン・ヒルと共に登場したワイクリクにプラーズ
 つまりは フージーズの再結成という 超サプライズ!

▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲

 そもそものライブが素晴らしいうえに(大好きなミュージシャンしか出てねぇ!!)、
 フージーズが7年ぶりに再結成するというクライマックス、否が応でも大団円感が満載。
 さらに、巧妙な編集によって「9・11以降のアメリカ」に投げかける
 「人種を超えて一つになろーぜ!」的なメッセージがリンクするから、見ているとなんだか感動的。

 でも一方で、密かに漂ってくる茶番感。
 というか多分、監督ミシェル・ゴンドリーが敢えて漂わせてる異臭。別領域からの刃……!(byアカギ)。

 その匂いを辿っていくと感じるのは、
 「まぁ結局さ、音楽とかお笑いじゃなーんも変わらないのかもね……」という、
 アーティストそのものへの冷めた懐疑。
 と同時に、
 音楽やコメディが持つ「自由さ」と「軽やかな無責任さ」への拍手。
 「ハッパを回せ!」「オッパイが3つ!」という与太話の後に、
 「白人ファック!黒人を開放せよ!」「ドラッグを捨てろ!」という演説があり、
 でも結局「やっぱり愛だよ、愛!」と言えちゃう奔放さへの賛辞。

 監督が見せつけたかったのは、このねじれた雰囲気なんじゃないかなぁ、と思う。

 だって、
 抜群のアイデアで「普通」を嫌い続けたゴンドリーが
 初めて挑戦したドキュメンタリー作品のラストシーンで↓

 ●ワイクリフ・ジョン(黒人大学生に向かって)
 「君が大統領だったら何をする?」

 ○学生(少し照れながら)
 「貧しい学生が奨学金を貰えるようにします!!」

 ●ワイクリフ・ジョン
 「よし。でも白人を否定するな。そして頼るな。全部自分で掴み取れ!」

 ○学生(目をキラキラさせて頷く)
 「……!!」

 から、自ら歌う「If I was President」
 http://www.youtube.com/watch?v=9pq_3OheqzU

 こんなベタで誠実な主張をするわけ、なくない?
 アレ? 素直になれないとモテないんだっけ……?

 はぁ 今日も今日とて、モテたいっすね~( ´,_ノ` )y━・~~

■│■│  『ブロック・パーティー』作品情報 │■│■│■│■│■│■

 【監督】ミシェル・ゴンドリー
 フランスの映画監督・脚本家・映像作家。
 ビョークやケミカル・ブラザースのPV、コカ・コーラ、ナイキ、リーバイスなどのTVCMを手がけ世界的に評価される。
 2004年公開の映画『エターナル・サンシャイン』でアカデミー脚本賞を受賞。

 音の粒と映像をマッチングさせる魔術師的センス。
 小学生でもひと目で凄さと面白さを認識できる可愛らしさ。
 その発想力と実行力にはただただ脱帽!
──────────────────
▼ミシェル・ゴンドリーの代表作

 ホワイト・ストライプス『the hardest button to button』
 http://www.youtube.com/watch?v=gWe-7Cm1GHg

 カイリー・ミノーグ『Come Into My World』
 http://www.youtube.com/watch?v=63vqob-MljQ

 ケミカル・ブラザーズ『Let Forever Be』
 http://www.youtube.com/watch?v=4Ybkf0M0q3w

 ケミカル・ブラザーズのStar Guitar
 http://www.youtube.com/watch?v=0S43IwBF0uM

 ダフト・パンクのAround the world
 http://www.youtube.com/watch?v=s9MszVE7aR4

 個人的には
 Suger Water(チボ・マット)のPVが大好物。
 http://www.youtube.com/watch?v=EN9auBn6Jys
──────────────────

【出演してるアーティスト達】
 カニエ・ウェスト/モス・デフ/タリブ・クウェリ/
 コモン/ビッグ・ダディ・ケイン/クール・G・ラップ/
 エリカ・バドゥ/ジル・スコット/ジョン・レジェンド/
 ローリン・ヒル/ワイクリフ・ジョン/フージーズ/
 ザ・ルーツ/デッド・プレイズ/他

【余談】
 ずーっとドラムを叩いているアフロの大男クエスト・ラブ(ザ・ルーツ)は、
 ヒップ・ホップ界最重要プロデューサーの一人。
 8年位前の来日時に渋谷のモス・バーガーで偶然見かけ写真を撮ったことは一生の想い出!

