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2018年08月13日
 
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3,110部
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アート・文芸 > 文芸 > 批評・論評

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■■                              vol.659
■■ mailmagazine of book reviews     [例年になく暑さが厳しく 号]
■■------------------------------------------------------------------
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■コンテンツ
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★トピックス
→トピックス募集中です。

★「漫画’70s主義~オッサン目線な漫画の地平~」/太郎吉野
→<104>「関西りゃくご」についての一考察

★「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
→86 空は高く青く、夜空には星がまたたく

★「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
→第103回 読書をする意味。人はなぜ読書をしなければならないのか。

★「人事なショヒョー~組織とコミュニケーションを考える」/SHOW-Z
→人事の超プロが明かす評価基準(西尾太著 三笠書房 2015/11/18)

★献本読者書評のコーナー
→書評を書きたい!という方は、まだまだ募集中

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
└──────────────────────────────────

 人間総合科学大学 金子様、井上様より、下記の書籍の献本を頂戴しました。

 久住眞理/久住 武・著『ヒューマン ― 私たち人類の壮大な物語』
 (発売:紀伊國屋書店  発行:人間総合科学大学)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■「漫画’70s主義~オッサン目線な漫画の地平~」/太郎吉野
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<104>「関西りゃくご」についての一考察

 年年歳歳、夏という季節への「イヤ!」度が増してくる。
 「夏」とか「夏休み」というフレーズに胸躍らせ、ワクワクしていた時代も、
確かにあった。確かにあった…が、それはすでに遠い昔の記憶だ。

 いつごろからですかねえ? 夏が、一年で一番イヤな季節になったのは……

 今年はまた、例年になく暑さが厳しく、最高気温「40℃超」という地域が続
々と出現しているし、京都では、「最高気温38℃以上」という日が、7日間に
わたって続くという異常事態が出来した。
 大阪でも神戸でも、天気予報で「猛暑日」のマークがつかない日はない、と
いうこの7月から8月。

 ふと思い出してみたのだが、わしらが幼少のみぎり、気温が30℃を超えると、
「ふえ~~~っ! 30℃!」と皆でたまげていたのだ、確かに。
 あの頃は、30℃が「暑さの限界点」で、それを超えて「35℃」とかになると、
それはもう限界を超えた「異常な暑さ」と認識されていた、と思う。

 「日射病」というのはあったが、「熱中症」というのは、認識されてなかっ
たし、そもそもそんな「病名」すらも存在しなかった…と思うのだけど…あっ
たのかな?

 その暑いさなかに、今年もまた甲子園では夏の高校野球が開幕した。
 今年は「100回記念大会」とのことで、史上最多56校が出場して、賑々しく
も始まった開会式では、式典の途中で「熱中症対策」もとられていたようだ。
 しかし、わざわざ式を中断して「給水タイム」設けるくらいなら、壇上での
お偉方の挨拶をこそ、短縮、あるいは省略してやれよ…と思ったのは、わしだ
けでしょうか。

 その開会式があった日に、甲子園駅で電車を待っていた時のこと。
 「あの、三宮へ行きたいんですが?」
 と、関東イントネーションで駅員に問う男性がいた。
 「三宮やったら、次の次の直通特急が一番早いです」
 と駅員は、ホームの屋根からぶら下がっているディスプレイを指して答える。
 「ああ、この姫路行き、ですか?」
 「え……? あ、そうです、それに乗ってください…」

 この会話で、最後の駅員の答えが、「え?」と一拍間が空いたのは、関東お
じさんの「姫路」が、一瞬わからなかった故だ。
 全国から人が集まってくる高校野球のこの時期、この「姫路」は、駅で電車
で、実によく耳にする。

 関東の人に多いのだけど、「姫路」を、標準語の「姫」につづけて「ジ」と
発音する。
 すなわち「ヒめじ」、竹久夢二の「夢二」、または「テレビ」と同じアクセ
ントで発音するので、駅員もまた「え?」となるのだ。

 「姫路」は、「ひメじ」と、「しめじ」「夢路」と同じアクセントで発音す
るのが、正しい。

 70年代にスマッシュヒットした↓この曲、歌詞に「姫路」が出てきますが、
きちんと「ひメじ」と発音されています。

 https://www.uta-net.com/movie/215520/

 この東西でのアクセントの違いは、会話の中で思わぬ誤解を生むこともある。
 東京時代、同僚と二人、車で仕事先に向かっていたときのこと。
 「雲が出てきたなァ…」と、フロントガラスから空を見上げてつぶやいたわ
しに、「どこ…? おいおい、蜘蛛なんてどこにもいねーよ!」と、板橋生ま
れの彼は返すのだった。

