今年は冷夏の影響もあり、ビールの消費量が過去最低を記録したそうです。「若者のビール離れ」とも言われていますが、一方でメーカーの大量生産ビールとは一味違う、職人が丹精込めて作った「クラフトビール」の人気は高まっています。今回は静岡県修善寺にある「ベアード・ブルーイングブルワリーガーデン」を訪問し、実際のビールづくりの様子を見学、温度管理にこだわったチルドビールを試飲します。
修善寺の「ベアード・ブルーイングブルワリーガーデンを訪ねる旅」
今年の夏は天気が悪い日が続き、日本のビールの消費量が低迷している状態。そんな中、グングン売上を伸ばしているのが「クラフトビール」です。
特に女性から人気が高く、その理由は「フルーティーで飲みやすい」、「美容に良いから」などさまざま。もちろん私も香りと口当たりの良い「ペールエール」好きだったりしますが、あまり詳しいわけではなく、「なんでも美味しければ良し!」としてしまいます。
しかし、クラフトビールは、「クラフト(モノづくり)」。そんな適当なことでは職人(ブルワー)さんに失礼。と、いうわけで、今回は静岡県の修善寺にある「ベアード・ブルーイングブルワリーガーデン」を見学します。
箱根登山鉄道で終点修善寺までは約30分
東京駅から約一時間で静岡県の三島駅に到着。箱根鉄道で終点の「修善寺」を目指します。
箱根鉄道の改札手前の売店で、今回の目的地「ベアード・ブルーイングブルワリーガーデン」のビールを見つけてしまったけど、今から工場へ行って飲むのだからガマン!!
自然豊かな環境にある「ベアード・ブルーイングブルワリーガーデン」
修善寺駅からタクシーで10分くらいの場所に、今回の目的地「ベアード・ブルーイングブルワリーガーデン」はあります。ほぼ同じくらいのタイミングで男性グループの客もタクシーで到着。
工場横には狩野川が流れ、畑や山々が望める自然豊かな環境にある
やはり、ビールを楽しむならタクシーを利用するのがベストかも。(ちなみに片道2,000円くらいでした)
「美味しいクラフトビール」ができるまでを見学
ブライアンさんの案内で、まずは工場を見学。
最初の沼津では、このタンクたちでクラフトビールを製造していた
「ベアード・ブルーイングブルワリー」は、アメリカでビール醸造を学んだベアード夫妻が静岡県の沼津市で、始めた小さなブルワリーから始まっています。
創業当時は今とは考えられないくらい小さな醸造機材でビールを製造。そして、2014年に修善寺に工場を移動させました。
大量に生産しても少量生産の時と変わらない情熱を注いで作られるクラフトビール
階段で工場へ降りて、大型冷蔵庫に入っているホップなどの材料を説明してくれます。
創業当時は、一回の仕込みで30リットルしか作れなかったそうですが、現在は6000リットルにもおよび、現在は海外にも輸出しています。
「八方美人なビール造りはしない」ブライアンさんの思い
「大手のビール会社が日々行っていることは、“一貫性と統一性”。日々同じ美味しさで同じものを提供することに力を注ぎます。しかし、これは僕が思うビール造りとは違います。
ビールは生き物”温度や熟成などで味わいが変化するビールの個性を味わってほしい
「ベアードブルーイングのビールは、温度や熟成度によって、日々変化していく“生き物”だと思っています」そう語るブライアンさんは、この工場で定番のビールの他、季節限定ビールを合わせて、約40種類ものビールを造っています。
最後のひと口が美味しいからお代わりしたい。そんな気持ちになれるクラフトビールを造っていきたい
市販のビール造りでやりがちな炭酸ガスのブレンドを行わず、ホップが持つ特有の苦みを楽しむことができ、最後のひと口まで美味しくてお代わりしたくなるようなクラフトビール造りをしているそう。
ブライアンさんの仕事部屋にはファイリングされたレシピが棚にびっしり入っている
ブライアンさんは、「日本のいわゆる“地ビール”は、町おこし的なものが多く、味が平凡で高いという印象がある。僕は、万人受けするビールではなく、個性的なビールを造りたい。たとえ10人中1人しか気に入ってくれなくても、その1人が好きでいてくれればいい」と語り、『クラフトマンスシップ』を込めた最高のビール造りに日々情熱を注いでいます。
