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月3回
最終発行日
2018年09月21日
 
発行部数
3,100部
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0000036518
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カテゴリ
アート・文芸 > 文芸 > 批評・論評

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■■ mailmagazine of book reviews  [トランプの王さまのような連中 号]
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■コンテンツ
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★「トピックス」
→ トピックス募集中です

★「音楽本専門書評 BOOK’N’ROLL」/おかじまたか佳
→ 『ぐうたら人間学』

★「おばちゃまの一人読書会~中高年の本棚~」/大友舞子
→ 『ごはん通』(嵐山光三郎著・平凡社・平凡社ライブラリー)

★「目につく本を読んでみる」/朝日山
→ 『東大教授の「忠臣蔵」講義』 山本博文 角川新書

★【募集中】献本読者書評のコーナー
→ 献本お待ちしています!

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■トピックス
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■今回の献本読者書評のコーナー
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 この本の書評を書きたい!という皆様、詳細は巻末で!

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■音楽本専門書評「BOOK'N'ROLL」/おかじまたか佳
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#99『ぐうたら人間学』

 中学の同窓に、詩人・谷川俊太郎氏の長男がいる。現在ジャズ・ピアニスト、
作曲家として活躍しているようだ。
 当時、彼とぼくに後もう二人を加えた四人、小説の好きな連中が、もそもそ
と中学生男子らしく集まって、くだらないことを話したり、やったりしていた。

 二年生の夏休みだったか。このメンバーで、軽井沢にある谷川家の別荘にお
邪魔することになった。
 その行きか帰りかは忘れたが、電車の旅のつれづれに「小説の定義とは何か」
という、これまた実に中坊らしいややこしい論議が始まったのである。
 諸説入り乱れた後に、一人が、これでどうだ、という決定打を放った。それ
がどんな定義だったかも覚えていないが、みんなそれにほぼ納得した。いい加
減疲れてめんどくさくなっていたのかもしれない。
 ところがそれを発案した本人が、「あ、でも、これだと狐狸庵エッセイが小
説になっちゃう」と言い出して、ふりだしに戻ってしまった。

 いまはもう、「狐狸庵エッセイ」で通じるのも、ぼくから上の世代だけにな
ったのだろうか。
 小説家・遠藤周作が、雅号を狐狸庵と称し、身辺雑記や回想を綴ったエッセ
イのことである。

 ところが、エッセイと銘打ちながら、かなりの確率でフィクションが混ざる。
というか、嘘が多いのだ。
 そもそも、狐狸庵という人物が、等身大の遠藤周作というよりは、多分に誇
張されたキャラクターなのである。その証拠に、表紙のイラストに描かれた狐
狸庵先生は、白髪白髯、和服の老人として描かれており、どこか横丁の隠居の
風情で、ご本人より大分年長に見える。
 それで、エッセイと言いながら、半ば小説のような部分があって、定義が難
しかったわけだ。

 七十年代に大人気を博して、シリーズ化。タイトルに「ぐうたら」という言
葉がキーワードとして使われていたが、それがまさに六十年代の「モーレツ」
に疲れきった時代の気分にマッチしていた。
 田舎道をヒッピーたちがガス欠のクルマを押して歩く石油会社のCMで流れ
た「♪のんびり行こうよ 俺たちは 焦ってみたってむだなこと」という歌や、
「狭い日本 そんなに急いでどこへ行く」というスローガンが人の口の端に上
っていた頃である。

 いま、某カルチャースクールで文章教室の講師をやっていて、今期は随筆を
テーマに、いろいろな本を分析しているのだが、その一冊として、懐かしい
『ぐうたら人間学』を再読した。

 しかし、遠藤周作といえば、エッセイストというよりまず小説家である。
 少し前にマーチン・スコセッシが監督した映画『サイレンス』。その原作で、
江戸時代のキリシタン弾圧に材を取った小説、『沈黙』の方が、読んだのは狐
狸庵エッセイより先だったと思う。

