架空のバーテン坂本明がヘンリー王子の著作について語る

架空のバーテン坂本明がヘンリー王子の著作について語る

注：違法薬物や性に関する記述を含む配信あり

学歴を有さず家柄も良くない架空のバーテン坂本明と申します。学歴を有すお客様に常に助けていただいております。欧州某馬術大会出場直後、現地紙に顔写真入りでデカデカと掲載されたことがあり、別件で日本経済新聞にも数回掲載されました。

『職務上得た情報は守秘義務対象』を意識しておりますが常に口がムズムズしております。担当店にて週1回ほどのペースで洋書の読書会を主催しており、今回はヘンリー王子の著作「SPARE」について、不遜にも、語らせていただきます。海外店舗勤務経験有。

(解約のためのURL等は末尾に記載しております)


第１回 ヘンリー王子著作の全体的イメージ・他


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今回配信分の概要
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・担当店で洋書の読書会を行うようになったきっかけ
・本メルマガ刊行に関する迷い
・ヘンリー王子著作の全体的イメージ
・ヘンリー王子のご経歴
・ご両親の不和と離婚
・母君の事故死
・歴史の先生との思い出

（執筆後記）
ゴーストライター起用疑惑


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本文
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職業柄、実に多数の方々とお話しする機会がある。『職務上得た情報は他言してはならない』を信条すべきであり、本来は、このようなメルマガを刊行することなど自重すべきであることは重々承知はしているが、バーテンであっても人間。人の話を聞くだけでなく、自分の話を聞いて欲しいと思うときも多々ある。

担当店にて、ほぼ週1回のペースで洋書の読書会を主催している。学歴・経歴・職業に関係なく、英語に興味がある方々は大勢おられる。

相当な英語力をお持ちのお客様であっても、話題の著作を買った後、単独で読了することはほとんどないそうである。

途中まで読んでそのまんま、もしくは、一度も開くことなく、置きっぱなし、となることもよくあるそうだ。

そこで、私、筆者は、数の力学、つまり「連帯感」をうまく活用することを思い立った。つまり「みんなでやれば終わるだろう」というロジック。

ということで「みんなでやれば終わるだろう」を標語とし、お客様にお声がけをし、話題作の読書会を主催するようになった次第である。

毎回、営業開始3時間ほど前に集まり、英文を読める常連のお客様が輪番で20ページほど一気に読み上げ、営業開始後、その部分の内容を話題にして盛り上がるのである。

今回ご紹介するヘンリー王子による著作「SPARE」をご存知ない方はおられまい。筆者が担当している店舗でも、出版後、すぐに話題になり、早速に読書会のお題目とすることに決定。

王室内の人間関係に関する記載事項の多くが平民である我々にも共感できる内容であり、臨場感あふれる書きぶり。英語が得意でないお客様であっても、大いに楽しんでいただけたことが印象深い。

このヘンリー王子の著作、本文は400ページほどであるが、濃い内容が多数にわたるため、本メルマガを書き上げるにあたり、はて、何を、どのような順番でお伝えすべきか、ものすごく悩んだ。

兄君（ウイリアム王子・現皇太子）とのご関係。父君（チャールズ皇太子・現国王）とのご関係。エリザベス女王（2022年9月8日崩御）とのご関係。

さらには軍の上官やご同輩とのご関係。ご学友とのご関係。

それに加えて、交際があった女性に関する記述も多い。

当然、だが、メーガンさんとの出会いに関する記述、交際期間中のハプニングに関する記述も多い。

もっと、さらには、メーガンさんの父上についての記述もある。実に濃い内容が多数。

王室に奉職する事務方や専門職とのやり取りに関するエピソードも多数あり、その多くが日本語では紹介されていない。

王子の大叔母、すなわちエリザベス女王の妹君（2002年2月9日ご逝去）と王子のご関係、そして皇太后陛下（2002年3月30日崩御）と王子のご関係についても、ぜひともお伝えしたいことがある。

王子とアルコール・タバコに関する逸話や、王子と大麻との出会い、そして、王子とコカインとの出会いに関する記述もある。

違法薬物使用摂取に関する記述をどの程度ご紹介してもよいものか、今でも悩んでいるが。

王子がご自身の性器について語っておられるカ所もある。

接客業で生きてきた筆者の本音からすると、敵は作りたくない、誰かから目を付けられるようなことはしたくない、との思いがある。

王子が著作を世に出すに至った経緯から、あのような内容となっているわけだが、苦言の類が多いからといって、自分（筆者）を主語として特定の人物をディスるような書き方はしたくない、というのが筆者の本音である。

そんなこんなだが、先ずは、ヘンリー王子のご経歴についてご紹介することから始めよう。その次に、ご両親離婚までの経緯、その後に、母君の劇的な死について、非常にざっくりと、であるが、ご説明しようと思う。

