BOMB書店☆静かなる読書

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詩を物語化したような、ミステリアスで、ファンタジックな小説です。 「BOMB書店」という一風変わった本屋から、毎週、日曜日に、不思議な本が届くようなイメージで配信いたします。 第二回目は、8月25日から配信開始です♪ タイトル 「オレンジとアップルと9cm王国」☆ 第一回目の「HOUSE OF DRAGON」の前に作られた物語です。 オレンジとアップルという姿や思考が似ている二人が、 不思議な人物や動物たち、精霊、妖精たちと、関わりながら、 消えてしまったネコのキャロルを捜す旅のお話です。 全四部からなり、一章ごとが短編小説のような味わい。「静かなる読書」にぴったりです☆

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メルマガ名
BOMB書店☆静かなる読書
発行周期
週刊
最終発行日
2018年07月15日
 
発行部数
18部
メルマガID
0001600010
形式
PC・携帯向け/テキスト形式
カテゴリ
アート・文芸 > 文芸 > 小説

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            - 市川裕子劇場 - 
No.275
                                               
☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━☆
市川裕子の詩や物語を紹介する「BOMB書店☆静かなる読書」です。
■発行者プロフィール ⇒ http://ichikawayuko.com/


こんにちは☆ 発行者の市川裕子です。

毎週日曜日に、市川裕子の描く、

様々な作品をお届けするメルマガです☆

私は、詩を中心とした創作活動をしていますので、

小説は、「詩的なものを物語化している」と思っていただけたら、

分かりやすいかと思います。

現在は、「オレンジとアップルと9cm王国」をお届けしています☆

オレンジとアップルという二人が、

屋敷を取り囲む塀を作り、部屋の壁に絵を描いたことから、

白いネコのキャロルが行方不明になるという事件が起こります。

そして、何かの異変により太陽が出なくなり、

暗闇の中をいろんな人物たちが彷徨います。

支配していた者たちが囚われ、

囚われていた者たちが逃げ出すなど、

それぞれが、それぞれの目的で動き回り、

そして、いろんな出会いを経験していきます。

さて、太陽は戻るのか?

オレンジとアップルは、キャロルを捜し出すことができるのか?

どうぞ、お楽しみくださいませ☆


☆前回のラストシーン☆

だが、四人には分かったことがあった。
いや、厳密に言うと、三人には分かったということかもしれない。
アンリとディンニォーフとヘレメントには分かったのである。
「オレンジは、絵を描く人であり、絵を描くべき人であり、
絵を描くことが生きることと繋がっている、
もしくは、同一であるということである」ということを。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【★】「オレンジとアップルと9cm王国」  第四部  
☆ 第九十一章   アップルが描く絵  ☆ 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「何も見えないな。暗闇が更に濃くなったみたいだ…」
とジャイロウが呟く。