造りたてのチルドビールを特別に試飲
ベアード・ブルーイングブルワリーでは、作りたての個性的な味を10℃以下で流通させる「J-CRAFT」(三菱食品)を製造。酵母をろ過せずに10度以下でブルワリーから輸送して、都内の飲食店などに届けています。
J-CRAFT(三菱食品)は日本各地の個性豊かな6カ所のブルワリーで作られている
「J-CRAFT」は、ここのタップルーム(ビールサーバーがある場所)では、飲むことができませんが、今回は輸送前の「J-CRAFT」の「ペールエールIZU SHUZENJI」を取材と言うことで、特別に試飲させてもらいました。
見た目からして色が違い、いかに温度管理が大切かを知ることができた
劣化したビールと、瓶に詰めたての美味しいペールエールを試飲してみましたが、劣化した方のビールは嫌な苦みと劣化臭がして、思わず身震い・・・苦っつ!!・・・・。
そして、新鮮なチルドビールを味わうとこんなにも違う物なのかと驚愕・・・・。
今まで深く考えていなかったけれど、「ビールは冷たくしつづけないとおいしくない」のではなく、「冷たくしないと、急激に味が変わってしまう“生き物”」なのだと知りました。
温度の管理なども含め、やはりクラフトビールはクラフトビールの専門店で味わいたい。
東京でどこか飲める場所があるのか伺ったところ、「J-CRAFT」が飲めるお店が東京に2店舗あるそうです。
東京で「J-CRAFT」が飲めるお店
GRILL & PUB 「The NICK STOCK」
所在地:東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 6F
TEL:03-6264-5756
TAMEALS 品川店
所在地:東京都港区高輪3-26-27 (品川駅エキュート品川サウス内)
TEL:03-5421-8011
ラベルはアーティスト西田栄子さんの作品。工場内の壁面にもたくさん版画が飾られている
もちろん、ベアード・ブルーイングブルワリーも東京に進出しています。そして今年はLAにもお店を出店し、アジアNo.1のクラフトビールを目指しています。
どれがいいか迷ったら「飲み比べセット」がおススメ
メニューをみるとビールの種類がいっぱい。
この他にも季節限定メニューがあり、どれにするか迷うこと必至です
季節限定のメニューもあるし、タップの前で「うーーーーん」と唸る。
木を基調としたホッコリ系のタップルーム
スタッフの人が「もしよければ、飲み比べをおススメします」と言ってくれ、迷わず飲み比べをお願いしたが、更にどれを飲み比べるか迷う。
「ぬーーーーーーっ」
結局、定番の「ライジングサン」と人気の「フェストラガー」、「わびさび」をオーダー。
「わびさび」を「わさび」と空目してしまい、「わさびはピリッとしますか?」と聞いてしまい、外国人スタッフに「わさびの香りはしません」と教えてもらう。すみません・・・(汗)
左の「ライジングサンペールエール」は柑橘系の香りが爽やかなペールエール。
中央の「フェストラガー」は季節限定。ほのかにフルーティーな香りがするガンバーラガー。
右の「わびさび」日本のわびさびを追求したJPA。アルコール度数は7%ですが、後味すっきり。どれも個性があり、風味やコクなどもそれぞれ。
ただ、3種のビールに1つだけ同じ共通点があった。それは、3つとも全部「美味しい」。
ベアード・ブルーイングブルワリーは、今回のように工場を見学することができます。
ベアードさんを始めとするスタッフの方も日本語が上手なので、英語が苦手な方でも工場見学が楽しめます。見学後のビールはより一層おいしいものになりますのでぜひ。
三島駅で購入した駅弁「伊豆山海おぼろ寿司」/ 870円
ちなみにこのブルワリーは、お食事やおつまみの持ち込みOK!!サンドウィッチや駅弁は、三島の売店で購入することができます。 スイーツなどとのペアリングも楽しめるので、チョコレートやチーズケーキなどを買っていくのもおススメです。
ベアード・ブルーイングブルワリーガーデン修善寺
〒410-2415 静岡県伊豆市大平1052-1
TEL:0558-73-1199
ジモトのココロ