 学生時代、あれは国語国文学の授業でだっけか、壇上の先生が「この中に関
西出身の人、います?」と言うので手を挙げた。
 「じゃ、あなた、これを読んでみて」
 と先生が黒板に書いたのは、「雲」「蜘蛛」「橋」「箸」。
 先生はさらに、東京出身者を指名して、わしと交互に「くも」「くも」「は
し」「はし」と読ませると、わしの「蜘蛛」は彼の「雲」だし、彼の「橋」は、
わしの「箸」なのだった。

 と、上記同僚との車中で、そんなことを唐突に思い出したりも、した。

 日本全国画一化が言われて久しいが、関東・関西の間には、まだまだ深い川
がある。

 やはり70年代、わしが学生の頃なのだけど、何かの雑誌で、誰だか忘れたけ
ど、近頃…って、つまりその頃の、東京におけるある風潮を憤っている文章に
接したことがある。

 彼が憤っていたのは、そのころ開通した「環状七号線」「環状八号線」とい
う道路の略称だった。
 既に一般に浸透していた「環七(かんなな)」「環八(かんぱち)」という呼称
を、彼は「東京らしくない!」と、激しく憤っていて、それを「関西の悪い影
響だ」と断定していた。

 言われてみれば確かに、「かんなな」「かんぱち」は、「うえろく(上本町
六丁目)」、「てんろく(天神橋筋六丁目)」、「たによん(谷町四丁目)」、
「がもよん(蒲生四丁目)、等々に通じる、大阪的な略し方かな? とも思え
る。

 その文章では、「正統的な東京風略称」では、「環状七号線」「環状八号線」
は、それぞれ「環状線」あるいは「七号線」「八号線」と略されなければ「な
らない」と断じているのであった。

 さらに彼は、伝統的な東京風地名省略形として、「新宿=ジュク」、「池袋
=ブクロ」、「渋谷=ブヤ」、「新宿二丁目=二丁目」というのを列挙してい
たのだけど、わしは、十と数年間東京に住んでいて、「二丁目」はともかく、
「ジュク」「ブクロ」、あるいは「ブヤ」と呼称する人には、とんと遭遇の機
会を得なかった。

 東西の略称の違いとしてよく提示されるのが、「マクドナルド」と「ユニバ
ーサル・スタジオ・ジャパン」だ。
 すなわち、東の「マック」「USJ」に対して、西の「マクド」「ユニバ」。

 これについては、先日、偶然見ていたテレビで、言語学者の金田一秀穂氏が、
実に明確な解説をしてくれていて、おもわず「なるほど!」と膝を打ってしま
ったのだった。

 それによると、関西弁というのは「母音をはっきり発音する」言語で、だか
ら「まァくゥどォ」「ゆゥにィばァ」ならしっくり発音できるのだけど、間に
促音や長音の入る「マック」「ユーエスジェー」では、「まァッく」「ゆゥう
えすじェえ」と、とても発音しづらい、なので、「マクド」「ユニバ」で定着
した、というのである。

 言われてみれば、「長音省略」もまた、伝統的な関西的略語の方法だ。
 「天王寺」→「てんのじ」や、「阪神高速」の省略形である「阪高」を、
「はんこ」と呼ぶのもまた、その一例だろう。
 落語の笑福亭松鶴一門の芸名には、この長音省略形が多用されている。
 「松鶴」→「しょかく」が、そもそもそうだし、「鶴光」→「つるこ」、
「鶴瓶」→「つるべ」等々。

 昔、鶴光や鶴瓶らが東京へ進出したころ、大阪のラジオでキダ・タローが、
東京のテレビが彼らの名を「つるこう」「つるべい」と呼ぶのを、「ちゃんと
呼んだらんかい!」と、かなり激しく憤っていたのを、聴いた覚えもある。

 ちなみに、阪神高速の略称「はんこ」は、「判子」ではなく、「鶴光(つる
こ)」と同じアクセントである。

 やや変則的な略語としては、「中間音省略→促音+拗音化」というのがあっ
て、「松屋町=まっちゃまち」、「一番=いっちゃん」などが、これにあたる。

 「略語」ではないのだけど、語調を整えるための「撥音挿入」という例は、
「馬場町(ばんばちょう)」などの読みに見られる。
 明石の「魚の棚商店街」は、表記にわざわざ平仮名の「の」が入っているに
も関わらず、もっぱら「うおンたな」と読まれている。

