パパの仕事はフリーランス

『パパの仕事はフリーランス』　／　サンプル号


【000】　終わらなければ始まらない

2014年は既に、会社の事業売却が終わり新しい会社になっていました。新しいやり方に慣れようと頑張っていましたが、やはり無理だなと考え始めてから既に半年程度が経過している時期でもありました。私は技術職で課長職でもありましたので部下も心配でしたが会社に辞めたい旨相談をした時期でもあります。

会社からは当然考え直してほしいと話があったので更に半年頑張って（言い方変えると我慢か？）いましたが、とうとう決断の時期が来ました。退社願いの原紙を総務へ行き頂ました、そしてその場で書き上げて総務に提出した所、一応に周りは驚いた表情ではありましたが会社自体の損益はとても悪く、その場で辞表を受け取って頂きました。


大人として社会人としてきっちりと引継ぎをしなければならないし、協力工場にも挨拶にも行きたいし、辞表提出から退職するまで２か月間で引継ぎ等を行い、最後２週間少々は年休消化となりました。退職日は2015年4月末で決定し、そこから運命の日々がスタートしていきます。

さて、家族には相談したのか？と言いますと、もちろんしていません。家のローン、大学生の息子に高校生の娘。そして嫁はパートをしていたので私の給料が無くなると生活すらできなくなります。子供達が大学を卒業するまでは頑張ろうと何度も考えましたが、やはり無理と思い決断をしましたがそのことを家族になんて話そうか？悩みました。



【運命の家族会議】

嫁、息子、娘を座らせて、少し雑談をした後に次のように話をしました。
お父さんは会社を辞めたから
（息子に）残り大学は２年だから自分で働いて学費を出すか、無理なら働きなさい
（娘に）高校を辞めて働きなさいと・・

息子はマジな顔で、「マジで・マジで・ええ・マジで」と何度も言っていました。
娘は、笑いながら「冗談でしょ」って笑っていました。
嫁にはもちろん事前に話はしていました。しばらくすると、使っていなかった学資保険を出動させるから大丈夫だよと！ただ、私立大学では、当然足りません。不足分を私が補充するという約束で会社を辞めるということで嫁は理解をして頂きました。


2015年4月に入り、2週間少々の年休に入りました。国内の仲の良かったお客さんや仕入先を１週間かけて西から東へと半分は旅のように訪れてお礼や昔話をしながら事情を話して、お世話になりましたと話をしました。そして1週間少々かけて中国の技術提携をしていた工場数社にも挨拶に行きました。

どちらも自費だったので、費用がかさみましたが長くお付き合いしていた方々への最後のご挨拶という事で食事代もなるべく出すようにしました。中国では、食事後にホテルに戻ると異様な寂しさや孤独を感じてしまい、今でもその寂しさを忘れることが出来ません。国内であればまた違う形で会うかも知れませんが、海外であれば二度と会う事もないのだろうな！という事を考えるととても寂しく孤独感を感じました。


国内・海外とも協力工場２～３社から手伝って欲しいと言う会社が現れてそのまま就職かな？なんて考えましたが、費用面や条件を考えるととても難しい選択になるのと、家庭を空けるという選択は当時の私には無かったのでその場で答えを出すことはありませんでした。
2015年4月最後の出勤日には、会社に挨拶に行きました。荷物は殆ど片づけ終わっていましたが、長く愛用した机には少しの文房具などが残っていたので欲しい人に差し上げ皆さんに最後の挨拶をして、仲の良かったメンバー数名と食事に行きました。

まさか自分が勤めている会社の事業売却という嵐が吹き荒れてこのような事になるなんて思ってもいなかったですが、新しい会社に流れて来た人たちも決して少なくなく最後の食事は考えさせられる事がとても多かったです。そして、やめて行った人もそれなりにいましたのでどちらの選択が正しかったのか？きっと正解は無いのだろうなと今後の少々の期待と胸が張り裂けそうな不安の中、正解なんて無いだろうな？と思いながら自宅に帰りました。


毎日5時半に起床していたサラリーマン時代、26年務めあげた会社。もう行く事はないと考えると少しの酔いもありましたが異様な寂しさがこみ上げてきました。

翌日からゴールデンウイーク突入だったので何日か考える時間があるものの頭の中は真っ白、家族との旅行の話もありましたが行きたくない。これはきっと途方に暮れる日々の幕開けかと思っていました。
以前テレビで見たのですが、リストラされたサラリーマンが奥さんに言えず、何カ月もスーツを着て出勤のふりをしていたとか！そんな人生を頭が何度もよぎりました。

しかし、暗い事ばかり考えていても仕方がないので、ゴールデンウイークは日帰りで家族と少しドライブなど出かけて過ごしていました。そしてゴールデンウイークが明けると幾つかの電話がなりました。その電話は幾つかの会社の社長からでした。挨拶に行った時の話を詳しくしたいという内容でした。そしてA社・B社・C社の元に即出かけました。



【最後に】
各会社との契約方法やどのように仕事を進めてきたのか？その対価はどのように決めているのか？順調だった仕事もコロナで大打撃を受けますが、どのように乗り切ったのか？そして2022年は個人事業主としフリーランスとして第三局だと思っています。この困難をどう乗り越えて行くのか？など当時から時間軸と共に書いていきますので、これから起業を考えている方や既に起業したが苦労をしている方々の少しでもお役に立てることができればとても嬉しく思います。



発行について
　２回／月を基本に第2・第4の土曜日を予定しています。
　　　　　　

□□次回：【001】『始まりの始まり』個人事業主として届け出を出すまでの出来事です□□


どうぞよろしくお願いします。


2022年3月吉日　
現在56歳
職業 個人事業主（フリーランス）
発行 masa