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日本だけじゃない。和製英語「マタハラ」は海外でも大問題

企業が女性採用を促す取り組み「女性活躍推進法」が成立し、ますます女性の社会進出が期待されています。近年、海外メディアでは日本のマタハラ事情に注目した報道が目立っています。マタハラは日本特有のものなのでしょうか?

日本のマタハラを取り上げる海外メディア

産休や業務の軽減などによって他の従業員の仕事の負担が増えるため、妊娠した女性を迷惑に感じて解雇などの不当な扱いを受けることを、私たちはマタニティ・ハラスメント略して「マタハラ」と呼んでいますが、コレ実は和製英語

このマタハラを報じる海外メディアも最近増えています。

米Diplomatic Courierはマタハラを大きく取り上げ、先進国にもかかわらず、日本はジェンダーの面では遅れをとっていることを指摘。

妊娠したら会社を辞めざるえない女性が多くいる日本の現状を報じています。

すでに世界に知られたMOTTAINAI(もったいない)やKAROUSHI(過労死)とともに、”MATAHARA”も海外に浸透しつつあるようです。

でも、この現象は日本だけではなく、欧米にもあるのをご存知ですか?

イギリスでは5人1人が妊娠差別

マタハラにかわって、欧米では妊娠差別を表す”Pregnancy Discrimination”という言葉が一般的なようです。

女性の社会進出が目覚しい欧米では、一見女性の権利がしっかりと尊重されているように思われますが、欧米でもこの妊娠差別は大きな問題として取り上げられています。

英マリークレールによると、イギリスでは、毎年5万4千人以上が妊娠した際に仕事を失っていると報じています。

最近の調査ではなんと10人に1人の女性が解雇されており、強制的な解雇、または会社を辞めざるをえない状況に追い込まれているというのです。

英国平等人権委員会からは10万人当たり5人に1人の女性が産休から仕事に復帰した際に、同僚からハラスメントを受け、ネガティブな発言を受けたという報告も。

また、20人に1人が、給料カットやボーナスなしなどの待遇をされたと報告しています。

さらに驚くことに、10人に1人が出産前の定期的な診察に行くことに雇用主からいい顔をされなかったと言っています。

米では賠償金額185万ドルの訴訟も

アメリカではマタハラをめぐって、訴訟に発展した人もいます。

米Bloomberg BNAによると、米AutoZoneで店舗管理者として働いていた女性が、妊娠をきっかけに会社を解雇される事件が2005年にありました。

女性は2008年から会社を相手取り訴えていましたが、2014年、裁判所はなんと185万ドルの損害賠償金の支払いを会社側に命じました。

個人に支払う賠償金としては最高額とも言われ大きな注目も集めました。

しかし、これはレアなケース。

英マリークレールでは、マタハラを受けている女性の多くは、出産後も同じ会社で働くことがほとんどで、トラブルメーカー的な存在になることを避けたいなどの理由から、自分の身に起きたことを公に話すことができないと報じています。

オセアニアでは妊娠中のテレビレポーターに「目障り!」と苦情

ニュージーランドでは「妊娠差別」をめぐり、ひと騒動がありました。

Parent Heraldによると、ニュージーランドのテレビガイドに男性視聴者から1通の苦情が届きました。

内容は「先日、妊娠中のレポーターがテレビにでていたけど、恥ずかしくて目障り他の人と交代すべきだ!」という驚くべき苦情。

この男性の年齢は69歳で、3人の子供の父親です。

これは一時大きな論争に発展しましたが、結果的に男性が謝罪する形で一見落着。

しかし、このような発言から妊娠女性に対する差別が浮き彫りになったとも言えます。

マタハラは日本だけではなく、欧米でも大きな問題になっていることがわかりました。

ただ、欧米では個人が自分の権利を主張する傾向にあるので、不当な扱いを受けた際には声を大きくして、訴える人が多いようです。

この問題をどう捉えて、社会に訴えていくのかというのが重要なのかもしれません。

東京新聞によると、政府は2017年1月よりマタハラの防止措置を義務付ける方針を決めました。

現行法では、妊娠や出産、育児休業の取得を理由とした退職を強要し、降格などの禁止に加えて、事業主に相談窓口の設置や上司らの研修などを義務付けることになったそうです。

新たな防止法が施行されるまでには、まだ時間がかかりますが、いい方向に向かっているのかもしれません。

image by; shutterstock

source: Diplomatic Courier, Marie ClaireBNA, Parent Herald, 東京新聞

文/MAG2 NEWS編集部

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