 そんな関西弁を文字表記する際、そのままで表記すると、やたらと「もっさ
り」してしまうのである。
 たとえば、「めっちゃおもろうて、わろたわろた」とすべて平仮名で表記す
ると、なにやらそれは狂言のようで、妙に間延びがするし、ひらがな表記では、
イマイチ意味が通じにくい。

 なので、わしの場合は、これを、「面白ォて」とした上で、「おもろ」とル
ビを打ち、「笑ろた笑ろた」と表記するようにしている。
 「笑うた」と表記すると、ますます「狂言」になってしまって、テンポのい
い関西弁になってくれないのである。

 田辺聖子は、関西弁を文字表記する際、「なにしとんねン」「あかんねン」
と、カタカナの「ン」表記で、「もっさり」を抑止してテンポのいい関西弁を
表現している。

 先日、西加奈子の小説『ふる』(河出文庫)を読んだのだ。
 西加奈子は、『こうふく みどりの』(小学館文庫)を読んだとき、そのリ
アル版「じゃりんこチエ」的世界観の中で、大阪弁、それも「もっさり」では
ない、とてもテンポのいい大阪弁の表現が「うまいな」と感心したのだけど、
今回読んだ『ふる』は、大阪出身でただ今は東京に暮らす「池井戸花しす(28
歳)」が主人公。

 小学生のころのあだ名が「どォやん」で、現在は、東京の小さな会社で、ア
ダルトビデオの女性器にモザイクをかける仕事をしている現在は、「イケちゃ
ん」とか「池井戸さん」と呼ばれる彼女は、東京でも相変わらず大阪弁を喋っ
ていて、そんな彼女が人に感謝を示すときに発する言葉が、「ありがとう」で
はなく、「ありがとぉ」と表記されるのだ。

 この表記を見たとき、「おおっ!」と思った。
 「ありがとう」ではなく、「ありがとぉ」と表記すると、「アりがとう」と
いう標準語イントネーションではなく、「ありがトォ」という、尻上がりの関
西イントネーションに、ごくごく自然に読めてしまうではないか。

 黒川博行もまた、関西弁のニュアンスをテンポよく文章に表現するのに長け
ているけど、女性作家なら、ただ今現在では、まず西加奈子だな、と改めて思
ってしまったのだった。

 ちなみに、「ラジオ」「テレビ」という外来語もまた、関西弁では標準語と
アクセントを異にしていて、「ラじお」ではなく「らジお」、「テれび」では
なく「てレび」と発音するのだが、その昔の「ナショナル(松下電器)」のCM
ソングでは、正しく関西アクセントでもって「らジお」「てレび」と歌われて
いる。

https://www.youtube.com/watch?v=-4ZQxmb6unc


太郎吉野(たろう・よしの)
 2011年に神戸から西宮へ引っ越して、ただ今のホームグラウンドは甲子園。
右投げ右打ち。掛布二軍監督はひとつ年上の同級生。

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■「いろんなひとに届けたい こどもの本」/林さかな
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86 空は高く青く、夜空には星がまたたく

 酷暑が続き、各地で最高気温を記録しています。
 豪雨被害の被災地ではまだまだ生活再建に時間がかかり本当に大変ですが、
休めるときは少しでもゆっくりできますように。

 さて、夏休みの季節になり、涼しい部屋で本を読む時間をもてているでしょ
うか。
 最初にご紹介する絵本は、7つの国、それぞれで暮らす子どもたちが描かれ
ています。

 『わたしのくらし 世界のくらし
   地球にくらす7人の子どもたちのある1日』
       マット・ラマス 作・絵 おおつかのりこ 訳 汐文社


 イタリア・日本、イラン、インド、ペルー、ウガンダ、ロシア、これら7つ
の国に住んでいる子どもたちの様子が見開きいっぱいに紹介されます。

 子どもたちの表情、学校に着ていく服、授業の様子、学校の先生、名前の書
き方、放課後の過ごし方――。

 見開きに複数の国の子どもが紹介されているので、様子の違いがひとめでわ
かります。どんな洋服を着ているのか、どんな遊びをするのか、食べ物はどう
いうものを食べているのか。丁寧に描かれた絵から、その先にある生活のリア
ルさが感じられます。

