ヤス
ID: 0001682848

ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン

ヤス
¥1,080(税込)/月 初月無料!
毎週 火曜日予定
PC・携帯向け/テキスト形式
月途中の登録でも、月内に
発行されたメルマガがすべて届きます!
→バックナンバーの購入はこちら
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
ID: 0001682848

ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

昨年から今年にかけて仮想通貨の高騰に私たちは熱狂しました。しかしいま、各国の規制の強化が背景となり、仮想通貨の相場は下落しています。仮想通貨の将来性に否定的な意見が多くなっています。しかしいま、ブロックチェーンのテクノロジーを基礎にした第四次産業革命が起こりつつあります。こうした支店から仮想通貨を見ると、これから有望なコインが見えてきます。毎月、ブロックチェーンが適用される分野を毎回紹介します。

著者プロフィール

ヤス

"コンサルタント。社会分析アナリスト。
北海道札幌市生まれ。早稲田大学卒業後、大手語学学校で教材、コース開発、講師研修、企業研修等を担当。現在は独立し、企業の語学研修、IT関連研修、企業関連セミナー、コンサルティングなどをおこなっている。
またさまざまなシンクタンクの予測情報のみならず、日本ではまったく知られていない情報のソースを用い多方面から世界情勢分析。社会の変動のタイムスケジュールを分析した著者を多数執筆。その分析力は他に類を見ない。もっともホットな情報をメルマガとブログで配信。

サンプル号
第四次産業革命とブロックチェーン

ビットコインをはじめとした仮想通貨の乱高下が続いている。ビットコインだけを見ても、昨年の3月には10万円台だった相場は、12月には230万円の最高値を更新した。その一方、昨年だけでも30%を越える暴落は6回も起こっている。
1月には中国の取引所の検査が原因で35%、3月にはハードフォーク問題が背景となり33%、6月には過熱感を警戒した売りの加速で40%、9月には中国の取引所の停止が原因で40%、11月にはやはり過熱感の警戒で30%、そして12月には韓国の取引所規制の噂が背景となり40%と下落している。これを見ると、それこそ毎日がリーマンショックと呼べるくらいの激しい変動だ。

そして巷では、乱高下するたびにビットコインをはじめとした仮想通貨の将来性に対して、極端な楽観論と悲観論が交互に叫ばれる状況だ。相場が急騰すると、将来ビットコインは1000万円を越えるという観測が著名な金融機関からも出るようになるが、一旦暴落すると、中央銀行に価値が保証されていない仮想通貨は17世紀のオランダのチューリップバブルのようなものなので、仮想通貨もろとも早晩崩壊するだろうという悲観論が聞かれるようになる。
これだけ予測や評価の振れが極端に大きいと、なにを基準にして相場を見てよいのか分からなくなってしまう。

しかし、こうした極端な見方が交差する状況は、あくまで仮想通貨の相場にのみ着目した視点にすぎない。仮想通貨のバブル的なブームの背後で進行していることは、日本ではあまり注目されているとはいえない。

●ブロックチェーンが引き起こす第四次産業革命

実は重要なのは仮想通貨ではなく、その基礎的な技術であるブロックチェーンのほうなのだ。周知のようにブロックチェーンとは、ハッシュ関数で暗号化したデジナルデータを無数のコンピュータに存在する分散台帳に書き込み、すべてのデータのブロックを相互にチェーンで結ぶテクノロジーだ。データのブロックが分散台帳に書き込まれるためには、これに埋め込まれているハッシュ関数の暗号を解読するマイニングの作業が必要になる。この解読作業を行うマイナーには、一定の手数料が仮想通貨で支払われる仕組みだ。

これが2009年にサトシ・ナカモトという謎の人物が考案したビットコインのブロックチェーンのモデルだった。このモデルをベースにして、プログラムの自動実行機能を実装したイーサリアムなど、それぞれユニークな特徴を持つアルトコインのブロックチェーンに発展した。
しかしこのモデルの適用が、ビットコインのような通貨に限定されるわけではない。分散台帳に書き込まれるデジタルデータには種類の制限はない。不動産登記、保険契約、住民票、選挙の投票、サプライチェーンの配送データ、電力の送電網など、既存の社会インフラを根本から刷新してしまう潜在的な可能性を秘めている。それこそ、まさにブロックチェーンによる産業革命だ。

周知のようにブロックチェーンの技術はセキュリティーと安全度が高いので、中央で巨大なサーバが管理していたサービスを、P2Pの分散型ネットワークにすべて置き換えることができる。その結果、送電網専用の分散台帳、不動産登記専用の分散台帳、保険契約専用の分散台帳などそれぞれのサービスの特性に合わせた無数の分散台帳が存在することになる。

そして、これらの分散台帳がビットコインやイーサリアムのモデルを使うのであれば、ブロック化したデータを台帳に書き込むためにはマイニングという作業が必要になり、その結果、仮想通貨を発生させる。このモデルが一般化するなら、既存のインフラをブロックチェーンに置き換えるとそれぞれのサービスに対応した仮想通貨が誕生することになる。

