ちかゆきの「丸く包む手紙」

サンプル号


タイトル：頼まれごとに「考えさせてください」と言えるまで


やさしい一言
すぐに答えを出さなくても、あなたは誠実です。

考える時間を持つことは、自分にも相手にも優しい選択。

焦らなくて、大丈夫です。


体験談：即答できなかった私
以前の私は、頼まれごとをされるとすぐに「はい」と言ってしまう人でした。

断ったら相手を傷つけるのではないか。 断ったら関係が壊れてしまうのではないか。 優しくない人だと思われるのではないか。

そんな不安から、つい引き受けてしまう。

でも後になって「なぜ引き受けたんだろう」と後悔する。 自分の時間も体力も限られているのに、それを見ないふりをしていました。

ある時、上司から言われた一言が転機になりました。

「即答しなくていいんだよ。考える時間を取ることも、相手への誠実さだから」

この言葉を聞いた時、少し救われた気がしました。

でも同時に、「考えさせてください」と言うだけで相手を不快にさせるのではないかという怖さもありました。

少しずつ、試してみることにしました。

ある日、同僚から急ぎの資料作成を頼まれました。いつもなら「わかりました」と即答していたはずです。でもその時は、上司の言葉を思い出して、こう言いました。

「ありがとう。今の状況を確認してから、お昼までに返事しますね」

相手は少し驚いた表情でしたが、すぐに「もちろん、よろしくね」と笑顔で応えてくれました。その時、私は気づいたのです。相手も、私が無理をして引き受けることは望んでいなかったのだと。
気づき：待つことで見えたもの
実際に「少し考えさせてください」と伝えてみると、予想外のことが起きました。多くの人は「もちろん」「全然大丈夫です」と快く待ってくれたのです。

私が恐れていた「相手を不快にさせる」ことは、ほとんど起こりませんでした。むしろ、考える時間を持つことで、自分の体力や時間、今の気持ちを冷静に見られるようになりました。

大切なのは、「断る/引き受ける」を決めることではなく、自分の状態を確認する時間を持つことだったんです。

その時間があれば、本当にできることとできないことが見えてきます。

そして即答しないことで、相手にも「この人は考えて返事をしてくれる人だ」という信頼を持ってもらえるようになりました。

そしてもう一つ、大切なことに気づきました。

即答で「できます」と言って後で断るより、一度保留してから誠実に答える方が、関係は穏やかに続いていく。

急いで答えを出すことが、かえって相手を不安にさせることもあるのです。

自分を守ることと、相手を大切にすること。この両立は、少しの勇気から始まりました。
実践できる対応のコツ
頼まれごとをされた時に使える、シンプルな言葉をいくつかご紹介します。

保留するときの言葉

「ありがとうございます。少し考えさせてください」 → まず感謝を伝えることで、相手への敬意を示しながら時間をもらう

「今日中に（○日までに）返事しますね」 → 期限を明確にすることで、相手も安心して待つことができる

断るときの言葉

「今回は難しいです。次の機会にはぜひ」 → 「今回は」をつけることで、関係は継続する意思を示す

「お力になりたいのですが、今の状況では十分に対応できないので」 → 理由を添えることで、相手も納得しやすくなる

相手が急かしてきたときの言葉

「お急ぎのところ申し訳ないです。○時までにお返事しますね」 → 相手の気持ちを受け止めつつ、自分の時間も確保する

「すぐにお答えできず申し訳ありません。正確にお伝えしたいので、少しお時間をください」 → 「正確に」という理由で、相手も納得しやすくなる

この小さな一言が、自分を守る第一歩になります。
気をつけたいこと
ただし、いくつか注意したい点もあります。

保留は1回だけ：何度も延期すると、かえって相手に負担をかけてしまいます
期限は守る：「考えさせてください」と言ったら、約束の時間内に返事を。無理のない範囲で
曖昧な返事は避ける：「多分大丈夫」ではなく、できるかできないかを丁寧に伝える

優しさは、自分の限界を知ることから始まります。無理をして引き受けるより、正直に伝える方が、長い目で見れば相手のためにもなるのです。


今回試してみてほしいこと
次に誰かから頼まれごとをされた時、まず深呼吸を一つ。

そして「考えさせてください」と言ってみる。

たった5秒、10秒の間でも構いません。

その時間で、自分の今の状態を確認してみてください。 体は疲れていないか。 時間に余裕はあるか。 心から引き受けたいと思っているか。

もし不安を感じたら、それは自分を大切にしている証拠です。

すぐに答えを出さない自分を、許してあげてください。

それだけで、少し心が軽くなるはずです。 優しいままで、自分も守れる。 その感覚を、ぜひ体験してみてください。



丸く包む手紙

心も、関係も、やさしく丸く。 一緒に、続けられる優しさを探求していきましょう。