あなたは1日に「すいません」という言葉を何回言いますか? 本来は「ありがとう」「少しよろしいでしょうか?」など、他の言葉に置き換えられるようなときでも、私たち日本人はすべて「すいません」で片付けてしまいがちです。無料メルマガ『人間をとことん考える(人間論)』の著者で薬剤師の小原一将さんは、このような人たちは特に何も考えず「すいません」を使っていると指摘した上で、さらに「意識して言葉を選ぶことの大切さ」を説いています。
人間論 「すいません」の使い過ぎ
この人は一日に何回「すいません」を使うのだろうと仕事中にふと思うことがある。接客業に従事しているため、もちろん顧客に対して丁寧な言葉遣いは心がける。しかし私はあまり「すいません」は使わない。
たまに見るのが電話をかけてこちらの会社や名前を名乗るときにまず「すいません」を言う。つまり「すいません、○○というものですが」といった電話のかけ方になる。私が電話をとった人間であれば、この人はいきなり謝ってきてどういう意味なのだろうと思ってしまう。
またお釣りや何か書類を渡すときに「すいません、こちらです」といった言い方で渡す。「すいません、失礼します」というように何も悪いことをしていないのに謝ってから退出する人もいる。
これは私の偏見なのだが、こういった方たちとは有益な会話をしたり有意義な関係を作ることは難しいと考えている。自己主張がほとんどなくどんな相手に対してもへりくだり、面白みにかける人間だという認識をしている。もちろんその人の全てを否定しているわけではない。
「すいません」を多用する人に出会うと私は「なんでそんなに謝るのですか?」と聞くことが多い。たいてい苦笑いをして濁されることが多いのだが、その対応からも分かるように特に意識せずにその言葉を使っているのだろう。
私は謙虚な姿勢や顧客に対して丁寧な対応をすることを否定しているのではなく、不必要かつ過剰に「すいません」を使うことに対して違和感をもつのだ。例えば書類を渡すときの「すいません」は「失礼します」、謝るときは「申し訳ありません」、電話では「お忙しいところ失礼します」などで代替できる。
シーンや相手によって適切な言葉を考えて発する必要があるところを全て「すいません」で片づけているように見えてしまう。
私は意識して「すいません」を使わないようにしている。例えば、何かものを落として拾ってもらったとしよう。思わず「すいません」と言う人もいるだろうがそこでグッとこらえて「ありがとうございます」と言うようにする。どう考えてもそちらの方が言われた方はうれしいしスマートに見える。
日本人は頭は下げることは多いが感謝の言葉を相手の目を見て伝えることが苦手なように思っている。ぜひ会社でも家庭でも心がけてもらいたい。
ただ、いつでも「ありがとう、ありがとう」と言っていてもうさんくさくなってしまう。適切な場とタイミングで使うことも注意する必要がある。
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