 中学の時、『ジーザス・クライスト・スーパースター』と『ゴッドスペル』
というロック・ミュージカル映画が同時期に公開され、ロック少年でもあった
ぼくは大変な衝撃を受けた。どちらもイエス・キリストの生涯を描いているの
だが、「いや、イエスってかっこいいなぁ」と思ったのである。
 そんな流れで興味を持ったのか、『沈黙』もこの頃に読み、タイトルの意味
を知って深い感動を覚えた。

 その後、『白い人』『黄色い人』『海と毒薬』などを読み、その一方で狐狸
庵エッセイがベストセラーになって、ネスカフェ・ゴールドブレンドのCMに
「違いのわかる男」として作者本人が登場するに至った。

 『沈黙』の遠藤周作と、エッセイやCMの遠藤周作は、とても同一人物には
思えないが、ぼくはあまり違和感がなく、素直に受け入れていたように思う。
 しかし、著者はこの二重人格的な行動の意図について、『ぐうたら人間学』
の中で、若干言い訳っぽく触れている。
 いわく、三年に一度くらいのペースで、深刻かつ小難しい小説を書いている
ので、作者本人もさぞ哲学的でさまざまな問題に悩んでいる人間と思われがち
だが、実際にはくだらないことに喜んでいる俗な男であって、そのことを読者
に知らせたいと思い、狐狸庵エッセイを書き始めたのだそうだ。

 そんな『ぐうたら人間学』であるが、音楽本としては、ふたつのエッセイが
該当する。

 ひとつめは、「私と唄」。
 自分がひどい音痴であることから語り起こし、三浦朱門と組んで唄をつくる
話が紹介されている。

 作家の三浦朱門が作曲をする、というのも意外だったが、もっと驚いたのは、
その歌をつくるきっかけだ。
 狐狸庵先生、ある時テレビを見ていると、「素人が作詩、作曲したものをプ
ロが歌って、それを採点する番組」なるものをやっていて、審査委員に旧知の
曽野綾子が出ていたので、彼女に電話したという。「ぼくも応募しようかなあ」
と言ったら曽野綾子に、「しなさいよ。そして作曲はうちの亭主(三浦朱門)
がしたら面白いわよ」とけしかけられたのだそうだ。

 素人の作った曲をプロが歌う。そんな番組があったのだ。
 シンガーソングライターというものが登場して、職業作家のつくる唄とは違
う、シンプルな音楽がヒットしたことを受けての企画だったのではないだろう
か。
 プロの作詞家や作曲家は、さぞ不愉快だったと思う。
 時代を非常に感じる企画である。

と言いながら、実はいまも、こうしたことは普通に起こっている。インターネ
ットの登場で、素人の楽曲が流通し、そこから新しいソングライターが生まれ
ているからだ。
 その典型が、ボカロPである。

 ボカロは、以前紹介した初音ミクの本にも出てきたが、ボーカロイドの略。
歌詞とメロディを入力してやると、合成音声で歌ってくれるソフトウエアだ。
作曲や編曲はやりたいが自分の歌には自信がないという人のために開発された。
これを使って曲を作り、ネットで公開する人たちを、プロデューサーのPをつ
けて、ボカロPと呼ぶ。
 彼らの中から、AKBに代表されるアイドルたちに楽曲を提供する作家が次
々に現れた。
 いつの時代も、アマチュアからスタートし、プロに育っていく回路は存在す
るのだろう。

 さて、ふたつめは、「パンツの話」である。
 このタイトルから音楽に関係するエッセイとはとても思えないが、実はこの
パンツ、ビートルズのパンツなのである。

 ビートルズが来日した時、ぼくはまだ小学生でまったく関心がなかったが、
ぼくの上のいわゆるビートルズ世代で、武道館に行った人はいまでもそれを自
慢にしている。
 そして、意外なことに、遠藤周作もまた、あの時武道館の客席にいた一人だ
ったのだ。

