フランス子沢山ステップファミリーママの日々

突然シングルマザーになった悲劇の夜は、クリスマスイブだった。

一年で一番豪華なお料理には、手を付けないまま。クリスマスパーティーは、意味もなく延期した。


その後やってきた、最初の難関。それは、子ども達にクリスマスプレゼントを渡すことだった。実際に渡すまでは、こんなにも苦しいものだとは、想像もしていなかった。


突然の変化により、やることが山積みの毎日。手続き系、やり取り系、毎日外出し、考えては行動を繰り返す。

なんとか生活していけるように、ならないといけない。

その忙しさを盾にして、クリスマスプレゼントを渡すということを延ばし続けていた。


延期しても、意味がないことはわかっていた。

それでも実行できなかったのは、私一人で渡してしまってはいけない気がしたから。

なぜなら、クリスマスプレゼントを渡す瞬間は、子ども達が一年で一番喜ぶ瞬間だからだ。


誕生日プレゼントも、もちろん嬉しい。

だけどクリスマスは、兄弟たちみんな一緒にプレゼントをもらえるから、もっと嬉しい。

この日のために、数か月前から動いてきた。

何が欲しいか、どれが一番喜ぶか。何度も聞き取りを重ね、より良いものを探し続ける。その間毎日、

どんなに喜ぶだろう

と、その顔を想像しながら過ごす。

クリスマスは、その当日とそれまでの日々が、本当に幸せで溢れている。


突然シングルマザーになった我が家は、国から、私や子ども達が心身ともに健全に暮らせているのかという確認が入ることになった。

子ども達に、聞き取りが行われる。この時期にされる質問はもちろん、

「クリスマスプレゼントは、何をもらったの？」

だろう。


そこでまさか

「もらっていない」

と答えてしまっては、問題となる。

私は、ただもう渡すしかないという義務感で、クリスマスプレゼントを渡すことにした。


子ども達は、私には見せないけれど、心の深い部分に悲しみを抱えている。

だが幸い多くの兄弟姉妹と常に一緒に過ごしているため、些細な会話や遊びが続き、笑い声が耐えないでいてくれた。

私が、

「さぁ、クリスマスプレゼントを渡すよ！」

と声をかけると、

「え？！プレゼントだって？！」

「わぁ！急がなくちゃ！」

「ねぇ、ほら！早く行こう！」

ソワソワした嬉しそうな声をかけあっているのが、聞こえた。


私が何を言うでもなく子ども達は、床で横一列に、おりこうさんに並んで座った。

既にニコニコしている子ども達に私は、

「はい、これは〇〇ちゃんね。」

と、大して言葉もかけられずに、口角だけを上げながら、プレゼントを順番に渡した。


プレゼントを手にした瞬間、

「わぁ！！！！！」

と、大きな声で喜ぶ子ども達。


その瞬間、私の目に、とてつもない勢いで涙が溢れてきた。

今までにもいくらでも、泣きたい瞬間はあったが、泣かずにやってきた。

それなのにこの瞬間だけは、涙の勢いが強く、止められなかった。


慌てて部屋の外に出る。

胸がパンパンに膨れ上がり、涙が止まらない。

子ども達、喜び過ぎないで。私だけが、見てしまってはダメ。

この瞬間のために、二人でやってきたこと。


これがいいかな、あれの方がもっと喜ぶんじゃない？これ好きそうだよね。うわぁ、これすごい！これを見たら、驚くだろうなぁ


叶った瞬間の喜びが大きいほど、辛い。

嬉しければ嬉しいほど悲しいという経験を、私は初めてした。


そして一通り泣いた後、私はまた現実を見る。


このプレゼントは、二人で一緒にやったことの最後の形。もう次は、存在しない。

これからは、私一人で作っていくしかない。

日々を生きていくために必要な事柄も、子ども達を喜ばせる何かも。


子ども達が大喜びで、もらったおもちゃを広げている。

さっそく遊び出している姿を見ながら、泣いているのは私だけだなと思った。

子ども達が笑って前に進んでいるのに、泣いていたって意味はない。

こんな意味のないことは、やめよう。

子ども達がせっかく笑っているのだから、この笑いを増やしていこう。


私はこれからの毎日に、たくさんの笑いを生み出すことを決めた。

今も笑っている子ども達。そして、必ず笑ってくれる子ども達。

私は、この子たちを笑わすことを柱に、生きていけばいい。


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フランス南西部７人シングルマザーの日々

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