オーガニックの秘密

最先端のバイオ技術から、今晩のおかずのお話まで。
微生物の道先案内人が、オーガニックのもろもろを
ミクロからマクロまでたっぷりお届けいたします！


発酵ブームや先のノーベル賞受賞が微生物関連ということもあり、「微生物」もだんだんポピュラーになってきましたが、まだまだ
マニアックなこの業界。

しかし、空中地中あらゆるところで働く微生物がいなければ、人間は１日も生きることができないわけであります。
微生物は、毎日のご飯やお酒、薬やアンチエイジング、みんなが気になるアレコレを目に見えない小さな体で支えているわけなのです。

そんな縁の下の力持ちの微生物の話、最先端のバイオ技術、農業のお話などなど、菌が繰り広げる世界を毎週発信していきます。

大学の腰掛実験補佐員からスタート
それではまず、自己紹介からはじめます。
わたしは、土のバイオテクノロジーを専門に研究している父親の金澤バイオ研究所にて、
微生物や農業、バイオ系の仕事に携わっております。

この研究所は、わたしの父が大学で教授業をこなすかたわら、自身で立ち上げた研究所。
そして現場主義が高じて自ら工場を建ててオーガニック肥料や土を製造しています。
わたしはそこの企画担当を名乗り出て、できあがったモノたちを実生活に役立てるハブ業を行なっているのであります。かたわら続きですが、せっかく作った肥料を使うべく、畑もやっております。


はじめての自社製品生まれる
研究所で初の商品となったのが「土と植物の薬膳」というオーガニック肥料でした。大学の研究成果を市民にお披露目する
九大発のイベントで「バイオハザートフリー」（危険からフリーだよ）という名前で肥料をお披露目したところ、計らずしもユーザーの方から大好評。
その流れで大学ブランドにしませんか、の流れ。そして弾みをつけた形で、ついに自社製品を作ることになりました。

大学ブランドグッズは、研究のみ行って外部の会社が運営や販売をするパターンが
多いのですが、こちらは研究・製造・販売まですべて手前で行っております。
どうしても製造は発酵ということで味噌やお酒つくりのような醸し作業なので人任せにできないのですね。
そもそも父のモットーが「現場で身体動かしてナンボ」。茶園や稲作の土壌を研究すれば
畑を作り、サントリー天然水の森の研究では相当高い山を登って土を掘る・・・。
その系譜でもちろん製品もすべて手前で行っているのでございます。

今こそどっぷり理系の世界で動いておりますが、それまでの私はモロ文系、仕事は音楽やカルチャーの編集という、研究職とは全くの分野外。
突如理系の世界に踏み入ったわけですが、人生何も無駄がないと言いますが、今まで培ったきたモノや人を「微生物」マターと引っ付けて
みたところ、なかなか面白い化学反応が生まれるものでございます。

サントリー天然水の森ウエブサイトより
https://www.suntory.co.jp/eco/forest/pleasure/talk/2.html

万能な微生物に目覚める
この世界に魅了したきっかけのひとつは、研究室にやってくる面白い面々たちでした。
学生からさまざまなな学部の大学の先生、共同研究の企業人、園芸愛好家からJAXAの人などジャンルレス。
そんなサブカル畑顔負けの個性派の面々に、お茶を出すついでについつい話に花が咲き、今でも企みにご一緒させていただいている方々も。

みなさんご相談や共同研究の内容は千差万別ですが、お悩みや解決したいアレコレを「微生物」に
何とかしてもらいたい、という共通テーマのもと、打開策を見つけられていくわけです。
バラの病気を何とかしたい、放射能問題を解決したい、水の浄化や宇宙で農業・・・
そんな悩みの数々が、目に見えない微生物たちが助っ人となる世界に魅了されてしまいました。
現に微生物がハブとなって解決した案件は、タネの話から宇宙での農業の話までさまざま。
たまにはそれジャンル違いでないの？　というネタもありますが、毎回微生物の多才ぶりに
感心してしまうのです。
実例を綴りたいところですが、文字数が多すぎるので小出しにして行きますね。
私たちの日々の生活のヒントになる事例もたくさんありますから！


