過去には「日本のラーメン」がトレンドになったこともあるアメリカのグルメ事情ですが、最近は特定の食ではなく、「観点」からトレンドが生まれているようです。具体的にブームになりそうなものは何なのか、『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』の著者でNY在住の著者・りばてぃさんが文化情報サイト「Sporteluxe」の記事を取り上げながら解説しています。
2018年の食のトレンドとは?
その昔、「食」のトレンドと言ったらフランス料理とか、イタリア料理、日本食などがトレンドだ、と話題になり、それらが繰り返したり、入れ替わったりしながら食の流行を築いてきたが、最近ではそういった食のトレンドを聞かなくなってきた。
フランス料理もイタリア料理も日本食もすっかり定着している。
しいて言えば、日本の「ラーメン」がブームになったくらいだろうか。
それが今では、特定の食ではなく、健康やエコといった観点からトレンドが生まれているようだ。
それについて報じる興味深い記事を発見した。
文化情報サイトのSporteluxeの11月9日付の記事
「2018年に大流行が予想される10の健康食、ホールフーズ調べ」
(The 10 Biggest Healthy Food Trends For 2018, According To Whole Foods)
面白いのでこれをご紹介しよう。
(ご参考)
●The 10 Biggest Healthy Food Trends For 2018, According To Whole Foods
なお、ホールフーズは、現在のアメリカの健康ブームを牽引する食品スーパー。
今年、アマゾンが買収して大ニュースにもなったのでご存知の方も多いだろう。
(ご参考)
●Whole Foods買収完了!!オーナー初日、Amazonは何をした?
冒頭の当該記事では、10の健康食と言って仰々しく選ばれているが、その中身は大した話ではなく、日本人の皆さんにとってはごくごく常識的な健康によい食材が挙げられており要するに、『健康』と『エコ』の2つの大きなトレンドにまとめられる。
具体的に以下みていこう。
(1)健康
栄養価の高いスーパー粉
Super powders
抹茶、カカオ、マカ粉ターメリックなど体に良いとされる粉を料理や飲み物に混ぜるのが今後もアメリカで増加するとの予測。
ここからの延長で、体に良いとされるスパイス(主に中東料理で使用)にも注目が高まっており、例えば、ハーブスパイスのザータル(za’atar)や、唐辛子で作ったハリッサ(harissa)なども今後アメリカで人気になるという。
また、キノコも今後アメリカで注目を集めるとのこと。
日本人にとっては今更という感じだが、椎茸やマッシュルームを飲み物やスープに混ぜる健康食や、お肌ケア商品にはキノコパウダーが使用されるという。
パフ菓子
Puffed and popped snacks
日本ではかなり以前から油未使用の焼き菓子は人気だが、アメリカでも、揚げ菓子ではなく焼き菓子が健康に良いということでトレンドとなりつつあるそうだ。
カロリーゼロの炭酸水
Bubbles, bubbles, bubbles
健康ブームでより顕著なのが、アメリカの水の消費量がコーラなどの清涼飲料水を抜いたというニュースをブログやメルマガでお伝えしているが、より健康によりカロリーゼロの炭酸水が今後も増加。
中にはアップル・サイダー・ビネガーを入れた炭酸水などの商品も出始めているという。
(ご参考)
●ソーダの販売量を上回ったアメリカの清涼飲料水人気の最前線!?
(2)エコ
エコに関する食のトレンドは以下のようなものが挙げられている。
商品ラベルの透明性
Transparency in product labelling
これは健康とエコの両方に関係するが、商品ラベルに産地や取引基準、カロリー表示を徹底するようになるとの予測。
ホールフーズの場合、2018年1月から、ツナ缶に使用するツナは1本釣りのツナのみ使用。
9月からは取り扱う全商品にGMO(遺伝子組み換え)情報を提示。
また、ベンダーで提供する食事にはすべてカロリー表示をする・・・等々徹底していくという。
根っこから茎まで
Root-to-stem
食材を無駄にしない運動(英語では、anti-food-waste-movement)により、例えば、根っこから茎といった硬い部分であってもシチューに使うなど工夫して食材のすべてを使い切り無駄を無くす動きが広まっている。
形の悪い食材を専門に配送するベンチャー企業も出ている。
(ご参考)
●Imperfect Produce
ハイテクな偽肉
High-tech faux meat
野菜から作ったお肉などハイテク技術で作られた美味しい偽物のお肉が増加。
健康に良いというだけでなく、動物や環境保護の観点からも、お肉に頼らず野菜で代用する動きも広がっている。
また、肉だけでなくお寿司にも使える野菜やフルーツからできた偽マグロや、ミルク、ヨーグルトなども増加が見込まれているという。
以前、ブログでご紹介した「Beyond Meat」も野菜で作られた偽肉。経済誌Fastcompanyが選ぶ2017年のもっともイノベーティブな企業の1社にも選ばれている。
(ご参考)
●ホールフーズでみる日本の食文化の影響
・・・というように細かな動きはいろいろとあるものの、大きくまとめると、『健康』と『エコ』の2つのトレンドが2018年の食の世界では注目されていくようだ。
健康もエコも、なんとなく日本人にとっては得意なジャンルのような気がするので来年大きく飛躍される日本人の方も現れるかもしれない。
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