 もっとも彼はビートルズ・ファンでも何でもない。新聞社から切符をもらっ
て行ったのだ。流行作家というものには、こんな余録があるんだなぁ。
 ただ、このエッセイによると、遠藤周作は自らをミーハー体質と認じ、もし
自分が女だったら、日劇ウエスタンカーニバルに行って、キャーキャーわめき、
テープを投げていたと思う、と書いている。このテープを投げるというのにも、
時代を感じる。

 だが、男に生まれた狐狸庵先生が、武道館で注目したのはビートルズではな
く、ファンの女の子たちだった。
 彼女たちが、始まる前から汗をかき、それが化粧の匂いと混じって眩暈がし
そうなほどだったこと。その汗を拭くのが、「あのトランプの王さまのような
連中(引用者注;ビートルズのこと)の似顔をかいたハンカチ」であること。
ライブが始まるや、女の子たちは「おのが髪をひっぱり、目をつりあげ、もう
精神病院にいる感じだった」こと。終演後も立てない子たちが続出したが、そ
れは興奮のあまりおしっこを洩らしたからであったこと。
 作家の観察力で事細かに見ているが、ビートルズにも演奏にも一言も触れて
いない。

 その後、某新聞に『ビートルズを見る』という随筆を書いた狐狸庵先生は、
ちょっとしたいたずらを仕掛けておく。文末に「私はビートルズたちの泊った
ホテルのボーイと親しいので彼等からビートルズが部屋に忘れたパンツをもら
った。もらったものの、私としては始末に困っている」と書いたのである。も
ちろん、真っ赤な嘘。

 案の定、数日して女の子から電話がかかってきた。

「あの……」
 蚊の鳴くような声で彼女は言った。
「そのパンツ、わたしたち欲しいんですけど」

 狐狸庵先生がどう答えたか。
 それは本書に譲る。


遠藤周作
『ぐうたら人間学』
1976年2月15日第1刷発行
2010年5月14日第53刷発行
講談社文庫

おかじまたか佳
素人書評家&アマチュア・ミュージシャン
先日フェイスブックに、学生時代所属していた音楽サークルの先輩が、「谷川
俊太郎氏に会った」と投稿していました。お元気のようでなにより。息子の方
も元気かな。話は違いますが、ある企業の就職試験で、学科があり、多分40年
ぶりぐらいに割り算を筆算(!)でやりました。目眩がするほど懐かしかった。
きっと計算間違いしてると思うけど。でも、このスキル、いま、要る?

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■「おばちゃまの一人読書会~中高年の本棚~」/大友舞子
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糖質制限時代だから読みたい
炭水化物礼賛本
『ごはん通』
(嵐山光三郎著・平凡社・平凡社ライブラリー)

 最近、おばちゃまが嘆いていること、それは糖質制限。

 テレビの健康番組ではどこも「糖質を減らしてダイエットしましょう」って
言ってる。糖質の代表がなぜか炭水化物になっていて、ご飯を減らせば痩せら
れると本でも雑誌でも言ってます。

 (前にも言ったかもしれませんが)、あのねえ、昔、私たちは狩りにいって
イノシシや兎をしとめて食べてたんぱく質を摂り、どんぐりや栗を拾って炭水
化物を摂って命をつないでいたんですよ。でも、それは不安定な栄養摂取で、
弥生時代になって安定して栄養が摂れるようになったのは稲作のおかげと小学
校で習わんかったんかい!

 それがたった2000年たった今、もう食物が溢れかえっているせいか、お米を
食べないようにしようだって。この恩知らずめが!

 だいたい、生活をしていくことを「糊口をしのぐ」と言いますね。「口に糊
する」とも。この糊とは何あろう、ご飯(お粥)のことなんですね。貧乏でも
やっとお粥が食べられれば生きていけた、その象徴がご飯=炭水化物=糖質な
んですよ。糖質制限なんて言ってるヤツはそのうちバチがあたる・・・・
そんなときに目にしたのがこの本です。

 作者は嵐山光三郎さん。
 嵐山光三郎さんはこの本を出版した平凡社の元社員だそうです。凱旋本って
言っていいのかな?

