トラッド・ワイフの本懐

年の差×国際×熟年婚！三拍子そろった結婚生活ってどうなの？

【はじめに】
――「え？22歳年上の外国人？」「しかもオーストリア人？」「さらに国際結婚で多拠点生活って…どういうこと？」
はじめて私たち夫婦のことを話すと、だいたいこんなふうに目を丸くされます。でもね、そのたびにちょっとニヤッとしてしまうんです。だって、そんな驚きこそが、私の人生が“唯一無二”である証だから。

春日リューリック未雨（かすが・りゅーりっく・みう）、40代フリーライター。日本生まれ日本育ちの私が、人生の後半に差しかかろうとする時期に、まさかヨーロッパのオーストリア人と恋に落ち、22歳の年の差を超えて結婚するなんて――かつての私には、想像すらできなかった未来です。

「そんな歳で恋？」「国も文化も違う人とうまくいくの？」「何を求めてそんな選択を？」
心配や偏見、時には好奇の視線もありました。でも、自分の心に正直になったら、人生は驚くほどしなやかで、予想以上に美しい景色を見せてくれたんです。

このコラムでは、私たち“熟年×年の差×国際夫婦”の日常を通して、常識の枠を飛び越えることのリアルな喜びと戸惑い、そして何より“今を生きることの楽しさ”をお届けしていきます。

「なんか、おもしろそう…」「私にも、まだ何かあるかも」
そう思ってもらえたら、とってもうれしい。さあ、一緒に“枠を超える人生”を覗いてみませんか？



[チャプター1]
-ウィーンで迷子になった私が、サウナで愛に出会うなんて
自由な旅を愛して、東南アジアで長年バックパッカーをしていた私。どこかに根を張るのではなく、その日その場所、その瞬間を生きるスタイルが、私の“普通”でした。
でも、その旅に一つの終止符を打とうとしたのが、ウィーンでの結婚。かつての婚約者と、正式な手続きをするために、この美しいヨーロッパの街へやって来たのです。

けれど、その夢は一瞬で砕け散りました。一方的な婚約破棄。連絡もない、説明もない。私は見知らぬ街で、まさに“文字通り”途方に暮れていました。気がつけば、涙も出なくて、ただ冷たい石畳の上に座り込んでいました。

心の空洞を少しでも埋めようと、半ば無意識に開いたマッチングアプリ。画面の中でひときわ優しい眼差しを向けていたのが、彼でした。哲学と自然、静けさを好む人。22歳年上、オーストリア人。惹かれたというよりも、心がそのままそっと彼の方へ流れていった感覚でした。

会おうと言われた時、指定されたのはカフェではなく、彼の自宅。少し驚いたけれど、どこか不思議と警戒心はなくて、気がつけば玄関のチャイムを鳴らしていました。
木のぬくもりが漂う居心地の良い家。ゆったりとしたリズムで淹れられたお茶。そして案内された先は、まさかの“サウナ”。まるで映画のワンシーンみたいな展開に、ちょっと笑ってしまったのを覚えています。

熱気と静けさが交差するその空間で、私はようやく“泣く”ことができたんです。心に張り付いていた氷のようなものが、サウナの熱と彼の静かなまなざしで、ゆっくり、ゆっくりと溶けていった。
彼は多くを語らない人だけれど、その沈黙が私にはとても心地よくて。
「誰かに受け入れられるって、こういうことなんだ」って思いました。

恋に落ちたというより、崩れていた心が“彼の中に収まっていった”という感じ。そんな静かで、でも確かな出会いでした。





[チャプター2]
-年の差22歳――“ギャップ”じゃなくて、私には“ご褒美”だった
「22歳差って、正直どう？」ってよく聞かれるけれど、私にとってそれは、もはや“ご褒美”のようなものなんです。というのも、私は昔から、年上しか愛せなかった。
同世代や年下の男性に惹かれたことが、ほとんどない。恋愛対象になるのは、いつも一回り以上年上の男性ばかりでした。

なぜかって？
理由を言葉にするのは難しいけれど――たぶん、落ち着き。包容力。人生の深み。
若さゆえの競争心とか、余裕のなさとか、そういうものが苦手だった私は、自然と“年上の男性”に惹かれてきました。でも、単に年齢が上なだけじゃダメで、その人がどんな人生を歩んできたか、どう人と向き合うか、そういう“成熟した人間性”に惹かれるんです。