1984年9月15日ご誕生。父君はエリザベス２世のご長男チャールズ皇太子（現国王）、母君は第８代スペンサー伯爵3女（第4子）ダイアナ妃。兄君のウイリアム王子とは2才違い。

ミドルネームはチャールズ・アルバート・デイヴィッドである。英国王室について詳しい方、ヘンリー王子のこのミドルネームとその順序を見て、どのような印象をお持ちだろうか。

ジェーン・メイノーズ・ナーサリー・スクール、ウェザービー・スクール、ラッドグローヴ・スクールを経てイートン・カレッジ（イートン校）ご入学。

イートン校修了後、しばらく海外で過ごされ（ギャップ・イヤー）、陸軍士官学校へご進学（2005年・20歳）。履修課程修了後少尉任官（2006年）。2008年中尉へご昇進。

軍人として、旧英国領内の拠点だけでなく、アメリカ国内の拠点においても訓練等にご参加。2008年、アフガニスタンにて展開中の部隊にご着任。

以後、アメリカ国内における追加訓練等をはさみつつ、2012年、2013年とアフガニスタンにて展開中の部隊にご参加。かなり高度な兵器の操作もご自身で行ったようである。

軍務以外のご公務としては、手足等を失った元兵士たちを支援する財団やＨＩＶ感染症に関する財団等の名誉総裁として、精力的に問題周知に取り組んでおられる。

2018年、あの有名なネットフリックス連載ドラマ「スーツ」に出演していた女優メーガン・マーケルさんとご結婚。

2019年、アーチー君ご誕生。2021年、リリベットちゃんご誕生。その間、流産が１回あったそうである。

2020年、ご公務参加頻度を大幅に下方修正する旨、ご発表。

この方針発表後、称号の使用や、警備の方針、報道機関に対する訴訟、王子と兄君との不和、王子と父君との不和、王子と王室事務方との対立に関する話題がメディアを賑わせるようになり、今日に至っている。

次に、ヘンリー王子のご両親の離婚と母君の劇的な事故死について。

王子ご両親のご結婚は1981年。引きずる部分だけでも8メートルほどの長さを誇るウエディングドレスに身を包み、セントポール大聖堂の大回廊を進む母君のお姿は世界を魅了した。

世紀の大祭典といわれたご結婚式から約15年後、ご両親は離婚。

父君の女性関係に関する報道や母君の意趣返し的な行動についての報道がすさまじかったことは筆者もよく覚えている。

1993年に父君とカミラさん（現王妃）との通話録音がリークされた際には、その内容の卑猥さに世界が驚いた。

1996年にご両親の離婚が成立したそうだが、そのわずか1年後、母君はパリにて非業の死を遂げる。交際相手の男性と共にパリ市内のアルマ橋付近を通行中、お車が支柱に衝突。運転手も交際相手の男性も亡くなった。

お車に追随するカメラマンたちを振り切るためにスピードを上げすぎたことが衝突につながったかのように報道されているが、いわゆる陰謀説も根強い。

母君のこの事故死については、実に多くのドキュメンタリーが制作されており著作も多い。母君の事故死に関する不審な点については、別の機会でご紹介できれば、と思っている。

次に、本著作の全体的な印象について。

父君に対する苦言、兄君に対する苦言が多いことについては、報道等からご存知である読者の方もおられよう。
王室の事務方に対する苦言においては、かなり辛口のトーンである。

「あんなことがあった。こんなことがあった。でも、真相が伝わっていない。みんな、本当のことを知ってほしい…」

この思いに突き動かされてのあのような内容となったようである。

「ぼくの話を聞いて欲しい」との強い思いが随所にみられるが、王子がいかに無力感にさいなまれているか、これも随所にみられる。

例えば、王子は、複数のカ所において「君を守るから」と書いておられるが、実際、それができているとはいえない状態。例えば、原文279ページと298ページにI’ll keep you safe.とあるが、ここでyouとはまさにメーガン妃のことである。

苦言の類が大変多い著作であるが、何度読んでも感動してしまう逸話も多い。大変微笑ましいエピソードもある。

全寮制の学校ならではの性に関するお話もあるし、思春期の男子であれば自然と意識してしまうことについても言及しておられる。

ご成人後、ご自身の性器に不具合が生じたことがあったそうだが、そのご自身の性器の不具合についても、なかなかのセンスで回顧しておられる。

最初から苦言の類をご紹介するのではなく、先ずは、非常に微笑ましいエピソードについてご紹介したいと思う。

原文34ページから36ページにかけて、王子は、歴史の先生との、あるやり取りについて、非常に、懐かしそうに、そして、ちょっとコミカルに語っておられる。

ある授業にて、先生が『チャールズ・エドワード・スチュアートについて知る者はいるかね？』旨、生徒たち向かって質問したそうである。

相当英国史について詳しい読者の方々の中にも、このチャールズ・エドワード・スチュアートをご存知である方は、まず、おれられまい。

英国のいわゆるパブリックスクール修了生達が受ける試験と同じ選考過程（外国外交官枠・王族枠・貴族枠以外の、いわゆる普通枠受験）を経てオックスフォード大学に進学されたお客様でもご存知ではなかった。