いまビットコインの過熱する投機に対する警戒感がとても強くなっている。そのため、ビットコインが暴落するたびに、中央銀行に価値が保証されていない通貨には通貨としての根拠がないので、これは単なるバブルに過ぎない。ビットコインは将来的に消滅するという悲観論が強くなる。もしかしたら、大暴落の末にビットコインは消滅するのかもしれない。その可能性は決して否定できないだろう。
しかしそれは、仮想通貨の消滅を意味しているわけではまったくない。ブロックチェーンによって既存の社会インフラの再構築の急速な進展とともに、それぞれの分野にユニークなコインが生まれ、そのコインを中心にした小経済圏が無数にできてくる可能性が高い。我々はその発展の端緒にいるに過ぎない。

●シンギュラリティネット社の例

一方、このように書いたとしても、分野の異なるブロックチェーンごとに、複数のコインが乱立する状況というのはイメージが難しいかもしれない。分散型小経済圏の乱立などと聞いたとしても、ピンと来ないかもしれない。

イメージしやすくするには、現実の具体例を見るとよいだろう。昨年の11月に立ち上がったベンチャーに「シンギュラリティネット社」がある。ここはイーサリアムをベースとしたブロックチェーンに無数のAIを走らせ、AIに自主的にネットワークを作らせて仕事の役割を分担し、与えられたどんなタスクにも答えるように設計されたシステムだ。
例えばこのシステムに、1000ページのアラビア語の文献を2日で10ケ国語に翻訳し、簡単な内容要約を日本語で提出するようにというタスクを与えると、ブロックチェーン上のAIは仕事の役割分担を勝手に行い、タスクを完成させる。そして、それぞれのAIにはタスク達成の貢献度に応じてAGIトークンというコインが支払われるというシステムだ。

もちろんAGIトークンを受け取るのは、それぞれのAIの設計者だ。「シンギュラリティネット社」はこのトークンを通貨と考えており、このシステムが構築する小経済圏を「AGIトークンエコノミー」と呼んでいる。

●歴史的な転換

このように、ブロックチェーンを活用した「シンギュラリティネット社」のような分散型サービスが、インフラを始めとした、現代の社会システムの多くの分野を刷新する動きが始まっている。これの対象とならない分野は考えにくい。

そうした変化の大きさから言えば、まさにブロックチェーンがもたらすものは、第四次産業革命という歴史的な転換なのである。

18世紀の終わりころから現代まで、過去200年と少しの間に三度の産業革命があったと言われている。第一次産業革命は18世紀末期から1870年代まで続き、イギリスで起こった。石炭と蒸気機関を基礎にした繊維産業の軽工業が中心だった。女性と子供が中心的な労働力で、イギリスが唯一の工業国だった。

また第ニ次産業革命は1873年くらいから1940年代くらいまで続いた重化学工業と耐久消費財を主要な産業とし、石油と電気がエネルギー源となった。大量生産と大量消費が実現したのはこの時期だった。基礎教育を終えた男性が機関労働力となり、工業国は英、米、独、仏、日、ソ連と多極化した。

そして、つい最近まで続いていたのが第三次産業革命である。これは1990年代半ばから現代まで続き、コンピューター、インターネット、IT、3Dプリンターなどを主要な産業とする転換だった。エネルギーは石油と電気で、高等教育を終えた労働力が中心となった。産業の中心国として、中国をはじめとしたBRICs諸国が台頭した。

そして、昨年の2017年前後から次第にはっきりしてきたのが、第四次産業革命である。これはAIやIoT、そしてビッグデータの活用を基礎に進んでいる革命だ。エネルギーは再生可能エネルギーが主流となり、労働力はAIやロボットが中心になる。この革命を主導する国がどこになるかはまだはっきりしないが、中国が中心的な役割を果たすことだけは間違いなさそうである。

ブロックチェーンはこうした第四次産業革命のもっとも中心的なテクノロジーなのだ。それは、AIやIoT、そしてビッグデータや再生可能エネルギーと結び付き、これまででは考えられなかったようなシステムの実現へと急速に動いている。

●再生可能エネルギーとブロックチェーン

そして、そのなかでももっとも早く既存のシステムの革命を引き起こしそうな分野のひとつが再生可能エネルギーとブロックチェーンの結合だ。

これまで太陽光などの再生可能エネルギーはコストが高く、なおかつ発電量が自然条件によって左右されるため、供給が不安定であるとされてきた。ところが急速な技術進歩によって、再生可能エネルギーのコストは劇的に下がり、なおかつ高性能バッテリーの出現で供給の不安定性が緩和された。既存の発電方法とコストを比較すると、太陽光がいかに安いかが分かる。

・石油火力発電(日本)   25円/kWh
・天然ガス火力発電(日本) 13.7円/kWh
・原子力発電(日本)    10.1円/kWh
・風力(イギリス、オランダ)7円/kWh
・太陽光(アラブ首長国連邦)3円/kWh