 昭和軽薄体の代表である嵐山さんが書くご飯の本なので、きっと、「ごはん
がおいしいのでR」なんて軽い感じでご飯のおいしさについて述べているのか
なと思ったんですが、いやいや、本100冊を持って山形の秘湯旅館に泊まり込
んで書いただけあって、内容は「どの米がうまいか」「おにぎりとおむすびの
違い」「粥と雑炊の違い」「ピラフとパエリア」など話がワールドワイドにも
なってて、意外に社会学的っていうか読んでためなり知識が増える系の作品で
した。

 また、よくあるグルメエッセイみたいに、銀座のどこどのの寿司がうまいと
かそこの主人はこういう偉い人だみたいなうんちくも書いてないので、だれで
もラクに読めます。

 ちなみに著者は、「おにぎり」という言い方より「おむすび」が好きで、

「おむすびは、神結びから来た言葉で、人間が両手に米粒を持って、それを心
をこめて結ぶものなのである。むすびの中に霊魂が入り、むすびの中で自然神
と人はむすばれた。(略)それを食する人の身の安全を日本古来の自然神に祈
ったものである」

 そうそう、その通り。おむすびはただの携行食ではなくて、一粒一粒に食べ
る人の愛が込められた魂の食べ物なんですよね。
 だから、母がつくるおむすびはありがたくも、かしこいものなんですよね。

 だから、お米でつくる食品を軽んじたり、制限したりしてはいけないんです
よ。わかったか、現代の日本人!

 「日本人は米の微妙な味がわかる世界有数の民族である。このことは先祖に
感謝しなくてはならない。また、世界一うまい米を生産する民族である。
 ごはんを炊いて蓋を取ると、ふんわり湯気が立ち上り、ほのかに甘く、かぐ
わしい香りがする」

 まあ、1996年発刊の本なのでこのころはまだ、日本にたくさんの外国人が住
んで米食をしていなかったためか、多少、民族主義的な匂いがするのはしかた
ありません。

 しかし、ごはんに関するおもしろい話がたくさん入っているので、もうね、
ぜひ読んで炭水化物に感謝して、炭水化物ダイエットはやめて、明日からごは
んをたっぷり食べていただきたい!とおばちゃまは思うのでした。


大友舞子(おおとも・まいこ)
昭和20年代生まれのフリー編集&ライター。関東生まれで関西在住。

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■「目につく本を読んでみる」/朝日山
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『東大教授の「忠臣蔵」講義』 山本博文 角川新書

 20年以上前、朝によく泉岳寺にある赤穂浪士の墓に参っていた。東京出張の
定宿にしていたホテルがすぐ近くだったので、朝ホテルを出て行くときについ
でに参っていたのである。

 そこで知ったのは「赤穂浪士の墓には線香の煙が絶えることがない」と言わ
れるのがウソだと言うこと。朝早く出て行くことが多かったからかも知れない
が、線香の煙はよく絶えていたw

 ということで、この本である。帯のタイトルは「時代劇はウソだらけ」「大
石内蔵助は敵をあざむくために祇園遊びをしたのか?」とか、赤穂浪士の討ち
入りの真相を教えますというもの。忠臣蔵が実話を元にして脚色された作品な
のは誰でも知っているが、どこまで真実なのかを知ろうとするのに良い感じの
本である。

 著者の山本氏は東京大学史料編纂所の教授で、江戸時代が専門のようだ。史
料の信頼性も踏まえて書かれていて、おそらく学術的にもこれが定説になって
いるのだろう。

 また、浅野内匠頭が切腹したのは今の新橋四丁目のここだとか、討ち入った
吉良邸と赤穂浪士の監視所であった美作屋善兵衛(神崎与五郎)の店は両国の
ここですよとか、忠臣蔵の重要シーンが行われた場所を地図入りで書いてある
ので、忠臣蔵の名跡を訪ねるのにも便利だ。