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■【 08 】構成作家・ヒロコ先生の「映画でモテる! は美女に訊け!!モテDVD8番勝負(仮)」

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 「アンタたちのメルマガ、“モテ”とか言っときながら、モテ要素ゼロじゃない!」
 と喝破した恋愛マスター・ヒロコ先生こと構成作家・阿部洋子が、仕方ないなあとペンを執り、
 読者諸兄の前に我々メルマガ執筆陣にモテの秘訣を伝授。教えて、ヒロコ先生!

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【三番勝負】 『桐島、部活やめるってよ』
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 “僕モテ”なみなさん、先週のバレンタインデーはいかがでしたか?
 あ、もう忘れ去りたい? 玉砕??
 みなまで語るな!そんなキミにも、陽はまたのぼりくりかえす!

 ところで。
 あたくし、普段から街行く人々を眺めては、
 その素性や会話における妄想を膨らませているのですが。
 特に妄想力を高められるのが「最終電車間際の駅のホーム」。
 このシチュエーションでの観察が大好物です。

 最終間際の駅のホームにいるカップルって、
 10組中9組はケンカをしてるんだよね。(当社比)
 で、女子が下を向いちゃって、むくれちゃって、機嫌悪くなっちゃってて、
 男子が途方にくれている、っていう構図。
 最悪、女子が泣いてる場合、あるからね。
 男子が女子を後ろから抱きしめてラブラブしている、
 っていうのはケースとしては、ほんと稀、です。
 たいがい、ケンカしてるか、険悪な雰囲気。

 けどね、アレを一瞬にして解ける魔法があるの! それはコチラ!

 「もうちょっと飲もっか」

 このひと言だけで、彼女は一気に機嫌がよくなります!
 だって、機嫌が悪かった原因&理由は、
 まだ帰りたくない! まだまだ一緒にいたかった! んだもの。
 なのに、終電ばっかり気にしちゃってる、キミ! もっと、察してよね。
 女たるもの、自分からは
 「もうちょっと一緒にいたい……」なんて言えないの。
 たとえ、相手が彼氏であっても。
 もしもそれが、3回目くらいのデートで、
 彼氏彼女の線引きがまだ曖昧な場合は、なおさら。

 未成年の場合や、解答バリエーションとしては、
 「じゃ、もう一軒行く?」とか「もっと話そうよ」、「じゃ、オレんち来る?」でも可。
 とにかく、「オレだってまだ一緒にいたい」っていうのを
 全面に押し出しましょう。

 女子って、帰りたいとき(or帰らなければならないとき)は、
 ホームでグダグダするなんて、アリエナイっす。
 「じゃあまたね」って、結構あっさり電車に乗り込みます。

 終電間際の、アノ特有の機嫌の悪さは、
 男子に対して、ある意味「隙」を与えてあげてるわけで。
 「今が、誘い時」だよ、と。
 「まだ一緒にいたい」っていうサインを見逃さないで。

 それと、
 彼女ではない女子とふたりきりで歩いてて、
 なんとなくいい雰囲気だし、結構オレはスキだし、
 ラブホに誘い込みたいなぁ、っていうときある?よね!

 そんなときは、ハッキリ、「寄ってく?」って聞いてください。

 キミが入りたいなぁ、寄って行きたいなぁ、って思っているときは、
 たいてい、相手の女子も同じキモチなことが多いです。
 【男子がしたいときは、女子もしたい】(当社比)

 けど、
 そんなことストレートに聞かれたら、さすがに即答はしません。
 きっと女子は、笑いながらはぐらかすでしょう。
 もしくは、キッパリ断ってくるでしょう。

 はぐらかしているときは、脈アリのサイン。
 キッパリ断ってくるときは、ほんとに、イヤな場合なので潔くあきらめましょう。

 はぐらかしている場合は、
 2~3回、「寄ってく?」「寄ってこ!」「ほら、入るよ!」と
 オラオラまぶしつつ押してあげれば、エントランスまでは入ります。

 この“2~3回”が大事ですぞ。
 女子に対して、「だって、しつこいから(入ってあげた)」
 っていう言い訳を残してあげるの。
 女子へのやさしさでもあり、罪悪感を薄める魔法でもあります。
 入ってしまったそれ以上は、キミの力量で。
 いたすなり、夜通し会話するなり、カラオケするなり……しちゃってください!

