巷でまことしやかに語られる「メンソールタバコで精力が衰える」という説。よくある都市伝説のひとつらしいと受け取られていますが、実際のところはどうなのでしょうか。今回の無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』では著者で科学者のくられさんが、その真相とこんな説が生まれた背景などについて記しています。
メンソールタバコを吸うと精力が衰えるという都市伝説
もちろん医学的には、メンソールが性的機能に何か影響を与えることはない。タバコは末梢の血液の流れを減らすので勃起前に喫煙すると勃ちが悪くなることがあり、メンソールは清涼感を与えるため気分が冷静になりやすく、その相乗効果でメンソールタバコを吸うと不能になるという話が生まれたのではないかと一般的には言われている。しかし調べると思いの外面白い話が出てきた。
時を遡ること数十年前、戦後の日本では国内産業は壊滅的な状況でその中でもタバコのほとんどは輸入という状況で、国内産タバコの需要を上げるために、外国(アメリカ)のタバコ(当時はメンソールタバコがブームだった)は日本人を種なしにする薬が含まれている…というデマを国産タバコ業界が流したという都市伝説である。
とはいえ、この話はさらに奥があり、長引くベトナム戦争において兵士の性欲処理はわりと深刻な問題であり、軍が実験的に性機能を低下させる(性欲を低減させる)薬物をタバコに入れ、味をごまかすためにメンソールを入れていたという都市伝説がベースになっている。
とはいえ、ベトナム戦争中はアメリカがちょうどLSDやホモセクシャル誘発剤(成分不明)で相手の戦力を削ぐ化学兵器の開発に躍起になって7,500万ドルもの巨額の金を投じていたこともあるので、実は実は…なんて話は…うーん、やっぱり無さそう(笑)
ちなみに、EDになる薬、逆張りバイアグラ的なものは存在します。SSRIのセロトニン2A受容体阻害剤の抗うつ剤なんかは性機能障害を起こしやすいことで知られています。
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