 もっとも一部の人には、帯にある「あなたの『忠臣蔵』観がガラリと変わる」
というのは、少々誇張に見えるかも知れない。忠臣蔵が大好きで、忠臣蔵をテ
ーマにした文学作品や映画、テレビ番組をたくさん読んで、見ている人には
「いや、それくらい知ってるよ」と言いたくなるようなところもそれなりにあ
るだろう。

 というのは、忠臣蔵作品をいろいろ見ていると、この本を参考にしているの
ではないかと思える作品がいくつか思い浮かぶからだ。あとがきによると、も
ともと2003年に中経出版から出ていた「忠臣蔵のことが面白いほどわかる本」
の全面的に改稿した本だと書いてある。ここ15年ほどの忠臣蔵が、この本の影
響を受けていても不思議ではない。

 とは言うものの、忠臣蔵を何度も見ている人でも内容の半分くらいは初めて
知ることも多いのではないか?ここを突っ込めば今までとは違う忠臣蔵が描け
るだろうとおぼしきことが少なからず書いてあるのだ。

 個人的に、忠臣蔵で史実とは違う内容として知られているのは、

・浅野内匠頭は名君ではなかった。むしろ吉良の方が慕われていた。
・増上寺の畳替えや垣見五郎兵衛のエピソードなどは史実ではない。
・討ち入り当日に雪は降っていなかった

など・・・他にもいくつかはあると思う。

 しかし、たとえば名君ではなかったと言っても、家臣から嫌われていたなん
て初耳である。江戸家老すら松の廊下の話を聞いて、内匠頭に会いに行こうと
しなかった。だから内匠頭切腹の折、江戸家老は出てこなくて、下っ端の側用
人である片岡が忠臣蔵に出てくるのである。

 内匠頭辞世の句も、でっち上げらしい・・・。んなバカなと思うが、史料を
精査するとそうなるようだから、たぶんこれが正しいのだろう。何よりびっく
りするのは、討ち入りが忠義のためではなかったと言うところだろう。

 当時の武士は太平の世であったとは言え、まだヤクザみたいな気風が残って
いた。赤穂城明け渡しで揉めたのは内匠頭への忠誠心が高かったからではなか
った。

 別に忠義をつくすふりをして再就職を有利にしようとしたとか言うのではな
い。単に武士のメンツを潰されたことに怒っていた。武士たる者、メンツを潰
されて黙っていられるか。たとえ負けるとわかっていたところで戦うしかなか
ろう。相手が幕府?上等だ!とことん暴れて死んでやるわ!

 幕府も淺野家の家臣たちがそんなことを思っているだろうと容易に想像でき
たのだろう。だから赤穂城明け渡しには浅野家の親類にあたる大名を差し向け
ている。他の大名を差し向けたら、血の雨が降るとわかっていたわけだ。

 ほかにも内蔵助の祇園遊びが芸者遊びではなく単なる花見程度のものであっ
て、別に女遊びをしていたわけでもなかったというのも初耳だ。したがってス
パイを欺そうと放蕩していたというのも事実に反する。

 とはいえ大石内蔵助はやはり優秀な家臣であったのは確かなようで、一度と
った血判状をバラバラにして「討ち入りはあきらめた」とウソ言って、怒った
者だけ信用して本当のことをしゃべるとか、芸が細かい。

 そして、なぜあのタイミングで討ち入りをしたのかの言及は、「○○忠臣蔵」
みたいな作品が出るときに使えるだろうなんて妄想したりする・・・誰か書き
ませんかね?

