--
体力勝負の一人旅 No.576【山形編】
【7日目・2018年8月4日(7)】
ヤマト運輸到着は17時55分。19時までに自転車を送って19時20分発の電車に乗りたい。駅まで1キロちょっと、小走りで10分ぐらいだろう。ちなみに最終電車は20時30分ごろだ。
受付の女性にサイクリングヤマト便で送りたいと言ったが、取り扱ったことがなく問い合わせないとわからないと言う。
19時20分の電車に乗りたいんで、と伝えて、問い合わせ結果を待たずに分解作業に取り掛からせてもらった。
18時を過ぎてもまだまだ暑い。自販機で飲み物を買って、給水しながらの作業になった。暑さが作業のペースを鈍らせる。さらに汗臭い私に蚊が集まってくる。
分解・梱包作業を終えたら19時10分を過ぎていた。
「サイクリングヤマト便の確認が取れましたのでこちらの伝票に記入をお願いします。電車は何時でしたか?」
「19時20分です。」
「もう間に合わないですね」
「ですね。その次で行きます。」
「宮内へ行くなら赤湯まで歩いたほうがいいんじゃないかな、乗換の時間もあるし、どう思う。」と受付の女性は同僚の女性に話しかけた。
そこへやってきた男性のお客様を巻き込んで、どっちがいいか検討してくれる。他のお客様を巻き込むのはゴールデンウィークの大分旅行のときと同じだ。地域に密着している証だろう。
すぐに決まらないほど悩ましい位置関係らしい。
「新幹線は何時ですか?」
と受付の女性は言った。結論を急ぐ必要があるのか心配してくれたのだろう。
「20時30分ぐらいです」
と答えたが、この時間は赤湯駅の発車時刻ではなく宮内駅の時刻だった。それに気づいくのは新幹線に乗った後のことだ。
「それなら赤湯までゆっくり歩いても大丈夫だね」と誰かが言う。
「宮内は本数少ないですよ」
「えっそんなに少ないんですか?」
最終は調べていたが本数まで頭が回っていなかった。
「1時間に1本ですよ」
これで赤湯駅まで歩くことが決まった。あとは道順だ。
これもお客様を交えていろんな意見が出た。「あの曲がるところはなんて言ったらわかるのかな」とか「明るければあの道がいいんだけど暗いからね」とか親身になって考えてくれる。
「時間は十分にあるのでいちばんわかりやすい道がいいです」と私が口を挟む。
田舎だから案内に使える目印がないようで、決めかねている。
受付の女性が「私コンビニに行こうかな」と同僚の女性に言いだした。何か買うものがあるらしいが、突然話がそれた。あとはお客様と私が話せということだろうか。
「私コンビニに行くので、そこからだったら駅はわかりやすいですから」
どいうことだ?私はまだ呑み込めず、きょとんとした。受付の女性は帰る支度をするためにいったん姿を消した。
再び現れて「どうぞ」と言う。彼女の車でコンビニまで連れていってくれるというのだ。予想外の展開に驚きと感謝の気持ちでいっぱいだ。
汗臭い私を助手席に乗せて出発した。辺りは真っ暗だ。外灯がない田舎の道。おそらく田んぼの中の道だろう。これではどんなにわかりやすい道を教えてくれても、間違えずにたどり着くのは難しそうだ。
彼女の娘さんは横浜で学生寮に入っているという。私の勤務地も横浜だ。たったそれだけでも親近感が湧いてくる。不思議なものだ。
コンビニが見えてきたが、「駅まで行っちゃいますね」と言って駅まで送ってくれた。
車内でお礼を言うたびに「コンビニに行く用事があっただけですから」と私に気を遣った受け答えをしてくれる。
ヤマト運輸の従業員は心の温かい人ばかりだ。どうしたらこういう人が集まる会社になるのだろうか。
駅に着いたのは19時36分。たぶん10分弱車に乗っていただろう。この距離を歩いていたらどんなに大変だったろうか。重ね重ねお礼を言ってお別れした。
旅の最後にじーんとくる出会いだった。
駅前は予想外に暗くて静かだ。赤湯から新幹線に乗ることを決めたときは、赤湯温泉に入って帰るつもりだった。駅周辺に日帰り温泉がいくつもあるだろうと想像していたのだ。
ところが温泉地は駅から1キロぐらい離れていた。まあこれが行き当たりばったりの旅だ。いろんなことがあって印象に残る旅になる。
20時30分ぐらいの新幹線だと思って切符を買いに行くと19時56分発があった。今19時46分。お弁当を買う時間がありそうだ。
いつもながら慌ただしく新幹線に乗って山形編の旅を終えた。
あとで気づいたことだが、宮内駅19時20分発で乗り継ぐ新幹線はこの新幹線だった。これも送ってくれたおかげだ。ますます感謝の気持ちが深くなった。
おわり
8月4日(土) 南陽市宮内
本日の走行距離 99.0Km
登坂標高 1,365m
山形編の累計走行距離 664.4Km
累計登坂標高 12,774m
山形編も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
次回は来年のゴールデンウィークになると思います。
それまでにみなさんも行き当たりばったりの一人旅をしてみませんか?
最後に、
今回の旅で遭遇した出川哲朗さんの「充電させてもらえませんか?」の放送が9月8日(土)にあります。
私のルートとダブるところが多いと思いますので、ぜひ山形の景色と人を堪能してみてください。
ではまたいつか。
----------------------------------------------------------------
---------------------------------------------------------------------------
☆発行責任者:hitasura
☆公式サイト:http://mezase.cocolog-nifty.com/mezase/
☆登録・解除:http://www.mag2.com/m/0001675949.html
---------------------------------------------------------------------------