 作者のマット・ラマスさんは、この子どもたちが、その国や文化の代表だと
はいえませんと説明を加えています。代表ではなくても、自分たちの国以外の
生活をみることは、世界を広げてくれます。違っているところ、似ているとこ
ろ、知るのは楽しい読書体験です。
 それに鳩や猫、馬なども描かれているのですが、動物は各国ほとんど同じで
す。私は鳩が食べ物をついばむ小さなシーンが大好きです。どのシーンも、何
が描かれているのか観察し、発見があります。

 巻末には用語集もあり、例えば、ごはんのページに登場する料理がどんなも
のか教えてくれるので、食べたことがなくてもイメージがわきます。

 そしてなにより私がこの絵本でハッとしたのは7つの国の子どもたちの共通
点です。互いの国で同じにみえるものがあることに、あらためて感動し近しさ
を感じます。
 ぜひみてみてください。

 次にご紹介するのはいまの季節にぴったりの絵本。

 『すいかのプール』
 アンニョン・タル 作 斎藤真理子 訳 岩波書店

 今年は韓国文学がにぎやかで、翻訳者の斎藤さんのお名前をよく見かけます。
絵本にも活躍の場が広がっていて、うれしいかぎり。

 本文を引用します。


 「まなつのお日さま あっつあつ。
  すいかはすっかり じゅくしてます。

  すいかのプールの プールびらきです。」


 すいかプールの管理人さんでしょうか。大きな麦わら帽子をかぶった白髪の
おじさまが、すいかプールをチェックします。


  「うーむ、きもちいい

 プールびらきを知った子どもたちは、走ってプールに向かいます。

  たっ たっ たっ たっ たっ たっ」


 足音が聞こえてきそうです。

 この足音にはじまり、絵本には音がいっぱい登場します。
 すいかプールに入る音、ちゃぽーん。
 さっく さっく さっく さっく
 足でぴちゃぴちゃすれば、すいかジュースもたまります。

 子どもだけでなく、妙齢の大人も楽しんでいるのに、ニヤニヤします。
 暑いですからね。

 プールのまわりの出店も味があります。

 夜になり、最後の子どもが帰ると、すいかプールも店じまい。

 絵本の中に入りこみたくなる、引き込み力抜群のお話です。
 夏の間にぜひ読んでください。

 続いて、こちらもいまの季節にぴったりの絵本。

 『おやすみなさい トマトちゃん』
     エリーザ・マッツォーリ 文
          クリスティーナ・ペティ 絵
             ほし あや 訳 きじとら出版

 今年の東京都板橋区いたばしボローニャ子ども絵本館主催、
 いたばし国際絵本翻訳大賞〈イタリア語部門〉受賞作品です。

 きじとら出版では、翻訳受賞作の絵本を刊行しており、本作は今年受賞した
ものです。

 表紙で大泣きしているのは、主人公のアニータ。
 トマトが大嫌いでいつも残しているので、とうとうおかあさんはトマトを食
べ終わるまで、トマトと一緒に部屋にいるようアニータに言いました。

 アニータはいつか気が変わって呼んでくれると、楽観的にかまえていました
が、なかなかそうならず、おなかはすくばかり。

 他にすることもないので、トマトを相手におかあさんごっこをはじめます。
 アニータはおかあさん役。
 あやして、遊ばせて、寝かしつけて、そして……。

 トマトはリアルな写真がコラージュされ、思わず指でさわってみたくなるほ
ど赤くてピカピカきれいです。

 アニータがおかあさんごっこで、トマトちゃんと近くで過ごしているうちに
芽生えてくる感情にふふふと笑いがこみ上げてきます。

 赤くておいしそうなトマトちゃん。
 どこでねんねしているかな。

 さて、今号最後にご紹介する骨太絵本はこちらです。
 
 『この計画はひみつです』
  ジョナ・ウィンター 文 ジャネット・ウィンター 絵
     さくまゆみこ 訳 すずき出版

 ジャネット・ウィンターは、伝記や実際にあったことを描いた作品を多くつ
くっている絵本作家です。文章を書いているのは、息子。ノンフィクション絵
本を手がけています。