影の塔の中に入り込めたものの、
辺りはシンとし何の音も聞こえず、
どこかへ進もうとしても、どちらの方向を向いても、
前へ進めないのである。

暗闇の中で、ジャイロウは、
大きな手をぐいぐいとあちらこちらへ押すが、
まるで黒い壁に隔たれているようで、何の反応もない。

「壁という硬さもないからな、
全体が影だから、俺たちは、影の網のようなものに
覆われてしまったような感じだな」
とジャイロウは、溜め息を吐きながら、仰ぎ見る。

まるで、天井から抜け出せるのではと考えたかのように。

ジャイロウは、背はあまり高くはないが、顔と手が大きく、力も強い。

だが、この影そのものである塔の中では、
力というものは、あまり通用しないようであった。

そのジャイロウの傍でアップルは、
暗闇をぐるりと見渡しながら考えている。

さっき、夢中で描いた扉の絵のことだった。

ポケットに入っていたガラスの破片で、
影の塔の壁に線を引いた瞬間に、
次々と描き出した絵のことである。

直線と曲線を描きながら、
アップルは、塔に大きな扉を描いた。

まるでお城の扉のような美しい扉を。

ちょうど、ジャイロウと自分が入っていけるくらいの大きさの扉を。

小さな覗き窓や扉のノブや、
それから、扉の模様まで。

草や花や木々の絵、
そして、ミカンとリンゴの絵も描いた。

木々に実るミカンとリンゴ。

一つの木に、ミカンとリンゴが実る木だ。

アップルは、夢中で描いた。

「もう、そろそろ、いいんじゃないか」
とジャイロウが止めるまで。

そして、その影の塔に描いた扉を押したら、
扉が開いたのである。

「描いた扉が開くなんて」
と不思議に思ったが、今は、違う。

アップルは、これは、罠だったのだと確信する。

「僕たちは、閉じ込められたんだ」
とアップルは言う。

ジャイロウが、アップルの顔を見る。

「罠だよ」
とアップルは言う。

ジャイロウが
「え?」と問いかけるような顔をすると、
アップルは苦笑する。

「自分が描いた扉が開いたと思ったけど、実は違ったんだ。
さっきの、この影の塔を管理していると言ったジャードという男が、
僕らを捕らえたんだよ」

「え…」

「僕らは、塔の中に入り込んだんじゃなくて、塔に囚われちゃったのさ」
 
アップルは、そう言うと、地面に座り込む。

「おいおい。違うぜ。
俺たちは、塔の中に入り込んだんだ。
アップルが描いた扉は、本物の扉になって、俺たちを招き入れた。
あのジャードって野郎は、そのことに気付いていないさ」

ジャイロウは、座り込んでいるアップルの肩に手を置く。

「影の塔の中は、影さ。
決まっているじゃないか。
通常の壁ってやつも壁の影ってわけだ。
だから、実体がない。
こんなふうに、押しても引いても手応えがないのさ」
と言って、ジャイロウは、わざと暗闇の空間を拳で叩く。

「ジャードの目的は何だろう…」
とアップルは呟く。

「え? 目的? ジャードの?」
とジャイロウが繰り返す。

「そう。ジャードの目的。
小さな影を捕らえて、何をしようとしているんだろう…」

「目的なんて、あるのか?」

「目的がなくて、小さな影を捕らえることなんてあるかな?」

「あるよ」
とジャイロウは答える。

「え?」

「俺は、小さな影と小さな鳥のプルックを捕らえた時、目的なんてなかった。
小さな影は、五番目の姫のためにということだったけど、
それだって、確かな目的じゃない。
五番目の姫の影がなかったから、代わりに奪っただけだ。
さらに、プルックに関しては、
ただ、そこにいたから、ポケットに突っ込んだということだけだった」

「でも、ジャードは、小さな影を何かに利用しようとしているんじゃないかな」

「何に?」

「…分からないけれど…
小さな影は、もともと、影の見本だと言っていたから…」

「ああ。そうだな」

「ジャイロウのように、誰かのための影にしようとしているのか、
それとも…」

「影を作ろうとしている?」

「そう。影を増殖させるような…」

「ふむ。有りえるな。だが、そうしたところで、所詮、影は影だ」

「そうだけど」

「だが、そうだな。
影が増えれば、こんな影の塔みたいなものばかりが作られて、
俺たちが生きづらくなるな」

「…」

「影の世界が作られるというわけか」

「僕も、そう思う」

「…ふむ…」
とジャイロウは、アップルの隣に座り込む。

「何を考えているの?」
とアップルが聞く。

「いや。何も。
腹が減ったな、って思って」
とジャイロウは苦笑いする。

「ハハ。そうだね」
とアップルも自分のお腹をさする。

「最後に食べたのはいつだったかな?」
とジャイロウは思い出そうとする。

「僕は…」
と言って、ふとアップルは思い出す。

影の森で、
毛むくじゃらの裸足の巨人スライゴと再会した時のことを。

そして、木に実っていたリンゴを一緒に食べたことを。

「ねえ、ジャイロウ」
とアップルは聞く。

「何?」

「君は、影の森の管理人だったよね?」

「そうだ。だから、こんな黒い上着を着ているんだ」

「僕は、影の森で、影の肖像画を描いていたんだ。
その時、リンゴの木があってね。
僕は、リンゴを食べたんだ。
たらふくね。
君は、知っているのかな。
影の森に、リンゴの木があったってことをさ」

「…さあ? 
なかったと思う。
いくらなんでも、
リンゴがたくさんなっている木を俺が見逃すわけがない」

「管理人だから?」

「そう。影の森の管理人だから」

「じゃあ、なぜ、僕は、リンゴを食べることができたんだろう?」

「…さあな…」
と首をひねってから、ジャイロウは頷く。

「分かった」

「え?」

「アップルだからだよ」
とジャイロウは、確信を得たように答える。

「どういうこと?」
とアップルは聞く。

「アップルの想像は、現実を超える。
うーん。
つまり、
アップルの創造したものは、現実となる」

「意味が分からないよ」

「つまり、だ。
アップルは、何でも描くだろ? 
リンゴを描けば、リンゴが生まれるんだよ」
とジャイロウは、真面目な顔で、
アップルを説得するように言う。

「どういう意味?」

「さっきだって、影の塔に扉を描いただろう? 
そして、扉は開いた。
アップルは、リンゴの絵を描く。
リンゴが現れる。
つまり、そういうこと」

「僕は、影の森で、影の肖像画を描いたんだよ。
リンゴなんて、描いてない」
とアップルが言い張る。

「何だっていいのさ。
アップルは、自分が描いたものが何かなんて、
分かってないだけさ」
とジャイロウは、
自分は分かっているというような顔をする。

「…」
 
アップルは考える。

「そうか。
確かに、塀を作った時、絵を描いたことなんて覚えていなかった。
部屋の壁に絵を描いたことで、
塀に絵がなだれ込んでいったみたいに思えただけだった。
でも、もしかしたら、
塀を作りながら、絵を描いたのかもしれないとも考えた。
たぶん、そうだろう。
そうに違いない。
でも、だからと言って、何もかも、何の確証もない」