実は相当な危機的状況の地球
真面目なお話、わたしがメルマガをはじめようとしたきっかけのひとつが、どんどん汚れていく環境汚染に
危機を感じているからです。空気汚染に放射能汚染、土は農薬まみれ・・・天も地も汚染された世の中
にいる私たちは、どうすればいいのでしょうか？人類存続の危機とも言える状況は、以外にも土の業界
でも耳にします。

2015年に行われた国際学会「第 13 回微量元素の生物地球化学に関する国際会議」
（13th International Conference on the Biogeochemistry of Trace Elements ）
にて父が組織委員長になったこともあり、世界中からウソだろう、というような恐ろしげな情報がジャンジャン入ってくるのです。プログラムには放射能が専門の研究者たちのプログラムもありました。
ここで知った地球の危機。日々の生活には関係ないと思いがちですが、真面目にまずいことになっているのです。
環境汚染の解決はもちろんのこと、わたしたちは一人一人がサバイバル能力（自給率、免疫力）を高めることが急務だと思いました。

ICOBTEとは：微量元素の生物地球化学的アプローチを中心に、微量元素の環境分布と移動、生物利用性、生物濃縮と毒性、作物・食物連鎖特性、危機管理と修復、並 びに利用規制等の研究に関かかわる世界の研究者が一堂に会して意見交換を行う国際的か つ学際的集会として 1990 年に発足し、以来 2 年毎に開催


さらに原始感覚の目覚め？
人間には生来備わっている危機回避能力というのがあるらしい。
それかどうかは不明ですが、ここ1-2年の間、わたしの原始回帰的な欲求がどんどん強くなっているのです。
先ほどのトピックにも触れましたが、地球が真面目に危機、それに伴って人間の身体＆メンタルも
少し歪んでいるように思えるなか、もしかして瀕死の美しい自然や原始的感覚をどうにかしたい！　ということ
なのでしょうか？？？

なぜならば、こんな仕事をしているわたしが言うのは気が引けますが、自然の「し」の字にも親しみを覚えるどころか
外食大好き、衣食住全てにおいて決してストイックな方ではない部類の人間だったのです。
修学旅行ではバスの外に出るのがめんどくさいと言って降りなかったり、運動もろくにしないし、冬になると上から下までファーや皮で身を包んでしまうし、厳格なナチュラリストの風下にも置けないような類の人間。

そんなわたしに自然回帰とでもいうのか、原始の欲求のようなものが沸き上がっているのです。年齢的なものもある
と思いますし、世の流れもあると思うのですが、もっと生理的な感じの湧き上がりなのです。先ほど地球の危機だとか人間の歪みだとかネガティブ発言をしましたが、人間本来備わっている
危機回避能力が発動されるというポジティブキーワードがここのところ点滅しております。

このじわじわと気になる感じの原始感覚（原始回帰？）が、去年の鹿児島での原始感覚空間にてとうとうボルテージまマックスに！その感覚を後押ししたトドメの一発の夜について回想いたします。

時は2018年、お世話になっている作家さんの自宅兼アトリエでのガーデンパーティでのこと。
いわゆるシャレオツ空間なのですが、いわゆるいやらしさは全くなく、肌馴染のいい落ち着く場所だったのです。

＊DWELL
https://www.dwell.work
DWELLは、住宅・店舗などのデザイン計画や家具製作など、「暮らし」にまつわる様々なことを手がける工房

そして極め付けが、彼の提唱する「半外空間」。何かと言いますと、うちなのに
半分は外。昔ながらの日本家屋の長屋をオシャレに昇華している空間です。
例えば・・・土間や離れなど、実はめちゃくちゃ理にかなっている。都会のマンション暮らしで
生まれ育ったら、この感覚が皆無で大人になっても当たり前ですよ。私には一応昔の日本人の
感覚が残っていたのでしょうか、めちゃくちゃ心地よく、

これが、聞くのと体感するのでは大違い。野外キャンプ、外のカフェでも、
バーベキューでも外でご飯を囲むことはありますが、それとは根本的に何かが違う。
そりゃープロの家具職人のご自宅なので心地いいのは当たり前ですが、そこにいた数人も原始感覚発動して
おりました。


