むしマガ

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堀川さんはクマムシ研究者ということなのですが、そもそもクマムシとはどういう生物なんですか?

けっこう難しいんですが……、“虫”とはいうものの昆虫ではなくて、緩歩動物門(かんぽどうぶつもん)というカテゴリーに入る生き物で、海から陸から池から、世界中どこにでもいます。都会のその辺の道路の上の苔なんかにもいますよ。よく“強い”と言われていますが、それは陸に住んでいるものだけですね。

体長は0.1mmから1mmくらいの間で、肉眼で見ようと思えば見えるんですけど、まあ見てもただの“点”くらいにしか見えませんね。

虫じゃないんですね!?

日本って結構大きなくくりにしちゃうんですよね。ミミズのことも虫って言っちゃったりするんで。クマムシも“昆虫ではない”、ということですね。

緩歩動物門にはクマムシ以外はどんな生き物がいるんですか?

クマムシだけです。

そうなんですね。では、乾燥しても水につけると蘇生するところから“最強の生き物”とも呼ばれるクマムシですが、弱点はあるんですか?

弱点だらけですね(笑)、針とかでプチッとつぶせば死んでしまいますし。極限状態にはけっこう強いんですけど、実際に飼育しようと思うと大変です。きれい好きというか、ちょっと水を張った環境で飼うんですけど、その水質がちょっとでも悪くなると死んじゃったりとか。

餌もですね、たとえば今私が飼っているのはある一種類の餌でしか飼えないもので、それ以外の餌だと受け付けなくて死んでしまうんですよね。“乾燥には強い”というだけでめちゃくちゃデリケートなんです。

そのクマムシは現在、何かの役になっているんですか?

とくに立ってないですね、まあ、人々を和やかにする、っていうことくらい(笑)。

堀川さんとクマムシの出会いを教えてください。

最初に見たのは『たけしの万物創世記』っていうテレビ番組でした。ボーっと見てたらクマムシのことを紹介してて、「すごいな」と思ったんですね。

そしたらたまたまなんですけど、当時自分が通っていた神奈川大学に、講義でクマムシを紹介している先生がいるということを知って、結果的にその先生の研究室に所属することになって、そこからクマムシの研究を始めることになったんです。

堀川大樹さん

運命的ですね。

そうですね。本当に偶然なんですけどね。テレビで見たのは大学に入ったばかりの頃ですから、もう14年の付き合いになります。

なぜそこまでクマムシに惹かれたのでしょうか?

もともとは昆虫の生態学をやりたかったんですが、いろいろ調べてみても、この先ずーっとやり続けるテーマとしてはピンとこないものばっかりだったんですね。

そんなある日、研究室のOBがクマムシを見せてくれたんです。乾燥してるのに水をかけると動き出すというのを見て、「ああこれだ!」ってピンときて。

さらにその後に、クマムシについて今までどんな研究がされているのかなと思って昔の文献をチェックしたんですけど、ぜんぜんされていないんですよ。

自分は、誰もやっていないものに惹かれるという“中2病”的なところもあるんですが(笑)、「もうこれやるしかないな」って感じになったんですね。クマムシの未知な部分に惹かれた、というか。

それからずっと研究を続けてきて、今はフランスのパリ第5大学というところで博士研究員としてクマムシを研究しています。

どういう経緯でフランスへ行かれたのですか?

クマムシで博士号を取って、博士研究員や非常勤講師という形で国内で何年か研究してました。その後アメリカのNASAがフェローシップっていうのを募集していたので応募したんですね。それが認められて、やはり博士研究員として2年間、宇宙生物学を研究してました。その2年間が満了して、パリの第5大学に移りました。

ちなみに、クマムシの研究のゴールというのはどこになるのでしょうか?

わかりやすい例で言うと、何十年も前に日清食品の創業者の安藤百福さんという方がカップラーメンを作りましたよね。あれを普通の野菜だとか生肉だとか、もっと言えば人間そのものが乾燥しても水をかければクマムシのように本来の姿に戻る、ということができるようになれば、それが究極のゴールかなと思っています。

なるほど。そんな堀川さんはツイッターやブログもされていますが、メルマガを出そうと思ったきっかけについて教えてください。

もともとメルマガは出したいと思っていたんですね、だいぶ前から。だけど、毎週書かなきゃいけないっていうハードルが高くて、なかなか踏ん切りがつかなくて(笑)。

ただ、今私が身を置いているようなアカデミックな世界では、大学の先生になるとか研究所の研究者になるとかっていうのは厳しいんですね。なかなかなれない。それでも研究を続けたいっていう人はいっぱいいるんです。私もそうなんですが。

その上、そういうところで研究をしようと思ったら、大学とか研究所という組織の都合に合わせないといけないので、それが嫌だというなら、自らの人件費や研究費を自分で引っ張らなければいけません。たとえば、堀江貴文さんや津田大介さんなんかは、私と土俵は違いますけれども、ご自分でそういう感じでやってらっしゃるじゃないですか。

実は研究者こそ、そういうことをやればいいんじゃないかなと思うんです。一般の方とコミュニケーションを取り、科学の啓蒙活動もしながら科学的な知的好奇心を与えつつ、その対価としてお金をいただく。ただ単に「寄付しなさい」とかそういうことじゃなく、コミュニケーションを取りながらやっていくっていうメルマガは、すごくいいツールなんじゃないかなって思うんです。

ということで、私の有料メルマガで得た収益は研究資金として使う予定です…と思ったのですが、福島の状況がまだまだこんな状態なので、まぐまぐ社長の大川さんと話し合ってそこにいる子どもたちのために役立てようと考え直しました。

クマムシは、放射線にも物凄く強いんです。原発事故で日常生活を大きく変えられながらもたくましく生きている福島の子どもたちって、小さな体で放射線に耐えるクマムシとオーバーラップしませんか?だから、このクマムシメルマガの売上げは全額福島の子供たちに還元することにしました。クリスマスプレゼントを届けに行ったりとか、色々なやり方があると思っています。

では、どのようなメルマガにしたいとお考えですか?

エンタテインメントというか、基本は楽しく。クマムシとかサイエンスといったものが題材にはなるんですけど、なるべくエンタテインメントみたいに、楽しませられるような内容にしていきたいと思っています。

どんな人に読んでもらいたいですか?

もちろん研究者が読んでも面白いものにしようと思っているんですが、想定している読者さんは、生き物に興味がある方とか、今後研究者になりたいっていう学生さんです。そういう方に有用な情報や、考えてもらえるような情報を出していこうと思います。もちろん質問があれば詳しく答えたいと思っていますのでよろしくお願いします。

堀川大樹さん

最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

みなさまの購読料が福島の子どもたちを元気づけるための一助となりますので、楽しみつつ応援していただけたら幸いです。

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堀川大樹さんプロフィール

地球環境科学博士。2001年からクマムシの研究を始める。これまでにヨコヅナクマムシの飼育系と実験系の確立に成功し、同生物の極限環境耐性能力を明らかにしており、クマムシ研究において世界的なインパクトを与えている。2008年から2010年まで、NASAエイムズ研究センターおよびNASA宇宙生物学研究所にてヨコヅナクマムシを用いた宇宙生物学研究を実施。2011年からはパリ第5大学およびフランス国立衛生医学研究所に所属。人気ブログ「むしブロ+」(http://d.hatena.ne.jp/horikawad/)ではクマムシやライフサイエンスの話題を提供中。

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