 この2人が描いたのは、核です。

 1943年3月、アメリカ合衆国政府は、科学者を集めて、ひみつの計画をスタ
ートさせました。科学者たちが作り出したものは、最初の「原子爆弾」です。
1945年7月16日、ニューメキシコ州南部の砂漠で、最初の核実験が行われたの
です。

 ジャネット・ウィンターの絵は、マットな色調とやわらかな線で描き、率直
にできごとを伝えてくれます。

 世界で最初に行われた核実験の影響は、2018年現在も続いており、アメリカ
政府は2014年になって、その当時住んでいた人たちの健康調査をはじめました。
70年過ぎてからです。

 私は最初にこの絵本を読み間違えていました。この実験の後に日本に2度核
爆弾投下されることについて書いているのかと勘違いしたのです。

 しかし、この絵本を読んだ2週間後、ノーマ・フィールドさん(※)の学習
会に参加する機会を得て、このトリニティ実験について詳しく知ることができ、
絵本をあらためて読み直しました。

 大人がした愚かな行為を、子どもにわかるように絵本の形で伝えていること
は意義があると思います。強い印象を残す、実験後のキノコ雲の絵、そしてラ
ストのページの意味することを、これからも大人は伝えていかなくてはいけな
いのです。

 絵本の著者あとがきと、訳者あとがきも読みごたえがあります。

 知らなくてはいけないことが描かれている大事な絵本です。

 (※)ノーマ・フィールド
 日本で生まれ、米国シカゴ大学で日本文学を教えてきた。
 原爆投下や原発事故の「被ばく者」に寄り添いながら、日本社会に発言を続
 けている。(2016年4月26日朝日新聞の紹介文より)
 http://digital.asahi.com/articles/ASHD66560HD6PTIL00P.html


(林さかな)
会津若松在住
http://1day1book.strikingly.com/

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■「日記をつけるように本の紹介を書く」/多呂さ
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第103回 読書をする意味。人はなぜ読書をしなければならないのか。

 読書することが、すなわち人生であり、生きていくことである。少なくとも
自分はそう思っているし、読書が自分の人生を切り開いていった、と思ってい
る、という人の本。

 敏腕編集者として超のつくほど有名な幻冬舎の見城徹氏の本。
 この自信に満ちあふれた名編集者は、どんな読書遍歴をしてきたのか? そ
の読書に裏打ちされた編集者という仕事をどのように果たしてきたのか? と
いうことに純粋に興味があった。

『読書という荒野』(見城徹 著)(幻冬舎)(2018年6月5日第1刷発行)

 「読書という荒野」という一見乱暴に感じるタイトル。表紙には本が無造作
に積まれているデスクであの見城氏がじろりとこちらを睨んでいる写真。そし
て本の帯には、“血で血を洗う読書という荒野を突き進め!”と挑発的な文言。

 中身はすべてにおいて、自信に満ち溢れている。しかしながら、それは功成
り名遂げた人が自分の歩んだ道を振り返り、自慢するのとは違う。本の中で著
者の見城氏は「自己検証、自己嫌悪、自己否定」があってこそ人間は進歩でき
る、と最初に書いている。

 自分の愚かさや狡さ、浅はかさを自分自身が理解している、ということがわ
かっている、ということが自己検証であり、自己検証して愚かな自分というも
のが存在していることに自己嫌悪に陥る。が、そんな狭量な自分の立ち位置を
否定させしめる行為こそが、自己否定である。

 そのネガティブな3つの行為をしていくことが、生きている証であり、生き
ることに他ならない、と云っている。自分の生き方を否定してこその人生。そ
んな苛酷な環境の中で戦うことが人生なのだ。見城氏はそうやって戦い続け、
人生を生きているのだ。戦う彼の人生を読書という行為、本を読むというフィ
ルターを通して、表現しているのが本書であり、そうやって戦っている自分の
軌跡を後輩たちに伝えている。綺羅星のような成功例であるが、それは執筆子
も含めてたいがいの人には真似はできない。やってもいないうちから、できな
いと云ってしまうが、本書を読む限りたいへん壮絶な努力をしている。凡人の
執筆子はそんなことはできない。はじめから白旗を上げてしまうのだ。

 なぜできないのか? 本書で使われている言葉で考えてみた。

 人間は言葉で考える。思考する。自己検証・自己嫌悪・自己否定は言葉によ
って認識することができる。そしてそのネガティブな行為の中で、それこそ血
で血を洗う壮絶な戦いをして、自己肯定の世界へと立ち上がっていく。そのた
めの手段、最も有効な武器が読書なのだ。