白人のお客様でオックスフォード大学を卒業された方でも、ご存知である方といえば、20人に１人ぐらいである。それぐらいマイナーな人物。

このチャールズ・エドワード・スチュアートという人物、英国国王ジェームス２世のお孫さん。ジェームス２世といえば、14代前の国王である。

すなわち現国王チャールズ３世の前のエリザベス２世>>ジョージ６世>>エドワード８世>>ジョージ５世>>エドワード７世>>ヴィクトリア女王>>ウイリアム４世>>ジョージ４世>>ジョージ３世>>ジョージ２世>>ジョージ１世>>アン女王>>ウイリアム３世（メアリー２世との共同統治）>>ジェームス２世となる。

おいおい…そんな前の国王なんて知らんがな…しかも、その国王のお孫さん？はぁ？という感じであったことは間違いない。

その歴史の先生、こんな感じあったそうである。「殿下、もちろん、ご存知でありましょうほどに」と。

原文35ページにWales - you must know this.とあるので、ご興味がある読者の方はどうぞ。

王家に関する質問を王子にぶつけ、王子が困惑するのを楽しむ、こんな先生であったのだろう。

たまりかねた王子は、先生に対して、このように願い出たそうである。原文35ページにAfter class I went up to Mr Hughes-Games’s desk and asked him to please stop. （途中省略） Embarrassing me, sir.とある。

高い水準の英語力をお持ちの常連のお客様曰く「恥ずかしいんで、あんな質問、やめてもらえます？」みたいな
意味とのこと。

この歴史の先生、意地悪であったようだが、情はあったようだ。王族であるがゆえに、目立ってしまい、居心地悪い思いばかりで気の毒、ちょっとからかいすぎたかな、と思ったのだろう。

後日、ある授業にて、その先生が、そっと王子に定規をプレゼントしてくれたとのこと。その定規の両面には1066年以降の歴代国王（女王）の名が順番に刻印されていたそうである。

大変長くて立派な定規あったことは間違いない。ちなみに、定規は英語でrulerというのだが支配者も英語ではrulerである。

原文36ページにて、王子はこう語っておられる。Rulers? Get it?と。

つまり「これ、ルーラーなんだよ。わかる？」みたいな。

支配者であるruler(ルーラー)と定規としてのruler（ルーラー）をダジャレの材料としておられるのだ。

ヘンリー王子流の日本人にもすぐにわかるオヤジギャグである。なかなかイイではないか。読書会に参加されたお客様方も、素晴らしいセンスやん、みたいな。

兄君や父君への苦言がてんこ盛りの本著作であるが、茶目っ気たっぷりの好青年である王子のユーモアも随所にみられる。

次回は、王子のラッドグローヴ・スクール時代の思い出について・他、ご紹介しようと思う。

では、本日は、まもなく閉店となります。


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執筆後記
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ウィキペディアなどにて、ヘンリー王子はゴーストライターを起用した、なる記載を見かけるが、原稿中の記載事項については、王子ご自身は把握しておられたはずである。

ご自身がゼロから起稿され最終稿まで継続して執筆されたとしても、プロの編集者による修正などがあちらこちらで反映されるわけなので、純粋完全に王子ご自身の書きぶりが世に出ることは、まあ、そもそも、ないわけだ。

ゴーストライターが実際の執筆を担当するのであれば、王子との面談や、多くの録音などから書き起こしていくことになる。

であるので、まあ、ゴーストライターを起用したかどうかの真相がどうであれ、王子の思いやご視点やお考えが反映された内容であることは、間違いない。

最終稿を王子がご覧になっていない、これは考えにくいし、出版前に合意書めいたものが交わされたはず。

つまり、出版後に見つけた点についてはケチつけません、旨、合意書めいたものに王子ご自身が署名しておられるはず。

であるので、仮に、王子が最終稿をよく読んでいなかったとしても、王子がゴーストライターを責めることもできない。

まあ、仮に、王子が、原稿のチェックを怠っていた、出版後に、ちょっと意に沿わないカ所を発見した、としても、ゴーストライターを責めるようなことはされないと思うが。

不条理に苦しんできた、旨、タラタラとご自身の著作内で主張しておられるだけに、そのようなことはされないだろう、と筆者は思う。

筆者の感想、あくまでも、感想だが、ゴーストライター起用については、事実であろうとは思う。

王子のご性格からすると、ゴーストライターの起用がウソであるならば、反論されるなり、声明をお出しになったはず。で、なにも王子からは表明されてはいない。

筆者も、読書会に参加されたお客様も、基本、王子が、今回、著作を世に出すに至った背景に同情はしているが、王子が、周囲の目線を意識しておられるのであれば、ゴーストライターを起用せずに、編集者の力を借りながら、あくまでも、本当のご自身による著者として書き上げてほしかった、とは思う。