ジャイロウは、
アップルの考えを見抜いたかのように、にやりと笑った。

「アップル。描いてみなよ」

「え?」

「ほら。ここにさ」
と言って、
ジャイロウは、暗闇の空間を指差す。

アップルがその指差す方向を見る。

「そこに、壁があるとする。
アップルは、リンゴの絵を描く」
とジャイロウは言う。

「リンゴの絵を描く? 
どうして? 
何のために? 
何かを証明するため?」
とアップルは聞く。

「何のためになんて、何もないさ。
ただ、描くんだ。
いつだって、アップルは、そうだったんじゃないのか? 
いつも、描きたいから描くっていう…
ただ、それだけだったんじゃないのか?」

「…そうだけど」

「さっきのガラスの破片で描いてみなよ。
理由が欲しかったら、理由なんて、いくらだってある」
とジャイロウは、片目を瞑る。

「理由?」
とアップルは聞き返す。

「俺は、腹が減っている。
リンゴが食いたい。
アップルは、
俺のために、
極上のうまそうなリンゴを描く。
俺は、それを食う。
どうだ? 
立派な理由じゃないか」
 
アップルは、
ジャイロウの目を驚いたように見詰めてから吹き出す。

「そうだね。立派な理由だ」
 
アップルは、ポケットの中から、ガラスの破片を取り出し、
暗闇の壁と思われる空間に向かって、
すうっと曲線を描く。

美しい白の線。

その白の線が、ジャイロウの目に、はっきりと映る。

白の線は、光り輝き、次の線へと続く。

いくつもの線が重なり、
それは、白から赤へ黄色へ黄金へと変化する。

「やっぱりね」
という言葉が、ジャイロウの頭の中でこだまする。

「アップルは、絵を描く人なんだ。
絵を描くべきで、
絵を描くことで、真実を得られる人なんだ。
絵は、真実を映し出し、
その真実を見て、
アップルは理解する。
この世界の成り立ち、みたいなことを。
または、
この世界が何であるかということを、さ」







To be continued. 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【★】編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「市川裕子の聖なる創作空間」

おおっという間に、
「HOUSE OF D」vol.28開幕です!

次の配信の時には、
真っ最中ということになりますね。

その真っ最中に、
配信できるか、という挑戦にもなりますが。
苦笑。

いつも、
日曜日の午前中から書き、
大体、14時、もしくは、15時くらい、
たまに、もっと遅くなることもありますが、
そのあたりで、配信しています。

日曜日に用事がある時は、
土曜日に書いたりもするのですが、
実は、あまりしっくりこなくて、
結局、日曜の朝、早起きし、
書き直し、配信してから出かけるという感じです。

今回は、どうなるかしら。

もちろん、がんばりますが。。。

「HOUSE OF D」の開催に向けての作品は、
だいぶ出来上がり、
あと、10センチ角の絵を10点仕上げれば、
ほぼ、準備できた感じになりますね。

あと、ちょっと、展示の工夫の調整が
必要ですが。

あ、そう考えると、
ほとんど、時間がありませんね。苦笑。。。

「流星ラビットパンチ」のブログに、
情報を載せていければいいな〜と
思っておりますが。。。

http://ameblo.jp/rabittpunch/

「HOUSE OF D」vol.28の
日程は、
7月21日(土)13時〜19時
  22日(日)11時〜19時
  23日(月)11時〜19時
  24日(火)14時〜16時です!

場所は、いつもの、
神楽坂「相生坂ギャラリー」
http://www.aioizakagallery.com/access.html


それでは、また次回!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました♪


「オレンジとアップルと9cm王国」は、
2013年8月25日から第一部開始、
2014年7月20日〜2015年7月19日までが第二部。
2015年7月26日〜2016年10月16日までが第三部。
そして、2016年10月23日から第四部を開始しています。

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■感想、意見、質問はこちらから
└→ http://www.formzu.net/fgen.ex?ID=P6195468
■市川裕子ホームページ
└→ http://ichikawayuko.com/
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