 読書を手段に3つのネガティブを認識することができる人は、認識者である。
そして、そこから自己肯定の高みへ行こうと格闘し戦う人こそ実践者となる。
凡人は認識者止まりである。認識者にすらなれない人は大勢いるだろう。読書
をしない人たちのことだ。読書をしても、読んで何が書かれているかを知るだ
けでそこから何を得たか、どう感じたか、を考えない人たちだって、著者の見
城氏に因れば、認識者になれない。認識者になるためには読書という行為が必
要なのだが、実践者になるためにはその読書を武器として、戦わなければなら
ない。戦う人こそ実践者なのだ。戦士=実践者。そしてこの実践者は、何を実
践する人なのだろう。なんのために戦っているのか? それは自己実現するた
めに戦っているのだろう。自己否定で終わらずに自己肯定し、自己実現のため
に血を流しながら戦うのだ。見城氏は本の編集者なので、身近な実践者は、作
家たちということになる。戦っている実践者は、つまり世間的には才能ある人
たちのことなのである。表現者としてたくさんの共感者を得た一握りの人たち
のことを我々は才能のある人たちと呼んでいる。それが見城氏の表現では実践
者となるのだ。

 戦うための根気とか克己心とか我慢とか努力とか、そういうことを厭わずに
実行することがすなわち才能なのだろう。面倒くさがらず実践者する人のこと
を才能がある人というわけだ。かくして、怠け者、ぐず、面倒くさがりは実践
者になれずに、才能なしのレッテルを貼られる。

 そもそも実践者は、少しでも面倒くさいと思っているのだろうか?・・・・
・否、思っていまい。たぶん楽しいと思っているに違いない。面倒なことを楽
しいと思ってしまえることが、すなわち、才能なのだろう。

 読書とはなんだろう?

 自分が経験できないこと、経験していないことを読書によって獲得する。読
書によって違う世界をみることができる。そしてそれを自分のものにするため
に考える。自分にない部分を恥じる。そして貪欲に取り入れようとする。その
ために考える。思考する。たぶん最初は空洞なのだ。読書によって空洞がすこ
しずつ埋まってゆく感じ。

 一方で、読書するによって世の中のことについて疑問が生まれる。読書は矛
盾や差別の存在を先鋭的に我々に突きつける。その矛盾や差別に対峙するエネ
ルギーを読書からもらう。読書は矛盾と差別に向き合うためのエネルギーの供
給源なのだ。

 本書は読書がもつ意味をさまざま、我々に突きつける。それは、あらためて
自分の無能さに気づかされてしまい、グズなことが露呈してしまったことで、
傷つく。さながら諸刃の刃のような本だ。


多呂さ(こんな酷暑は感じたことがありません。こんな炎暑の中で我々はこれ
から生きていけるのでしょうか)
 ブログ→ http://d.hatena.ne.jp/taro3643/

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■「人事なショヒョー~組織とコミュニケーションを考える」/SHOW-Z
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人事の超プロが明かす評価基準(西尾太著 三笠書房 2015/11/18)

 つい先日、読売新聞の朝刊を眺めていたところ、毎週連載されている「就活
ON!」というコーナーにこんな記事が載っているのを見つけました。

人事評価に不満 6割

 大手人材サービスのアデコが2月、20~60歳代の就業者1356人から回答を得
た調査では勤務先の人事評価制度に「不満」「どちらかというと不満」と答え
た人は6割を超えた。
 不満の理由を複数回答で聞いたところ、「評価基準が不明確」が最も多く、
「評価者によってばらつきが出て不公平」「フィードバックや説明が不十分、
もしくはその仕組みがない」が続いた。

 記事では6割となっていますが、私の肌感覚としては7割、いや8割といっ
ても過言ではないような気が。人事評価って、社員の給料やら出世やらに直結
するものですからね。

 何年前かは忘れましたが、第一生命が毎年発表しているサラリーマン川柳の
入選作に『成果主義 最終評価は 好き嫌い』と出た時には、あまりに的を得て
いて思わず笑ってしまったのですが、働いている人間にとっては人事評価って
そのくらい曖昧であり、人事側も運用するのが難しい代物だと思うのでありま
す。