 何かとめんどうくさいのが、女子という生き物。
 常に、2~3歩先回りして察してあげつつ、理解してあげてね。

 ……というわけで、
 「“映画でモテる!”は美女に訊け!!モテDVD8番勝負!(仮)」。
 第三番のお題映画は……『桐島、部活やめるってよ』。
 (先週からDVDレンタルスタートしています)

 朝井リョウのデビュー作でもある同名青春小説を映像化。
 神木隆之介くんと橋本愛ちゃんが主演の、ある高校の日常を切り取った本作。

 高校時代が大スキなあたくしも、まんまとハマってしまいました。
 あんなんだったなぁ、あたくしの高校生活(共学)も。
 スキっていうキモチが自分とその周囲で渦巻いてて。
 複雑に絡み合ってる糸を解く間もなく、感情が走り出してた日々。
 ……一気に走馬灯っす(懐)

 そんな繊細なココロの機微を、
 それぞれの角度から描写している作品なんですが……
 (男子は観た方がいい!女子というややこしい生き物が少しわかるかも)

 「そこ、もうちょっとでモテるよ!」ポイントは、
 【神木くんと愛ちゃんが映画館を出てきて、会話をするシーン】にありました。

 文化部でオクテで、女子との会話もほぼナイ神木くんと、
 クラスでも目立つグループにいる愛ちゃん。
 彼女の問いかけに、舞い上がりつつも缶コーヒーをおごる神木くん。
 神木くんの行動、ココまではよいの。
 でもね、会話がぁぁぁ……。

 ……そんな、
 【ムリめな女子とふたりきり。何話せばいーんだよーーー(心の叫び)な場合】の
 処方箋はコチラ……

 「とにかく質問をしよう!」

 女子は、自分が話題の中心になることが、無意識的に大好物です。
 なので、自分のことを知りたがっている、と思われる質問には、快く答えます。
 男子は(神木くんのように)、自分の得意分野の話題を投げ掛けがちですが、
 そこはグッとガマン。
 マニアックな話題には、興味を示すフリはしますが、ココロのシャッターが降りています。
 たとえ、キミが全然興味がない質問でもよいのです。
 「それカワイイね、どこで売ってるの? なんて名前?」など、
 全く実のない会話の中から、相手の得意分野と共通点を発見し切り込む。

 お手本になりそうなのは、劇中、朱色のカーデを着てた竜汰(落合モトキくん)。
 彼はモテると思うなぁ。会話も振る舞いも。

 いつの時代も「会話はキャッチボール」……コレ基本!
 会話のできない男子とは、「次」はありません。
 「自分、不器用ですから」は、健さんしか通用しないのであしからず。

 ではでは、今週もステキな恋愛を~♪

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■【 New! 】女優兼ライター・ハルカの映画デート武者修行「あなたと映画が観たいです。」 

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 小動物系女優兼ライター・山口遥(ハルカ)が男性との映画デートに挑戦し、
 女性目線で映画デート中の男性の振る舞いをチェック!
 映画デートの必勝法が、これを読めば見えてくる!?

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 【第一夜】  『ダイ・ハード/ラストデイ』を観にいく。(前編)
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 子供の頃にこんなことを考えたことはありませんか?
 「大人になって好きな人ができたら、初めてのデートは何処へ行くのだろう? 」
 私の妄想デートの舞台はいつも映画でした。

 相手はどんな服を着てくるのかな?
 何処で待ち合わせて、どんな映画を選ぶのかな?
 塩味のポップコーンとキャラメル味のポップコーン、どちらを選ぶかで喧嘩しちゃうかな?

