より良い方向へ向かうために、理想の姿を明確にしてそこまでの道筋をたてる「ポジティブスパイラル」という手法。今回の無料メルマガ『起業教育のススメ~子供たちに起業スピリッツを!』では、著者で長く人材育成に携わってきた石丸智信さんが、個人・組織を問わず成長が期待できるこの手法の具体的な実践方法を詳しく記してくださっています。
在りたい姿から始まるポジティブスパイラル
以前、リーダーを対象とした研修において、「ポジティブスパイラル」についての講義がありました。その研修では、ポジティブスパイラルとは、「より良い方向に向かうための道筋」ということでした。本号では、研修の中で学んだ「ポジティブスパイラル」について考察していきたいと思います。
ポジティブスパイラルとは、
「ありたい姿(目的・目標など)を明確にする」
↓
「現状を把握する」
↓
「原因を究明する」
↓
「対策を立てる」
↓
「優先順位をつける」
↓
「対策を実施、実践する」
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「修正・改善する」
↓
「更なる理想、ありたい姿を明確にする」
というように、このサイクルを繰り返し、らせん階段を上がっていくイメージです。このポジティブスパイラルの講義を聴いて、すぐに思ったのは、このスパイラルは、問題の発見から解決に向けての流れそのものだと思いました。
ポジティブスパイラルは、「ありたい姿(目的・目標など)を明確にする」ことからスタートします。より良い方向に向かっていくためには、まずは、現時点で考えられる理想像、ありたい姿を明らかにする必要があります。目的地が分からなければ、自分だけでなく、周りの人たちも、どっちの方向に行けばいいのか、分かりませんね。
このありたい姿、理想像などを考える、描く時には、現在の状況、状態などといった前提条件を置かないことが重要だと言えます。ここで、前提条件を置いてしまうと、前提に基づいて「あれはできない、これはできない」などと、可能性を狭めてしまうように思います。また、一つひとつの事象にだけ目を向けてしまうと、場当たり的な対応に終始してしまうでしょうね。
ありたい姿を明確にすることは、個人としても、企業などの組織としても、大切なことではないでしょうか。
ありたい姿を明確にした後は、現状を把握することになります。ありたい姿を明確にすることで、1つのゴール地点が明らかになります。現状を把握するということは、スタートラインを明確にすることと言えるでしょうね。「自分(組織)が、今の時点でどのような状態なのか」と問いかけて、強みとなる部分や弱みとなる部分などを洗い出し、ありのままの自分(組織)を明らかにします。
ありたい姿と現状を明確にすることで、その間には、ギャップ(差)が生じますね。このギャップこそが、これから改善するべき問題と言えます。この問題の原因を追及していくことが次のステップになります。
問題の原因を究明する1つの手法として「なぜ、なぜ」と問いかける手法があります。「なぜだろう、なぜだろう」と繰り返すことで、真の原因を見つけていく1つの手法と言われています。
原因を明確化したところで、今度は、原因を踏まえて改善に向けての対策(解決策)を立てていくことになります。対策を立てる時には、まずは、固定概念や先入観、常識、過去の事例などに縛られずに、色々と出すことが大切になると思います。原因を解決するために「どのようにしたらいいのだろう」と問いかけて、対策を考えていきます。
様々な対策を出したところで、その対策に優先順位をつけていきます。優先順位のつけ方としては、
「緊急度と重要度」
「効果が早く現れる」
「効果が大きい」
「簡単・安価」
などが考えられるでしょうね。例えば、縦軸に「効果の大小」、横軸に「対策実施の困難度の大小」を置いてマトリックス図にして、出した対策を当てはめて優先順位を決めるといったことも考えられます。
対策の優先順位を決めたところで、いよいよ、対策を実施、実践していきます。対策を実施していく中で、うまくいかないなどの不具合が生じることが考えられます。そこで、修正し、改善していくことも必要になってきます。
こういったプロセスを経て、はじめに明確にした「ありたい姿(目的・目標など)」を達成していきます。
最初に決めた「ありたい姿(目的・目標など)」を達成して、一区切りにはなりますが、それで終わりと言うことではありませんね。また、次のありたい姿、理想像などを明確にして、このプロセス、サイクルを繰り返し回していき、らせん階段を上るように、より良い方向に向かっていくことが大切になりますね。それが、個人においても、組織においても、成長、進化していくことにつながっていくのではないでしょうか。
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