そして夫は、まさに“理想の年上男性の集大成”。
静かで、知的で、優しくて、自分を誇示することなく、ただ誠実に目の前の人を見つめることができる人。そんな人、そうそういない。
彼と一緒にいると、私は安心して、弱さも、素の自分も、さらけ出せる。彼がいるだけで、「私はこのままでいい」と思える。

たしかに、世代の違いはあるんですよ。私が“ポケベル”や“プリクラ”に青春を捧げていた頃、彼はもう社会の第一線でバリバリ働いていたし、スマホの使い方ひとつとっても、「なんでそんなことで混乱するの？」って思うこともある（笑）。
でも、そういうズレを面白がれるって、むしろ最高じゃないですか？

むしろ私は、同年代の相手に抱いてしまいがちな“競争心”や“無言のプレッシャー”から、彼といることで完全に解放されたんです。張り合わなくていい。評価されようとしなくていい。そんな関係、初めてだった。

年齢差って、世間の物差しでは“リスク”に見えるかもしれない。だけど私にとっては、“安らぎ”であり“居場所”なんです。





[チャプター3]
-“違う”からこそ、自分らしくいられる。それが私たちの強さ
文化が違う。年齢も離れている。
それって、時に“わかり合えない原因”として語られがちですよね。でも私たちの場合は、むしろその“違い”が、自由と安心をくれるものになっているんです。

私は日本で育ったからこそ、無意識のうちに「こうしなきゃ」「こう思われたらどうしよう」といった“見えない縛り”をたくさん抱えていました。
誰かに気を遣って、周囲の空気を読んで、自分の本音を飲み込む――そういう“癖”が、いつの間にか染みついていたんですよね。

でも、夫と一緒にいると、それがまったく必要ない。
オーストリアという、私とは全く違う価値観の中で育った彼は、「他人の期待よりも、自分の感覚を信じていい」と、自然に教えてくれました。
彼の前では、泣いても笑っても、不機嫌でも取り乱しても、「それも君だ」と受け止めてくれる。
だから私は、“こうあるべき”じゃなく、“こうしたい”で生きていいんだって、初めて心の底から思えたんです。

年齢差も、同じ。
彼は私の行動に、若さゆえの未熟さや型破りさを感じたとしても、それを責めたり矯正しようとはしません。むしろ、「新鮮で面白いね」と微笑んでくれる。
そして私も、彼の穏やかな歩幅に合わせて、急がず、焦らず、日々を味わうことを覚えていきました。

文化も年齢も違う。だからこそ、比較も競争も起きない。
彼と私は、そもそも“違う土壌”から来た存在だからこそ、お互いを評価せずに、ただ“受け入れる”ことができるんです。

もし相手が日本人で、同じ年齢層だったら、私はもっと“ちゃんとしなきゃ”と頑張りすぎて、自分を見失っていたかもしれない。
でも今の私は、多少ずぼらでも、意見がぶつかっても、自分のままでいられる。それって、本当にありがたいことなんです。

違いって、乗り越えるものじゃなくて、“活かす”もの。
そう気づかせてくれたのが、この国際×年の差というちょっと風変わりなパートナーシップでした。

[まとめ]
人生って、本当にいつどこで、誰と出会うか分からないもの。
東南アジアを旅していた私が、まさかウィーンで婚約破棄され、その2週間後に“理想の年上男性”と人生を共にすることになるなんて――そんな展開、どんな脚本家でも書けないはず。

文化も年齢もまったく違うふたり。でもだからこそ、私たちは自分らしくいられるし、お互いを“自分のまま”で愛することができる。
理解し合うのに時間はかかるかもしれない。でも、違うからこそ感じられる発見や、深まる信頼が、どれだけ心を豊かにしてくれるか…それは、体験した人にしか分からない宝物です。

年の差婚、国際結婚、多拠点生活。どれも“ちょっと変わった選択”に見えるかもしれません。でも私にとっては、どれも自然で、自分の心に正直に従った結果。
それが“普通”じゃないなら、私は“自分らしい異端”でいたいと思っています。

もし今、あなたが「こんな恋、アリかな？」と不安になっていたり、「もう歳だし…」なんて自分にブレーキをかけていたとしたら、こう伝えたいです。

“遅すぎる恋”なんて、存在しません。
“変わってる選択”でも、それがあなたの本当の欲望ならば、それは人生を面白くするチャンスです。

心が惹かれる相手がいるなら、自分の感覚を信じてみてください。
私のように、“思いがけない幸せ”が、あなたを待っているかもしれませんよ。