この価格低下が背景となり、パリ協定のCIP23に集結した国々は、再生可能エネルギーへと大胆なシフトを開始した。パリ協定を離脱したトランプ政権下のアメリカでも、主要な大企業の多くが再生可能エネルギーの転換を急ぎ、温暖化対策のみならず、コスト面のメリットに注目していっせいに転換を始めた。

これに呼応して、ゴールドマン・サックスやシティグループ、JPモルガンなどの世界的な金融機関が再生可能エネルギーへの投資のラッシュが起こっている。ちなみにJPモルガンは2025年までに22兆円、シティグループはすでに16兆円を投資している。

そして、この再生可能エネルギーのシフトを一層加速し拡大しているのが、ブロックチェーンとの結び付きだ。今回はこの動きの中核にある2つの企業と、そのトークン(仮想通貨)を紹介しよう。

・パワーレジャー(Powerledger)

太陽光で発電した電力を中間業者なしで効率よく決済するシステム。スマートコントラクトをベースにしたイーサリアムのブロックチェーンで動く。また、太陽光は基本的に自家発電なので、このシステムを使っている世帯間で電力の売買が可能となっている。すでにオーストラリアで実証実験に成功している。

このシステムに参加するためには、まずPOWRというトークンを買わなければならない。POWRは一種の株券のようなもので、システムの参加には必要となる。参加すると、POWRを使うとSparktzというトークンが生成される。このトークンは電力の決済のために使われるトークンだ。太陽光の発電では、消費電力以上の余剰の電力を発電した世帯と、電力に不足する世帯が出てくる。これは必然だ。Sparktzを使うと、世帯間で電力を売買し、どの世帯のニーズも充足させる安定した供給が中間業者なしで実現できる。

パワーレジャーは2つのトークンを使う方式はデュアルトークンと呼び、システムの安定を確保できるとしている。この会社のICOは昨年終了しているものの、POWRトークンは仮想通貨の取引所で購入することができる。

POWRト-クンのチャート
https://www.coingecko.com/ja/%E7%9B%B8%E5%A0%B4%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%88/power-ledger/btc

公式HP
https://powerledger.io/

紹介ビデオ:
https://www.youtube.com/watch?v=qeyyCMnZS4E

・ブロックチャージ

地球温暖化への懸念と再生可能エネルギーが拡大するにしたがい、電気自動車(EV)へのシフトが本格的に始まっている。この動きとともに、EV車のための充電ステーションの設置も急ピッチで進んでいる。

これで注目を集めているのはがブロックチャージ(Blockcharge)というシステムだ。これはドイツのベンチャー、「シェア&チャージ社」が開発したシステムだ。イーサリアムによるスマートコントラクトのブロックチェーンで動くシステムだ。道路沿いやショッピングセンターなどいたるところに設置されたスマートプラグというコンセント型の充電機を使うが、すべてのスマートプラグはイーサリアムのブロックチェーンにつながっており、支払い情報が記録されるシステムになっている。

スマートプラグの使用はスマホを通して行われる。支払いはERC20というこのシステムに独自な仮想通貨を行われる。ERC20はスマホを通していつでも購入が可能だ。

すでにドイツでの実証実験を終え、ドイツのさまざまな地域で導入が検討されている。将来はEUの各地域、さらには世界のさまざまな地域で採用される可能性が出てきている。

公式HP:
https://shareandcharge.com/

紹介ビデオ:
https://www.youtube.com/watch?v=0A0LqJ9oYNg&t=81s

ERC20のトークンチャート
https://coinmarketcap.com/ja/currencies/erc20/

●取り残される日本

さて、これがいま起こりつつあるブロックチェーンがエネルギー分野にもたらしている革命的な変化だ。しかし残念ながら日本はこうした流れから取り残されつつある。再生可能エネルギーへのシフトは進むどころか、現在政府は高効率火力発電所の海外輸出を成長戦略の目玉にしている。

また、中央集権的な管理体制があらゆる分野に徹底している日本では、中央の管理が不要な分散型システムを実現するブロックチェーンの社会インフラに適用する目だった動きはない。

第四次産業革命に日本が乗り遅れてしまうのかどうか、これからが正念場になるだろう。

続く

ID: 0001682848

ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン

ヤス
¥1,080(税込)/月 初月無料!
毎週 火曜日予定 今月2/4回(最終 2018/12/11)
PC・携帯向け/テキスト形式
バックナンバーの購入はこちら
2018/11/27 第35回 保険とブロックチェーン その1
2018/11/20 第34回 選挙とブロックチェーン その2
2018/11/13 第32回 選挙とブロックチェーン その1
2018/11/06 第32回 メディアとブロックチェーン その2
2018/10/30 第31回 メディアとブロックチェーン その1
バックナンバー購入ページはこちら
さらに以前のバックナンバー一覧