 今回の本は、まさにその人事評価をメインテーマとしたもの。著者は様々な
企業の人事部門を経て、現在は人事コンサルタントとしてご活躍されている方
になります。

 この本で紹介されているのは、「あらゆる企業に共通する普遍的な評価基準」
についてです。

 著者によると、会社の規模や業界に関係なく、運用されている人事制度の根
底にあるものや原型はほぼ同じ形をしており、この普遍的な評価基準を知り、
仕事の中で実行することができれば、どんな会社でも業界でも、通用する人材
になれる、とのことです。

 ここで評価基準として著者が取り上げているのが「コンピテンシー」という
キーワード。「会社の中で活躍する人に共通する特徴的な行動や考え方」のこ
となのですが、著者は新入社員から役員まで、一般的な会社内の職位を6つの
クラスに分け、それぞれに求められるコンピテンシーがどのようなものかにつ
いて、明らかにしていきます。

 たとえば課長クラスであれば、どんな行動がOKで、何がNGなのか。そし
てそれを達成するために必要な行動や学びとは何か。1つ上の部長クラスにな
ったら何が違ってくるかなど、各クラスごとにかなり具体的に記述されている
ので、会社の評価基準が曖昧だと感じている人にとっては、納得感のある内容
ではないかと思います。

 実はコンピテンシーというキーワード自体は、人事の中では比較的メジャー
な存在です。そのため、長く人事をやっている人がこの本を読んだとしたら、
内容はうまくまとまっているけど特に目新しさはない、と感じる人がいるかも
しれません。

 しかし私が思うに、この本の一番の価値は「一般のビジネスパーソン向けに
書かれていること」だと思うのです。

 評価制度に限らず、人事に関連する書籍のほとんどは、人事の実務担当者向
けです。人事は自社で課題になっていることがあったら、関連する書籍を購入
し、内容を理解したうえで、自社に落とし込んだらどうなるかを、あれこれ考
え始めます。

 制度や仕組みを変えるのには、いろいろと難しいことが発生するのですが、
特に難しいのは、制度を作ること以上に、社員にポイントを理解してもらうこ
と、そして円滑に運用させることなのです。

 人事が会社のため、社員のためを思い、これまでにない制度を作り上げたと
しても、全社員がもろ手を挙げて賛成!なんて状況は、、、残念ながらまず起
こりません。

 社員の側としては、今の制度に不満を持ってはいても、仕組みが変わること
に対する抵抗感が生じるんですね。人事は口先でメリットを強調してるけど、
逆にどんなデメリットが生じるんだとか、何か制度を変える裏があるんじゃな
いか、とかとか。

 新制度をスムーズに運用していくためには、まずはスタート時点で懇切丁寧
に説明していくしかないわけですが、これ本当に辛いです。あれこれと説明し、
それに対して寄せられる質問を聞いていくと、やっぱり人事ってブラックボッ
クスのような捉え方をされるんだなと悲しくなったり。

 その意味で、「人事向けではない人事本」というのがもっと増えていってほ
しいと切に願います。人材採用の分野では、その手の本を見かけることはある
ものの、特に人事制度に関するものは皆無です。

 もし評価制度を変えようとしている会社で、社員がこの本を読んでいたなら
ば、新しい制度に単にケチをつけるのではなく、社員と人事の間で、建設的な
議論の空気が生まれるのではないかと。そうなると、社員がもっと人事につい
て考えてくれるきっかけにもなりますし、会社も良い方向へと変わっていくの
ではないかと思います。

 では、実際にこの本を社員に読ませてみてはどうかという考えが、頭の中を
よぎったものの一瞬で消え去りました。それこそ、どんな裏があるんだと勘ぐ
られるのは嫌なので(笑)。

show-z
某IT企業で人事担当者として勤務。千葉県在住。

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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・『ヒューマン ― 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510

・『支え合い・学び合いで育つ「わたし」』(エディット・パルク)
  http://web.kyoto-inet.or.jp/people/cogito/%8Fo%94%C5%88%C4%93%E0/%8Ex%82%A6%8D%87%82%A2%81E%8Aw%82%D1%8D%87%82%A2.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

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 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 とにかく毎日、暑い日が続きますね。このメルマガでの原稿にも「暑」とい
う字がちらつきます。

 私もできるだけ水分をとり、部屋の冷房も消さないようにと心掛けています
が、仕事の生産性が落ちるのだけは致し方ないという感じです。

 涼しくなる秋を待って、頑張るのはそれからにしようかな、とも思っていま
す。

 皆様も、御自愛ください。(あ)

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