 ま、それはともかくとして、こういうの読むと、忠臣蔵一つをとっても、ま
だまだいろんな解釈ができて、いろんな忠臣蔵を書く余地があるのだとわかる。

 赤穂浪士のやったことは、単なるテロである。赤穂浪士はテロリストである。
忠臣蔵はテロリストを美化しすぎなのかも知れないけども、それはそれで大衆
の琴線に触れるものがあったから今日まで廃れずにいる。

 そんな作品の素材となった人たちの実際について知ることは、ある種自分の
願望を否定されることかも知れない。等身大の赤穂浪士は、自分たちとそれほ
ど変わらない人たちだったのだ。それがわかるようになるだけでも、読む価値
はあろう。


(朝日山 烏書房付属小判鮫 マカー歴二十うん年)

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■献本読者書評のコーナー(応募要項)
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 この本の書評を書きたい!という方は、応募要項を御確認の上、ご連絡くだ
さい。

・『ヒューマン ─ 私たち人類の壮大な物語』(発売:紀伊國屋書店)
 http://www.human.ac.jp/cm/president.html#book3

・『たまご社長が教える運をつくる仕事術』(三楽舎)
 http://www.sanrakusha.jp/archives/1510

・『支え合い・学び合いで育つ「わたし」』(エディット・パルク)
  http://web.kyoto-inet.or.jp/people/cogito/%8Fo%94%C5%88%C4%93%E0/%8Ex%82%A6%8D%87%82%A2%81E%8Aw%82%D1%8D%87%82%A2.html

 参加ご希望の方(つまりは書評をご執筆いただく方)は、

・希望の書籍名:
・送付先ご住所・名前:
・筆名(あれば):
・書評アップ先の媒体予定:
・コメント:

 をご記入の上、下記までメールください。

 表題【読者書評参加希望】
 info@shohyoumaga.net

 皆さんのご応募、お待ちしております。

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 このコーナーの仕組みはとてもカンタンです。

1)まず、出版社の皆様より、献本を募ります。冊数は何冊でもOKです。下記
 まで御自由にお送り下さい。(著者の皆様からの直接の献本はご遠慮くださ
 い。かならず出版社からの献本をお願い致します。)

 〒142-0041 東京都品川区戸越5-4-3 アズ品川ビル4階
       ビズナレッジ株式会社内 [書評]のメルマガ 献本 係

2)このメルマガ上で、その本を読んで、書評を書きたいという方を募集します。
 先着ではなく、文章執筆実績と熱意優先で選ばせていただきます。(過去に
 執筆された文章などございましたら、合わせて御連絡ください。)

3)発行委員会はいただいたメールの中から、ピックアップし、献本いただいた
 本を送付します。(残念ながら提供いただいた冊数に応募数が満たない場合
 には、60日後に古本屋に売却します。)

4)ちなみにここでいう書評というのは、当メルマガに掲載する記事ではありま
 せん。送付先御本人分のブログ、あるいはアマゾンや楽天などのオンライン
 書店でも結構ですし、ブクログなど、専用のサイトでも構いません。つまり
 は当メルマガではないどこかリンクのできる外部に書評をアップお願いしま
 す。(あまりにも短いものは書評とは呼べませんので、文字数の条件を設け
 ました。書評は500字以上でお願い致します。)

5)献本を受け取った方は、1ヵ月後のメルマガ発行日までに、どこかに書評を
 掲載し、そのURLを発行委員会に送付します。(もし、本を受け取りなが
 ら期日までに書評を書かない場合には、以降、送付は致しません。

6)ちょうど一ヵ月後のメルマガにて、書いていただいた書評のURLを紹介さ
 せていただきます。期日に間に合わない、あるいは書けないという場合、送
 料をご負担いただき、書籍を返送いただきます。

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■あとがき
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 急に気温が下がったのか、室内着を長袖長ズボンに切り替えました。暑さ寒
さも彼岸まで、と言いますが、彼岸を待たずにこれから寒くなるのでしょうか。

 庭では咲き残った朝顔達が、困っている様子です。(あ)

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