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安全な「頭が良くなる薬」はあるのか。科学者オススメの意外な方法

いわゆる「頭が良くなる」という効果を謳った「スマートドラッグ」、ご存知でしょうか。ネットなどで手に入るこの手の薬の効果について詳しく解説してくださっているのは、無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』の著者で科学者のくられさん。実は薬に頼るよりも、誰でも簡単に手に入れられる「意外なモノ」が集中力を上げるのに役立つそうですよ。

暮らしと科学:スマートドラッグは効果があるのか?

スマートドラッグというのは、知能を亢進したり、記憶力を高めたり、思い出す力を増進したりといった効果がある薬ということになっており、一時期のブームは去ったもののネットなどでも売られています。

代表的なのは、なんとかセタムとかいう類いの、認知症や、アメリカで失読症の治療薬として「使われていた」薬で、作用機序は不明なのですが、脳の処理を速くしたり、集中力を高めるなどと言われていますが、認知症の治療にはあまりに効果がないため使われず、開発者自身も知能を高める作用について「そんなものはない」と言われる始末で、効果はほとんどどプラセボの領域です。40年近い研究の末、なんでもなかったということです。ただ脳の発育途上の15才以下では、吐き気や頭痛などといった症状が続くという副作用は報告されており、低年齢への使用は禁忌とされています。

他には、イチョウの葉の抽出液、イデベノンなどの脳の血流量を増やすといったもの。ただこちらも、脳の血液の流れが良くなることは観察されているものの、それが知能をアップさせるというまともな実験自体は存在せず、認知症にも効果があるというのは今となっては過去の話という扱いで、こちらもプラセボ止まりといえます。

一部のバソプレシンなどのホルモンは知能を亢進すると言われており、実際に鼻粘膜から摂取すると、頭がキーンとなるような感覚があり、研ぎ澄まされた感じはありますが、抗利尿ホルモンでもあり、体の様々な働きのマスターホルモンでもあるので、凄まじく知能がアップするのならともかく、気のせいレベルの効果のためにむやみやたらに体に入れるのは考え物といえます。

結局知能が良くなる…ということに関しては、集中力を上げて、プラセボ効果が120%出ることが大事なので、そうなってくると、タイなどの薬剤の法律が緩い国ではアンフェタミンの錠剤などを薬局で買って受験勉強みたいなのがメインになっていることを踏まえても、「安全で頭が良くなる薬なんてない」と考えておくのが無難かと思うわけです。

個人的には、ホームセンターで売っているヘッドホン型の遮音ヘッドホンや、高級モデルのノイズ打ち消しにによる静音を作るヘッドホンなんかは、雑音をカットしてくれる上に、高級ヘッドホンは電話の音や人の声だけを判別して聞こえるようにするという機能があったりするのでオススメです。

それでも集中できない人は麻黄湯でものんでおけば多少は効果があるでしょう。

image by: Shutterstock

 

アリエナイ科学メルマ
著者/くられ
シリーズ15万部以上の不謹慎理系書「アリエナイ理科ノ教科書」著者。別名義で「本当にコワい? 食べものの正体」「薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬 」などを上梓。学術誌から成人誌面という極めて広い媒体で連載多数。
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