いつも原子感覚の話になると「焚き火と土」いじりの話に
なって「また出た〜・・・」と言われてしまう話題なのですが、
火遊びや焚き火、水遊びや雪遊びといった類の自然体験は、大人になっても子供のときのワクワクが蘇って
くる、原始の血スイッチであります。美味しいご飯を食べると幸せとか、人を好きになるとか、そんな生まれながら当たり前に持つ生理的感覚のひとつなのかな？　

地面もコンクリ、家も近代化、なんでもネットでワンタッチ・・・人間の感覚もだんだん原始感覚を失っていくのかもしれません。最近マズイと思ったのが、ものを探しているときに思わず「検索」しよう、と思ってしまったこと。頭の思考回路がネットに組み込まれてる・・・と（笑）。そんなこんなで、身も心ももう少し
原始的な暮らしにシフトしたいと思う今日この頃であります。とはいえ、急にナチュラリストになるのではなく、
少しづつ自分の食べるものを自作したり、少しづつ心地いいと感じるような自然なものを取り入れていこうかと思います。

話を戻しますが、見た目めちゃくちゃ「日常」ながら
その原始感覚を呼びさまず空間に丸っと包まれるというこの体験は、
とにかくインパクト大でしたねー。夜だし、お酒が入っていたし・・・とも
思いましたが、翌日の全くのシラフ状態の朝ミーティングでも
風が頬を伝う（笑）中の打ち合わせ、ここでまた原始感覚がこみ上げてしまいました。
昼夜共通です。自分的にはいい感じのアガッタ感じとでも言いましょうか、
とにかくそんな開放感と空間ができあげってしまう「半外空間」。
おそらく原始人時代から始まり、昔ながらの家屋に住んでいた
大和魂の血がさわぐのでしょう。温泉行ったり、山に登ったり、人間やっぱり自然に癒されますよね。それで原始感覚を味わえますが、普段の食事や打ち合わせ、井戸端会議なんかを原始空間でやってみると、
その感覚の新鮮さにびっくりするんですよ。　野生というか、理屈ではない。こればっかりは字ズラ見ても分からないのと思うので、一度体験してもらいたいものです。



毎日の食卓で原始的欲求を満たす
先ほどはつい原始感覚を熱く語ってしまいましたが、まずは普段の食事で原始感覚を取り戻すのはいかがでしょうか？
この原始空間が発動したお家を作った川畑さんも、いま食の「原始感覚」をもろに体現されています。（実例）

実は昨年の３月、再生野菜にハマっていたわたしは、オーガニック育ちの青梗菜を鉢に植えました。
そして翌日、すでに葉が再生していたのです。大げさではなく秒速何ミリのスピードです。
もっと驚くべきは、翌年の３月、さらに色も濃く、葉っぱも分厚い立派な青梗菜ができたのであります。

思い起こせば編集時代に「ベランダ自給自足生活」なる企画を無理ヤリ通したことがありました。
結局実現しませんでしたが、どこか潜在的にそっち系が好きなのかもしれません（笑）
これこそン十年経て点と点が結ばれたとでも言いましょうか、
やっぱりやるべきことはコレが運命であると思わざるを得ない「微生物物語」なのであります。
ライフワーク、使命として残された人生を歩んでまいります。

話を戻しますが、妄想だとしても、この「原始的欲求」をバネにして世の土直し、それに伴って人も地球も健康に
していきたい。どこまでたどり着けるか分かりませんが奮闘したい所存であります。
微生物の研究者のもとに生まれ、製造までしているバイオ技術の集大成なる環境に身をおくわたしは、目に見えない微生物の使者として（笑）、土を、健康な土から栄養を取る人間を、地球環境をクリーンにできれば、そんな大きな夢を掲げつつ、お役たち情報をこのメルマガでは綴っていこうと思っております。

ちなみにネタは独断と偏見でお送りいたしますが、発信元は正真正銘「金澤バイオ研究所」ということで
内容の信ぴょう性はお墨付きでございます。　
農業やオーガニックのほか、多ジャンルに渡るご質問にもお答えしてまいります！
どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、この先のネタ帳を。

・少しタブーに触れます、放射能のお話（JAXAと四苦八苦！）
・肥料つくりは味噌つくりと同じ。製造現場のお話
・実現目前？　宇宙農業のお話
・福岡発、リサイクル革命
・鳥のエサもオーガニックが当たり前？