 そんな私の妄想が花開く時が今??―。

 というわけで皆さんこんにちは。
 このコーナーでは、映画デート修行に取り組む姿を皆様に見守っていただきつつ、
 映画でモテたい皆様の映画デートの参考にしていただけたらと思っています。

 最高の映画デートとは一体、どれほど素敵なデートなのでしょうか?
 そんな事を考える、オーディション帰りのある日のこと。
 杉並区在住・港区勤務の30代会社員男性からこんな連絡が入りました。

 「打ち合わせの合間に軽く映画でも観ない?」

 打ち合わせの合間に映画だなんて、なんて余裕のある大人な誘い文句なのでしょう!
 これは相当な大人の映画デート体験ができるのではないでしょうか。
 期待に胸に膨らませつつ、いざ、映画デート修行へ向かいました。

 私なぞ所詮まだ尻っぺたの青い20代の小娘です。
 素敵な大人の男性を寒空の下待たせてはならぬと、
 18時30分の約束時間よりだいぶ余裕を持って映画館のある渋谷を目指しました。
 映画の上映開始時間は18時45分。時刻は18時20分を回るころ。
 私の右ポケットの携帯電話がプルプルと震えだしました。

 「すまん! 映画館に着くのが18時44分くらいになる! 」

 えー。いきなり遅刻かーい。
 私の中の“余裕ある大人像”がボロボロと崩れていくのを全力で抑えるために、
 私はすぐ側の喫茶店に立ち寄りコーヒーをすすることに。
 そして、逆に私が遅刻しようと思いついたのです。

 なんと言っても相手は、打ち合わせの合間を縫ってしか映画を観に行けないほど多忙な男性。
 仕事のデキる男性の周りにはきっと、気遣いの出来る素敵な美女がいるはずです。
 そんな美女は、映画館の前で仁王立ちで待ち構えるなんてプレッシャーを与えることは絶対にしないはず。

 そんな事を考えているうちに、時刻は18時45分を回りました。
 映画館に向かうと、青いダウンジャケットを羽織った
 ビジネスカジュアルな装いでチケット売り場に並ぶ修行相手の後ろ姿が。
 大人の男性はあらゆるチケットをネットで買うのだろうと想像していた私。
 そのギャップに不意を突かれつつ、修行相手の顔を覗くと――。

 つ、疲れている……。
 もの凄く顔面に疲労が現れている……。
 おまけに汗だく。

 この瞬間から私は今日一日この人のことを「お疲れさん」と呼ぶ事に決めました。
 普段はきっと余裕のある大人なのでしょう。
 でも今日は打ち合わせの合間を縫っての映画鑑賞です。
 きっと直前の打ち合わせが長引いてしまい、映画に遅れまいと、
 港区から渋谷の映画館までカーチェイスでも繰り広げながら激走してきてくれたのではないでしょうか。

 お疲れさんが渡してくれたチケットに書かれた作品名は『ダイハード/ラストデイ』。
 きっと待ち合わせまでのバタバタもきっと演出の一つだったのではないかと思うのです。
 階段を駆け上るお疲れさん。なんだかその背中について行けばどんな困難も乗り越えられるような気がします。

 そして私たちはスクリーンのあるロビーに辿り着きました。
 「何か飲むかい? 」とお疲れさん。
 「映画デートにベストな飲み物の組み合わせと言えばカルピスとメロンソーダ理論」
 を持つ私はカルピスをお願いし、彼の口から「メロンソーダ」の注文が出るのをソワソワと期待していました。

 「カルピスひとつで。Sサイズ」

 あれ?
 お疲れさんの口から今確かに聞こえたのは、カルピス一つだけを注文する声。
 私は尋ねました。お疲れさんは何か飲まないのですか? と。
 私の問いに対し、彼はこう言い放ったのです。

 「俺は映画館では飲み物は飲まないんだ。何故なら、トイレに行きたくなるからね。」

 戸田奈津子の翻訳文ばりの決め台詞に、この日何度目かの衝撃を受ける私。
 夢に見たポップコーン談義に花が咲く事も無く、
 私のカルピス(Sサイズ)が渡されるまでの間、早速トイレに駆けこむお疲れさん。
 飲む前からトイレ行ってるじゃん!

 トイレから戻りスッキリ爽快といった表情のお疲れさんと、カルピスを握りしめた私は、
 いよいよ『ダイハード/ラストデイ』が上映されるスクリーンへと向かうのであった、が――。

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2016/07/27 【vol.183】入江悠はマイケル・マン。疲れたとき、あなたは何を観ますか? 号 1/2
2016/07/20 【vol.182】ジェームズ・ワンの現在地点。『死霊館 エンフィールド事件』号 2/2
2016/07/20 【vol.182】ジェームズ・ワンの現在地点「死霊館 エンフィールド事件」号 1/2
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